【ペットフードアドバイザー監修】愛犬におせちをあげても大丈夫?人間用おせちの危険性と安全な与え方

食事

こんにちは、ペットフードアドバイザーの茂手木です。

もうすぐお正月。家族みんなで食卓を囲む時間は、本当に幸せですよね。
そんな時、テーブルの下でキラキラした目でこちらを見つめる愛犬に、「少しだけなら…」とおせち料理を分けてあげたくなりますよね。

しかし、人間用のおせち料理は、残念ながら愛犬の体にとっては危険がいっぱいなんです。
大切な家族のために、本当に安心できる食選びを。科学の目でひも解くペットフードの真実を、ということで今日はおせちを例にご説明させてくださいね。

結論:人間用のおせちは、基本的に愛犬には与えないでください!

まず結論からお伝えしますと、人間用のおせち料理は、基本的に愛犬には与えないでください。

「え、少しだけなら大丈夫じゃないの?」
「うちの子はなんでも食べるから平気だよ!」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。私も、愛犬に少しでも楽しいお正月を過ごさせてあげたいという飼い主さんの気持ちは、本当によく分かります。ですが、愛犬の健康を第一に考えるなら、人間用のおせちは避けるのが賢明です。その理由を、これから詳しく解説していきますね。

なぜ人間用のおせちは犬に与えてはいけないの?

私たち人間にとって、おせち料理は多種多様な食材が使われ、栄養も豊富に思えますよね。
タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル…と、確かに多くの栄養素が含まれています。
しかし、これはあくまで人間にとってのバランスであり、犬の栄養学的な観点から見ると、そのバランスは大きく偏っているんです。

犬は人間とは異なる栄養要求と代謝メカニズムを持っています。
例えば、私たち人間は塩分や糖分を比較的多く摂取しても対応できますが、犬の体はそうではありません。
人間用のおせち料理は、保存性を高めたり、風味を豊かにしたりするために、塩分、糖分、油分が過剰に味付けされています。これは、犬の腎臓や心臓に大きな負担をかけたり、肥満や消化不良の原因になったりするリスクが高いんです。

また、おせち料理の中には、犬にとって有害な食材が含まれている可能性も否定できません。
パッケージ表示がないため、どのような調味料が使われているか、正確に判断することは非常に困難です。だからこそ、愛犬に安心して与えることができないのです。

最も注意すべき!犬にとって危険な「おせち料理」の食材・調味料

おせち料理には、犬にとって特に注意が必要な食材や調味料がたくさん含まれています。うっかり与えてしまわないように、どんなものがあるか一緒に見ていきましょう。

1. 中毒性のある食材

  • ネギ類(玉ねぎ、長ねぎ、ニンニクなど): 筑前煮などの煮物、魚の付け合わせによく使われます。これらは犬に重度の貧血を引き起こす可能性があります。少量でも危険なので、絶対に与えないでください。
  • 多量の砂糖: 栗きんとん、黒豆、伊達巻などには、大量の砂糖が使われています。多量の砂糖は消化不良や肥満の原因になります。
  • アルコール: みりんや料理酒などの調味料。加熱で飛ぶとはいえ、微量に残る可能性があります。
    犬はアルコール分解能力が低いため、少量でも中毒症状を引き起こすことがあります。

2. アレルギーを引き起こす可能性のある食材

  • : 伊達巻など。犬猫でアレルギーを持つ子がいます。
  • 魚介類: 数の子、かまぼこ、エビ、鯛、ブリなど。特定の魚種や甲殻類にアレルギーを持つ犬猫がいます。
  • 鶏肉: 筑前煮など。犬猫でアレルギーを持つ子がいます。
  • 穀物: 醤油やみりんの原料に小麦、大豆が含まれることがあります。これらもアレルゲンとなる可能性があります。

