犬の無駄吠えが癖になるとご近所迷惑など心配ですよね?愛犬が吠えて困るときの対処法や、無駄吠えを改善するトレーニング方法をシーン別にご紹介します。
犬の無駄吠えで悩む人は多い
犬が無駄吠えする癖がつくと、飼い主の大きなお悩みになります。
例えば、「インターホンの音が鳴ったとき」「外から聞こえる人の声」「家族が外出をするとき」「ケージやサークルなどに犬を入れたとき」などのタイミングで犬が無駄吠えをすることが多いといわれています。
無駄吠えをするタイミングが何を原因にしているのか、その原因に対する適切な対処方法がわかると、無駄吠えの問題を改善しやすくなるので、諦めずに無駄吠え防止の練習をはじめてみましょう!
犬の無駄吠えを減らすためのステップ(インターホンの音に対する吠えの例)
ステップ1:何が原因かを知る
最初のステップは「愛犬がなぜ吠えているのか原因を知ること」です。
例えば、来客時にインターホンの音がして吠え始めたとします。
このとき、インターホンの音で吠え始めたのか、インターホンの音が鳴る前に吠え始めていたのか、インターホンの音がして飼い主が動いたときに吠え始めたのか、どのタイミングで愛犬に無駄吠えのスイッチが入ったのか観察をしてみてください。
問題行動を起こす原因によって、トレーニングのアプローチ方法が変わるため、愛犬が無駄吠えをするタイミングとその原因を観察して、どうして吠えるのかを知る必要があります。
ステップ2 無駄吠えをする原因に慣らす
愛犬が無駄吠えを始める原因が分かったら、次は吠えることを防ぐ練習をはじめます。
もし、インターホンの音で無駄吠えのスイッチが入るなら、インターホンの音に慣らすトレーニングが必要になります。
一例として手順をご紹介します。
準備:手に隠せる程度で、犬が一口で食べることのできるおやつを用意しておく
1.インターホンの音量をできるだけ小さくした上で、音を鳴らす
2.犬が吠えたら「いけない」などの言葉を使い、手に持っていたおやつのニオイを嗅がせる、このときおやつは犬に与えずに、吠え止むことを黙って待つ
3.犬が吠えやんだら「よし」などの褒め言葉を使いながら、手に持っていたおやつを犬に与える
4. これを繰り返し、インターホンの音を徐々に大きくしていき、いつも鳴らしている音量にする
このトレーニングで犬に覚えて欲しいことは「吠えなければいいこと(おやつがもらえるなど)がある」ということです。
まずは、刺激となる原因(インターホンの音)を最小限にして練習をはじめ、徐々に刺激を大きくしていきましょう。
ステップ3 吠えるスイッチが入る前に防止する
無駄吠えのトレーニングをするときに、知っておきたいことは「犬が吠え始めて無駄吠えのスイッチが入ってしまったら、その吠えを止めることは難しい」ということです。
犬が無駄吠えをしているときは、興奮したりパニックを起こしている可能性が高く、この状態で飼い主が「いけない!」と声をかけても、愛犬の耳には届かず、「飼い主さんも一緒に興奮しているんだね!」と思わせてしまい、無駄吠えを助長する可能性があります。
愛犬が小さな声で「ウッウッ」と吠え始めたら、ステップ2の練習2(犬が吠えたら「いけない」などの言葉を使い、手に持っていたおやつのニオイを嗅がせる、このときおやつは犬に与えずに、吠え止むことを黙って待つ)をやってみましょう。
「ウッウッ」という予告もなく、愛犬が吠え始めてしまう場合は、吠え止むタイミング(愛犬が呼吸をするタイミングなど)を見つけて、吠えていない状態を褒めてあげましょう。
要求吠え対策
通常の吠えは、犬が何かの刺激をキャッチしたときに多くみられますが「犬の要求吠え」は、お散歩やご飯の前など、犬が飼い主に何かをして欲しいときに、吠えて要求をする吠え方をいいます。
要求吠えは通常の吠えとは違って、吠えたことで犬の要求が叶った経験をすることで、吠えて要求を叶えようとする吠えで、成功経験が多ければ多いほど要求吠えが強くなる傾向にあります。
実は要求吠えの原因は、飼い主が知らぬ間に愛犬の要求を叶えてしまっているなど、飼い主側が作っていることが多く、気が付いたら要求吠えをするようになっているケースが多いです。
要求吠えの対処法
犬の要求吠えには、いくつかの種類があるのでそれぞれ対処法をみていきましょう。
ご飯やおやつをねだる要求吠え
