ドッグショーに行ったことはありますか?ドッグショーはスタンダードの犬を見るだけでなく、たくさんの犬グッズを販売しているお店で愛犬のおやつをお買い物するなどの楽しみ方は人それぞれです。会場には犬たちも飼い主さんも、ギャラリーの人もたくさんいます。今回は、初めてドッグショーに行ってみようと思っている方におすすめの楽しみ方をご紹介します。
ドッグショーとは?
「ドッグショー」という言葉は聞いたことがある、横向きの犬の写真を見たことはあるが、実際はどういったものなのかよくわからない。参加しない人も見ることができるの?愛犬を連れて行ってもOKなの?ハンドラーって何?と色んな疑問を持っている方も多いと思います。今回は、ドッグショーとは一体どんなものなのかについてご紹介していきます。
犬種のスタンダードを審査する
犬の犬種は非公認の種類を含めると世界中で800近い犬種があるといわれています。日本における純粋犬種の登録や血統証明書の発行を行っている一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)では、国際畜犬連盟(FCI)にて公認された344犬種のうち、約200種類の犬種登録をしており、犬種ごとに「犬種標準(スタンダード)」の理想像を定めています。
ドッグショーは、純粋犬種を守り後世に伝えるために、純粋犬種それぞれの理想像である「犬種標準(スタンダード)」にどれだけ近いかを審査する犬の品評会で、審査員が審査(ジャッジ)を行います。
出典:JKC
審査(ジャッジ)とは
犬種ごとに定められた「犬種標準(スタンダード)」を基準として、個体審査と比較審査を行い次の6つの審査項目によってジャッジを行います。
- タイプ(犬種ごとの特色のチェック)
- クオリティー(犬質の充実度や洗練度のチェック)
- サウンドネス(精神的に落ち着いていて、肉体的な健全性をともなっているか)
- バランス(全体の調和がとれているか)
- コンディション(当日の健康状態、精神状態が良いか)
- キャラクター(犬の持つ華やかさなどの魅力やマナー)
個体審査では犬を前後と横から見ることと、審査員が手で犬のからだを触って、骨格や歯並び、毛質、歩き方などのチェックを行います。次に、出陳している犬達との比較審査を行って、その中で最も「犬種標準(スタンダード)」に近いと判断された犬が最優秀犬となります。
ドッグショーの種類
ドッグショーの仕組みが難しい、よくわからないと感じる人も多いです。これは、審査で選ばれた犬の呼び名が複雑であることと、各犬種の代表犬が集まり、さらに犬種を超えた審査を行うため、普段ドッグショーに関わっていない一般の人にはややこしく感じるでしょう。
ドッグショーといっても、単犬種クラブ展と呼ばれる1種類の犬種だけで行われる小さなドッグショーから、日本全国から集まるもの、あるいは2500頭以上が出陳する国際的なインターナショナルドッグショーまで規模や種類はさまざまです。
ドッグショーの流れ
その日に開かれているドッグショーで「犬種標準(スタンダード)」に最も近いと判断された犬のことを「ベストインショー(BIS)」といいます。頂点のBISを選ぶために、トーナメント方式で審査を行います。
ドッグショーは朝8時30分頃からスタートします。午後からは入賞した犬達が上位を目指してリングに上がるので、色んな犬種を見たい場合は、午前中から観に行くとよいでしょう。
大きなドッグショーだと2〜3日間の日程が組まれることもあるので、HPなどで情報をチェックすることをおすすめします。
ブリード戦で代表犬を選出
ドッグショーは、まず、犬種別と性別に分かれます。その中で、年齢ごとにベビー(生後4〜6ヶ月)、パピー(生後6〜9ヶ月)、ジュニア(生後9ヶ月〜1歳3ヶ月まで)、ヤングアダルト(生後1歳3ヶ月〜2歳まで)、アダルト(2歳以上)にクラス分けが行われて、個体審査と比較審査からジャッジを行い、オスの代表犬は「ウィナーズドッグ(WD)」、メスの代表犬は「ウィナーズビッチ(WB)」が選ばれます。
犬種のNO.1のBOBを選出
「ウィナーズドッグ(WD)」と「ウィナーズビッチ(WB)」に選出された犬は、次に、チャンピオンの資格を持つ犬達と一緒に審査を行い、優秀な犬が各犬種の代表犬となる「ベストオブブリード(BOB)」つまり同じ犬種のNO.1に選ばれます。
