皆さん薬膳料理は食べたことありますか?
実は、ワンちゃんにも薬膳料理を作ってあげることができるのです。
そこで、今回は秋の薬膳料理について、また薬膳料理はワンちゃんにとってどんな効果があるのか解説していきます。
一緒に薬膳料理について勉強していきましょう。
薬膳とは
薬膳料理とは中医学を基にして作る食事のことを言います。
漢方と食材を組み合わせた料理で栄養や効果、色、香り、形、味など全てがそろっており、食事を通じて病気を予防したり、健康を維持したりする目的があります。
薬膳料理の基本「陰陽」
薬膳の基本になる考え方の1つに「陰陽」というものがあります。
「陰」は夜のイメージで暗い、冷たい、重い、じめじめ、静かなものを象徴し、「陽」は朝のイメージで明るい、温かい、軽い、乾燥、活動的なものを象徴しています。
身体を冷やしてはいけないと思っている方も多くいらっしゃるかと思います。しかし、薬膳の考え方では、体が陰か陽どちらかに傾いてしまうことが良くないとされています。
陰に傾いてしまうと、体が冷えたり、重くなったり、節々が痛むようになってしまいます。反対に、陽に傾くと肌が乾燥したり、吹き出物が出たり、イライラしたりします。
健康を保つためには陰と陽のバランスを上手に取ってあげることがとても大切です。
ざっくりと考えると、冷え性の方は陰の体質なので陽の食材を、暑がりの方は陽の体質なので陰の食材を摂り、バランスをとってあげましょう。
身近な食材を陰と陽に分けると以下のようになります。
陰の食材
なす、トマト、きゅうり、豆腐、バナナ、そば、小麦製品、白菜、大根、豚肉、イチゴ、リンゴ、オレンジ など
陽の食材
かぼちゃ、みょうが、しそ、栗、お餅、生姜、鮭、イワシ、さんま、鶏肉、牛肉、ラム肉 など
自然界を分類する考え方「五行」
五行とは、自然界にある物質を5つの性質「木・火・土・金・水」に分けたものです。
また、五行の中には、「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」と「五味(酸・苦・甘・辛・鹹)」と「季節(春・夏・梅雨・秋・冬)」があります。
ピンクの矢印は相性といい、相手の働きを促進し、臓器が良く動くように働きかけてくれます。
青の矢印は相克といい、相手の働きを抑制し、バランスを整えてくれます。
五臓の役割は以下のようになります。
肝
気や血の流れなどをコントロールする
心
五臓や気分などをコントロールする
脾
消化吸収の働きをコントロールする
肺
呼吸の働き・皮膚機能をコントロールする
腎
体内の水分代謝などをコントロールする
西洋医学では肺のとらえ方は狭い範囲ですが、東洋医学では呼吸器系や皮膚機能までをも含めた、もっと幅広い考え方をしています。
五臓に対応する「五味」
「五味」とは、酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ)」の5つの味のことを言います。鹹味とは、塩辛い味のことです。
五味はそれに対応する五臓があり、その臓器に吸収されやすいとされています。
味 | 作用 | 働き | 過食 |
---|---|---|---|
酸味 | ・下痢や汗、咳を和らげる ・精神的な緊張を和らげる | ・「肝」を促進 ・消化を助ける | ・食欲が落ちる ・体が硬くなる |
苦味 | ・解熱作用がある ・湿気を除く | ・「心」を促進 ・血液を送り出す | ・肌が乾燥する ・冷える |
甘味 | ・食欲を増進する ・痙攣を改善する ・解毒作用がある | ・「膵」を促進 ・消化吸収する ・不要物を排出する | ・骨が弱くなる ・抜け毛が増える |
辛味 | ・気の巡りを活発にし、機能を促進する ・発汗作用がある | ・「肺」を促進 ・呼吸を調節する ・全身の水分を調節する | ・興奮する ・冷える |
鹹味 | ・塊を軟らかくする ・便秘や腫れものを改善する | ・「腎」を促進 ・水分の代謝や貯蔵をする | ・血液がドロドロになる ・高血圧になる |
体を「平性」に保つための「五性」
食材の体を温めたり冷やしたりする性質を5つのグループに分けたものをまとめて「五性」と言います。
では、1つずつ見ていきましょう。
「温性」
体を温める性質です。
食材では、ミカン、鮭、もち米、ゴマなどがあります。
「熱性」
体を極端に温める性質です。
食材では、ワンちゃんは食べられませんが、生姜、シナモン、トウガラシ、お酒などがあります。
「涼性」
体を冷やす性質です。
食材では、ナス、キュウリ、水菜、そば(ワンちゃんの場合無塩のもの)などがあります。
「寒性」
体を極端に冷やす性質です。
食材では、スイカ、バナナ、ゴーヤ、トマトなどがあります。
「平性」
体を温めも冷やしもしない性質です。
食材では、豚肉、キャベツ、ニンジン、タラ、白米(うるち米)などがあります。
普段人が食べている食材では平性のものが多いです。
ワンちゃんのドッグフードに食材をトッピングする際は、熱性と寒性のものを組み合わせるなど、食材を工夫してバランスを崩さないように心がけると良いでしょう。
ワンちゃんに薬膳は良いの?
