犬の「リーダーウォーク」は、リードを持っている飼い主が主導になり犬と散歩をすることをいいます。散歩中に犬に引っ張られて散歩しているのは、犬が主導の散歩で、これを甘やかして許してしまうことで、さまざまな問題行動の原因ともなってきます。今回は、犬のリーダーウォークのしつけ方を簡単にご紹介します。
「リーダーウォーク」の役割とは
犬のしつけ本には、飼い主さんがリーダーであることを示すために「リーダーウォーク」を行いましょう。と書かれていることが多いです。さらには、犬の先祖は狼と言われており、群れで暮らす動物です。群れの先頭を歩く犬は犬のリーダーであり、先頭をグイグイと引っ張って歩く犬は、飼い主のことを自分より下の位置にいると思っているので、矯正するために飼い主さんがリードして歩きましょう。
というのがたいていの内容で、これは正しく、間違ってはいません。特に大型犬は事故につながるのでやめさせるべきです。
しかし、そもそもリーダーウォークはどういったときに使うのかを考えてみてください。
リーダーウォークは、リードをつけて犬と散歩をするときに行います。リーダーであることを示すために、言うことを聞かない犬に対して、飼い主が力強くリードを引っ張って、自分のもとに引き寄せるためのものではありません。さらには、犬の首は急所でもあります。思いっきりリードを引っ張ることで、首に大きな負荷がかかり頸椎や脊椎を痛めたりすることもあるのです。
リーダーウォークは、犬がリードをつけられた範囲内の飼い主さんにコントロールされている状況で、犬が飼い主に従い、人間主導でともに歩くことと、犬の安全を守るための役割を持ちます。いつも犬の好き勝手に、行きたい方向に行かせて、飼い主さんが引っ張られて散歩をしていると、犬が急に道路に飛び出して思わぬ事故を起こす、他の犬とのケンカやトラブルに巻き込まれるといった可能性もあります。リーダーウォークは、これらの危険性を未然に防ぐためでもあるのです。
リーダーウォークを行うことで犬が散歩をしたがらなくなるようなしつけ方法は、犬に大きなストレスがかかります。楽しく散歩をしながら、飼い主さんの指示に従うことが大切です。
【実践】「リーダーウォーク」のしつけ方
ここからはリーダーウォークのしつけの方法をご紹介します。しつけ方法にはさまざまなアプローチがあります。今回は簡単にできる方法をご紹介しますが、犬の散歩時のひっぱりが強く、飼い主さんが引きずられるようなケースでは、専門のドッグトレーナーの訓練が必要な場合もあります。犬は散歩の時間、歩くだけでなく外のさまざまな匂いを嗅ぎ、他の犬と触れ合うことが大好きなので、外に出て興奮するのは当然のことです。
しかし、犬の瞬間的な飛び出しや強いひっぱり癖は、飼い主さんと愛犬だけでなく、街の通行人にも思わぬ事故が起こる可能性もあるので、事故が起こる前にドッグトレーナに相談することをおすすめします。
引っ張る原因の1つとして、飼い主さんが犬を前に引っ張らせるようなリードの握り方をしている場合があります。リードを使って犬と歩くときは、飼い主さんがリードをしっかり握ります。リードの正しい握り方は、リードの輪っかの部分に右手の親指をかけてリードを垂らした状態で握ります。さらに左手でリードを上から掴むようにして持ち、両手を使って犬をコントロールしましょう。
犬の交通事故を防ぐために、基本は犬を飼い主さんの左につけますが、反対の場合は左手の親指に輪っかを通して、右手で上からリードを掴みます。このリードの持ち方をして、リードを緩めて歩くことを目指します。常にリードがピンと張った状態では、リーダーウォークのしつけの方法の効果が発揮できません。また伸縮性のあるロングリードは犬の自由な行動範囲を広げるので、ひっぱり癖のある犬は使用するべきではありません。
基本的なしつけの方法
リーダーウォークの基本的なしつけの方法は、リードをたるませた状態にさせて、犬が勝手な方向に行こうとしたら、飼い主さんは声をかけずに無言で正反対の方に引き返します。左の方に行こうとしたら右へ、右の方に行こうとしたら左へ、くるっと回って逆方向に行くことを繰り返し徹底して行います。
