混合ワクチンはどうして犬に接種させる必要があるの?3年に1回でよいというのは本当なの?混合ワクチンの目的や予防できる病気の種類、接種する適切な間隔について解説します。また、犬のワクチンアレルギーや副作用についても解説します。
ワクチンとは
まず、ワクチンとはどのようなものかをみていきましょう。ワクチンは、特定の病原体を元に作られた無毒化(弱毒化)された抗原を体に投与することで、体内でその病原体に対する抗体産生を促し、免疫を獲得することで、実際に病原体が体に入ってきた際に、感染症の予防や症状を軽くすることを目的とするものです。
ワクチン接種の目的は集団免疫で流行を防ぐこと
犬のワクチン接種の目的は、ワクチン接種を受けた個体の予防だけではありません。 より多くの個体がワクチン接種を受けることで免疫を獲得していると、集団の中に感染個体が出ても感染が拡がらず、流行を阻止することが出来ます。これを集団免疫と言います。
この集団免疫によって大流行を防ぎ、病気などでワクチン接種を受けられない個体を守ることにもつながります。
現在、多くの先進国ではワクチンで予防するような主要な感染症はまれにしか起こらないと考えられています。しかし、そのような国でも地理的に限られた感染地域は残っており、感染症の散発的な流行は起こり得ます。
発展途上国では、かつての先進国と同様に日常的に認められ、感染症が犬の主な死因となっています。 感染症の流行を防ぐには、より多くの個体がワクチン接種を行うことが重要です。
犬の混合ワクチン接種による有害反応
病気の流行を防ぐためのワクチン接種には、有害反応があることもよく理解しておかなくてはなりません。
犬の混合ワクチンには5種や7種、9種などいくつかの種類があり、数字が大きい方が予防できる感染症の種類が多くなるというメリットがあります。
しかし、一般的に、含まれる種類が多くなるほど有害反応が起こる可能性は高くなると考えられてるため、5種より7種、7種より9種が良いということは、一概にはいえません。
何種類の混合ワクチンにするかは、愛犬にとって本当に必要な種類はどれかを選んで接種をすることが必要です。
ワクチンの有害反応の症状について
ワクチンによる有害反応は、消化器症状(下痢、嘔吐、食欲不振)や、アレルギー・蕁麻疹症状(顔面浮腫、蕁麻疹、かゆみ)、アナフィラキシーショック、注射部位の疼痛などがあります。
アナフィラキシーショックやアレルギー反応の原因として、ワクチンに混入する蛋白質(ウイルス培養工程で使用する牛などの微量な血清アルブミン)が主原因と考えられています。このため、ワクチン製造業者はワクチンに含まれる蛋白質の減量について改善するよう日々努めています。
これからご紹介するワクチネーションガイドラインに記載されている2005年の米国での報告では、非常に軽微な反応も含めると1万頭に38頭において3日以内の有害反応があったと記録されています。
また、ワクチン接種は免疫誘導によって、自己免疫疾患の遺伝的素因がある動物に対して、自己免疫応答を誘発し、自己免疫疾患の発生が認められることがあります。ただし、これはワクチン接種に限らず、感染症や薬剤の投与、様々な環境要因でも同様に起こり得ます。
ワクチネーションガイドラインについて
犬のワクチンのことをもっと知りたい!という方は、世界小動物獣医師会(wsava)の犬と猫のワクチネーションガイドラインが日本語でもインターネット上に公開されているので、下記のアドレスから検索してみるとよいでしょう。
世界小動物獣医師会(wsava) 犬と猫のワクチネーションガイドラインpdf
ワクチネーションガイドラインの背景
- 多くの感染症はワクチン接種の普及によって激減している。
- ワクチンの副作用(有害反応)、安全性への懸念。
- 年に1回の接種が本当に必要かという疑問。
これらの世論に対して、ワクチネーションガイドラインが作られています。
2015ワクチネーションガイドラインの基本理念
このガイドラインでは『すべての動物にコアワクチンを接種することを目指す。ノンコアワクチンは必要以上に接種するべきではない。』としています。
では、コアワクチン、ノンコアワクチンとは何でしょうか?