愛犬に元気で長生きしてもらうためには、毎日の食事でサポートしてあげることがとても大切です。
体質や体調に合わせた食事をあげることでより健康をサポートすることができます。
動物の場合は、自分の体調を喋って伝えることは難しいため、サインを見逃さずにくみ取ることが大切です。
そこから、体調に合わせた食事を作り、ドッグフードにトッピングしてあげましょう。
実は簡単!日常に薬膳を取り入れてみよう♪
薬膳と聞くと難しいイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、薬膳は意外と簡単に普段の食事に取り入れることができます。
実は、スーパーで販売しているような食材でも薬膳料理を作ることができます。
季節の食材を中心に使うことがポイントです。
愛犬と一緒に飼い主さんの食事にも薬膳を取り入れてみましょう。
お魚をさばくのが面倒に感じる場合は、水煮缶などを使うのも一つの方法です。
また、薬膳では助けたいところの食材を摂るのも一つの方法です。
肝心の由来は「肝腎」とも書き、肝臓と腎臓のことを言います。
どちらもとても大切な臓器です。
肝臓は解毒作用があります。
腎臓は排泄を担っていたりするため、そこが悪くなるとデトックスできなくなり、全ての臓器不全につながってしまう可能性があります。
肝臓と腎臓の働きを助けるためには、肝臓と腎臓に良い薬膳、例えば、レバーやハツ、小豆の煮汁などを取り入れてみましょう。
秋の薬膳の役割とは
秋の薬膳には夏に乾いた体を潤す役割があります。
冬には老化が進むと言われており、その予防をする役割もあります。
乾燥すると便秘がちになったり、毛がパサついたり、血圧が上がったりしてしまうので、しっかり潤してあげることがとても大切です。
また、夏にとれる野菜の種類が少ないため、これから秋に向けて増えてくる野菜の種類を生かし、薬膳に取り入れ、ワンちゃんも飼い主さんも一緒に豊かな食生活を送りましょう。
秋の薬膳おすすめ食材
秋の薬膳でおすすめの食材は以下のものになります。
食材 | 五味 | 五性 | 五臓 | 備考 |
---|---|---|---|---|
なす | 辛・甘 | 涼 | 肺 | 血流がよくなったり、体を冷やす、水分補給、便秘の改善などに良いと言われています。 |
大根 | 辛・甘 | 涼 | 肺 | 消化不良や胃酸過多、咳、がん予防などに良いと言われています。 |
レンコン | 甘 | 寒 | 心・脾 | 食欲不振や胃もたれなどに良いと言われています。 |
山芋 | 甘 | 平 | 脾・肺・腎 | 虚弱体質の改善や免疫力アップ、疲労回復、食欲不振などに良いと言われています。 |
里芋 | 甘・辛 | 平 | 腸 | 下痢や血便、糖尿病、腫れなどに良いと言われています。 |
さつまいも | 甘 | 平 | 脾 | 便秘予防や大腸がん予防、ストレス解消、高血圧予防、解毒作用などに良いと言われています。 |
きのこ類 | 甘 | 涼 | 腎・肺 | 便秘の改善や免疫力アップ、疲労回復などに良いと言われています。 |
お米 | 甘 | 平 | 脾 | 食欲不振や疲労回復、イライラの緩和などに良いと言われています。 |
栗 | 鹹 | 温 | 脾・腎 | 体を温めたり、血液の循環を良くしたり、毛のパサつきを改善したり、胃腸の調子を整えたりするのに良いと言われています。 |
梨 | 甘・微酸 | 寒 | 肺 | 心を落ち着かせたり、咳を緩和したり、水分補給に良いと言われています。 |