簡単に説明すると、犬にリードを引っ張らせずに、犬が引っ張ろうとする方向と反対の方向に誘導することを繰り返し、飼い主さん主導で行き先を決めて散歩をさせることです。上記で説明した正しいリードの持ち方に変えることで、ひっぱりがおさまることもあります。
大きく引っ張ることが少なくなり、軽く引っ張るようになってきたら、犬が勝手な方向に行こうとしたときに、人間の腕や洋服の裾を軽く引っ張るような強さで手首のスナップを使って、1回、または2回軽くリードを引きます。犬が飼い主さんの方に近づいたか、勝手に行くのをやめたら「いいこ」と褒めることを繰り返すことで、リードーウォークを学習させていきます。
練習を始めて間もない頃は、前に進み後ろに下がりを繰り返して、お散歩が進めないかもしれませんが、人間もイライラせず我慢して徹底して行います。全く散歩にならないという場合は、まずは静かな公園などで集中してリーダーウォークを学ぶ短い時間を作って練習を行い、ひっぱり癖を弱くしていきます。
その犬の引っ張る状況によっても異なりますが、飼い主がリードを両手で綱引きをしてグイグイ引っ張られるような強いひっぱり癖のある犬に対しては、飼い主さんがひっぱり返すことで、より抵抗してひっぱり癖が強くなるので、こういった場合は、引っ張ってどうにかしようとするのではなく、大好きなおもちゃをポケットに忍ばせておいて、いうことを聞かなくなったらおもちゃで遊ぶほうが楽しいよ!ということを教えることで、ひっぱるよりもおもちゃに集中することが、結果的に飼い主さんへの集中に繋がり、お互い無駄な力比べをする必要がなくなります。これでも集中が取れない、暴走するという場合は、早い段階でドッグトレーナーに相談することをおすすめします。
おやつを使ったしつけの方法
おやつを使って興味を引かせることで集中を取り、リーダーウォークをさせるしつけ方法もあります。
1.まず飼い主さんがリードを常にたるんだ状態にさせておき、おやつを犬の鼻につけて与えることを繰り返し、集中を取らせ、引っ張らないようにコントロールします。
2.犬が集中して歩けるようになってきたら、「いいこ」と褒めながら、鼻につけたおやつを与える頻度を少なくしていきます。
3.さらに上手に歩けるようになってきたら、おやつを鼻につけるのをやめて、ときどきおやつを与えるようにし、ひっぱりそうになったときだけおやつで集中をとるか、手首を使って軽くリードを引いてコントロールをし、最終的にはおやつがなくても引っ張らずに歩けるようになることを目指します。
成犬への「リーダーウォーク」のしつけの方法
成犬のひっぱり癖は、子犬の頃から飼い主さん主導でのお散歩をしてこなかった、基本的な犬のしつけができていない、飼い主さんが犬をコントロールできていない、散歩への興奮が高すぎるといった理由で起こります。基本的なリーダーウォークのしつけの方法を行っても効果がみられない、対処できない場合は、補助器具を用いて、矯正をすることもしつけ方法の1つです。補助器具には、首輪、イージーウォークハーネス、ジェントルリーダーといったものを使うことで、効果的にリーダーウォークの学習を行うことができます。しかし、補助器具は、正しい使い方を行わないと犬が逃走したり、事故や怪我に繋がります。対処できない犬に対してはドッグトレーナーに犬のひっぱり癖を相談するか、補助器具の正しい使い方のレクチャーを受けることをおすすめします。
まとめ
犬と暮らすということは、飼い主さんが毎日一緒にお散歩に行って運動をさせてあげることが必要です。お散歩も人間と犬のコミュニケーションの1つです。犬が自分勝手の方向に引っ張ってお散歩をするのではなく、飼い主さんと一緒に歩くことができるようになることで、犬のわがままや思わぬ事故を防ぐことが出来ます。人間と犬との関係性のためにも「リーダーウォーク」は大切です。
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