東京都では殺処分ゼロが続いています。その陰では実直な保護活動をされている方の努力があるからではないでしょうか?ですが、保護犬を迎えたけれど、飼いきれなかった。などの問題が起きているとのこと。今回は、保護犬をなぜ迎えたいのか?をテーマに犬を家族にすることについて皆さまと意見を交わせたら幸いです。
保護犬で懸念されることが?保護犬の現状
保護犬のレスキューに貢献されている愛護団体や保護団体が数多くあります。たくさんの犬たちが幸せになっている中、一種の保護犬ブームが起きているという情報を得ました。
実直な活動をされている団体が多い中、そうでない団体も現れ始めているようです。
2~3年前「ミックス犬ブーム」が起きたことは記憶に新しく、たくさんのミックス犬が人の手によって作り出されました。
それと同様の「保護犬ブーム」が起きているとのこと。
賛否両論があるかとは思いますが、人も犬も幸せになってほしいという気持ちを込め、保護犬ブームで懸念されること、保護犬を迎える前に知っておいてほしいことを書かせていただきました。
「なぜ、保護犬を選ぶのですか?」
保護犬を迎えるときに必ず確認したいこと【飼い主側】
保護犬は一般的に、保護された後にかかった予防注射などの費用だけで譲渡されるケースが多く、また純血種が多いのも特徴です。
まずは保護犬を迎えるときに飼い主さんに知っておいてほしいことをまとめました。
なぜ保護犬を選ぶのか?
前章でも書きましたが、なぜ保護犬を選ぶのですか?
犬と一緒に暮らす手段はいろいろあります。その中からなぜ保護犬を選ぶのか?理由の中に、純血種が手ごろな価格で手に入る、などがありましたら、保護犬を迎えることはおすすめできません。
SNSなどを見ると、保護犬が幸せそうに暮らしている写真が、非常に多く掲載されています。
ただ、そこにたどり着くまでは、いろいろな苦労があった可能性があることを忘れないでください。
ブリーダーさんから子犬を迎えるより、2歳3歳、それ以上の年齢を重ねた保護犬と暮らすことは、お互いが理解しあえるまで非常に時間がかかるケースが多いのです。
彼らの心の傷を癒やし、理解し受け入れることはできますか?
自分で最後まで面倒が見られるかどうか?
「自分で最後まで面倒を見られるか」これは、保護犬譲渡で必須条件になります。
人に恐怖を感じるワンちゃんや虐待されていたワンちゃん、逆に愛する家族を失ったワンちゃんなど、犬生に様々な過去があるのが保護犬の特徴でもあります。
子犬から一緒に暮らしているケースとは大きな違いがあり、突然噛むことや脱走することも考えられます。
また、持病があるワンちゃんやシニア期に入っているワンちゃんを迎えた場合、医療費が思った以上にかかるケースもあります。
そのような場合でも、最後までその子の命を守れますか?
トライアル期間が設けられているかどうか
全2章で書かせていただいた「なぜ保護犬を選んだんだろう?」「この子の命を最後まで守れるか?」などを一緒に暮らしながら考えられる、トライアル期間はとても大切です。
人間の性格も写真で見たり、一度会ったりしただけでは判断できませんよね。
ワンちゃんたちも同様です。一緒に暮らしてみてはじめてわかることもあります。
じっくりとトライアル期間にワンちゃんと向き合い、飼い主さんや家族の幸せはもちろん、その子の幸せも維持できるか、考えていただきたいと思います。
トライアル期間がない団体から、保護犬を迎えることはお互いが不幸になる可能性が高くおすすめできません。
トライアル期間中に、この子と暮らすのは無理そうだと思うのなら、なんとかなる?と考えず、他の飼い主さんを探していただくことも、ワンちゃんの幸せにつながるのではないでしょうか。
保護犬を迎えるときに必ず確認したいこと【犬側】
では、保護犬を迎えるときに迎えるワンちゃんに対して、どのような情報を愛護団体や保護団体の方に聞いたらいいのでしょうか?
