GWが終わり、夏が待ち遠しい時期になりましたね。
実は、動物病院に勤める獣医師にとって、夏は勉強の季節なんです。というのも、4月末から続いた予防接種のシーズンが終わり、病院の業務がひと段落するため余裕が出てくる時期でもあり、それを見込んで夏には多くの学会が開催されます。
獣医学に関する学会の多くは東京で行われますが、北海道や大阪で開催されることもあります。そのため、参加する獣医師は全国を飛び回ることになり、動物病院が臨時休診となることも多々あります。
今回のコラムでは、かかりつけの動物病院の休診日に、愛犬が体調を崩したときの対応について説明したいと思います。
大前提!休診日の対応はかかりつけの先生と相談しておこう
基本的に動物病院は365日24時間営業してはいません。
しかし、犬たちが病気になるのは平日も休日もありません。そのため、かかりつけの動物病院が営業していない時にどう対応すべきかを、あらかじめ想定しておくことは飼い主としての義務といえます。
動物病院によっては初診時などに営業時間外の対応・対処について、説明をしてくれることもありますが、特に説明がない場合もあります。
病気の説明や、お薬についての説明についても同様ですが、動物病院では必ずしも100%飼い主さんに伝わる説明ができるわけではありません。獣医師も愛玩動物看護師も飼い主さんに最大限伝わるように説明をしますが、時間の都合もありますし、なにより、どのような説明がわかりやすいのかには大きな個人差があります。
説明が足りない、伝わらないことは99%病院側が悪いと考えてもらっても構いませんが、飼い主の義務として、動物病院で万が一説明が足りなかった・わからなかったと感じたときには、必ず飼い主さんご自身がわかるまで質問をしてください。
休診日の対処についても簡単に質問をすれば獣医師は必ず教えてくれるので、事前にちゃんと相談をして決めるようにしてください。
獣医はペットの病気に関する専門家ではありますが、飼い主は常に愛犬の主治医でもある、ということを心がけて責任感をもって体調不良時の対応を決めることが大切です。
緊急時の移動手段を確認しておこう
人間が急な体調不良などの緊急事態になった場合には救急車での搬送をお願いしますが、残念ながら動物の医療体制はそこまで発達していないので、愛犬の緊急時の移動手段は飼い主さんが前もって準備・確保をしておかなければなりません。
特に、普段愛犬と徒歩で動物病院に行くという飼い主さんは、愛犬が歩けなくなった際の移動手段についてしっかりと準備をしておきましょう。
一般のタクシーにペットを乗せられるかはタクシー会社に要相談
タクシーでは、原則的に「キャリーバッグやクレートなどのケースに入って身動きを制限できていればペットを乗せても良い」としている会社が多いようですが、抜け毛やニオイなどを気にして乗せないようにしている運転手さんもいるようです。搭乗時のトラブルを防ぐためにも、タクシーを呼ぶ際には事前にペットを乗せても良いかを確認するようにしましょう。
愛犬との移動にペットタクシーという選択肢を
ペットを連れて移動するためのペットタクシーというサービスをご存知ですか?
ペットタクシーは、大型犬を乗せることができるフラットな広い室内スペースや、動物向けの消毒と除菌を行っていたり、ケージやクレートの貸し出しなどもあり、安心してペットを搭乗させるための工夫を凝らしたタクシーで、通院やペットサロンへの送迎にもってこいのサービスです。
ペットタクシーの会社は全国各地にあるようなので、ご自身の住んでいる地域でペットタクシーを利用するにはどうしたらよいのか一度調べてみると緊急時に役立つと思います。
動物救急センター(ER)を知っていますか?
動物病院の営業時間外や休診日に緊急の患者を受け入れるために、同じ地域にある複数の動物病院で提携するなどして「動物救急センター(ER)」を運営していることがあります。また、地方では大学病院が緊急医療に対応している場合もあります。
緊急医療施設の特別な点として、受診する際には基本的にホームドクターからの紹介が必要だという点があります。
「動物救急センター(ER)」では、緊急時に事前連絡なしで来院しても対応が難しいことが多いので、普段かかりつけている動物病院がどこの動物救急センターと提携しているのかについてホームドクターに前もって確認をしておき、緊急時には動物救急センターに受診のための電話をするようにしましょう。
休診日や夜間にホームドクターと連絡がつかないと不安が増大しますし、緊急事態ともなれば飼い主さんの気が動転してしまうのも仕方がないことです。そんなときにパニックにならないためにも、緊急時の対処については日頃から確認をしておくようにしましょう。
今回は、動物病院の休診日などの緊急時の対応についてお話ししました。
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