膀胱炎は犬がかかりやすい泌尿器の病気の1つで、特にメスは何度も再発して繰り返しやすい病気です。おしっこの回数の変化や血尿、ニオイなど膀胱炎の症状やサイン、予防対策についてお話しします。
犬の膀胱炎が起こる原因

犬の膀胱炎はいくつかの原因によって膀胱の粘膜部分に炎症が起きる病気です。犬の膀胱炎は多くが感染を起こして起こるものですが、大きな病気の症状である場合もあります。
細菌による感染
膀胱炎は、細菌感染が原因で起こることが多く、特にメス犬は細菌が尿道に入りやすく細菌感染による膀胱炎を起こしやすいといわれています。
尿結晶・尿結石
膀胱炎や尿結晶、尿結石は、尿検査で両方判明する場合も多く、細菌性の膀胱炎が起こることで尿のpHのバランスが変わってストルバイト結晶や結石ができることが多いです。
その他
一般的に膀胱炎の主な原因は、細菌感染と尿結晶、尿結石が原因となりますが、膀胱の腫瘍やオス犬の前立腺炎によって膀胱炎の症状がみられるケースもあります。
何度も再発を繰り返していたり、治らない膀胱炎など、異変がある場合はそのままにせずできるだけ早く動物病院を受診しましょう。
犬が膀胱炎になるとみられる主な8つの症状

犬が膀胱炎になるとさまざまな症状がみられますが、悪化しないためには少しでも早く治療を行う必要があります。
室内犬の場合、愛犬がもし膀胱炎になったとしても、飼い主さんが毎日のお世話をしている中で、おしっこや犬の様子の変化に気が付くことができます。
では、主な症状をみていきましょう。
頻尿やおもらしをする
犬が膀胱炎になると、いつも決まった時間に排尿している犬でも頻尿になって短時間に何度もトイレに行ったり、トイレまで間に合わずおもらししてしまうことがあります。
おしっこの色がいつもと違う
ペットシーツの上でトイレをする犬は、シーツに染み込んだおしっこの色を確認することで、膀胱炎だけでなく泌尿器のトラブルに早期に気が付くことができます。
おしっこの色が茶色や赤く見えたり、濁りがある場合は、膀胱炎の可能性があります。外でトイレをする習慣のある犬だと、尿の色の変化に気が付きにくいです。
血尿をする
犬の膀胱炎は、ペットシーツが薄いピンク色になったり赤い血尿をすることがあります。
頻尿のためトイレに間に合わず、普段しないような場所で少量ずつ血尿をする場合もあります。
発情期を迎えたメス犬以外で排尿時に血尿がみられた場合は、膀胱炎や尿結石以外では、泌尿器や生殖器に関わる大きな病気を抱えている可能性があるので、すぐに動物病院を受診しましょう。
おしっこの格好をしても出ない
犬の膀胱炎でみられる症状の中に、排尿の姿勢をしてもおしっこが少ししか出ない場合や全く出ないこともあります。
これは、膀胱に尿が多く貯められない状態であったり、膀胱の中におしっこがない状態でも残尿感があったり、痛みや違和感などから、数分の間に何度もおしっこの格好をする様子がみられることがあります。
痛みを感じる
膀胱炎を起こすと頻尿や血尿がみられますが、痛みも症状の1つです。排尿の姿勢が背中を丸めるような格好などいつもと違ったり、おしっこをしながら「クーン」と声を出すこともあります。
痛さで元気がなくなってしまうこともあるので、痛みを取り除いてあげるためにも動物病院をできるだけ早く受診しましょう。
おしっこのニオイの異変
室内犬の場合は、ペットシーツに染み込んだおしっこのニオイで異変に気が付くことができます。
尿が生臭く感じたりいつもよりもキツイ臭いに感じた場合は、尿のトラブルのサインです。
メス犬が陰部をなめる
メス犬が陰部をしきりになめている場合は、膀胱炎が原因で陰部に分泌物が出ている場合があります。
ペットシーツにキラキラしたものがみえる
膀胱炎によって尿のpHのバランスが変わると膀胱に結晶や結石ができやすい状態となるので、ペットシーツに排尿した後に、シーツの上が結晶でキラキラと光ってみえることがあります。
犬の膀胱炎で行われる検査と治療