保護する前はどのような暮らしをしていたか
その子がいままでどのような環境で暮らしていたのか?人間に対してどのような感情を持っているのか?人とコミュニケーションが取れるのか?などを知るうえで、保護をする前に、どのような生活をしていたかを知ることはとても大切です。
【一般的に犬が保護されるケース】
・一般家庭から保護
・ブリーダーから保護(繁殖犬も含む)
・野良犬(野犬)
このような経緯があげられます。
ここで特に注意したいのが、人間と接触を今までしていなかった「野良犬(野犬)」です。野良犬だった場合、人と暮らすことは非常に難しく、専門的な知識が必要になります。
子犬の場合は別ですが、成犬になってからの野犬を迎えることは飼い主さんの知識により、その子が幸せになるか不幸になるか決まるといっても過言でありません。
どのような保護犬にも当てはまるのですが、人間に対して「良いイメージ」を持っていない場合、人間と暮らしている犬同様に、撫ぜたり触ったりできない場合が多く、重度の場合はカラーやリードがつけられない子もいます。
カラーやリードをつけられないということは、お散歩にも行けず、サークルの中で生活をすることになります。
そのような状況で、その子が本当に幸せだといえるのでしょうか?
保護犬を迎えることは素晴らしいことですが、お互いが幸せになれるよう、自分が幸せにできる犬はどういう子なのか、知ることも大切です。
その子の性格を保護団体の方から教えてもらってください
前章にもあげましたが、迎える子の性格を知らないと、再度保護団体に引き取ってもらう可能性が高くなります。
事前にどのような性格の子なのか、譲渡先の方に聞き、トライアル期間でさらにその子の性格を知ってあげてください。
迎えた保護犬が心を開かない、いつも怯えているなど健全な心の状態でない場合、必ず専門知識がある方に相談をしてください。
このような状況の場合「無理やり」は禁物です。無理やりお散歩に連れていく、無理やり同居犬と合わせる、無理やりコミュニケーションを取るなどは恐怖をあおり、余計に心を閉ざす可能性があるからです。
病歴や持病の確認
元繁殖犬や、病気が原因でブリーダーから保護されている犬もたくさんいます。
持病がある保護犬を迎える場合は、事前に医療費が月ベースでどれくらいかかるのか調べておきましょう。
例えばダックスフンドや胴が長い子に多い「椎間板ヘルニア」。
【椎間板ヘルニアのおおよその治療費】
入院・手術費:225000円
通院費(5日間):27800円
計252800円
参考資料:au損害保険株式会社
プラス通院費が毎月かかります。
持病の場合は、犬の保険で適用外になることが多く、10割負担になることが想定されます。シビアなお金の話ですが、迎えたワンちゃんが健康に暮らすためにも、どれくらいなら毎月支払えるか?持病があるワンちゃんでも問題なく迎えられるかなど検討してください。
飼い主さんも犬も幸せになってほしい
犬を迎える理由は、人それぞれです。今、保護犬を迎える方が増えており、保護犬が不足している団体もあるそうです。
保護犬を迎えたり保護をしたりなど、悲しい思いをする犬たちを減らす活動は素晴らしいと頭が下がります。
ですが、中には実直な活動をされていない団体も存在することを忘れないでください。
保護犬を迎えることは子犬をブリーダーから迎えるよりも、犬に対して正しい知識が必要になることを覚えておいていただけたら幸いです。
ペットショップに並ぶ子犬たちも、ブリーダーから迎える犬も、保護犬も同じひとつの命です。生体販売を推奨しているわけではなく、ペットショップに並ぶ子も買い手がいなければ、保護犬になる可能性が高いということです。
「人間の幸せだけではなく犬の幸せを」。
保護犬を迎えた飼い主さんだけが幸せになるのではなく、迎えられた子も生涯幸せな生活を送ってほしいと心から願っております。
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