犬に関わるボランティアはさまざまな種類や団体があります。特に犬が大好きな方にとって犬のボランティア活動は大きなやりがいのあるものとなるでしょう。今回は、犬に関わるボランティアというものはどんな種類があるのかについてご紹介します。
助けを必要としている犬に関わるボランティアの現状
「犬に関わるボランティア」には、さまざまな種類があり、さらに各団体での活動、個人的な活動と多岐に渡ります。大きく分けると、実際に助けを必要としている犬達のために、各団体に直接関わって活動をサポートするボランティアを行う場合と、寄付金や募金を行ったり、支援物資を送るといった個人的な活動を行う場合の2つに分けることができます。
各団体へのボランティア活動では、保護犬などのシェルター、障がい者支援と補助犬の育成のための活動、被災犬のための活動、捨て犬や殺処分される犬を減らすための活動、犬の散歩を通じて地域の安全を守る活動(わんわんパトロールなど)が挙げられます。
個人的なボランティア活動では、募金箱に募金する、寄付金や支援物資、いらなくなった犬具を必要な人や団体のもとへ送る、SNSを使った活動などが挙げられます。
各団体のボランティア、個人的なボランティア、どちらにしても活動にはお金と時間、そして人手が必要です。企業などの支援がない団体では、寄付金で活動している現状があります。
様々な犬のボランティアの種類
ここからは犬に関わるボランティアの例をご紹介します。
金銭面で支援するボランティア
犬に限らず、動物を扱うボランティア活動は、命ある動物に対して、今日は犬のお世話はしないという無責任なことはできません。毎日犬にご飯をあげて、犬舎や部屋を掃除して、ウンチやおしっこのお世話をして、運動させ、体調管理に気をつけて、とやることは山のようにあります。
特にドッグフード代、ペットシーツ、医療費、避妊去勢手術の費用、フィラリア予防、ダニノミ予防、狂犬病予防注射、混合ワクチン、シャンプー、電気代、暖房費などは犬の1頭の飼育に直接関わってくる費用です。これらの費用を金銭面でサポートするボランティアも、団体の運営には欠かせません。
各団体へ直接寄付する、または募金箱に募金するといった個人的なボランティア活動も犬のためとなります。
物品で支援するボランティア
犬の物品を自分の支援したい団体に送るボランティアや、災害のあった被災地の物資受け入れを行っている団体へ物品を送るボランティアもあります。ただし、被災地への支援物資は、きちんと受け入れを行っているか確認してから送らないと、現地で活動している方や被災した方達に大きな迷惑となります。
災害発生時の支援物資を送るボランティアや大きな飼育崩壊のあった保護犬のレスキューを行っている団体への支援物資ボランティアは、必要な物資の状況がどんどん変わります。今現地で活動している人達が求めている物資は何なのかをきちんと把握することはもちろん、期限切れのドッグフードなどや送られても困るような物品は、決して送らないでください。
搬送ボランティア
搬送ボランティアは、一時的に保護している場所からシェルターや施設に犬を運んだり、動物病院の診察のための移動、里親希望者やトライアル(お試しのお泊まり)の家族のもとに犬を搬送するために、自分の車を使って犬を移動させるボランティアです。移動費(ガソリン代など)は支給される場合もありますし、その費用自体も支援のために自費で行うことが必要な場合もあります。
保護犬施設の業務を手伝うボランティア
捨て犬や迷子犬、飼育放棄などが理由で保護犬となった犬達のお世話やシェルターの施設の業務を手伝うボランティアもあります。ボランティア内容は多岐に渡り、事務作業、募金活動、SNSなどのインターネットに関わる作業、譲渡会の運営、卒業した犬達のフォロー、犬の食事や掃除などの犬のケアを直接行う作業など幅広いボランティア活動があります。
保護犬一時預かりボランティア
保護犬を全て施設で飼育することは、資金面や施設の確保、スタッフの人数の問題などから難しい現実があります。新しい飼い主さんが決まるまでの間、ボランティアさんが保護犬と一緒に暮らす一時預かりボランティアは保護犬の活動になくてはならない存在です。譲渡会などに出て、新しい飼い主さんが決まるまでサポートしながら犬を預かることも、保護犬に関わる大切なボランティアです。
特に、一斉に保護犬が発生する、大規模災害、多頭飼育崩壊現場では、シェルターなどの施設には一度に大量の保護犬がやってきます。ここで、各団体に事前に登録している一時ボランティアさんの役割は大きいものとなりますが、心に問題を抱えた犬達や病気を抱えている犬も多く、ただ可愛いという理由で一時預かりボランティアを行うことは、脱走や事故が起こりやすく非常に危険です。一時預かりボランティアは、基本的な犬の知識がある方、傷ついた犬の心とからだのケアを行える方、新しい飼い主さんと出会うためのしつけを楽しく行える方におすすめです。
里親になるボランティア
保護犬を扱う団体の譲渡会などに参加して、保護犬を引き取り、里親になるボランティアは、一時預かりボランティアと同様に、ただ可愛いという理由だけではおすすめできません。例えば、一度飼い主に捨てられて保護された犬が、再び捨てられ深く傷つくようなことがあってはならないという気持ちが必要なボランティアです。
保護犬の中には飼い主に虐待されていて、心にトラウマを持った犬もいます。からだが不自由な犬もいます。深刻な病気にかかっている犬もいます。もし、里親ボランティアをやってみようと考えている方は、これらの問題を全て受け入れる気持ちと、最期の時まで家族の一員として責任を持って飼育する気持ちを持って保護犬と接することが大切です。
災害救助犬ボランティア