犬種のグループの中からオスメス1頭ずつのBIGを選出
各犬種のBOBの中から、第1グループから第10グループに分類された犬種を超えたグループ別にグループ戦を行い、オスメス1頭ずつ「ベストイングループ(BIG)」を選出します。
- 1グループ 牧羊犬、牧畜犬(シープドッグ、コーギーなど)
- 2グループ 使役犬(グレートデン、ボクサー、シュナウザーなど)
- 3グループ テリア(ジャックラッセルテリア、ヨークシャーテリアなど)
- 4グループ ダックスフンド
- 5グループ 原始的な犬、スピッツ(秋田、柴、シベリアンハスキーなど)
- 6グループ 嗅覚ハウンド(ビーグル、ダルメシアンなど)
- 7グループ ポインター、セッター(アイリッシュセッター、ワイマラナーなど)
- 8グループ 7グループ以外の鳥猟犬(ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーなど)
- 9グループ 愛玩犬(チワワ、パグ、シーズー、キャバリア、プードル、パピヨンなど)
- 10グループ 視覚ハウンド(アフガンハウンド 、ボルゾイなど)
BIGの中からキングとクイーンを選出し、さらにBISを選出する
選出されたBIGの中から、1席(第1位)のオス「キング(King)」と1席のメス「クイーン(Queen)」を選び、さらにキングとクイーンの中から、その日のドッグショーでの1席である「ベストインショー(BIS)」を選びます。
チャンピオンって何?
ドッグショーのNO.1はベストインショー(BIS)?では、よく聞くチャンピオン犬とは何なの?という疑問が出てくると思います。
チャンピオン犬には、JKCチャンピオン、さらにはインターナショナルチャンピオンがあり、チャンピオン(CH)になる資格を得るには、さまざまな条件を満たす必要があります。
JKCチャンピオン犬になるにはカードが必要
JKCチャンピオンになるには、異なる2名以上のジャッジからJKCが発行する3枚以上の「CC(チャレンジサーティフィケイト)カード」と1枚以上の「MCC(メジャーチャレンジサーティフィケイト)カードの合計4枚以上を取得する必要があります。
CCカードはクラブ展などで選出されると取得でき、MCCカードはFCI展などの出陳頭数が400頭以上の大規模なドッグショーで選出されることで取得することができます。
インターナショナルチャンピオン犬になるにもカードが必要
インターナショナルチャンピオンになるには、FCI展でBOB以上に選出された時に取得できるCACIB(キャッシブ)カードを4枚以上獲得しなければなりません。
家庭犬の訓練試験をクリアして晴れてチャンピオン犬に
チャンピオンの条件には、容姿だけではなく、JKCが行っている家庭犬訓練試験のCD-1以上を取得することが必要で、さらにDNA登録を行って晴れてチャンピオン犬となり、血統書にはCHの文字が入ります。
ロゼットリボンの色について
ドッグショーに出陳していると思われる犬が大きなリボンと一緒に写真を撮影している画像を見たことはありませんか?あの大きなリボンは、「ロゼットリボン」といい、ドッグショーで入賞をした際にもらえるものです。紫、赤、黄色などさまざまな色があります。
ハンドラーとは
犬だけではドッグショーには出陳できません。必ずリードを持った「ハンドラー」と呼ばれる人が、犬をエスコートします。プロのハンドラーは、犬の魅力を最大限に引き出すことができる技術を持った人ですが、自分で犬をエスコートする初心者のオーナーハンドラーでも出陳は可能です。
ドッグショーに行った時にハンドラーと一般の人の区別は、ハンドラーの着ている清潔感のある衣装や、服装ですぐに判断できます。
ドッグショー見学のマナー
ドッグショーのシステムが複雑のため、堅苦しい説明となりましたが、ドッグショーの見学は誰でもできますし、特別な手続きも必要ないので、気軽に観に行くことができます。
ただし、気をつけることとしては、出陳している犬や関係者にストレスをかけるようなことがないように気をつけましょう。会場では、犬の集中を切らすようなことは絶対にしてはいけません。
撮影について
ドッグショーにおける犬の写真や映像の撮影は、個人的な利用に限りリングの外側からであれば、誰でも行うことができます。ただし、フラッシュを使用して撮影するのは厳禁となっています。これは、犬がフラッシュに反応して気が散ってしまうからです。
