公開日
2022/06/03

犬猫のマイクロチップ義務化 情報登録とメリット・デメリットを解説

令和4年6月1日からマイクロチップの装着がペット販売業者に義務化され(一般の飼い主は努力義務)今後犬猫のマイクロチップの装着率が増えることが予想されています。マイクロチップって本当に安全なの?マイクロチップの義務化と情報登録について、犬のマイクロチップ装着のメリット・デメリットについて解説します。

犬や猫の体に装着するマイクロチップとは

犬や猫の体に装着するマイクロチップとは ドッグパッド

マイクロチップとは、犬の個体を識別するための電子標識器具で、
大きさは、直径が2mm、長さが約8~12mmの円筒形をしています。

このチップを針が太めの注射器のような器具(インジェクター)を使って、ワンちゃんの体内(首の後ろの皮下)に埋め込みます。


画像の上がマイクロチップを埋め込むときの器具、下がワクチンなどで使われる普通の注射針です。

マイクロチップを装着する注入器(インジェクター)ドッグパッド

チップには、世界で1つだけとなる15桁の数字が記録されていて、その数字を専用の読取器(リーダー)で読み取ることで、個体の識別をすることができます。

犬猫のマイクロチップの義務化について

「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」が令和4年6月1日に施行されたことで、令和4年6月1日よりペットを販売するブリーダーやペットショップなどの業者への犬猫のマイクロチップ装着と、すでにマイクロチップを装着した犬猫を譲り受けた者の登録変更が義務化となりました。また、犬猫販売業者以外の一般の飼い主についての装着は努力規定となりました。

一般の飼い主さんについては努力義務となりますが、マイクロチップの装着は、大きな災害が発生したときやペットが迷子になった場合に、飼い主さんが愛犬や愛猫と再び再会できる可能性が高まります。

令和4年6月1日以降は、環境大臣が指定した指定登録機関である「犬と猫のマイクロチップ情報登録」に登録を行う

これまでは、犬にマイクロチップを装着した後、飼い主が「動物ID普及推進会議(AIPO)」や「ファミリーID管理機構(FAM)」などの民間事業者へマイクロチップの番号、飼い主の名前、住所、連絡先などの登録が個々に行われていましたが、犬猫のマイクロチップ義務化によって、今後は環境大臣が指定した指定登録機関である「犬と猫のマイクロチップ情報登録」に登録、情報変更を行わなければなりません。

この移行手続きは、民間事業者が情報を共有することはなく、飼い主自身が環境省のデータベースとなる「犬と猫のマイクロチップ情報登録」に情報を登録する必要があります。

「犬と猫のマイクロチップ情報登録」への登録と手続き

「犬と猫のマイクロチップ情報登録」へ手続きを行う必要があるのは、

・マイクロチップを装着したとき

・犬や猫を購入・譲り受けたとき

・飼い主の住所や連絡先など登録事項が変わったとき

・登録証明書を再発行するとき

・犬や猫が亡くなったときなどです。

犬の場合、飼い主は狂犬病予防法によって飼い犬の登録と毎年狂犬病予防注射の接種を行うことが義務付けられていますが、犬の登録については、犬の所在地が狂犬病予防法の特例に参加している市区町村の場合は、「犬と猫のマイクロチップ情報登録」へマイクロチップ情報が登録されると、市区町村に必要な情報が送付され、狂犬病に基づく犬の登録も申請されたとみなされます。

※犬の所在地が狂犬病予防法の特例に参加していない市区町村の場合は、「犬と猫のマイクロチップ情報登録」へのマイクロチップの情報の登録とは別に、これまで通り市区町村の担当窓口で飼い主が飼い犬の登録手続きを行う必要があります。

一般の飼い主の手続き詳細は「犬と猫のマイクロチップ情報登録 犬や猫の飼い主の手続き一覧」の内容をご確認ください。

また、環境省のホームページでは、今回のマイクロチップ義務化にあたり、犬と猫のマイクロチップ情報登録に関する情報が公開されているので、一度目を通されておくことをおすすめします。

環境省ホームページ:犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A

登録手続きには登録手数料がかかる

「犬と猫のマイクロチップ情報登録」へ情報を登録する際は、オンラインでの申請では300円、紙による申請では1,000円の手数料がかかります。

また、登録証明書の再交付を行う場合は、オンラインでの申請では200円、紙による申請では700円の手数料がかかります。

※オンライン申請の場合は、クレジット決済が可能です。

マイクロチップの装着は海外への移動の際に必須となっている

ヨーロッパを中心に海外でもマイクロチップの義務化が進んでいます。
また、日本では「犬等の輸出入検疫規則」により、日本へ動物を輸入する際、ISO規格のマイクロチップの埋め込みが義務化されています。もし、海外にワンちゃんと一緒に出掛け、帰国しようとしたときは必ずマイクロチップを埋め込まなくてはいけません。

