犬の歯みがきなどのデンタルケアは歯周病の予防や健康寿命を延ばすために重要だといわれています。犬の歯みがきはなぜ必要なのかを理解すると、愛犬の歯の状態を確認してみよう、歯みがきをはじめてみようと飼い主さんの意識がきっと変わるはずです。
連載企画の第1回目は、日本各地のさまざまなイベントなどで、飼い主さん向けにペットの歯みがきの普及活動を行っている日本ペット歯みがき普及協会の赤津さんに「犬の歯みがきの重要性」についてお話しいただきました。
日本ペット歯みがき普及協会の活動とは
日本ペット歯みがき普及協会 代表理事:赤津徳彦さん
トーラス株式会社代表取締役社長。これまでに数千頭の以上のペットに歯みがき教室を実施。『歯ミガキマン』として日本全国で歯みがき教室やセミナーなどの勉強会も開催している。
ーーまず最初に、日本ペット歯みがき普及協会の活動についてご紹介をお願いします。
赤津さん:「はじめまして、日本ペット歯みがき普及協会の赤津です。私は『歯ミガキマン』として、日本各地で飼い主様への歯みがきの普及活動を行っています。
これまでに、ペットショップなどの店舗や日本最大級のペットイベントであるインターペット、その他各地域のワンちゃん向けのイベント会場などで行う『歯の磨き方指導』など、飼い主さんへのマンツーマンの指導や会場でのセミナーのほかにも、過去には猫ちゃんやシニア犬向けなどのオンラインセミナーを実施してまいりました。
当協会には、獣医師やしつけトレーナーもいることから、さまざまなお悩みに対してスペシャリストが回答することができるところが強みです。どうぞよろしくお願いいたします。」
犬の歯みがきが必要な理由
多くの飼い主さんは「愛犬のデンタルケアは大切」ということをなんとなく理解されている方も多いと思います。しかし、歯みがきをする理由についてはよくわからないという方もいらっしゃるかもしれません。そこで、赤津さんに犬の歯みがきが必要な理由についてお聞きしてみました。
――犬の歯みがきは大切だといわれますが、そもそも犬の歯みがきはなぜ必要なのでしょうか?
赤津さん:「まず、人と違って犬は自分では歯みがきができないことです。飼い主さんが愛犬の歯みがきをしてあげないと、ペットは健康を守れません。
やりたいけどできない・・・を無くすことで、多くのペットの健康寿命の延伸ができると私は信じています。そして、ペットたちが生涯にわたって、笑顔溢れる毎日を過ごせてもらえたらと思っています。」
――確かに、犬の歯周病が進行すると、好きだったおもちゃで遊べなくなったり、硬い物が食べられなくなっていくことも考えられますよね。飼い主さんのお手入れに愛犬の健康寿命を延ばす可能性があるというのは重要ですね。
事実、多くの犬たちが既に歯周病になっている
――犬が歯周病になりやすい理由はありますか?
赤津さん:「犬が歯周病になりやすい理由として、犬の口腔環境がアルカリ性であることから、歯みがきをしないと2、3日で歯周病菌が繁殖するということが大きいです。また、歯周病は小型犬に多い傾向がありますが、歯みがきをしてもお口が小さい犬の歯をしっかり磨くことが難しいというのもその理由のひとつに考えられます。
また、3歳以上の犬の約8割が歯周病予備軍であるともいわれていますが、現在日本で飼育されている犬のうち、半数が7歳以上とシニア犬の割合が多いということも歯周病の犬が多いといわれる大きな要因の1つだと思います。」
犬の歯周病を予防する方法
――犬の歯周病を予防するために飼い主ができることはありますか?
赤津さん:「飼い主さんができることとして、毎日愛犬の歯を磨く習慣をつけること、歯垢が付きやすいものは与えないこと、常にお皿に新鮮な水を置いておくこと、おもちゃの清潔を保つことなどがあげられます。」
犬の歯に歯垢が付きやすい食べ物がある
――犬の歯周病を予防するために注意したほうがよい食べ物などはありますか?
赤津さん:「ビスケットやボーロなどの柔らかいものは、人間と同様に歯垢になりやすいので愛犬に与える際には注意が必要です。このため、飼い主さんが愛犬の歯みがきをすることができない場合、犬の歯垢が付きやすい食べ物を与えることはおすすめできません。また、犬に硬すぎるものを長時間与えると歯が折れる危険性があるので、必ず飼い主さんがみていてあげることが必要です。」
上手な歯みがきへの第一歩、愛犬のマズルに触れるようになろう!
――愛犬の歯みがきはやったことがないとはじめるのは一苦労される飼い主さんも多いのではないかと思います。これから愛犬に歯みがきをする習慣をつけるための最初のステップとして、どのように歯みがきを行えばよいですか?
赤津さん:「最初は愛犬のマズルを触ることから始めましょう。間違っても、歯ブラシ持って正面から無理やり愛犬を押さえつけて、ゴシゴシ磨こうとするのは避けてください。
次に、遊びながらや犬の後ろ側からやさしく犬歯を触る、褒める、触る、褒めるということを繰り返していきましょう。飼い主さんの笑顔が愛犬にとっての一番の喜びになります。
歯みがきシートや歯ブラシで磨く前には、これらのアイテムのニオイを愛犬に嗅がせて安心をさせてあげてから少しずつ磨いてください。注意点は、強く、長く磨かないことです。」
――無理に押さえつけない、触って褒める、という繰り返しが上手な歯みがきの第一歩なのですね。赤津さん、ありがとうございました!次回のコラムもお楽しみに!
お問い合わせ先
各地で行われている愛犬の歯の磨き方教室のイベント開催については公式サイトからご確認ください。
Instagram:@hamigakikdog_cat
facebook:@一社)日本ペット歯みがき普及協会
監修獣医師
《獣医師》石野 孝(いしの たかし)先生
出身地 :鎌倉市
麻布大学大学院修士課程修了。
中国内モンゴル農業大学にて中国伝統獣医学(鍼灸、漢方)を学び、かまくらげんき動物病院を開業。最新の西洋医療と伝統的な東洋医療を融合させた動物に優しい治療を実践している。
国際中獣医学院日本校理事長、中国南京農業大学教授、中国聊城大学教授、内モンゴル農業大学動物医学院特聘専家、四川農業大学特別教師、 中国伝統獣医学国際培訓研究センター名誉顧問、一般社団法人日本ペットマッサージ協会理事長、日本メディカルアロマテラピー動物臨床獣医部会理事長等歴任。その他、日本アニマルウェルネス協会理事、アジア伝統獣医学会(アジア中獣医学会)理事長、ペットエステティック国際協会、台湾ペット発展協会理事、一般社団法人日本ペット歯みがき普及協会理事。
取材協力/提供画像:日本ペット歯みがき普及協会
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