お散歩やご飯の前に犬が吠えてしまうことはありませんか?犬が飼い主さんに何かをして欲しいときに、吠えて要求をするのが「犬の要求吠え」です。犬はどうして要求吠えをするのでしょうか?犬の要求吠えの原因やいろいろな要求吠えの対処法、トレーニングをするときの注意点などをご紹介します。
犬の要求吠えの原因は?

なぜ犬は要求吠えをするのでしょうか。
実は要求吠えの原因は飼い主さんが作っていることが多いのです。
通常の吠えは犬が何かの刺激をキャッチしたときに多くみられます。
要求吠えは通常の吠えとは違い、犬の要求がかなった経験があるため、吠えて要求をかなえようとする吠えです。
これは愛犬を家族に迎えたときから始まっており、吠えて要求がかなった成功経験が多ければ多いほど要求吠えが強くなる傾向にあります。
飼い主さんは知らぬ間に愛犬の要求をかなえてしまっていることが多く、気づいたら要求吠えをするようになっている愛犬がとても多いのが現実です。
ですが、要求吠えはトレーニングや対処方法を知っていれば軽減できます。あきらめずに愛犬の要求吠えを軽減するトレーニングなどに挑戦してみましょう。
要求吠えをやめさせる対処法

犬の要求吠えにはいろいろな種類があります。多く見られる要求吠えの対処法をご紹介します。
ご飯・おやつをねだる要求吠えをやめさせる方法
ご飯やおやつが大好きな愛犬はとても多く、要求吠えがでやすいもののひとつです。
この要求吠えが定着した原因のひとつとして、愛犬がご飯やおやつの要求吠えをしたときに、飼い主さんが「はいはい、ご飯ね」などと犬に構ってしまい食べ物を与えたことが考えられます。知らぬ間に犬の要求をかなえ、成功経験となっていたのです。
ご飯やおやつをねだる要求吠えをやめさせる方法は、食事の時間付近に要求吠えをするなら食事の時間を犬に予測されないようにずらしてみましょう。
そのとき犬が吠えずに食事を食べ始めたらたくさん褒めてあげてください。
ご飯やおやつが欲しくて犬が要求吠えをした場合は、「静かに」などの指示を出します。犬が吠えやんだら褒めて食事をあげてください。
吠えやまないなら、静かになるまで一度ご飯やおやつは隠してしまいましょう。吠えやんだら褒め、隠していたご飯やおやつを与えてください。
おもちゃに対する要求吠えをやめさせる方法
おもちゃに対する吠えは、おもちゃで遊んでほしい要求吠えと、おもちゃを自分のものにしたい所有欲の吠えが多くみられます。
おもちゃに対する要求吠えをやめさせる方法は、おもちゃを見て犬が吠えだしたら、「おすわり」や「ふせ」などの指示を出してみましょう。
犬は4つ足を踏ん張って立っている姿勢がいちばん吠えやすいため、吠えにくい体制に犬を誘導します。
そこで「静かに」など吠えてはいけない指示を出します。犬が座って吠えやんだら褒めておもちゃ遊びを始めましょう。
また、おもちゃは飼い主さんが必ず管理をしてください。
部屋に犬のおもちゃが散乱している状態だと、犬の要求吠えや所有欲を高める原因になります。犬のおもちゃボックスなどを作り、遊ぶときだけおもちゃを出すようにしてください。
構って!という要求吠えをやめさせる方法
犬が構ってほしくて、飼い主さんにすり寄ってきたりクンクン鳴いたりするのはとてもかわいく、どうしても構いたくなります。
ですがそれを続けていると、クンクンがフォフォになり、最後にはワンワン!になってしまいます。
愛犬が構ってほしくて要求吠えをした場合、「静かに」などの指示を出し吠えやんだら褒め、おもいっきり構ってあげましょう。
もし「静かに」などの指示を出しても吠えやまない場合は、一度部屋から出るなどをして犬から見えない場所へ行きましょう。犬が吠えやんだら褒めて犬のそばに行き構ってください。
要求吠えをしたら大好きな飼い主さんがいなくなってしまい、吠えなければ飼い主さんに構ってもらえると犬に理解してもらいましょう。
お散歩の要求吠えをやめさせる方法
お散歩の要求吠えは時間やお散歩グッズ、飼い主さんがお散歩の支度をするタイミングなどが原因で多く起こります。
お散歩の時間付近に要求吠えをするなら、愛犬にお散歩の時間を予測されないようにお散歩の時間を変えてみてください。
お散歩グッズを持ったり飼い主さんがお散歩の支度をしたりするタイミングで愛犬が要求吠えをしたら、お散歩にすぐ行かず一度部屋に戻るなどをして、「静かに」と指示を出し愛犬が吠えやむのを待ちましょう。
吠えやんだら褒めてお散歩に行きます。吠えたらお散歩に行けないと愛犬に理解してもらいましょう。
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要求吠えをやめさせるときの注意点

