【ディスクドッグへの道vol.3】犬にくわえたディスクを離させる

楽しむ

今回は、咥えて持ってきたディスクを離させることにチャレンジしてみましょう。ポイントは、ワンちゃんの集中力を切らせないようにすること。そのためには、持ってこさせる時と同様にワンちゃんへの声を掛けることや、呼び込み方、実際に自ら動くことの大切さなども挙げられます。色々な要素が絡み合う難しさもありますが、ひとつひとつ、この段階をクリアできれば、ディスクドッグへの道筋は一通り掴んだと考えて良いでしょう。
それだけに、ここも愛犬には丁寧に教えていきたい大切なステップです。是非、楽しみながらトライしてみてください。

ワンちゃんの集中力が切れないように注意します

ワンちゃんがディスクをキャッチした直後は投げた人もとても嬉しいですよね。キャッチして戻ってきた時には、ついスローワー(投げ手)の気持ちが緩みがちになってしまうのですが、この喜びを大きなアクションと声で表現してあげながら、ワンちゃんの気持ちを鼓舞して、大いに盛り上げてください。

ただし、この時ワンちゃんはテンションが上がることが多いのですが、その気持ちを冷まさず昂ぶらせず、冷静に受渡しさせることがリリース(ディスクを放させる)にはとても重要になります。
ワンちゃんの集中力が切れないように、スムーズに受け渡すことを心がけて練習してみましょう。

step1. 優しく楽しげに呼び込みましょう

リリースを教える時は、前回のレトリーブと密接な流れがありますので、始めはボールやおもちゃで行なっても構いません。ワンちゃんのトレーニングの段階を考えて道具は選んでください。

前回と繰り返しになりますが、始めは近く(1~2m程度で充分)に転がしたり、投げたりして、ワンちゃんが咥えたら、〇〇ちゃん“持ってきて!” “ちょうだい!”などと明るい声色で呼び掛け、手を叩くなどしながら、手元まで運んでくるように仕向けます。

持ってきたら勿論褒め倒すことを忘れずに。
「〇〇ちゃん、凄いね-。」などと褒めながら、その道具を優しく握って“Drop!”や“離せ”などのコマンドを言いながら、ゆっくりと放させるようにします。この時は、急激な動作をすると、取られまいとして歯を食いしばったりすることが多いので、注意が必要です。

そして放した後は、わざと急な動作でもう一度転がしたり投げたりして、追いかける意欲をかき立てます。

これを繰り返しながら、咥えたら人の元へ持っていって放す。そうするとまた投げて遊んでもらえるというサイクルを作り上げてください。

ワンちゃんは、持ち帰るとまた楽しいことが起きるという意識を持つようになり、ディスクドッグとしての資質が開花していくのです。

離す動作については、次回のステップで更に詳しくお話ししますが、この段階を丁寧に仕込んでいると、その後のトレーニングをステップアップしていった時にも効果に違いが出てきますので、楽しげに根気よく行なうようにしてください。

step2.レトリーブの流れを壊さない

ずっとお話ししていることですが、ディスクドッグは、人がディスクを投げて、ワンちゃんがそれを追いかけ、キャッチした後に、投げた人の元へディスクを持ち帰る一連の動作を繰り返すことがベースとなります。

この一連の動きの中で、ディスクをレトリーブした時というのは、スローワー(投げ手)に一番遠い位置にワンちゃんが向かっている段階です。
練習を始めて間もない場合には、ディスクをキャッチしたワンちゃんに余裕が出来るために気が逸れる事が多くなる時でもあるのです。

ワンちゃんの気を引くことは、前回のステップでも話しましたが、大きな声で名前を呼ぶなどして、気を逸らす隙(時間)を与えないことが大切なのです。
そして、ディスクを持ち帰ってきたら、その流れを壊すことなく、優しく手を差し出してディスクを手渡すように仕向けましょう。

step3.リリースは柔軟に教えることも大切

このステップでは、ディスクを手渡してくれることが理想です。
何故なら、受け取ったディスクを直ぐに投げることが出来るので、特に競技としてディスクドッグを始めると、後々にその優位性を痛感するほど重要だからです。