ご飯やおやつが大好きな愛犬は、要求吠えが出やすいケースの1つです。愛犬がご飯やおやつの要求吠えをした際に、飼い主が「はいはい、ご飯ね」などと犬に構ってしまい食べ物を与えたことで、知らぬ間に犬の要求を叶え、成功経験となっている可能性があります。
対策としては、食事の時間が近くなると要求吠えをする場合は、食事の時間を犬に予測されないようにずらしてみましょう。このとき、犬が吠えずに食事を食べ始めたらたくさん褒めてあげてください。
ご飯やおやつが欲しくて要求吠えをした場合は「静かに」などの指示を出し、犬が吠えやんだら褒めて食事をあげてください。吠えが止まらない場合は、静かになるまでご飯やおやつは隠して、吠えが止まったら褒めてから隠していたご飯やおやつを与えてください。
おもちゃに対する要求吠え
おもちゃに対して吠える場合は、おもちゃで遊んで欲しい要求とおもちゃを自分の物にしたい所有欲の吠えが多くみられます。
対策としては、おもちゃを見て犬が吠え始めたら「おすわり」や「ふせ」などの指示を出してみましょう。犬は、4つ足を踏ん張って立っている姿勢がいちばん吠えやすいため、吠えにくい体制に犬を誘導します。このとき「静かに」など吠えてはいけない指示を出します。犬吠えるのを止めたら、褒めておもちゃ遊びを始めましょう。
おもちゃの無駄吠えをする場合は、部屋に犬のおもちゃが散乱している状態だと、犬の要求吠えや所有欲を高める原因になるので、飼い主さんが管理をすることを徹底します。犬のおもちゃボックスなどを作って、遊ぶときだけおもちゃを出すようにするとよいでしょう。
構って欲しい要求吠え
犬が構って欲しくて、飼い主さんにすり寄ってきたりクンクン鳴いたりするのはとても可愛い仕草なので構いたくなりますが、これを続けていると「クンクン」から「ワンワン!」になってしまいます。
愛犬が構って欲しくて要求吠えをした場合は「静かに」などの指示を出して、吠えるのを止めたら褒めて、思いっきり構ってあげましょう。
もし「静かに」などの指示を出しても吠え止まない場合は、飼い主さんが一度部屋から出ていくなど、犬から見えない場所へ移動しましょう。犬が吠え止んだら褒めて犬の近くに行き構ってあげることで、要求吠えをしたら飼い主さんがいなくなって、吠えなければ飼い主さんに構ってもらえると犬に理解させましょう。
お散歩の要求吠えをやめさせる方法
お散歩に行きたい要求吠えは、時間やお散歩グッズ、飼い主さんのお散歩の支度をするタイミングなどが原因で起こりやすいです。
お散歩の時間が近くなると要求吠えをする場合は、愛犬に時間を予測されないようにお散歩の時間を変えてみてください。
お散歩グッズを持ったり、お散歩の支度をしているタイミングで要求吠えをしたら、すぐにはお散歩に行かず、一度部屋に戻るなどをして「静かに」と指示を出し吠え止むまで待ってから、褒めてお散歩に行きます。吠えたらお散歩に行けないと愛犬に理解してもらいましょう。
ケージの外に出して欲しい要求吠え
ケージに入ると吠え続ける場合は、吠えて騒げばケージから出してもらえる、自由になるということを要求しているケースです。お散歩のケースと同様に、犬の要求が思い通りにならないように心がけましょう。基本的には無視をして、日常的に長時間のケージでのお留守番など、犬にストレスや欲求不満を与えないようにします。
今までの生活習慣から、犬の思い通りでなく、飼い主の指示に犬が従って行動する、という習慣を飼い主さんが再認識することが必要です。
近所迷惑でうるさい、興奮して可愛そうという理由で犬の思い通りにケージから出すことで、犬は吠えれば出してもらえると学習してしまいます。
ケージの中で吠えずに静かにしているときに、ケージから出してあげることを心がけてください。
トイレをしたくて吠えている
排泄を外でする習慣のある犬(特に外飼いの犬)で、一定の時間に決められた習慣になっている場合、犬は鳴く、吠えるといった要求で飼い主にトイレを訴えます。いつもは鳴かないのに突然の体調不良でトイレを訴えている場合もあります。
外飼いの犬は深夜から早朝の近所迷惑になる時間をずらして排泄をさせるようにするか、庭や玄関、トイレシーツでもトイレをできるようにします。トイレの合図と思っていても、本当は犬が不安で吠えていてトイレは単なる構ってもらえるという理由付けで、玄関の中で寝かせるようにすると鳴かなくなるケースもあります。
