公開日
2018/05/27
更新日
2018/06/01

ペット栄養管理士が語る、犬の手作りごはんのススメ

皆さんは毎日の愛犬の食事をどうしていますか。ドッグフードだけの人も、犬の手作りごはんに挑戦してみたいけどどうしたらいいか分からないと思っている人も、今日からちょっとだけの工夫で、愛犬と一緒に楽しく犬の手作りごはんに挑戦してみませんか?

手作りごはんに挑戦してみよう

「ドッグフード=総合栄養食」として多くの方が、毎日決められた量を決められた時間にフードと水のみで食事管理されていると思います。
そんな中、ふと「本当にこれだけでいいのかな?」と思ったことはないですか?

もちろん毎日同じフードをあげ続けるのもいいのかもしれません。
しかし私にはなんとなく腑に落ちないのです。なぜなら、愛犬も毎日同じ時間を共有している、家族の一員。今日はどんな料理を作ってみようかな?と考えるのはとても大切なことです。その思いや愛情は、ちゃんとワンちゃんにも届いています。

手作りごはんを通じ、栄養面だけではなく、ワンちゃんとのコミュニケーションも高められたらと思っています。

いざ手作りごはんを作ってあげようと思ったとき、全ての栄養を補った完璧な手作りごはんを作ることは非常に難しいことです。
そこで、私たちドッグパッドは栄養バランスが取れたドッグフードにちょっと乗せる「ちょい足し」も提唱し、ワンちゃんとの食生活をさらに良いものにしていけたらと考えています。

「餌」という言葉に違和感

少し、エピソードも交えた私の見解をお話しします。

私が仕事に出る際、家族に頼むことは、「ごはんを作っておいたから温めて食べて!」と声をかけ、その後一言、「ロミに餌をあげておいて」・・・。
何か、違和感を感じてしまうのです。「餌」という言葉に。

コトバンクによると「餌」の意味として「生き物の食物。また、食事をわざと下品にいう語」とあります。
はたして大事な家族の犬にその意味があてはまりますでしょうか。
やはり「ごはん」という言葉を使いたいです。美味しそうですし、何より温かみがありますからね。

ここだけの話ですが、一度だけ人の食べる姿を見て「餌」というワードが頭をよぎったことを覚えています。その方は御飯茶碗に組み合わせ気にせず、何でものせて混ぜて食べるのです。何だか淋しい気持ちになりました。

私達は、頭のてっぺんから足の先まで食べたもので出来ています。だからこそ何をどう食べるか、少しは意識していきたいと思います。もちろん犬も同様ですね。健康寿命が長いに越したことはありません。

私が手作りごはんを始めたきっかけ

次に、私が手作りごはんを始めようとしたきっかけをお話しします。

もともと栄養士の私は、食べ物に興味津々でした。
私が小さいころに小型犬を2代にわたって飼っていましたが、今の愛犬で初めて大型犬(黒ラブラドールのロミ)を飼ったという緊張感もあり、食事管理もどうしたらいいのか気になっていました。
なぜなら、大型犬のごはんの量や、フードのブランドの違いなどで金額の格差がここまであるのか!という驚きもありましたから。

最初はブリーダーさんからの推奨ドッグフードを食べさせていましたが・・・フードのニオイと糞の臭さがとても気になっていました。

店頭にはたくさんの種類のドッグフードが並んでいます。
犬種別、疾病別、ライフステージ別と、それぞれを組み合わせて考えると何通り検討すればいいのか・・・と思うほどです。

そしてネットには多くの意見や見解が記載されています。参考までには読みますが、はたしてうちの子では何が正解なのか、と悩むことも。

そこでペットフードに関する本を図書館で読み進めていくうちに、

このままこのフードをあげ続けていいのかな?
手作りごはんってどうなのかな?
この子にとって本当に良いフードとはどんなものかな?