しかし、手渡しを意識する余り、ワンちゃんが気持ち良くレトリーブして来た流れを壊してしまうほど、手元にディスクを渡すことのみを主目的にすることはお奨めしません。
リリースはその意味の通り、放させる事が出来ればディスクを拾って投げれば良いだけですから。

ディスクを手渡すことだけを強要していると、ワンちゃんのテンションが思い切り下がってしまうことが普通です。これは、ワンちゃんの個性による違いもあるのですが、スローワーの手の届く範囲に離すことが出来れば合格点とする程度にして、ワンちゃんが楽しめる流れを壊さない流れを意識しましょう。

本当に初心者のワンちゃんなら、呼びこんだ時に手元におやつなどを準備して、ディスクと交換するようなタイミングで与えてみるのも良いでしょう。
一般的な躾も同様ですが、このご褒美的なおやつを褒める言葉に置き換えていければなおさらグッドです。初めは、キャッチ後に気持ちが昂ぶっているワンちゃんをそれ以上興奮させないように落ち着いた優しい声で褒めてあげましょう。

やってはいけない事としては、ディスクを早く離させたい為に自分からワンちゃんに近づいていくことです。これは、かえってワンちゃんが逃げることにつながる事が一般的だからです。

では、手元までは来るけれど、ディスクをなかなか放さないワンちゃんの場合を考えてみましょう。

動作としてはディスクを優しく、しかし、しっかりと一方の手で握って、もう一方の手でワンちゃんを優しく撫でてみましょう。同時に優しい言葉で褒めてあげることも効果があります。「よしよし、良い子だね。」「テイク、ドロップ」等々のコマンドを使う習慣にしても良いでしょう。

ディスクの引っ張りっこに陥るのは避けたいところです。
特にテンションの高いワンちゃんには有りがちな事ですが、ディスクを受け取る意識がスローワーに強すぎる時に起こります。

先ほどもお話ししましたが、優しく、しっかりとディスクは握ります。そして、放さなければディスクを急に押し込んでみるのも効果があります。
今まで引っ張っていたディスクを急に口元まで押し込まれるとビックリするか、口元が窮屈になるのを嫌がって離すことが多いです。

ただし、これも対症療法なので、使い続けていると、ワンちゃんも慣れてしまうので注意が必要です。しっかりとアイコンタクトをとって、落ち着かせることを心がけてみましょう。

このステップはレトリーブの流れを利用しながら、ワンちゃんのテンションを上げすぎず、下げすぎずという加減が大切です。
この段階をマスター出来れば、ディスクドッグへの道は開けたと言っても良いでしょう。それだけに、愛犬には丁寧に教えていきたい大切なステップです。是非、楽しみながらトライしてみてください。

最後に

これまで、3回にわたってディスクドッグの基本中の基本にトライしていただきました。

ディスクを投げる → キャッチ → レトリーブ → テイク・リリース

この一連の動作が出来るようになると、ディスクドッグとして形になってきたと思って良いでしょう。

この先は、競技としてディスクドッグを捉えた時に様々な戦術として工夫を加えていくステップになっていきます。これもまた、長い道のりにはなりますが、チームとしての個性を発揮できるスポーツとしてディスクドッグを楽しんでいただけるはずです。

私の主導するNDAのディスクドッグチャンピオンシップは、そんな競技に楽しく真剣に取り組み方々がたくさんいらっしゃいます。一度、遊びに来てみると上達のヒントが見つかると思います。

大塚 裕

大塚 裕

1961年東京生まれ。現NDAコミッショナー。愛犬JACKEYと2001年にディスクドッグ世界大会に日本代表第1号として参戦。その後も2度日本代表となる。ディスクドッグの楽しさを広く知ってもらうことに喜びを感じている。

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