ワクチンの分類について
ワクチネーションガイドラインでは混合ワクチンに含まれるワクチンを3つのカテゴリーに分類しています。
1.コアワクチン
コアワクチンは世界的に重要な感染症に対するものであり、その防御のために年齢やライフスタイルに関係なく世界中のすべての犬に、推奨された間隔で接種すべきものです。
- 犬ジステンパーウイルス
- 犬アデノウイルス(1型および2型)
- 犬パルボウイルス
※日本では狂犬病も含まれます。狂犬病は2030年までに全世界から根絶することが目標とされており、多くの国で狂犬病ワクチンの接種は法的に義務付けられており、ペットの海外渡航の際にも必要です。
2.ノンコアワクチン
個々の犬の地理的要因やライフスタイルによる感染リスクに基づいてその使用が判断されるもの。
- 犬レプトスピラ
- パラインフルエンザウイルス
- ボルデテラブロンキセプティカ
- ライム病
3.非推奨
科学的根拠が乏しいとしてガイドランでは接種を推奨していないもの。
・コロナウイルス
※海外で発表されたガイドラインですので、日本において全て肯定してよいのかという意見もあります。
日本で販売されている混合ワクチンの種類
日本で販売されているワクチンの中で、コアワクチンを含む混合ワクチンには5種、6種、7種、8種、9種、10種などの種類があります。
コアワクチンである、ジステンパーウイルス、アデノウイルス1型および2型、パルボウイルスと、ノンコアワクチンであるパラインフルエンザワクチンが一緒になったものが5種です。
6種以上のものに関しては、5種をベースとして、ノンコアワクチンであるレプトスピラ(2~4株)、非推奨ワクチンであるコロナウイルスが追加されています。レプトスピラには株の違いがありワクチンの種類によって予防可能な菌株が異なります。
国内販売されているコアワクチンを含むワクチン製剤(2018年12月時点)
混合ワクチンで予防している感染症の種類
では、混合ワクチンでどのような感染症を予防しているのか見ていきましょう。
【犬ジステンパーウイルス感染症】
症状:食欲不振、元気がなくなる、発熱、鼻水、目やに、咳、下痢など。致死率が高い感染症です。犬同士の唾液や尿の接触などから感染をする場合があります。
病気が進行し、ウイルスが脳や脊髄の神経細胞に入ってしまうと、顔や脚などに重い神経症状を起こしてしまいます。発熱を伴い、呼吸器・消化器・神経系など様々な箇所に不調をきたし、致死率が大変高い病気だとされています。
【犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型)】
症状:急性肝炎、食欲不振、元気がなくなる、発熱、目が白く濁る、嘔吐、下痢、黄疸。ヨダレや排泄物から感染し、子犬の場合、突然死を引き起こすこともあります。
【犬アデノウイルス2型感染症】
別名:犬伝染性咽頭気管炎、ケンネルコフ。伝染力が大変強く、様々な呼吸器疾患を発症します。他のウイルスと混合感染してしまうと、症状がかなり重くなってしまう特徴もあります。
症状:発熱、元気がなくなる、乾いた咳、鼻水などの人の風邪のような症状が出て、乾いた咳が長く続くのが特徴で、重症の場合は肺炎になることもあります。
【パルボウイルス感染症】
症状:腸炎型と心筋炎型があります。どちらも致死率が高い感染症です。 激しい下痢や嘔吐を繰り返し、脱水症・敗血症・栄養失調を引き起こし、早い時は感染から24時間以内に死に至る場合もあるほどです。
≪腸炎型≫食欲不振、元気がなくなる、脱水症状、発熱、激しい下痢、激しい嘔吐。犬パルボウイルスが含まれた排泄物や、吐しゃ物に触れたことにより感染する場合があります。特に子犬は激しい嘔吐・下痢を起こします。最悪の場合、死に至ります。
≪心筋炎型≫1歳未満の子犬に多く、突然死してしまうことが多いです。
【犬パラインフルエンザウイルス感染症】
症状:食欲不振、発熱、元気がなくなる、咳、鼻水など風邪のような症状がみられます。
犬の咳やくしゃみなどから飛沫感染をし、感染すると、咳や鼻水など風邪のような症状を発症します。このウイルスに関しては、単独で感染することはなく他の細菌などと混合感染をします。 パラインフルエンザを中心とする伝染病の呼吸器症候群を「ケンネルコフ」と呼びます。
【犬コロナウイルス感染症】
症状:食欲不振、発熱、元気がなくなる、脱水、嘔吐、下痢など。
犬コロナウイルス感染症だけであれば症状は重症化することはあまりありませんが、犬パルボウイルス感染症と一緒に混合感染することで、重症化し、最悪の場合命、死に至ることがあります。
【犬レプトスピラ感染症】
症状:発熱、元気がなくなる、激しい嘔吐、血便、下痢、出血(歯茎など)、黄疸、急性腎不全など。 最悪の場合、死に至ります。
レプトスピラ菌には様々な種類(血清型)があります。スピロヘータという細菌によって引き起こされる病気で、人や他の動物にも感染することがある「人獣共通感染症」です。
発熱や黄疸の症状が出て、病気が進行してしまうと腎不全になる場合もあります。暖かい地域、四国や九州、沖縄などで多く見られます。
ワクチンは1年に1回?3年に1回?