犬の要求吠えをやめさせるときに注意したいポイントなどをご紹介します。
指示を出す声の大きさ
犬が要求吠えをしたとき、「うるさい!」「静かに!」などと大きな声を出していませんか?
何度も大きな声でそれを繰り返し言うのは、飼い主さんが一緒に吠え合戦をしていると犬が思うため犬の吠えを助長させる原因になります。
指示は普通の声、もしくは犬の集中を取るために少し小さめの声で出すことが理想です。
“罰”と“褒め”はセットで使う
犬に「静かに」の指示を出しても吠えやまないときは、ご飯やおやつを隠したり、飼い主さんが部屋からいなくなったりして、犬に罰を与えます。
罰というと一般的に「たたく」などを連想させますが、体罰は犬に不安を与え、別の問題が発生する恐れがあるため、体罰ではなく「犬の要求がかなわない」罰を使いましょう。
そして罰を使った後、犬が静かになったら必ず「よし」「いいこ」などの褒め言葉を使い褒めてください。
罰を与えただけで犬を放置してしまうと、犬は正しい行動を理解できないままとなってしまいます。
正しい行動をしたら必ず褒めることがとても大切です。犬に罰を与えて2~3秒でも吠えやんだら必ず褒めると覚えておきましょう。
これを続けているうちに犬は吠えると要求がかなわないと学習をしていきます。
「静かに」=「吠えてはいけない」を理解させる
おもちゃに対する要求吠えでもお伝えしたように、犬が4つ足で立っている状態が犬にとっていちばん吠えやすい姿勢です。
要求吠えが強い場合、「静かに」と指示を出しても興奮をして吠えやまない可能性が高いため、お座りなどの吠えにくい姿勢に犬を誘導してから「静かに」と指示を出してみてください。
最初は指示を出して2~3秒でも吠えやんだらすぐに褒めます。焦らず徐々に愛犬が要求吠えを我慢する時間を延ばすようにしましょう。
「静かに」という指示は、吠えてはいけない、要求吠えをしなければいいことがあると理解してもらうことが大切です。
「今日はいいや」は最大の敵
トレーニングで大切なことは一貫性を持つことです。
「昨日はダメだったけど今日は許してあげよう」は犬が混乱をまねき、犬は何が正しい行動なのか分からなくなります。
要求吠えをやめさせるなら、家族全員が一貫性を持って要求吠えをさせないように心がけることが大切です。
子犬や老犬の要求吠えを失くすには

子犬や老犬の要求吠えは成犬の要求吠えと違い配慮が必要な場合があります。子犬と老犬の要求吠えで注意したいことをご紹介します。
子犬の要求吠えを失くすには
子犬は人間との生活のルールを全く知らない状態で家族に迎えられます。
かわいい子犬がクンクン鳴いておやつを欲しがったり、構ってほしがったりするとついつい要求通りにしたくなるのは分かります。
ですがそこから要求吠えのしつけは始まっています。
クンクン鳴いているときではなく、子犬が静かにしているときに声をかけたり、構ってあげたりしましょう。
老犬の要求吠えを失くすには
老犬の要求吠えは、特に注意が必要です。
吠えて飼い主さんを呼ぶ行為は、痛みや体調の悪さや排泄を知らせていることもあります。
またアルツハイマー病の可能性もあるため、要求吠えなのかどうかをよく観察をして判断する必要があります。もし病気の可能性が考えられるなら、獣医師さんに相談をしてみましょう。
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最後に

犬は学習をする生き物です。
要求吠えは犬が学習をして覚えた問題行動のひとつです。
犬が要求吠えをしていい経験を重ね、それをきっかけに要求吠えがおきる可能性が高いため、やめさせるには飼い主さんのちょっとした努力が必要です。
愛犬が静かにしていたらたくさん褒め、構ってあげてください。「要求吠えをしたらいいことが起きない」と犬に理解してもらうことが要求吠えをやめさせる大切なポイントです。
要求吠え日記などをつけ、どのようなタイミングやシチュエーション、誰に多く愛犬が要求吠えをするかなどの統計を取ってみるのも早期改善の手掛かりとなるためおすすめです。
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