柿 | 甘 | 寒 | 心・肺 | 便秘の改善や水分補給などに良いと言われています。 |
イワシ | 甘 | 温 | 脾 | 血液をサラサラにしたり、浮腫の改善や予防をしたりするのに良いと言われています。 イワシは煮干し(ワンちゃんの場合塩分不使用のもの)でも大丈夫です。 |
サンマ | 甘 | 温 | 胃腸の働きを高めてくれたり、精神を安定させたり、血流を良くしたりするのに良いと言われています。 | |
サバ | 甘 | 平 | 脾・肺 | 血行促進や肩こり改善、毛のパサつき改善などに良いと言われています。 |
秋の食材でおすすめの食べ合わせ
夏に乾いた肺を潤してあげるためにも、秋には、白い食材を中心に取り入れてあげましょう。
肺の乾燥は、全身の乾燥ととらえられます。肺が乾燥すると、咳や便秘などの原因になります。
白い食材は肺に潤いを与えてくれるので積極的に取り入れてあげるようにしましょう。
潤いを与えるのに有効な白い食材
野菜
レンコン、長芋、大根、白菜など
肉・魚
豚肉・カモ肉・白身魚
その他
豆腐・豆乳・白ごま・チーズ(犬用)
これらをうまく組み合わせてあげると良いでしょう。
秋のおすすめ薬膳レシピ
身近な食材を使ったワンちゃん用の秋の薬膳おすすめレシピをご紹介します。
飼い主さんも一緒に食べられるレシピもご紹介していきます。
ご紹介するレシピを参考に、愛犬と一緒に秋の薬膳を味わってみてはいかがでしょうか?
(レシピの難易度は5段階で評価しています)
レンコンチップス【難易度:1】
材料
- レンコン
- 110g
- 塩〈人用の味付け〉
- 適量
作り方
耐熱皿に入れ、ラップをしないで5分電子レンジで温めます。
2に塩をふります。好みでカレー塩、塩こしょうで味つけをします。
写真:カレー塩
*ちょっとコクを出したいときはオリーブオイルをまぶしてオーブントースターで焼くのもおすすめです。
おすすめのワンちゃん
全てのワンちゃんにおすすめです。
おやつ又はフードのトッピングとしてあげてください。
効能
〈レンコン〉
秋の終わりころから冬が旬のれんこん。
れんこんは水生植物の蓮の近く気を食用としたものということから、「蓮根」と言います。
レンコンのすり流し汁【難易度:1】
カロリー:15kcal
材料
- レンコン
- 20g
- 出汁(写真は製氷皿で凍らせたもの)
- 100cc
作り方
おすすめのワンちゃん
最近便が固いかな?と思われるワンちゃんにおすすめです。
効能
〈れんこん〉
秋の終わりころから冬が旬のれんこん。
れんこんは水生植物の蓮の近く気を食用としたものということから、「蓮根」と言います。
秋は一年で最も乾燥する季節ですので、肺に潤いを与えてあげましょう。
のどにも良いですし、精神安定にも効果が期待できます。
サバ缶と大根おろし和え【難易度:1】
カロリー:96kcal
材料
- サバ缶(水煮・味付きや塩が入っていないもの)
- 30g
- 大根
- 20g
作り方
おすすめのワンちゃん
胃腸の調子が悪いワンちゃんや、体力が落ちてしまったワンちゃん、むくみが気になるワンちゃんなどにおすすめです。
効能
体を温めて血を増やして巡らせる食材です。
胃腸の疲れやむくみ、体力がおちたなと思う前にも、サバが美味しい冬にたくさんいただきたい、おすすめの食材です。
*アレルギー体質のワンちゃんは少量ずつ様子を見てあげてください。大丈夫そうであっても多食を控えるようにしてください。
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