災害救助犬は、地震や台風、水難事故、土砂崩れ、雪崩などの災害で行方不明になった人を捜索する犬ために特別な訓練を受けている犬のことをいいます。災害救助犬は人命救助に関わる活動を行う犬ですが、実際に災害現場に向かう費用、現地での食事、捜索活動期間のハンドラーの生活など大きな費用がかかります。
災害救助犬にかかわるボランティア活動は、各団体での募金活動、イベントの運営、災害救助犬のPR活動、犬舎や施設のお掃除など幅広い業務があります。個人的に賛同した団体への寄付や街頭募金、ネット募金などでの支援もできます。
また団体によっては、8歳程度で引退した犬達を里親として引き取るボランティアを募集しているところもあります。
犬関係イベント手伝いボランティア
さまざまな犬に関わる団体で、イベントのお手伝いボランティアを募集しているのを見かけます。これは、例えば犬の飼育や育成に専門的な技術のあるスタッフが他の業務に追われて、イベント会場や譲渡会会場などにスタッフが足らないという理由も考えられます。
イベント会場でのボランティアはブース内での販売や、PR活動、募金箱の管理、犬の安全管理、物品の搬入、会場設営などさまざまな役割があります。
パピーウォーカー(パピーファミリー)
体に障がいのある人の目や耳、手足となって働くように訓練された補助犬には「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」があります。これらの育成団体に登録して行うパピーウォーカーは、子犬を預かり、成犬になって施設に入所するまでの期間、一般の家庭で暮らし、犬が人間を好きになり、犬に人間との生活を教え、さまざまな経験をさせるボランティアをいいます。
可愛い子犬の時期から1歳程度まで犬を預かるボランティアですが、補助犬の候補犬として入所する犬を預かるので、社会化期と呼ばれる犬の性格の形成に関わる大切な時期から、成犬になるまでを共に過ごすという、補助犬の育成のために重要なボランティア活動です。
家から巣立ち、訓練を終えて、いつか自分の家で過ごした犬が補助犬として活躍する日が来るかもしれませんが、パピーが成犬となったら、家を巣立つお別れの日がやってきます。お別れの日は寂しい気持ちを感じることを心に決めてボランティアをする必要があるでしょう。
コース・チェンジ犬ファミリー
パピーウォーカー(パピーファミリー)と呼ばれるボランティアさんのもとを巣立ち、入所した補助犬の候補犬は、適性がなかった場合、無理に訓練を続けることはありません。育成団体が候補犬の個性を判断し、補助犬の訓練を進めずにコース・チェンジ犬ファミリーのもとで一般の家庭犬として暮らす犬もいます。
コース・チェンジ犬ファミリーのボランティアを希望する場合は、条件がある場合もあるため、補助犬の育成団体に募集を行っているか問い合わせてみる必要があります。
引退犬ファミリー
補助犬として活躍して引退した犬、PR犬として活躍した犬を預かり、その犬が亡くなるまで共に過ごすという、引退犬を引き取るボランティアもあります。引退犬を引き取り、その犬が年を重ねれば、犬の排泄のお世話や食事の介助など、犬の介護を行う必要も出てきます。引退犬のボランティアは、責任を持って最期の時まで犬と共に過ごす気持ちと引退した犬への感謝の気持ち、そして犬への愛情がなければできないボランティアでしょう。
補助犬の繁殖犬飼育ボランティア
補助犬の中には保護された犬を訓練するケースもありますが、補助犬に適正のある犬を繁殖して訓練している団体もあります。団体によっては、ブリーダーから購入したり、繁殖を行って訓練する子犬を確保しています。繁殖犬と呼ばれるオス犬、メス犬を預かり、要請があれば一時的に団体に引き渡すボランティアや、ボランティアのお家で出産を行い、子犬を育てるボランティアもあります。
繁殖ボランティアは犬の命に関わるボランティアなので、専門的な知識を持って犬と向き合うことが必要です。各団体によって募集している団体も募集を行っていない団体もあります。興味がある場合は支援したい補助犬の団体に連絡をしてみると良いでしょう。
ボランティアに参加するにはどうしたらいい?
犬に関わる団体のボランティアに参加したい場合は、勇気を出して支援したい団体に問い合わせてみましょう。既に活動の経験のある人が身近にいる場合や、イベントに足を運んでみて実際にボランティア活動について話を聞ける機会があれば、活動内容やどんなボランティアができるのか、直接聞いてみることをおすすめします。
ボランティアに参加する際に持っていくべき持ち物
ボランティアに参加する際の持ち物は、事前に活動を行う団体に確認をして、忘れ物がないようにしましょう。感染症の予防のために、マスクやゴム手袋なども必要な場合もあります。基本的に動物を扱うボランティアなので、動きやすい服装や、動きやすい運動靴が良いでしょう。シェルターの犬舎のお掃除などで洋服が汚れる可能性がある場合は、汚れても良いエプロンやヤッケ、着替えが必要な場合もあります。
まとめ
ボランティア活動を行う際には、支援する団体のルールや規約に従って行動しましょう。自分勝手な行動が、団体のスタッフや犬達、他のボランティアさんに迷惑をかけることもあります。例えば、保護犬に触れたり、お世話をしたり、直接扱う場合は、一般の家庭犬のように人に慣れた犬ではない可能性もあることをしっかり認識し、犬が思いもよらない突発的な行動を起こす可能性があることを想定した行動をとりましょう。
犬に関わるボランティアをやってみたい!そう思ったら勇気を出して一歩を踏み出してみましょう!どんな団体なのか、しっかりと下調べしてボランティアを行うことをおすすめします。
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