などの疑問を解決したいと考え、ペットの栄養に関する講習を受けました。
その講習がきっかけとなり、犬や猫の栄養士の資格である「ペット栄養管理士」を所得し、今では家族の料理と一緒に、負担にならない程度で愛犬の手作り食を楽しんでいます。

手作りごはんのメリット

では、皆様に手作りごはんを勧める理由は他にあるでしょうか?
手作りごはんを始めることで得られるメリットについて、ご紹介します。

何を食べているかを把握し健康管理ができる

それぞれのライフステージや、またその子の適正体重により1日に必要なカロリーが決まっています。フードによってカロリーが若干違ってきたりしますが、お米はお米。カロリーも不変です。

もちろん人間も決まっています。人間でいえば中学~高校までの時期が人生最大の摂取カロリーを必要とします。まさに体をつくるラストスパートの時期と言えます。運動量に見合ったカロリーをとれば太ることもありませんし、しっかりとした体を作っていきます。カロリーや量って大切です。

その中で、家族の食事同様、手作りごはんをすることで何をどれだけ食べているか一目瞭然。その日の体調に合わせて作ることができます。

体調の変化を見て原因がたどりやすい

例えばうんちを見ればそのフードやごはんがうちの子にあうかあわないか分かります。

うんちを観察した時、道路やシートにべっとり付くような「ゆるい」状態や、逆のコロコロした硬いうんちだった時、先日あげた食材があわないのかも?と考えられます。

日々の観察で「うちの子」にあった食事形態が確立されてきます。フードであると沢山の種類が一粒にこめられていて原因食材を特定するのは難しい様に思います。

自分の子供に置き換えるとイメージしやすいでしょうか。牛乳飲むと必ずうんちがゆるいとか、便秘気味の時はさつまいもやヨーグルトが合うとか・・・普段の食事を通して家族の健康管理を何気なくしていませんでしょうか?それと同じことです。

新鮮、安心、安全なものをあげられる

そのドックフードはいつ作られたものですか?外国製ならなおさらいつ作ったか分からないものもありますよね。フードには何が入っていますか?

手作りごはんであれば作ったものを新鮮な状態であげられるし、使う食材も私達と同じ(たとえ切れはしでも)、目が届くものなので安心です。

ダイエットに最適

体重管理として、フードの量を減らすだけですとかわいそうだし、減量用のフードだと食物繊維が多いのか糞の回数が多くなってしまう。

手作りごはんでダイエットをすれば野菜を多くして肉を低カロリーのものにし、スープをいれたりして水分を増やして満腹になるように、と食事管理ができます。ワンちゃんも満足しながらダイエットすることが出来るのでおすすめです。

アレルギーに対応がしやすい

アレルギーの中でも食物中のアレルギー物質に反応する「食物アレルギー」があります。
特にそのアレルギーを持つワンちゃんにとっても、手作りごはんは有用と考えます。
アレルゲン物質が特定できているのであれば、そのアレルゲン物質が入った食材を除去または代替えしてあげることができます。

手作りごはんのデメリット

メリットだけを見ると手作りごはんはとても優秀ですが、手作りなりのデメリットもあります。手作り食を楽しむためには、デメリットの部分も知る必要があります。

栄養についての知識が必要

手作りごはんは、人のご飯と同じように何となくの感覚で作っているとカロリーも栄養も偏る可能性があります。知識が無いまま手作りごはんを続けた場合、犬によっては栄養不足になる恐れがあります。

偏食になる可能性がある

食の細い子や偏食気味の子は手作りごはんのおいしさを知ることにより、今までのフードを食べなくなるかもしれません。

そこで困るのは、飼い主が旅行や出張で家を空けるとき、誰かしらに犬の面倒を頼む事になります。預かった人が手作りごはんを作るとは限りません。
また、有事の時など、避難場所では人の食事もままならないというのに、犬のごはんを作る余裕はありません。
やはり、フードも食べられるようにしておかなければならないと思うのです。