当然のことですが、音を出したり、犬の気を引くような撮影方法は絶対に行ってはいけません。
また、特定の犬の写真を撮影する場合は、飼い主に撮影許可を尋ねることと、SNSなどにアップする際には、所有者の了解を得るようにしましょう。
参加している人の迷惑にならないようにする
ドッグショー会場では、犬のトリミングを行っていたり、最終の調整を行っている場合があります。参加している人に話しかけたり、犬の近くで食べ物を食べたりする迷惑になる行為はマナー違反です。
勝手に犬に触らない
これからリングに上がる犬やスタンバイ中の犬に勝手に触ったりしてはいけません。あるいは、ケージの中に入っている犬に声かけを行うこともNGです。
犬連れOKの会場でのマナー
犬連れがOKの会場では、愛犬を連れてドッグショー会場に行くことができます。ただし、犬連れの場合には、発情中のメス犬を連れて行ってはいけません。発情中はオス犬が本能で興奮してしまうので、審査に影響を与えてしまうので連れて行くのは絶対にNGです。
また、愛犬を出陳する犬と接触させるのはマナー違反です。犬との接触で集中を切らしてしまう可能性があるので絶対にやめましょう。
イベントを楽しむ
大きなドッグショー会場では、トリミングコンテストやアジリティー大会、ドッグダンス、災害救助犬の実演、しつけ相談や講習会、その他にも色んなイベントが行われており、ドッグショーを観なくても楽しむことができます。
試供品がもらえることも
大きな会場では、試供品などをもらえることもあります。自分の犬を連れている場合には、愛犬におやつのサンプルをもらえるかもしれませんよ!
ショッピングを楽しむ
ドッグショーの楽しみ方は、出陳している犬達を見るだけではありません。犬好きの方達の中には、ドッグショー自体を見るためではなく、出店されている犬グッズを扱うお店が集まるショッピングモールでお買い物をするために会場を訪れる人も多くいます。
お店によっては、掘り出し物があったり、特別価格での販売を行っている場合もあり、お徳にお買い物ができるのでおすすめです。
特に、大きな会場では、プロ用のトリミンググッズや犬具、お手入れ用品、ドッグフード、おやつ、海外から輸入された珍しい犬雑貨、犬服、おもちゃ、しつけ用品、ペットカート、犬用ベッドなど、幅広く出店されているので、普段見ることのできない犬グッズを見ることができるところも、ドッグショーの魅力です。
2019年ドッグショー情報
2019年3月29日(金)〜31日(日)の3日間は、東京ビッグサイト東5・6ホールにてアジア最大級の、FCIジャパンインターナショナルドッグショー2019/単犬合同特別本部展が開催されます。JKC創立70周年記念の大きなドッグショーとなりますので、是非一度、ドッグショーに行って観てはいかがですか?
犬のスタンダードを学ぶ、珍しい犬グッズのお買い物をしに行く、愛犬のおやつを探しに行く、どんな目的でも犬好きが楽しめるイベントです。
FCIジャパンインターナショナルドッグショー2019/単犬合同特別本部展
最後に
ドッグショーの基礎知識についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?横文字の言葉や英語の専門用語も多く、仕組みが複雑で難しいかもしれませんが、リングの中に並ぶ犬やハンドラーの様子を見ていると、「犬種標準(スタンダード)」はこういうものなのか。というのが初心者の人でも、何となくわかってくると思います。
個人的におすすめなのは、犬同伴可能の大きなドッグショーです。といっても長々とリングを見るのではなく、協賛企業のブースで情報を収集したり、犬のお土産に試供品をもらってくるのも楽しみの1つです。
会場には珍しい犬種がたくさん歩いているだけでなく、輸入物や1点ものの犬雑貨などを扱っているショップや、買い物をしなくても普段インターネットやカタログでしか見られないプロ仕様のグッズを手にとって見ることができるのでおすすめです。
出展:一般社団法人ジャパンケネルクラブHP
https://www.jkc.or.jp/
お写真の提供元:FLEUR DE LIS(ラフコリー・スムースコリー・ハバニーズのブリーダー)
ドッグショー参加の様子
http://www.fleur-de-lis.jp/
コメント