台風19号体験談~避難するか自宅に残るかの選択~

日本を直撃した大型の台風19号。病気を抱えている愛犬「うに」と暮らす筆者が、避難したほうがいい状態になったときにどういう行動をしたのか、これから災害に備えどうしたらいいか考えたことを、台風当日10月12日の出来事とともに今後の対策などをまとめました。

愛犬「うに」のこと

本題に入る前に愛犬「うに」のことをお話したいと思います。

うに:16歳

うにの年齢は16歳。14歳の頃に僧房弁閉鎖不全症と診断され、当時あと半年持ちこたえられるかどうかと言われました。ですがうにの頑張りと、獣医師さんの適切な判断や投薬により今でも元気に生活をしています。

自宅に酸素濃縮機と酸素室があり、常に稼働をさせて発作が起きたときすぐ対処できるようにしています。

獣医師さんから車に乗せる時間はできれば5分以内、自宅以外での宿泊は禁止と言われており、また温度に敏感なため部屋の温度は常に24℃前後を保つようにしています。健康な犬にくらべて体温調整がしにくいようで、少し気温が高いだけでもパウンティングが始まり、そのようなときは体を保冷材などで冷やし落ち着かせるなどの対処をしています。

1日の投薬回数は3回、朝と夜に9種類、昼間は2種類です。投薬方法は乳鉢で薬をすりつぶし、ヤギミルクで味をごまかして液状にし、注射器で口に直接流し込み、飲ませています。
これが愛犬うにの現状です。

台風19号当日の出来事

何日か前から皆さんもご存じのとおり「今回の台風はすごい」と言われていました。台風15号の停電と断水のイメージが強く、そちらばかりを気にして備えていました。ですが当日思いもよらないことが起きたのです。

朝、スマートフォンが激しく鳴り「避難勧告レベル4」と書かれた通知が来ました。そこには河川氾濫、土砂災害という文字が書かれていました。確かにこれだけ長く雨が降れば川は増水するなと、その時恥ずかしながらはじめて気づいたのです。

テレビをつけると都内の電車が止まっていることや飛行機の欠航などが流れており、河川氾濫についてはまだ報じられていませんでした。

自宅の近くは平地で土砂は大丈夫そうですが、自宅から直線距離で300メートル内に川が流れています。その川は、川幅はかなり広く、川べりにサイクリングロードや広場などがあり、いつもはランニングをする人や広場でスポーツを楽しむ方、犬の散歩コースにされている方も多く氾濫というイメージがほとんどない場所でした。

昼過ぎから雨が強くなりテレビでようやく河川氾濫のニュースが流れ始めました。それを見て唖然としました。「いつもの川と違う」茶色い水が大量に河川を流れる映像が映し出されていました。

そして15時頃、隣の家から車のエンジンがかかる音がしました。自宅の2階に行き、近隣の家を見てみると車がありませんでした。もう近隣住宅の方々は避難をした後だったのです。

今までのんきにしていたのですが、強い恐怖を感じました。自分も避難したほうがいいのかな?と思いましたが、犬を連れて避難をしたら愛犬の寿命が縮まるのではないか?と考えなおし、使うことがないと思っていたハザードマップを開いて、冠水したらどのくらいまで自宅が水に浸かるか確認をしました。ハザードマップによると川が氾濫して冠水しても2階まで水が来ないことがわかりました。

車で高台に避難することも考えたのですが、うにの体を考えたら選択肢はひとつ。「2階に避難するしかない」と考えました。

15時過ぎから1階のいつも過ごしている部屋でパソコンを開き、国土交通省の河川ライブ映像とTwitterを見て川の監視を始めました。そして15分置きくらいに2階へ行って外を眺め、水が流れてきていないかを確認しました。

川が氾濫したらサイレンとか鳴るのだろうか?川が氾濫したらどのくらいの勢いで水は広がるのだろうか?など河川の氾濫について知らないことばかりだとその時にはじめて気づきました。

幸いうには雨の音も怖がらず、非常事態なのにいつも通りベッドで気持ちよさそうに眠っており、その姿に少し癒されたのを覚えています。

雨はどんどん強くなり、17時くらいにスマートフォンが鳴り、そこに「避難勧告レベル5」と書かれていました。

都内では川が氾濫しはじめ、道路で水に浸かった車などが報じられていました。

2階に避難する場合、何を持っていけばいいのだろう?と考え、リスト化をしました。パソコン・酸素濃縮機・・・リスト化して気付いたのですが、2階に持っていけるものは限られているため、床上浸水したら家電や家具が全部だめになり、とうぶん1階で生活ができなくなるということでした。

駐車場にある車ももちろん動かなくなるでしょう。生活がいっきに変わると思いました。もし犬が発作を起こしたら病院に何で行けばいいんだろう。そんなことも考えましたが、とにかく今は川が氾濫したときにどうするかを考えようと思うしかありませんでした。

Twitterには「ここももう氾濫する」や「耐えてくれ」「まだ上陸前なのにこれからどうなる?」などのツイートが増え、国土交通省の河川ライブ映像もツイート通りの氾濫が間近の川が映し出されていました。外が暗くなりいっきに不安が増してきました。

