5月も中旬に差し掛かり、暖かいというよりは暑くなってきて、虫達も徐々に活動し始めました。ワンちゃんを飼っていると、この時期は毎年病院でフィラリアの薬をもらい、毎月飲ませますよね?
フィラリアの薬はワンちゃんにとってとても大切なものです。しかし、本音を言うと毎月飲ませるのは面倒だったり、時には忘れることも。
一体なぜ、毎月きちんとフィラリアの薬を飲ませなくてはいけないのでしょうか?今回はフィラリアの薬について、その役割を解説します。
犬のフィラリアってどういう病気?
そもそもフィラリアとは、どういう病気がご存知でしょうか? 正式には「フィラリア症」という病気で、イヌフィラリアという白くて細長い寄生虫が、上のイラストのように心臓や肺動脈に寄生してしまう病気です。 また、犬が感染する感染症の中にはペットから人へ、人からペットへうつる「人獣共通感染症」というものがあり、このフィラリア症もその一つなのです。
フィラリアの症状
フィラリア症を発症すると、以下のような症状が現れます。 ・元気がない ・食欲がない ・咳が出る ・苦しそう ・お腹に水が溜まる(腹水) ・呼吸困難 ・血尿 フィラリア症は放置すると、最悪の場合は命を落としてしまう危険な感染症です。 以上のような症状が見られたら、すぐに病院へ行きましょう。
フィラリアの感染経路
フィラリア症の原因となる寄生虫“イヌフィラリア”は、「蚊」が運ぶことにより感染していきます。 感染した犬の血液の中には、小さなイヌフィラリアの幼虫がいて、その血液を吸った蚊がその後、感染していない他の犬の血を吸うことで感染していくのです。
犬のフィラリア症は薬で予防
そんなフィラリア症の発症を予防するために、薬は必要不可欠。 フィラリア症の予防薬は、イヌフィラリアが体内に入るのを予防する薬ではなく、体内に入ったイヌフィラリアを幼虫の段階で駆除するための薬なのです。 感覚としては、予防薬というよりも駆虫薬といった方が近いですね。 フィラリア症の原因となるイヌフィラリアは、次のようにして体内を進みながら成長していきます。
《1》感染した犬の幼虫入り血液を蚊が吸って、感染していない他の犬の血を吸血するときに幼虫が体内に入ります。 ↓↓↓
《2》そこからイヌフィラリアの幼虫は、皮膚や筋肉を通って成長していきます。この段階ではまだフィラリア症ではありません。
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《3》イヌフィラリアの幼虫は、どんどん成長しながら血管に侵入します。この段階からフィラリア症となります。 ↓↓↓
《4》肺動脈や心臓に寄生し約15~30cmもの成虫になります。
予防薬を飲ませるタイミングは《2》の段階。このタイミングで、薬を飲ませてイヌフィライリアの幼虫を駆除することがとても大切です。 忘れていたなどで薬を飲ませないでいると、《3・4》と進みフィラリア症を発症してしまいます。 《3・4》と進んで血管に侵入したり、心臓などに寄生したイヌフィラリアは予防薬では駆除できません。その場合はフィラリア症の治療が必要となり、最悪の場合は命を落とすことも。 そのため、《2》の段階で駆除してあげることがとても大切なのです。
愛犬にフィラリアの予防薬を飲ませる期間と回数
フィラリアの予防薬は体内に入った幼虫を駆除するための薬なので、飲ませる期間は蚊が発生し始めた1か月後から蚊がいなくなって1か月後と言われています。 また、蚊に刺されてイヌフィラリアの幼虫が体内に入ってから、体内を移動し始める前の段階で確実に駆除するため、定期的に1か月1回飲ませることが大切です。
涼しくなってきたからと言って、飲ませるのをやめてしまうと、その間にイヌフィラリアが成長し血管に侵入してフィラリア症になってしまう可能性があります。 そうなると、それまで飲ませた予防薬も無駄になりますし、何よりもワンちゃんが辛い思いをしてしまいます。
予防薬は必ず、蚊が発生し始めた1か月後から蚊がいなくなって1か月後の期間中、毎月1回定期的に飲ませましょう。
フィラリア予防薬の種類
現在、フィラリアの予防薬には様々な種類があります。
・飲み薬(錠剤やジャーキータイプなど)
・スポットタイプ(皮膚への滴下)
・注射 etc…
スポットタイプはフィラリア予防と同時にノミ対策もできるものがあります。 注射は毎月受けるのではなく、最初の1回で済むというメリットがありますが、他の薬と比べてまだ症例が少ないので、リスクも。 犬種や体質によっては使用できなかったり合わなかったりする薬もあるので、獣医師さんとよく相談して決めましょう。
最後に
フィラリア症の予防薬は、蚊に刺されないようにするものではなく、体内に侵入したイヌフィラリアの幼虫を駆除することで発症を予防するお薬です。 お薬を与える期間を守り、毎月1回忘れずに与えることで大切なワンちゃんをフィラリア症から守ってあげましょう。