【獣医師コラム】愛犬がゴキブリを食べちゃった!大丈夫なの??

雑学

こんにちは獣医師Yです。ここ最近はもう夏のような暑さが続いていますね。害虫が出やすい環境が整ってきました。
それにしてもゴキブリを食べるようなことあるの?と思うかもしれませんが、ワンちゃんによってはあのカサカサっと動く物体に興味が湧いて、野生本能が呼び起こされてしまうんですかね?我が家のダックスは昔パクッと食べちゃいましたよ。
今回はそんなショックなことがもし起きてしまったらどうする!?について解説していきたいと思います。

もしもパクッと食べちゃったら

その光景を見てしまった時は非常にショックだとは思いますがひとまず安心してください、1匹程度であれば基本的には大丈夫です。
よく言われていることですが、ゴキブリ含め昆虫類は犬にとって貴重なタンパク源です。
だからといってタンパク源が足りていないの?と思うかもしれませんがほとんどのワンちゃんはゴキブリの動きに反応してして遊んでいるだけでしょうね。
しかし大丈夫とはいえ、よく考えてみてください。
ゴキブリの生活圏は高温多湿でジメジメした場所(キッチンや風呂場などの隙間や排水溝)を好み、そういった場所は細菌達にとっても住みやすい場所なのでゴキブリはその細菌達を撒き散らす厄介者です。
条件が揃えば元気なワンちゃんだって体調を崩す恐れもあるため、ゴキブリを食べてしまった場合数日は注意して、何か問題があればすぐかかりつけ医に相談してみましょう。

ゴキブリの殺虫剤について

ではそんなゴキブリを駆除するためのにみなさんのお家では様々な殺虫剤を使用しているかと思います。しかし、ワンちゃんたちがその殺虫剤を誤って食べてしまったりするような事故も多く発生しています。
ここからはそんな殺虫剤をワンちゃんが誤って食べてしまった場合などについて解説していきます。

■ベイト剤

ベイト剤とはいわゆる毒餌のことです。それを食べることで巣に帰り死んでしまい、その死骸を別のゴキブリが食べ連鎖式に駆除していくタイプの殺虫剤です。
ベイト剤は主に、


・フィプロニル

・ヒドラメチルノン

・ホウ酸

の3つの有効成分のどれかを使っています。
最近はフィプロニル(フェニルピラゾール系)が配合されている商品が多く、これはワンちゃんのノミ・ダニ駆除でよく使用される背中にポトっと垂らす滴下薬と同じ成分です。
また、ヒドラメチルノンという成分を使っている商品もありますが、どちらも少量の摂取では中毒症状を示すことはないです。
しかし、ホウ酸を使ったいわゆるホウ酸団子に関しては注意が必要です。
ホウ酸は中毒性が先ほどの2種類の成分よりも高いだけでなく、ホウ酸団子としてご家庭でも作ることが可能なため、家の前に置いているご家庭もあったりします。
そのため、散歩中に拾い食いしない様注意が必要です。(色々なサイトで作り方が載っていますがホウ酸の量がバラバラのため、高濃度のホウ酸団子が落ちてる可能性も。。。)
もしも食べてしまったらまずはすぐ吐き出させたいですが、適切な処置を行わないと消化管を傷つけてしまう恐れがあるため、なるべく動物病院へ行き催吐薬で吐かせましょう。

また市販のベイト剤には2つ目の心配事があります。薬剤がプラスチック容器の中入っていることが多く、ワンちゃんが食べてしまった場合容器ごと食べてしまう可能性があることです。さらに食べる際に容器をバキバキに噛んで飲み込んでしまった場合、そのバキバキの容器によって消化管を傷つけてしまう恐れがあります。万が一容器ごと無くなってしまった場合はすぐに獣医さんに相談して胃の中で容器がどのような状態かをチェックしてもらい、どのような処置を施すかベストか一緒に考えましょう。そういった事例もあるので、これらの商品はワンちゃん達が絶対に届かないところに置いておくことをオススメします!!

■スプレー系

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スプレー系の製品はワンちゃんが食べる心配はなく、有効成分はイミプロトリン(ピレスロイド系)というものを使用している商品が多く、昆虫類に対してのみ即効性のある神経毒をもちます。
それに対して、ヒトや犬には毒性が低いものとされていますが、あくまでも中毒症状が現れるまでの量が多いだけですので使用の際には換気をしっかり行いましょう。

また、最近は氷結させるスプレーもでていますよね、このタイプは

Q:テーブルや床などにスプレーしましたが、かかったところは拭いたほうがいいですか?あとからペットや幼児が触れたり舐めたりしても害はありませんか?

A:本品は安全面に十分に配慮した商品となっており、噴射がかかった場所に触れたりなめたりしても問題になるようなことはありません。本品には、殺虫成分は含まれていませんが、除菌成分が含まれています。除菌成分のイソプロピルメチルフェノールは歯磨き粉や洗顔料にも使われる物質で、安全性の高い物質ですが、気になる場合は拭いてください。【日用品質フマキラー製品情報サイトより引用】

とあることより、問題なさそうですね!

■燻製系

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こちらは閉め切った部屋の中で焚くタイプの殺虫剤ですね。有効成分は先ほどのスプレータイプ同様ピレスロイド系と、この成分に抵抗をもつ害虫に対応するため、オキサジアゾール系成分の混合パターンが多く使われていますね。
こちら閉めきった部屋にワンちゃんを長時間放置しない限りは基本的には問題ないです。

■粘着系

粘着系のものに関しては当然のことながら踏まないところに設置する様にしましょう。
もし踏んでしまった場合、毛の部分をカットし、ゆっくり引き剥がしましょう。
その後は粘着剤がまだ残っていると思うので小麦粉など粉をまぶしてベタつきを取ってから、お家の料理に使う油(サラダ油やオリーブオイルなど)をもみ込むことで粘着剤を溶かしてあげ、石鹸やシャンプーで油を取り除いてあげるようにしましょう。(油、石鹸は何回か繰り返すことになると思います。)

まとめ

いかがだったでしょうか?過去に我が家で起きたとんでもない経験を元に、それに加えて使用される駆除剤などを含めて解説してみました。ゴキブリを食べてしまったとしても特には問題ないというのは驚きですよね。しかし、ゴキブリに付いている細菌やワンちゃんの免疫状態によっては体調を崩す可能性は十分にありますので注意はしてあげてくださいね。また殺虫剤に関して、最近はペット達に中毒症状を与えないようメーカーさん達が工夫して商品開発してくれていますが、いくら大丈夫でも中毒症状には個体差があるということには注意しておきましょう!

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獣医師Y

獣医師。大学時代は薬理学研究室でがんの研究をし、卒業後はなぜか某大手通信会社に勤め、今に至る。犬好きだが今は飼えない環境にあり、犬不足により他人の犬をわしゃわしゃしたくてしょうがない。

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