天気の都合や、いずれ愛犬が高齢になったときのことを考え、決められた場所でなくてもトイレができるようになることをおすすめします。
寂しさからの吠え
犬の先祖であるオオカミは本来群れで生活する動物です。外飼いの犬が暗闇の中で寂しさを感じて吠える場合もあります。外飼いだけでなく室内でも飼い主さんと別々部屋で寝ているときに、不安や緊張から吠える場合や寂しくて朝鳴きや夜鳴きをすることで誰かが来て構ってくれた、という出来事から、構って欲しいと鳴いたり吠えたりするケースです。子犬を迎えて間もない頃は犬が環境の変化に馴染めずに鳴く、吠えることも多いです。
外飼いの場合は、寝るときだけでも玄関に入れてあげることで、安心して夜鳴きをしなくなるケースが多いです。高齢犬の場合にも当てはまりますが、同じ部屋で寝る、寝床に飼い主さんのニオイをつけたタオルやベッドを入れることも効果的です。
寂しさからくる吠えに気がついたら、今まで以上に寝る時間以外の時間を犬とともに過ごし、お散歩のコースを変えるなど新しい刺激を与え、より愛情をかけてコミュニケーションをとってあげることで、犬が満足して鳴かなくなるケースもあります。
子犬の要求吠えを失くすには
子犬は、人間と暮らす生活のルールを全く知らない状態で家族に迎えられます。かわいい子犬がクンクン鳴いておやつを欲しがったり、構って欲しいとねだられると、要求通りにしたくなってしまうもの。しかし、そこから要求吠えのしつけは始まっています。クンクン鳴いているときではなく、子犬が静かにしているときに声をかけたり、構ってあげるようにしましょう。
老犬の要求吠えを失くすには
老犬(シニア犬)の要求吠えは、特に注意が必要です。吠えて飼い主を呼ぶ行為は、痛みや体調の悪さ、排泄したいことを知らせている場合もあります。
また、吠え続ける場合などアルツハイマー病や認知症の可能性もあるため、要求吠えなのかどうかをよく観察をして判断する必要があります。もし病気の可能性が考えられるなら、獣医師に相談をしてみましょう。
老犬の吠え対策としては、日中に短い散歩を何度か行い、一緒に遊び、からだを動かし、ストレスの発散と日中の運動量を増加させることで夜間ぐっすり眠らせる。長年過ごした環境が変わらないように寝床を変えない。飼い主の匂いがする空間で一緒に寝る。犬のベットやタオルに飼い主の匂いをつけて寝床に置く。できるだけ不安にならないようさせる。といった方法が効果的です。
要求吠えをやめさせる際の注意点
指示を出す声の大きさに気を付ける
犬が要求吠えをしたときに「うるさい!」「静かに!」などと大きな声を出していませんか?
何度も大きな声でこれを繰り返すことで、犬が飼い主さんも一緒に吠え合戦をしていると思うため、犬の吠えを助長させる原因になります。
犬に出す指示は普通の声か、犬の集中を取るために少し小さめの声で出すことが理想です。
罰を与えることと褒めることはセットで使う
犬に「静かに」の指示を出しても吠え止まないときは、ご飯やおやつを隠したり、飼い主さんが部屋からいなくなったりして、犬に罰を与えます。
罰というと体罰を連想するかもしれませんが、体罰は犬に恐怖や不安感を与えて別の問題行動が発生する恐れがあります。罰は、体罰ではなく「犬の要求がかなわない」罰を使いましょう。
罰を使った後に犬が静かになったら必ず「よし」「いいこ」などの褒め言葉を使って褒めてください。
罰を与えただけで犬を放置してしまうと、犬は正しい行動を理解できないままで混乱してしまうので、正しい行動をしたら必ず褒めることがとても大切です。
犬に罰を与えて2~3秒でも吠え止んだら必ず褒めるようにしましょう。これを続けていると、犬は吠えても要求が叶わないと学習をしていきます。
家族内で一貫したトレーニングを行うことが大切
トレーニングで大切なことは一貫性を持つことです。「昨日はダメだったけど今日は許してあげよう」と態度を変えることで、犬は混乱して、何が正しい行動なのか分からなくなってしまいます。要求吠えをやめさせるなら、家族全員が一貫性を持って要求吠えをさせないように心がけることが大切です。
お散歩中の吠え対策
散歩中に他の人や犬とすれ違う度に吠えてしまう犬は、散歩に出掛けるのも一苦労です。