うにに慣れた場所で食事を食べさせたいと思い、夕食事を与え、薬を飲ませました。テレビから何度も「命を守る行動を」と聞こえてきましたが、「命を守る行動」を今自分がしているかどうか正直わかりませんでした。

そして台風が伊豆半島に上陸しさらに雨が強くなり、川が氾濫したというニュースやTwitterのツイートも増えてきました。

2階で外を眺めながら、ふと頭に災害時にテレビで見たことがある「屋根の上で助けを求める人」の映像が浮かびました。もしかしたら自分もああなるのかな?と思い、避難所に行くべきだったのだろうか?と思いましたが、避難所で愛犬の体が耐えられると思えなかったので「この選択がベストだった」と自分に言い聞かせるしかありませんでした。

今は台風が過ぎるのを待つしかない、21時がピークと書いてあるから22時になれば大丈夫かもしれないと思い、早く22時になって欲しいと願いました。

19時、20時と時間が過ぎ、ピークの21時を迎えました。あと1時間!そう思いながら、ときどき不安定に一瞬消える電気を不安に感じながら台風が過ぎるのをうにと一緒に待っていました。

22時近くになると今までの雨が嘘のように弱まり、それと同時に今までの不安や緊張がほぐれ、まだ油断はできないのに「もう大丈夫だ」という根拠のない安心を感じました。

その後も自宅近辺の場所で川は氾濫せず、台風19号は東京から去っていきました。

台風が過ぎて感じたこと

幸い今回の台風19号で、被害はなく愛犬も私も無事でした。

川沿いに住んでいる友人や知人に後日話を聞いたのですが、赤ちゃんが生まれたばかりの家庭は避難所を選ばず自宅の2階に避難をしたという話や、避難所に行こうと思ったけれど自宅の玄関前まで水が来て、避難をするにも道路に水があふれ避難ができなかったという話などを聞きました。

私の場合はうにの体のことがあり避難所を選択せず、自宅で待機し危なくなったら2階に避難しようという選択をしたのですが、それが正解だったのか今でもわかりません。たまたま河川が氾濫しなかったからこうやって普通の生活をしていられますが、自然災害は何が起きるかわからないことを思い知らされました。

他に感じたことは、今回の主な情報源はTwitterでした。テレビのニュースだと広範囲すぎて自宅の近くがどうなっているかまでわからず、近くに住んでいる人がTwitterで流してくれる情報を見るしかありませんでした。

Twitterを含むSNSで情報を引き出せる方はいいと思うのですが、そうでない方は「今知りたい情報」を手に入れられなかったと思います。

それらも含め、早めにより安全な方法を考え行動することの大切さが分かりました。

私の場合うにを連れだせないという理由で自宅に残りましたが、この行動も賛否両論だと思っています。

埼玉県で猫を飼っているから避難ができなかった中学生がボートで救助されたというニュースを聞きました。動物が好きな方たちがこのニュースを見たら「家族(猫)を見捨てなかった勇気がある優しい中学生」と感じますが、そうでない方には「猫のために命を危険にさらすのか?」と思われるかもしれません。

いまだにペットは人の所有物とされている日本でペットと飼い主との関係性に対する考え方は人により大きなずれを持ったまま進んでいくのではないかと強く感じました。

避難所について

環境省のガイドラインでペットを飼っている方は同行避難をしてくださいと呼びかけています。同行避難について詳しくこちらの記事に書いてあるのでぜひ読んでいただけたらと思います。

ペットとの同行避難!準備しておくべきこと

避難所によって人と同じ場所でペットと避難生活ができる避難所もあったようです。ですが、別部屋に犬や猫を預けておく避難所が多いようです。

他にも外に犬はつないでおいてほしいと言われたという声や、ペットは駄目ですと断られて自宅に戻ったという声も聞きました。

自宅が危険な場合は避難所に行く可能性が高くなります。いざというときのために、自分が行ける範囲の避難所でペットとどのように過ごせるか事前に近隣の役所などに確認をしておこうと思いました。

犬と離れて生活をするなら避難所に行かないと思う方も多いと思います。ですが避難所へ行くことを余儀なくされる場合もあり、避難所が愛犬の命を守ってくれる可能性もあります。

何パターンか徒歩や車で行ける範囲の場所の避難所がどういう対応をペットにしているかを調べておき、災害に備えるべきだと思いました。

最後に

まず、台風19号で亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

そして今も不自由な生活をされている方が早く普段の生活に戻れるよう心から願っております。

今回の台風19号で、はじめて自然災害の恐怖を体験しました。私よりもっと怖い思いをした方も多くいらっしゃると思います。

自然災害の怖さは「これからどうなるか予想がつかない」ところだと思いました。自宅になにかあったら車で過ごせばいいと思っていたのですが、そんなに簡単なものではありませんでした。

私と同じように病気を持った愛犬と暮らす方や、多頭飼いの飼い主さん、また大型犬と暮らしている方は特に自然災害が起きた時はどのようにするかしっかりと考えておくべきだと思いました。