犬のしつけでも代表的な「おすわり」ですが、みなさんの愛犬はどのくらいのレベルのお座りができますか?基礎トレーニングとしての「おすわり」の大切さやその理由や教えるときのコツ、いつから「おすわり」を教えたらいいか、愛犬が「おすわり」をできないのはなぜか?などをご紹介します。
しつけで「おすわり」はいつから教える?
しつけで「おすわり」はいつから教えたほうがいいのでしょうか?
答えは犬の覚える機能が衰えていなければ子犬から成犬、どんな年齢の犬でも「おすわり」を覚えられます。
ただ子犬の方が、柔軟性が高いため成犬よりも早く覚えられます。
成犬に「おすわり」を教えることは難しくないのですが、子犬と違いたくさんの経験をしているため、まず「おすわり」ができない理由を理解してから「おすわり」を教える必要があります。
子犬にくらべて少し根気がいりますが、そのぶん「おすわり」ができたときのよろこびは大きいので、あきらめないで挑戦をしてみてください。
子犬を迎え、いつから教えたらいいか迷っていらっしゃる飼い主さんは、子犬が家になれた頃から「おすわり」の練習を始めてみましょう。
しつけや基礎トレーニングを始めるタイミングは、犬の問題行動が起きる前が理想とされています。
「おすわり」も同じで、いつからしつけを始めるのが理想かというと、できるだけ早めに始めることをおすすめします。
犬におすわりを理解してもらう方法と理由
犬になぜ「おすわり」を教えるのでしょうか?かわいいから、お利口そうに見えるからなどいろいろなご意見があると思います。
ドッグトレーナーがなぜ犬に「おすわり」を教えるか。その理由や「おすわり」の教える方法をご紹介します。
1.犬に「おすわり」を教える手順
犬に「おすわり」を教える方法と手順をご紹介します。
ステップ1は、犬に「おすわり」の姿勢になるように誘導をして「おすわり」の形を愛犬に教えます。
ステップ1では「おすわり」という指示語は使いません。
ステップ1
1.ちいさくちぎったおやつを持っていることを犬に教えます(においをかがせたりするとよいでしょう)
2.おやつをつまんだ指先を犬の鼻先から目の間、眉間を通って耳の間へゆっくりと半円を書くように移動させます
3.犬が手を見上げてお尻が床につき「おすわり」の姿勢になったら「よし」「GOOD」など正しいことをしたという合図を出し、手に持っていたおやつを与えます。
2~3の動きがしっかりと愛犬に定着し「おすわり」ができるようになったら次のステップ2に進みます。
ステップ2は犬に「おすわり」という言葉の合図を覚えてもらいます。
ステップ2
1.「おすわり」と言う
2.おやつで「おすわり」の形に犬を誘導(ステップ1の2と同じです)
3.犬が「おすわり」をしたら褒め言葉を言い、おやつを与える(ステップ1の3と同じです)
このように「おすわり」の姿勢を先に犬に教え、その後にその姿勢と「おすわり」という言葉を結び付けていきます。
なぜこのような方法をとるのかというと犬に間違った姿勢(横すわりなど)と「おすわり」という言葉を結び付けて覚えさせないためと、犬の資質的に行動を教えてから言葉の指示を教える方法の方が犬の学習スピードを早める効果があるからなのです。
ステップ3
ステップ3では1回の「おすわり」という指示で愛犬が座るように練習をしてみましょう。ステップ3ができるようになれば「おすわり」の上級者です。
基本的なしつけ方法~おすわり編~【子犬から成犬まで】
こちらに詳しく「おすわり」を教える方法が書かれているのでこちらも参考にしていただけたらと思います。
2.「おすわり」を教える理由
犬に「おすわり」をなぜ教えるのでしょうか?しつけとしての「おすわり」ができるようになると、これから起こりうる問題行動を未然に防げたり、愛犬の安全を確保できたりするからです。
例えば、愛犬の飛びつきがひどく困っているなら、犬が人に飛びつこうとしたときに「おすわり」と言って犬を座らせます。「おすわり」がしっかりできれば犬は人に飛びつけなくなります。
また、お散歩中に横断歩道の前などで「おすわり」をさせれば、犬が道路に飛び出す危険から守れます。
これらは例ですが、このようにしつけとしての「おすわり」は犬の行動を飼い主さんがコントロールしやすくなる大切なものなのです。そのためドッグトレーナーは基礎トレーニングのひとつとして「おすわり」を犬に教えるのです。