お散歩中に犬が吠える原因の多くは「社会性の不足」だといわれています。
犬は本来生後二ヶ月位の間に、母犬や兄弟犬と共に過ごし、犬の世界で大切な社会性を学びます。しかし、それが叶わずにもっと早い段階で母犬から離れていく子犬が実際は多く、社会性が不足している犬は、家族以外の人や他の犬に対して恐怖を抱いてしまうことがあります。
この恐怖や不安を打ち消すために、人や犬を見て吠える無駄吠えが起こることが多く、この場合は、犬に対して社会性を身に付けるように導いてあげる必要があります・
恐怖や不安以外の原因として考えられる吠えとしては、犬が飼い主をリーダーではく、自分より下の存在だと認識しているケースで、自分が連れている自分より弱い人を、知らない人や犬から守ってあげなければいけないという使命感からくる無駄吠えの場合もあります。
お散歩中の無駄吠え対処法
飼い主がリーダーであることを認識させる
犬のしつけは、犬にとって誰がリーダーであるかを認識させる必要があります。
散歩の際は、常に前を歩いて行く方向を決めるのは飼い主さんの役目です。
犬が堂々と前を歩き、好きな方向へ歩くのを許してしまっていては、犬を散歩しているのではなく飼い主さんが犬に散歩をしてもらっている状態になってしまいます。これでは、犬自身がリーダーだと思い込んで、指示には従わないでしょう。
主導権は常に飼い主さんが握り、リーダーは飼い主であるというのを犬に意識させるようにします。
お散歩中に吠える場合のしつけ方
犬の様子をよく観察し、吠える状況を把握しておきます。
- 前方から人や犬が来て犬が吠えそうになったら、その場に立ち止まりお座りか伏せをさせる
- 犬に「大丈夫」などと優しく声を掛けながら、頭や背中に触れる
- 犬が吠えそうになったらリードを軽く引いて1度だけ「ダメ」と指示を出す
- 言葉で吠えるのを我慢した時には、すぐに褒めてあげる
- 人や犬が通り過ぎるまで、お座りや伏せを維持させる
最初は吠えようとして立ちあがったり、我慢できずに吠えてしまうかもしれませんが、繰り返し行うことで我慢ができるようになっていきます。
我慢することができて飼い主さんに褒められたという良い経験を、たくさん積み重ねていくようにしましょう。
叱るだけは逆効果
他の人や犬が近づく度に勢いよく吠えてしまうからといって、叱ってばかりでは逆効果になってしまいます。
本来は犬が吠えたから叱っているのですが、犬の頭の中では次のような考えになっています。
- 他の人や犬が近付いたので警戒して(不安で)吠えた
- 飼い主さんに叱られた
- 他の人や犬が近付くと、飼い主さんに叱られて嫌なことが起こる
- また近付いてきたら、嫌なことが起こる前にもっと吠えて追い払おう
犬は自分が吠えたせいで叱られたことは理解できていないため、叱れば叱った分だけ激しく大きな声で吠えるようになってしまいます。軽く唸るような声を出しながら必死な様子で吠えている時は、飼い主さんを相手から守ろうと思い一所懸命頑張っているつもりかもしれません。吠えるからといってただ叱るのではなく、吠える必要はないということを教えてあげるようにしてください。
深夜の警戒吠え対策
不安や緊張、警戒心の強い犬は、聴覚を研ぎ澄ませて家に近づいてくるさまざまな音を聴いています。新聞配達員のバイクや自転車の音、ポストに新聞を入れる音、暗闇の中で家に近づいてくる足音、いつもと聴かない違う音、といった変化に犬が異変を察知して反応して吠えるケースです。
深夜の警戒吠え対処法
夜になると怖さや家族に異変を伝えるために吠えている場合があります。外飼いの犬は番犬が目的でないのであれば、できるだけ家に近いところを寝床にしたり、玄関で寝かせると不安や緊張を取り除くことができ犬が安心します。
室内犬の場合は、窓から寝床を遠ざけ、物音が聞こえにくい部屋を寝床にする、飼い主と同じ空間で寝かせる方法で朝吠えや夜吠えがおさまる可能性があります。
最後に
犬は学習をする生き物で、無駄吠えは犬が学習をして覚えた問題行動の1つです。
まずは、何に吠えているかに気が付くこと、原因がわかったら犬が吠えずに静かにしていたらたくさん褒めることが大切です。
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