公開日
2021/09/02

災害の現場で活躍する「災害救助犬」はどんな活動や訓練をするの?

災害救助犬とは、どのような犬かご存知ですか?災害救助犬は、災害時に人を捜索する犬です。警察犬の一種と思われがちですが、災害救助犬と警察犬は全く異なる訓練や活動をしています。災害救助犬はどのような犬で、どんな働きをするのかをご紹介します。

災害救助犬とは?

災害救助犬とは、別名レスキュードッグともいわれています。
昨今、大雨・台風・地震などによる土砂崩れや家屋倒壊などが各地で起っています。
特別な訓練をうけた災害救助犬たちは、このような災害現場で土砂や建物の下敷きになってしまった人を犬の特徴である優れた嗅覚を使って捜索をしてくれます。

災害救助犬の種類

災害救助犬は、大きく分けて3つの種類があります。

  • 地震救助犬:地震によって倒壊した建物などの下敷きになってしまった人を捜索します
  • 山岳救助犬:雪山や通常登山中に遭難してしまった人を捜索します
  • 水難救助犬:海や川など水に関する場所で災害に合った人の救助補助をします

災害救助犬ってどんな訓練をするの?

災害救助犬になるには、災害現場を想定した状況での「実践捜索訓練」を何度となく経験をし、日本レスキュー協会に認定される必要があります。
家庭犬のしつけを行うときも同じですが、犬は集中力が長時間持続しないので、災害救助犬の訓練も短期集中型で効率よく繰り返し毎日行われています。
厳しい訓練を経て日本レスキュー協会に認定された災害救助犬は、世界でもトップレベルだといわれています。
では、実際の訓練内容についてみていきましょう。

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クリープ

伏せの体勢を保ったまま前進をする訓練です。人の場合で言うとほふく前進のようなものです。
建物が倒壊した現場では、ガレキの間に入りこんでいく必要があるため、このような訓練を行います。

障害物

災害場所は足場が悪いことが多く、犬が不安定な場所でもためらうことなく進んで行くことができるようにしておく必要があります。
そのために、ロープの上やシーソーの上を歩く訓練が行われます。

遠隔操作

遠隔操作は、犬が指示にきちんと従うことの出来るようにする服従訓練です。
災害現場では、人が前に進みにくい場所に犬だけを先に行かせる場合があります。その際に「前・右・左」など離れた場所からでも指示に従って動くようにする訓練です。

がれき捜索

実際の倒壊現場を想定した実地訓練としてがれき捜索を行います。
よくある倒壊現場のような状況を人工的に作り出し、そこで嗅覚を頼りに犬が捜索を行う練習をします。

土砂捜索

土砂捜索は、土砂の中に人が埋まっていることを想定した訓練です。
土砂の中に埋まってしまうと、ニオイが外に漏れにくいため救助も難航します。
そこで実際の土砂災害現場を想定した訓練を、繰り返し行っておくことが重要となります。

水難捜索

水難捜索は、海や川などで溺れている人を助ける為の訓練です。
犬が人を抱えて泳ぐことは出来ないので、浮輪を溺れている人のもとへ届けてから、人を浮き輪に捕まらせてから安全な場所まで引っ張る訓練をします。

雪難捜索

雪難捜索は、雪山で遭難した人や、雪崩に巻き込まれて雪に埋まってしまった人を探し当てる訓練です。
雪の上で倒れている人が居いた場合には、その場で反応をする訓練も同時に行います。

ホイスト

災害場所によっては車や徒歩でたどり着けない場所もあります。そのような場所にはヘリコプターで出向く必要があり、人命救助のために災害救助犬もヘリコプターで一緒に現場へ向かいます。
その時にも問題なく対応出来るように、ヘリコプターから降下する訓練がホイストです。

災害救助犬が活躍する場所

災害救助犬は、先に紹介した3つの分類に沿った場所で、適切な働きをします。
地震の後の建物倒壊現場などでは、人が入って行くことができないような場所に潜っていき、そこに閉じ込められている人の存在を見つけると帯同している訓練士にそれを伝えます。

警察犬などは特定のニオイを探す訓練を行っていますが、災害救助犬は特定のニオイではなく人そのものを探し当てる訓練をしています。

このため、人の痕跡やニオイが全くない場所でも探せと指示をされれば、空気中のわずかな浮遊臭を頼りにそれを求めてひたすら探し続けます。

災害救助犬に向いている犬種

災害救助犬は、特にこの犬種でなければいけないというものはありません。
犬種よりも、その犬自体の性格や持って生まれた性質が大きく影響します。
災害救助犬に向いている犬は次のような特徴を持つ犬になります。

  • 人や他の動物に攻撃性がない
  • 動作が機敏
  • 探索行動に強い意欲を持てる
  • 集中力と忍耐力がある
  • 突然の物音や突発的な出来事に物怖じしない

これ以外に、嗅覚が優れていることが大前提となります。犬は元々嗅覚が優れていますが、犬種や個体差によっては嗅覚の鋭さに多少の違いがあるため、訓練の過程で能力が見極められていきます。

有名な災害救助犬

これまでに災害救助犬として活躍し、名を残した2頭をご紹介します。

レイラ

2011年3月11日起きた東日本大震災の現場で、災害救助犬として活躍したのがジャーマン・シェパード・ドッグであるレイラ号です。

震災の翌日から現場に派遣されたレイラは、その日から1週間岩手県大船渡の海岸近辺を捜索することとなりました。
レイラは生存している人を探しそれを伝える訓練をしてきたのですが、その現場では人の気配はあっても生存している様子はなく、疲れも加わりレイラはかなり混乱した様子だったそうです。

それでも必死に捜索を続け、1週間後にはレイラの体重は約半分にもなってしまいました。
その時の余震のストレスや凄まじい腐敗臭の影響で、その後レイラは嗅覚を失い災害救助犬を引退することとなりました。
引退後は、その時行動を共にしていた訓練士の方の元で余生を過ごしたそうです。

夢之丞(ゆめのすけ)

2016年4月14日に起きた熊本地震の現場で、災害救助犬として活躍したのが殺処分寸前だったところを救われて訓練をうけた夢之丞号です。

夢之丞は、殺処分対象として動物愛護センターのケージにいたところを、NGO団体の「ピースウィンズ・ジャパン」のスタッフによって災害救助犬育成を目的として引き取られました。
夢と希望を託すという思いを込めて「夢之丞」という名が付けられ、災害救助犬になるべくして訓練を受け始めました。

人慣れをしていない上に臆病な性格だった夢之丞は、災害救助犬としては向いていないと判断されそうになりつつも、4年間をかけて優秀な災害救助犬に成長しました。
2015年4月には、人名救助に貢献した動物に授与される「第7回日本動物大賞 功労動物賞」を受賞するまでになりました。

その後も国内外の多くの現場で活躍をし、熊本地震の際には発生後11時間後にいち早く現場入りし捜索活動に参加をしました。
殺処分寸前だった子犬が災害救助犬となり、黙々と働く姿は多くの人の心に響きました。

まとめ

災害救助犬について、その種類や訓練方法などを紹介してきました。
最近では、土砂崩れや建物倒壊の現場で働く災害救助犬の姿がテレビに映し出されることがあります。
厳しい訓練を受けた後に、私たち人間の為に働いてくれている災害救助犬はとても頼もしい存在に感じます。

災害はいつ起こるかわからないものです。私たちのために厳しい環境の中で訓練や現場の活動をしている災害救助犬に感謝を伝えたいです。

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