コストと手間の問題

人間でもそうですが、安心・安全・こだわりの調味料で食事を作るとコストも手間もかかります。でも美味しいし、体も喜びます。果たして犬が家族の一員とはいえ、人間同様手間暇かける経済的時間的余裕を毎日の生活に取り込めるのか、自分の生活を見つめながら考えなくてはなりません。

手作りごはんを始める前に知っておきたいこと

犬が食べてはいけない食材を知る

犬には食べてはいけない・避けた方が良いとされる食材があります。
それをきちんと知った上で作りましょう。

例えば、

ねぎ・・・犬の赤血球に反応する物質により溶血性貧血・血色素尿症が起こる心配がある。
チョコレート・・・カカオは心臓血管や中枢神経に作用する物質が含まれています。人間は反応しませんが犬は敏感に反応するようです。下痢・嘔吐や死ぬこともあるのでかなり注意を要します。
ぶどう・・・中毒症状により死ぬことがある。腎臓障害を引き起こすこともある。干しぶどうもダメ。
こんにゃくやたけのこ・・・・消化が悪い
はちみつ・・・ポツリヌス菌がまれに入っている場合があるので食中毒に要注意です。

などなど。

衛生面に気をつけましょう

犬に生肉をあげる人がいますが、菌は肉の表面につきます。
食中毒など、病気につながる可能性がありますので注意してください。

人間用の加工食品はあげない

人間用のものは色んな調味料を使いますので、甘かったり、からかったり、しょっぱかったりとします。
これらをもし与えたら、犬にとっては塩分を取りすぎることになりますのであげないでくださいね。

無理して頑張りすぎない

手作りごはんをあげだすと、フードだけだとなんだか「さぼっている」みたいで申し訳ない気持ちになってしまうかもしれません。
毎食作れなくても大丈夫です。人間の食事だって手抜きや外食もあります。犬にも毎食手作りじゃなければと思うのはストレスになりますから、あくまでも出来る時に作り、無理なく続けることが良いのではないでしょうか?

時には出かけたり、泊まりだったり、気分がのらないときもあります。
そんな時は「ま、いっか」と思うぐらいでちょうどいいと思います。

バロメーターは自分自身が笑顔で作れるか?
自分自身が笑顔で作れないのであれば一休みしましょう。

始めるタイミングと量の目安

安心して与えられるのはやはり胃腸、消化器官が発達した成犬の頃(約1~7歳
)が良いのではないかと思います。

与える量の簡単な目安としては、一回分の食事量は犬の頭の鉢のサイズぐらいと言われています。
回数は個体差がありますので、様子をみながら回数を決めてもいいですね。

ちなみにうちのロミは体重維持がしやすいため少なめの量を一日3回に分けてあげています。

初心者におすすめの食材

【オリーブ油、きなこ、ごま、のり、納豆、豆腐、無糖ヨーグルト、茹で卵、煮干し、カッテージチーズ】

いかがでしょうか?
おうちの冷蔵庫に結構あるものじゃないですか?
全部手作りだと躊躇する方は、フードに食材を上からかける「ちょい足し」をするところから始めてみてはどうでしょうか。とっても簡単ですよ。

最後に

私の周りでは、犬の手作りごはんはハードルが高い、との声をよく聞きます。
ですが、ご自分やご家族の食事作りを慎重にしながら作っている方がどれ程おられるでしょうか?
もしスーパーやデパートなどで売っていない食材を材料にするなら分かります。
自分で仕留めた小動物と野原に生えている雑草とかで作るのでしたら「これは食べられるのか?毒でも入っていないか」。私も怖いです。
でも違いますよね。基本的には、自分の口にいれても何の問題ないものばかりで作りますよね。大丈夫です。
もっと愛犬とも向き合うチャンスです!
是非、家族で楽しみながら手作りごはんを始めてみてはいかがでしょうか。