犬の体にマイクロチップを装着するメリット

犬の体にマイクロチップを装着するメリット ドッグパッド

迷子の犬を減らすことができる

保健所へ連れてこられる犬は捨てられてしまった犬だけではありません。何らかの理由で飼い主とはぐれてしまった迷子の犬もたくさんいるのが現状です。そして、期限までに飼い主に再会できず、殺処分されてしまう犬もたくさんいます。

日本では今まで、犬の鑑札による個体識別が一般的でしたが、災害時などさまざまな状況によって首輪が外れてしまうと、犬の個体識別を行うのは困難でした。

しかし、マイクロチップは犬の体の中に装着されているため、犬が迷子になったり、逃げてしまって保護されたときに首輪など身元がわかるものがついていなくても、マイクロチップを読み取る専用のリーダーでマイクロチップの15桁の番号を読み取り、番号をデータベースに照会することで、飼い主の情報と犬の個体識別をすることができます。

落としたり壊れたりしない

鑑札や迷子札は首輪に付けるのが一般的なので、犬が逃げた場合や災害時などに観察を落としたり、外れたり、壊れてしまったりすることがありますが、マイクロチップの場合はそのようなことはありません。

犬が連れ去られた際の証明書になる

こんなことは想像したくはありませんが、犬の連れ去り被害(誘拐・盗難)にあった場合でも、マイクロチップが装着されていれば、犬が見つかった際に自分の犬であることをチップを読み取ることで確実に証明することができます。

ペットの飼育放棄や遺棄を減らす

ペットの飼育放棄や遺棄を減らす

日本では「飼育できなくなったから」と山などに捨ててしまったり、保健所などに置いて行ってしまったりする飼い主がいるのが現状です。

犬にマイクロチップが装着されていれば、保護された際に飼い主の情報を明らかにすることができ、無責任な行動を減らすことができます。

犬の体にマイクロチップを装着するデメリット

犬の体にマイクロチップを装着するデメリット ドッグパッド

チップの埋め込み時に痛みを伴う

マイクロチップは犬への皮下注射で埋め込みます。
直径2mmのマイクロチップを入れた針を刺すため、通常の注射針と比べると太い針になりますが、犬は注射と同様の痛みを感じるといわれています。

痛みに我慢強い子もいますが、場合によっては局所麻酔で痛みを軽減するなど動物病院によって工夫されています。飼い主さんが希望した場合は、去勢手術時や避妊手術時の麻酔下で一緒にマイクロチップを埋め込む方法もあります。

※マイクロチップを装着するインジェクターについている針の工夫によって、以前より装着時に犬が痛みを感じにくくなっているともいわれています。

MRI撮影の画像に悪影響が出ることがある

マイクロチップは一般的に、犬の首の後ろあたりに装着しますが、もし、犬が病気や怪我をした際にマイクロチップを装着した部分のMRIの検査が必要になったときは、チップの入っている部分の画像が歪むなどの悪影響が出ることがあります。ただし、体内への悪影響はなく、ほとんどのMRIはマイクロチップが入っていても問題なく撮影できます。レントゲンでは画像に影響が出ることはありません。

マイクロチップが皮下を移動することがある

マイクロチップは一般的に犬の首の後ろあたりの皮下に装着されますが、皮下の間を移動することがあるともいわれています。このため、装着後に激しい運動をしたり、装着した部位をむやみに触ったりしないようにしましょう。

専用の読取器「リーダー」がないとチップを識別できない

犬の体の中に入っているマイクロチップだけでは犬の個体識別をすることはできません。専用の読み取りリーダーで、個々に与えられた15桁の数字を読み取り、データベースに照会することで初めて、どの飼い主の犬なのか情報を識別することができます。

このことから、マイクロチップのリーダーがないところで保護された犬の場合は、マイクロチップが装着されていても番号を読み取ることができず、15桁の番号の照会を行うことができないため、飼い主をすぐに特定することはできません。このリーダーは、全国の動物保護センターや保健所、動物病院などに置かれています。

最後に

令和4年6月1日から、犬と猫のマイクロチップ装着が義務化されました。また、一般の飼い主についてはマイクロチップの装着が努力義務であるものの、マイクロチップの義務化によって、捨てられる犬や迷子犬、殺処分される犬が減ることも予想されています。

日本は災害が多い国といわれています。万が一に備えてマイクロチップを装着していると愛犬と早期に再会できる可能性が高まるメリットがあります。

チップを愛犬の体に埋め込むなんてかわいそうと思う方もいるかもしれません。メリットとデメリットなどマイクロチップ正しい知識を持って、装着するかしないかは、大切な家族の一員である愛犬にとってよりよい判断をしていただけたらと思います。もし、マイクロチップのことで不安なことがあったら、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。

「犬と猫のマイクロチップ情報登録」ホームページ:https://reg.mc.env.go.jp/

環境省ホームページ 犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A:https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html

犬と猫のマイクロチップ情報登録 環境省データベースへの移行登録受付サイト:https://www.aipo.jp/transfer