近年になって、ワクチンは3年に1回でよいという情報を耳にしたことがある方もいると思います。獣医さんには毎年打つように言われているのにどういうことかと疑問に思っていませんか?まずは、ワクチンのことをよく理解しておきましょう。
ワクチネーションによって、感染症を予防できる状態にあるか判断できる検査が血中抗体価の検査です。血液中の抗体価がある一定以上あがっていれば、感染症を防ぐまたは症状を軽減することが出来ると考えられています。この抗体価は、時間とともに低下していきますが、コアワクチンでは適切なワクチネーションによって一度有効な数値まで上がると、この抗体価が3年以上持続することがわかっています。
これが、近年ワクチン接種が3年に1回でよいといわれている理由です。(動物病院で血中抗体価検査を受けることも可能です。)
ワクチン接種と抗体価
しかし、コアワクチンのみの混合ワクチンは現在国内では販売されていません。また、ノンコアワクチンは適切なワクチネーションを行ったとしても、有効な抗体価は一年しか持ちません。そのためノンコアワクチンの予防には1年に1回のワクチン接種が必要だといわれています。
これが動物病院で毎年ワクチン接種をすすめられる理由の1つです。
ノンコアワクチンは必要か?
パラインフルエンザは、犬の風邪「ケンネルコフ」の原因となるウイルスのひとつです。呼吸器症状を示し、くしゃみや鼻水など犬同士で飛沫感染するため、多頭飼いや他の犬との接触で感染する可能性があります。
一般的に単独感染では症状は軽いとされていますが、他のウイルスや細菌などの病原体との混合感染により重症化します。
レプトスピラは、ネズミなどの野生動物が主な感染源となる人獣共通感染症です。人をはじめとする多くの哺乳類が感染する可能性があり、レプトスピラ菌に汚染された土壌や水を介して感染します。
ネズミが生息する居住区域や、河川などにレジャーに行く際には注意が必要です。また洪水などが起こった際にも流行するといわれています。レプトスピラに感染しても症状が出ず不顕性感染で終わることも少なくありませんが、発症し重症化すると死に至ることもあります。
どうやって種類と頻度を選べばよいか
- 多頭飼いしている
- 散歩で他の犬に遭遇する
- ドックランを利用する
- ペットホテルを利用する
- 海、山、川などにレジャーに連れて行く
- ネズミの生息が多い地域か
- 感染症の発生の多い地域か
上記のいずれかの項目に該当する場合には、パラインフルエンザやレプトスピラ予防のため、獣医師と相談し5種~10種のいずれかを年に1回の接種を検討するとよいでしょう。
逆に、基本室内飼いで他の犬との接触がない犬では、3年に1回の接種を検討するとよいということになります。(※コアワクチンのみのワクチンが国内にないため、5種ワクチンを接種し、パラインフルエンザは捨てワクチンとなります。)
また、ワクチンアレルギーなどの有害反応が出てしまった犬では、血中抗体価検査を行うことで抗体価の維持が確認できれば3年以上接種間隔を空けることも可能です。
これは理論的な話で、お散歩時やお出かけ時に多くの犬接する機会がある可能性もあります。接種時期を過ぎてもワクチンを接種しないことで命に関わる恐ろしい病気になってしまうこともあるので、愛犬がうつらないため、他の犬にうつさないためにも混合ワクチンを接種するのが基本です。
子犬の時にワクチンは何回打つかの正解はない
子犬のときには3回、4回など複数回ワクチン接種を行うのが一般的ですが、実は、正解はありません。1回目のワクチン接種時期や、感染症のリスクによって異なります。動物病院ごとに接種開始週齢や地域の感染症発生状況を考慮して決定していますので、かかりつけの動物病院に確認してみましょう。
以下は3回接種する場合の例をお話しします。
なぜ子犬の時に数回ワクチン接種を受ける必要があるの?