3. 誤飲リスクのある食材

  • 魚の骨: 焼き魚、煮魚の骨は、喉に刺さったり、消化管を傷つけたりする危険性があります。
  • エビの殻: 硬く消化しにくいため、消化不良や消化管の損傷の原因になることがあります。
  • 飾り物: 串、南天の葉、プラスチック製の飾りなどは、誤って飲み込むと窒息や消化管閉塞のリスクがあります。

4. 消化不良リスクの高い食材・調味料

  • 高塩分: 数の子、かまぼこ、田作り、各種煮物など、全体的に塩分濃度が非常に高いです。これは犬の腎臓や心臓に大きな負担をかけ、脱水症状や高血圧のリスクを高めます。
  • 高糖分: 黒豆、栗きんとん、伊達巻、田作りなど。肥満、糖尿病のリスクに加え、消化不良を引き起こすことがあります。
  • 高油分: 揚げ物、照り焼きなど。膵炎、肥満、下痢や嘔吐などの消化器症状の原因になります。
  • 多量の食物繊維: ごぼう、れんこん、黒豆など。犬の消化器は人間ほど繊維質の消化に長けていないため、過剰な摂取は下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。
  • 香辛料: 七味唐辛子など、人間用に加えられる辛味成分は、犬の消化器を刺激し、胃腸の不調を招くことがあります。

【少量ならOK?】犬に与えても比較的安全な「おせち料理」の食材

「じゃあ、おせちの中には一切あげられるものはないの?」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。おせち料理に使われる個々の食材の中には、適切に調理すれば犬にとって栄養源となり得るものもあります。

ただし、以下の点を厳守してください。

  • 味付けは一切なし! 塩分、糖分、油分、香辛料は犬の体に負担をかけます。
  • 骨や殻、種などは完全に除去! 誤飲や消化管損傷のリスクをなくしましょう。
  • ごく少量をおやつ程度に! 主食にはせず、あくまで特別な日のおやつとして、ほんの少しだけ与えるようにしてください。

例えば、以下のような食材は、上記の注意点を守れば比較的安全と言えるでしょう。

  • 茹でた鶏むね肉(味付けなし): 鶏肉アレルギーがない子に限ります。脂肪分が少なく、良質なタンパク源になります。
  • 蒸したサツマイモ(味付けなし、皮なし): 炭水化物源として、ごく少量ならエネルギーになります。ただし、食物繊維が多いため与えすぎは禁物です。
  • 茹でた人参(味付けなし): ビタミンやβ-カロテンを含みます。消化しやすいように細かく刻んで与えましょう。

あくまでこれらは「比較的安全」というだけで、積極的におすすめするものではありません。特に、腎臓病、心臓病、糖尿病、食物アレルギーなどの持病がある愛犬には、これらの食材も与えない方が安心です。

愛犬にお正月気分を!安全に楽しむための3つのポイント

愛犬にもお正月気分を味わわせてあげたい!という飼い主さんの優しい気持ち、とてもよく分かります。私も、うちの皮膚が弱いスコティッシュフォールドの猫が、初めてアレルギー対応フードを美味しく食べてくれた時の喜びは忘れられません。そんな愛犬のために、安全にお正月を楽しむためのポイントを3つご紹介しますね。

1. 味付けなし・加工なしの食材を選ぶ

もし手作りで何か用意してあげたい場合は、必ず犬に安全な食材を選び、味付けは一切しないか、犬猫用の無塩だしなどでごく薄味にすることを徹底してください。例えば、鶏のささみや胸肉を茹でたもの、カボチャやサツマイモを蒸したものなど、素材そのものの味を活かしたものが良いでしょう。

2. 与える量はごく少量に

たとえ安全な食材であっても、与えすぎは消化不良や肥満の原因になります。あくまで「おやつ」として、普段の食事に影響が出ない程度のごく少量に留めてください。人間でいう「一口味見」程度が目安です。

3. ペット用のお正月フード・おやつを活用する

最も安全で安心な方法は、市販されているペット用の「お正月用フード」や「おやつ」を活用することです。これらは犬猫の栄養要求や消化器の特性を考慮して作られているため、安心して与えることができます。