ではここからは、動物病院で行われる犬の膀胱炎の検査と治療についてみていきましょう。
犬の膀胱炎の検査
犬の膀胱炎は尿検査と超音波検査、レントゲン検査が行われることが一般的です。
尿検査では、尿の中のpHや潜血があるか、異常な成分が出ていないか、結晶や細菌がみられるかなどを調べることができるので、膀胱炎では大切な検査です。
超音波検査(エコー検査)では、膀胱にある壁が厚くなっていないか、腫瘍や結石がないかを確認できます。
レントゲン検査では、尿路に結石があるか、ある場合はどのような状態かを確認できます。
犬の膀胱炎の治療
膀胱炎の原因の多くは細菌感染だといわれており、抗生物質の投与を行いながら、泌尿器をケアする療法食を与える方法が一般的です。
膀胱炎が抗生剤を飲んでも治らない場合や何度も頻繁に繰り返す場合は、詳しい尿検査を行い、薬剤に対する耐性菌が出ているのかを確認し、適切な投薬が行えるように薬の種類が決められます。
犬の膀胱炎に対する食事ケア
尿は、pHバランスが酸性やアルカリ性に傾くと結石ができやすくなります。
膀胱炎とアルカリ性に傾いて起こる尿結石(ストルバイト結石)を一緒に起こすことが多く、療法食によって、結晶や結石ができにくいようにpHを整えることができます。
他にも、療法食には膀胱でおしっこが濃くならないように、お水をたくさん飲ませる効果もあり、投薬とともに食事療法が行われます。
犬が何度も膀胱炎の再発を繰り返したり治らないときの予防と対処

膀胱炎は頻尿や血尿となったり、犬が排尿時に強い痛みを感じることもある病気です。
愛犬が膀胱炎になりやすい場合は、いくつかの対策をすることで再発予防につながる可能性があります。
1日の水分摂取量を増やす
膀胱炎を防ぐにはおしっこを濃くさせないことと、膀胱の中で細菌が増えないようにすることです。
自分からお水を積極的に飲まない犬の場合は、ドッグフードをふやかして与えたり缶詰にすることで、1日の飲水の量を増やすことができます。
1日のおしっこの回数を多くする
お留守番中に犬がおしっこを我慢していたり、決められた時間にトイレに行く生活スタイルの場合は、膀胱に尿が長く溜まってしまうため、結石ができやすくなったり細菌が増えやすくなります。
屋外でトイレをする習慣のある犬で膀胱炎を繰り返している場合は、膀胱炎の治療中はもちろん、普段の生活でも今までよりもトイレに連れ出す回数を多くすると、膀胱炎の予防につながる可能性があります。
また、お水を飲ませるなど水分を多く摂取することで、おしっこの回数は増えます。
メス犬のお尻まわりの被毛をカットする
膀胱炎を繰り返すメス犬の場合、陰部の周辺の毛を短くカットしてお尻まわりを清潔にしたり、おしっこやウンチが毛に残らないようにすることも膀胱炎の対策となります。
オムツはケチらずどんどん交換する
シニア犬の介護をしているとオムツを交換するタイミングを迷うことがあるかもしれません。「まだいいかな」とそのままにしてしまうと、雑菌が繁殖して膀胱炎の原因となります。
オムツを使用している場合はケチらずに、汚れたらどんどん交換するようにしましょう。
食事の見直し
膀胱炎や尿結晶、尿結石を繰り返す場合は、獣医師に相談の上、食事内容を見直してみることも大切なことです。
泌尿器系をサポートするフードは、さまざまなブランドから販売されているので、体質に合ったものを探してみることをおすすめします。
最後に
おしっこは健康のバロメーターとも呼ばれます。おしっこの色やニオイのチェックは、膀胱炎にいち早く気が付くきっかけとなるため、日頃から、愛犬のおしっこの観察を習慣にしておくことが大事です。
尿のpHをチェックできる「pHチェッカー」は通販で購入できるので、1つ持っておくと、愛犬のおしっこの状態をすぐに確認することができるのでおすすめです。
今回は、犬の膀胱炎についてご紹介しました。
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