産まれたばかりの子犬は、母犬から母乳をもらって育ちます。この母乳の中には、様々な感染症から抵抗力の弱い子犬を守る抗体が含まれていて、この抗体のことを「移行抗体」といいます。
但し、この移行抗体は。子犬が自分の力で自由に動き回り行動範囲が広がってくる生後60日目頃から徐々に薄れていき、生後90日目頃にはほぼ消失するといわれています。
それでも感染症の危険がなくなる訳ではありませんので、移行抗体に変わる感染症予防の方法としてワクチンを接種します。
このワクチンは、接種後にすぐ効果を発揮するのではなく、身体全体にワクチンが行き渡り力を発揮してくれるまでには約2週間かかるとされています。そのため、母犬からの移行抗体が切れ始める60日目頃に1回目のワクチンを接種するのが一般的です。
ところが、移行抗体がまだ子犬の身体の中に残っている状態でワクチン接種を行うと、身体の中では抗体とワクチンが反発し合い、ワクチンの効果が弱まってしまうことがあります。ワクチンの効果を十分に発揮させる為に、子犬の場合には数回に分けてワクチンを接種します。
本来であれば、母犬の移行抗体がなくなった時点でワクチン接種を行えばいいのかもしれませんが、抗体がどの程度残っているのかは調べようがないので、抵抗力の弱い子犬に万が一のことが無いように、移行抗体が薄れ始める60日目を目安にワクチン接種を始めるようになっています。
子犬のワクチンを打つ回数や時期とそれぞれの打つ目的
ワクチンを接種する回数や時期は、獣医師やブリーダーによって様々な考え方がありますが、一般的なものを紹介します。
子犬の混合ワクチン1回目
母犬からの移行抗体が消失し始める生後60日目頃に、1回目のワクチンを打ちます。
これは消失してしまう移行抗体に代わり、子犬を感染症から守るために行うものです。しかしう、移行抗体が身体の中に残っている場合はワクチンによって接種された抗体の効果が減少してしまう恐れがあるため、1回の接種だけでは十分な効果を得られないことが多いです。
子犬の混合ワクチン2回目
2回目のワクチンは、1回目の接種から約1ヶ月後の生後90日頃に打つようにします。
この頃には母犬からの移行抗体が完全に消失しているので、ワクチンの効果が充分に得られるとされています。
このため、2回目のワクチン接種が終了し、ワクチンが身体全体に行き渡るのに要する期間である2週間を経過すれば、散歩に連れ出しても構わないという意見もありますが、お散歩は3回目の接種が終わるまで待つ方がいいという意見もあります。
子犬の混合ワクチン3回目
3回目のワクチンは、2回目の接種から更に1ヶ月後に行います。 2回の接種で十分という意見もありますが、母犬からの移行抗体が生後90日以降まで残っている可能性が高いのではないかと意見が根強くあります。
そうなると2回目のワクチンも充分に効果が発揮出来ていない可能性が考えられます。 子犬は抵抗力が弱いので、些細な体調不良も死に繋がってしまう場合があるので、移行抗体が消失しきってない可能性を考慮して3回目のワクチン接種を行います。
ワクチンを2回までとするのか3回まで行うのかは、獣医師さんによっても考え方が変わってきます。2回でよいとされても、不安に感じるから3回目を打つのであればそれも1つの考え方です。
あくまでも最終判断は飼い主さんにありますので、獣医師さんとよく相談をしてみるといいでしょう。 また、そのような不安についてきちんと説明をしてくれる獣医師さんを選ぶことも大切です。
予防接種のアレルギー(副作用)に注意
人と同じように犬も予防接種により副作用を起こすことがあります。 発生率は約1%と低い確率ですが、迅速に対処しないと命を落としてしまうこともあるため注意が必要です。