「このフード、一見すると高価に感じるかもしれませんが、原材料の質や栄養バランス、そして何より愛犬の健康を考えると、かえってコスパが良い場合もあるんですよ。」

メーカーやブランドも様々ありますから、愛犬の好みやアレルギーの有無に合わせて選んであげてくださいね。

created by Rinker
ドッグダイナー
¥4,280 (2025/12/24 5:54:12時点 Amazon調べ-詳細)

もし愛犬がおせちを食べてしまったら?【緊急時の対処法】

どんなに気をつけていても、愛犬が目を離した隙にうっかりおせちを食べてしまう…なんてこともあるかもしれません。そんな「もしも」の時に慌てないよう、緊急時の対処法を知っておきましょう。

1. 食べたものと量、時間を把握する
まず、何を、どれくらいの量を、いつ頃食べたのかをできるだけ正確に把握してください。特にネギ類や多量の砂糖など、中毒性の高いものを食べてしまった場合は、すぐに次の行動に移りましょう。

2. 愛犬の様子を注意深く観察する
食べた直後だけでなく、数時間から半日ほどは愛犬の様子を注意深く観察してください。以下のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診する必要があります。

  • 下痢や嘔吐
  • 食欲不振、元気がない
  • ぐったりしている、ふらつき
  • 呼吸が荒い、震え
  • お腹を触ると痛がる、お腹が張っている
  • 尿や便の異常(血が混じるなど)

3. 速やかに獣医師に相談する
上記の症状が見られた場合や、中毒性の高いものを食べた可能性がある場合は、迷わず速やかに動物病院に連絡し、獣医師に相談してください。その際、把握した「食べたもの、量、時間、現在の症状」を正確に伝えることが大切です。

私たちペットフードアドバイザーは、あくまで栄養とフードの観点から情報提供を行いますが、医療的な判断や治療は獣医師の専門分野です。愛犬の命と健康を守るために、異変を感じたらすぐにプロの獣医師に頼ることを忘れないでくださいね。

まとめ:愛犬の健康を第一に、安全なお正月を迎えましょう

お正月は、私たち人間にとっても、そして愛犬にとっても、特別な日です。だからこそ、楽しい思い出を作るためにも、愛犬の健康と安全を最優先に考えてあげたいですよね。

人間用のおせち料理は、その美味しさや華やかさから、つい愛犬にも分けてあげたくなってしまいますが、犬の体には合わないものがほとんどです。中毒のリスク、消化不良、アレルギー、誤飲など、様々な危険が潜んでいます。

愛犬に安全にお正月気分を味わわせてあげるためには、

  • 人間用のおせちは与えない
  • どうしても何かあげたい場合は、味付けなしの安全な食材を少量だけ
  • 最も安心なのは、市販のペット用お正月フードやおやつを活用する

ということを心に留めておいてくださいね。

大切な家族である愛犬が、健康で笑顔いっぱいのお正月を迎えられるように、私たち飼い主が正しい知識を持って、安心できる選択をしてあげましょう。来年も愛犬との素晴らしい一年になりますように!

yuko.m

ペットフードアドバイザー / 元ペットサプリ開発担当 大学で食品科学を専攻後、ペットフードメーカーの開発部にて、原材料評価やレシピ設計に従事。現在は独立し、特定のメーカーに属さない中立的な視点で、「科学的根拠」と「飼い主の愛情」を両立させた情報発信を行う。 自身も食の細いチワワと皮膚の弱いスコティッシュフォールドと暮らし、飼い主としての悩みにも精通している。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事
  1. 【ペットフードアドバイザー監修】愛犬におせちをあげても大丈夫?人間用おせちの危険性と安全な与え方

  2. 愛犬が喜ぶクリスマスプレゼント8選 ケーキやおもちゃ、犬服どれにする?

  3. 【ドッグトレーナー監修】愛犬と一緒の帰省・旅行!車移動や慣れない場所でも安心!ストレスケア完全ガイド

TOP
CLOSE