ボーダー・コリーは、頭が良い牧羊犬として広く認知されています。ボーダー・コリーは、1日の運動量を多く必要とする犬種のため、お散歩やボール遊びが必要ですが、運動させすぎることで、関節の病気にかかりやすいので注意が必要です。今回はボーダー・コリーのかかりやすい病気についてご紹介していきます。
ボーダー・コリーの特徴
ボーダー・コリーは牧羊犬として有名な犬種です。原産はイギリス(スコットランド)で、体重が14〜20kg、体高は46〜53cm、瞬発力に優れており、パワフルなところが特徴です。非常に頭がよく、さらに高い運動能力を持っているため、フリスビードッグや、アジリティードッグとしても活躍しています。 ボーダー・コリーは、動きたい!走りたい!構って欲しい!という気持ちが強い犬種なので、この欲求を満たすために、通常の犬種と比較すると、お散歩やボール投げといった方法で、多くの運動量を消費させることが必要です。反対に運動量の消費やコミュニケーションが少ないと、ストレスを抱えて問題行動を引き起こす可能性があるので、注意しましょう。
ボーダー・コリーのかかりやすい病気①股関節形成不全
股関節形成不全は、生まれつき股関節が緩い場合に、成長とともに関節が外れてしまう「亜脱臼」を起こす関節の病気です。骨盤と大腿骨を噛み合わせる関節にぐらつきがあることで、関節や軟骨がすり減っていき、重症の場合は日常の生活に関わる問題となります。
症状
初期症状はありません。徐々に関節に負荷がかかっていくと、歩き方や走り方が変である(腰を左右に振って歩く、ウサギのような走り方をする)、階段を嫌がる、びっこをひく(跛行)、関節からクリック音がする、痛がる、動かなくなる、歩けなくなるといった症状に変化していきます。成長期に症状が現れても、成犬になって症状が止まることもよくありますが、飼い主さんがしっかりと股関節形成不全であることを認識し犬の管理を行わないと、加齢に伴い再び関節の動きが悪くなる傾向があります。
原因
股関節形成不全は、遺伝的な素因があるといわれています。この素因に肥満で体重が重い、走らせすぎといった運動過多、日常的に股関節に負担のかかる動作をしているといった原因が加わることで、症状が現れて悪化していきます。ボーダー・コリーは特に猛スピードで走り、急旋回するなど激しい動きをする犬種なので、股関節形成不全の症状が現れやすい傾向があります。
治療方法
大きな症状がみられない場合は、鎮痛剤や関節を保護するサプリメントを与えて、症状が悪化しないように状態を維持します。大切なことは、成犬になって症状がおさまっている状態でも、体重管理や生活動作で負担をかけないようにする、無理のない範囲で筋肉量を維持させることです。リハビリ(ハイドロセラピー、マッサージ、筋力トレーニング)やレーザー療法、温熱療法などのアプローチもありますが、重症の場合には手術を行います。 股関節形成不全の犬を増やさないためには、繁殖のコントロールが最大の予防方法です。繁殖予定の犬は、股関節のレントゲン撮影とチェックを行い、股関節形成不全でない犬を繁殖犬とするべきです。
ボーダー・コリーのかかりやすい病気②CL病(セロイド リポフスチン症)
CL病(Ceroid Lipofuscinosisの略)と呼ばれるセロイドリポフスチン症は、ボーダー・コリーに多く見られる脳の病気です。脳の老廃物を除去することができなくなり脳に障害を与え、進行性の運動、知的、視覚障害を起こし、死に至ります。
症状
生後から2年程度経った頃に発症しますが、2歳頃までに突然の不安やパニックを起こす、視力の低下、足のつっぱり、跛行、攻撃的になる、方向感覚の麻痺、麻痺、痙攣、異常行動がみられるケースがあります。この症状から徐々に進行し、死に至ります。
原因
先天的な脳の病気であるCL病(セロイドリポフスチン症)は、遺伝的な原因により発症します。父親・母親ともにCL病の遺伝子を持つ親から生まれた場合は、必ず発症するか、潜在的にCL病の遺伝子を持っています。どちらかの親がCL病の遺伝子を持つ場合は、全てではないものの生まれた子犬は潜在的にCL病の遺伝子を持つことになります。父親・母親の出どころがわからなかったとしても、これらは幼児期のDNA検査で、潜在的にCL病の遺伝子を持っている子犬かどうかの判別ができます。
治療方法
一度発症すると、治療方法がなく死に至る非常に危険な病気です。なんらかの症状が現れるまで、犬の見た目ではわからないので、きちんと検査を受けたボーダー・コリーの犬舎から犬を購入し、繁殖させる場合は、必ずCL病の検査を行い素因がある犬を繁殖犬として使用しない、繁殖を行う場合は、CL病の遺伝子を持たない犬同士の交配を行うことが最大の予防方法です。
ボーダー・コリーのかかりやすい病気③コリーアイ症候群
コリーアイ症候群(コリー眼異常)は、ボーダー・コリーを含むコリー種や、シェットランドシープドッグで見られる目の病気で、さまざまな眼の組織に異常を起こします。
症状
ものにぶつかる、急に驚くといった視力の低下が認められます。網膜血管の蛇行や、網膜の上に青白い斑点が見られ、進行すると網膜出血や網膜剥離を起こして失明してしまう可能性があります。生まれつき視力が悪い個体や、眼球の大きさが小さい個体も見られますが、犬の目を前から見たところでは異常がなく、コリーアイ症候群によって視力が低下するまで飼い主さんが気づかないケースもあります。軽度から重度まで症状はさまざまで、進行性の病気のため、若い犬でも失明をする可能性が高いです。
原因
コリーアイ症候群は先天性の目の病気で、常染色体劣性遺伝が関係しています。
治療方法
治療方法はないとされています。このため、眼の検査を行うことと、遺伝的にコリーアイ症候群の可能性のある血統を持つ犬を繁殖犬にしないことが最大の予防方法になります。
まとめ
ボーダー・コリーのかかりやすい病気はこの他にも肩骨軟骨症、白内障、難聴、てんかん発作、慢性表在性角膜炎(パンヌス)などがあります。人間も犬も、ストレスは病気のもととなります。ボーダー・コリーを家族に迎える場合は、運動量の多さやボーダー・コリー特有の病気についてチェックしておくことをおすすめします。
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