ワクチンアレルギーを起こしたことない犬でも、体質や体調の変化によってある年から突然ワクチンアレルギーを発症することもあります。ワクチンを接種する際にはなるべく長く様子が見れるように午前中に接種し、体調の良い日に接種をするように心がけましょう。
副作用は接種後30分以内に起きる場合と半日くらい経ってから症状が出る場合があります。 接種直後は病院でしばらく安静にするとよいでしょう。
また、接種した日は激しい運動は避け、飼い主さんが様子を注意して観察し、 シャンプーなどのストレスがかかることは2~3日避けることが必要です。
副作用の症状の例
・心拍数や呼吸がいつもより早い
・落ち着きがない
・元気がない
・不安そうにしている
・歯茎の色が白い
・嘔吐
・下痢
・目や口の周りが腫れ上がる、赤くなる
・痒がる
・アナフィラキシーショック(呼吸困難などの激しいアレルギー症状)
アナフィラキシーショックを起こすと死亡する可能性もあります。
以上のような症状がみられた場合は、すぐに病院へ行き、獣医師に診てもらいましょう。
ワクチンアレルギーが起こった時の対処法
ワクチンによる有害反応には、消化器症状(下痢、嘔吐、食欲不振)や、アレルギー・蕁麻疹症状(顔面浮腫、蕁麻疹、かゆみ)、アナフィラキシーショック、注射部位の疼痛などの症状があります。
アレルギーやアナフィラキシーなどの重篤な症状は数分から数時間以内に発症し、進行性に悪化します。接種から症状発症までの時間が短ければ短いほど、重症化し致命的な原因になる可能性が高くなるため、接種直後はよく犬の様子を観察してあげてください。
異変に気がついたらすぐに動物病院に連絡をすること
何かおかしなことがあればすぐに動物病院に連絡し向かうようにしましょう。アナフィラキシーショック、顔面の浮腫、蕁麻疹などには迅速に適切な処置が必要です。
接種から12時間以上経過して出てくる遅延型のアレルギー反応もあります。急性のものに比べると重症化することは多くありませんが、この場合でも必ず動物病院に連絡をしましょう。
一度ワクチンアレルギーが起こってしまった犬のその後のワクチン接種について
ワクチンアレルギーの主な原因はワクチン製剤中に含まれる蛋白質です。 一度反応が起こった犬の場合、飼い主さんは次に接種させるのが怖くなってしまうことでしょう。
対策としては、ワクチンの種類を7種から5種にするなど種類を減らしたり、ワクチン製剤を変えることでアレルギーが起こらなくなることがあります。
また、ワクチンを接種する際に事前にステロイドを投与することでワクチンアレルギーの発症を抑えることが出来ます。
一度アレルギーを起こした症例では、接種するワクチンの種類をよく吟味し、コアワクチンであれば血中抗体価検査を行い、接種の回数をなるべく減らすことも獣医師と相談するとよいでしょう。
ステロイドを投与してからワクチン接種をしても効果があるか?
専門的な話になりますが、アレルギー反応を抑えるために、ステロイドを接種前またはワクチン接種と同時に投与しても、ワクチンによる抗体産生の著しい抑制はないことが示唆されています。
大切なことは、引っ越しなどでかかりつけの動物病院が変わった場合などに、一度でもアレルギー反応を起こしたことがあることを、問診で伝えることです。
まとめ
混合ワクチンには種類がありますが、地域によって最適なワクチンは異なります。また、散歩やドックラン、ペットホテルなど他の犬に接触はあるか、海山川などレジャーに行くかなど、生活環境によっても異なります。かかりつけの動物病院の獣医師とよく相談して、何種ワクチンをどの間隔で接種するか決定するとよいでしょう。
参考1: 犬と猫のワクチネーションガイドライン(WSAVA)pdf
参考2:動物用医薬品等データベース(動物医薬品検査所)
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