おすわりがどうしても上手くいかない理由と対処法
おすわりができない犬はなにかしら理由があります。愛犬がなかなかおすわりを覚えられないケースや、おすわりができなかったときの罰の使い方をご紹介します。
「おすわり」ができないときの罰の使い方
罰というと厳しいイメージですが、ここで使う罰は痛みや恐怖のないちょっといじわるな方法の罰を使います。
1回の指示で愛犬が「おすわり」をしなかったときに何度も「おすわり」という指示を連呼していませんか?これは犬に2~3回の指示は聞かなくてもいいと学習させてしまいます。
1度「おすわり」と言って犬が座らないなら罰を使います。
その方法はご褒美として用意していたおやつを犬の鼻先まで持っていきにおいをかがせ、犬にあげずにしまいます。「1回で座ればおいしいおやつが食べられたのに残念」という罰を使います。
この方法はとても効果があるので、叩いたり、叱ったりせずにこのちょっといじわるな方法の罰を使ってみてください。
罰の使い方の例
1.「おすわり」という
2.犬が指示に従わなかったら、犬の鼻先におやつを持っていき匂いだけかがせてあげずにしまう
3.もう一度「おすわり」という
4.犬が1回の指示で座ったら褒めてごほうびをあげる
このような感じです。
一貫性のあるしつけを
犬に「おすわり」を教えてもなかなかできない理由のひとつとして一貫性のない教え方をしてしまっていることが考えられます。
例えば「おすわりの指示語が人によって違う」です。Aさんが「すわれ」Bさんが「Sit」Cさんが「おすわり」などと犬に「おすらり」を教えているひとがばらばらの指示語を使うと犬は混乱します。
指示語はひとつに決めて、一貫性をもったトレーニングをするようにしましょう。
いざという時に「おすわり」ができない
家の中では完璧に「おすわり」ができるのに、外に行くとまったく「おすわり」ができなくなるということがあります。
犬は人と違い、家の中で覚えた「おすわり」と、外での「おすわり」写真撮影時の「おすわり」車内での「おすわり」すべて同じものと認識をするのがとても苦手なのです。
しつけとして「おすわり」を教えるなら、まず家の中で練習し、次に慣れたお散歩コースで練習をするなど、どこでも「おすわり」ができるように教える必要があります。
これは心理学用語で般化というのですが、犬は般化がとても苦手な動物といわれているため、このような現象がおきるのです。
ごほうびの選び方と効果的な使い方
モチベーショントレーニングで使われるご褒美のおやつはどのように選べばいいのでしょうか?
選び方の方法は、初めて覚えることや難易度の高いトレーニングほど犬にとって価値の高いおやつをご褒美にすることをおすすめします。
人間で例えると同じ仕事を時給100円で頼まれるより時給1万円で頼まれた方がやる気がでます。犬も同じなのです。
おいしいおやつが欲しいから一生懸命犬は学習をしようとします。
愛犬の好みを知り「すごく好きなおやつ」「好きなおやつ」「普通のおやつ」このように3種類ほどランク付けをし、用意してみてください。
「すごく好きなおやつ」は難易度の高いしつけや、初めて覚えるトレーニングの特別なご褒美に。「好きなおやつ」はできるようになってきて、もうひと頑張りというときなどに。「普通のおやつ」はいつものご褒美という感じで使ってみてください。
ご褒美のおやつを使い分けると、犬の集中力も増します。同じご褒美が続くと飽きてしまい、トレーニングに対するモチベーションが下がることもあるので注意が必要です。
また、ご褒美で使うおやつの選び方は「ちいさくちぎれるもの」「ぽろぽろとくずれないもの」が良いでしょう。
最後に
「おすわり」はかわいいしぐさではなく、とても大切な基礎トレーニングのひとつなのです。いつから犬に教えたらいいか迷っている飼い主さんは今すぐに始めてもいいと思います。「おすわり」ができない愛犬はできるように、「おすわり」ができる愛犬はレベルの高い「おすわり」ができるようにぜひ挑戦をしてみてください。
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