ラブラドール・レトリバーがかかりやすい病気には、悪性リンパ腫、外耳炎、股関節形成不全、胃捻転などが挙げられます。ラブラドール・レトリバーは頭が良く、元気一杯で活動的、人間に従順で社交的なことから、世界中で人気の高い犬種です。今回は、ラブラドール・レトリバーのかかりやすい病気についてご紹介していきます。
ラブラドール・レトリバーの特徴
ラブラドール・レトリバーは、イギリス原産の犬種です。体重は25〜34kg、体高は54〜57cmの大型犬で、短い被毛が特徴で、毛色はイエロー、茶色、黒、の3種類あります。頭が良く性格は穏やかで飼い主に従順で、社交性もあります。その為大型犬でありながら飼いやすいので、世界中でも人気があり、盲導犬に使われる犬種として認知されています。水が大好きで泳ぎも得意です。
ラブラドール・レトリバーに多い病気①悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は悪性の腫瘍(ガン)でラブラドール・レトリバーに多い病気です。悪性リンパ腫は、リンパ球がリンパ節、肝臓、脾臓、骨髄といったからだのさまざまな部位で腫瘍化する病気で、治療を何もしないと1〜2ヶ月程度で死に至ります。多中心型と呼ばれるリンパ節の腫大だけでなく、消化器型リンパ腫、皮膚型リンパ腫、胸腺型リンパ腫、節外型リンパ腫といったからだのさまざまな場所で腫瘍化する病気です。
症状
飼い主がからだを撫でていたり、シャンプーやブラッシングをしている時にリンパ節の腫れに気がついてわかることが多いです。腫瘍の肥大、元気がなくなる、食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、発熱といった症状が挙げられます。リンパ腫の腫大した場所によっては、血便、呼吸困難といった症状も認められます。
原因
犬種によっては悪性リンパ腫にかかりやすい傾向があることがわかっていますが、犬が悪性リンパ腫になる原因は、まだ解明されていません。一説にはストレスやタバコの煙といった可能性も考えられるとされています。
治療方法
治療を行わないと死に至る病気です。悪性リンパ腫は抗がん剤による化学治療が効果的です。早期に発見された悪性リンパ腫は化学治療を行うことで、延命できる可能性があります。しかし、病気の進行がすでに末期の場合は、治療を行うことで、犬のからだに大きなダメージを与えることも考えられるので、治療方法の選択は難しいとされています。ケースによっては放射線治療も行う場合がありますが、完治を目指すよりも犬のQOLを維持し、延命させるための治療です。
ラブラドール・レトリバーに多い病気②外耳炎
外耳炎は耳の中の外耳に炎症が起こっている状態を言います。耳の中に雑菌が繁殖する、アレルギーや異物による刺激で炎症が起こります。
症状
耳を痒がる、頭を振る、耳を床やベッドに擦る、耳が臭い、耳を触るとグチュグチュと音や汁が出る、触ると痛がるという症状が認められます。
原因
耳の中に耳垢が溜まったり、細菌、真菌といった雑菌が繁殖することで犬の外耳に炎症を起こします。特にラブラドール・レトリバーのような耳が垂れている犬種では、耳の通気が悪く外耳炎になりやすい傾向があります。ミミヒゼンダニが寄生することで外耳炎になるケースもあります。アレルギーやアトピーを抱える犬も外耳炎になりやすいです。
治療方法
外耳炎は悪化すると炎症が耳の外耳から奥に拡がって、中耳炎や内耳炎を引き起こすこともあるので、注意が必要です。耳の洗浄と点耳薬、投薬での治療を行い、ミミヒゼンダニがみられた場合はダニの駆虫剤を使った治療を行います。
ラブラドール・レトリバーに多い病気③股関節形成不全
股関節形成不全はラブラドール・レトリバーに多い関節の病気です。股関節の異常によって関節が不安定になることによってさまざまな症状を引き起こします。
症状
左右に腰やお尻を振った歩き方をする(モンローウォーク)、うさぎ跳びのような走り方をする(バニーホップ)、犬が伸びをする際や日常的に関節のクリック音がする、階段を嫌がる、横座りが癖になっている、びっこをひいて歩く(跛行)、走る、ジャンプするといった動作をしなくなる、前脚よりも後ろ足の幅が狭い、痛がるといった症状が認められます。
原因
骨盤と大腿骨が正しい位置で股関節におさまらないことで、亜脱臼を繰り返し起こし、関節や軟骨に異常をきたす病気です。遺伝的な要素が強く、さらに子犬からの運動、日常動作、体重管理、栄養過多、生活環境によってより高い確率で股関節形成不全を発症します。
治療方法
股関節形成不全は、大型犬に多くみられる病気です。軽症の場合、成長期に発症し成犬になると症状がおさまるケースが多いです。しかし成犬から高齢犬になるとともに、また症状がみられることが多く、若い頃に軽度の股関節形成不全がみられた犬は、日常の生活環境や生活習慣で股関節に負担がかからないようにすることが症状を出さないための方法です。 軽度の場合は、安静させ投薬治療を行い、必要によってはサプリメントの投与やリハビリや、レーザー治療、温熱治療、ハイドロセラピーといった理学療法を行います。重症の場合は、手術を行います。 股関節形成不全は遺伝的な病気なので、股関節形成不全と診断された犬は繁殖犬に使わないことが一番の予防策です。
ラブラドール・レトリバーに多い病気④胃捻転
胃捻転は胃拡張胃捻転症候群といわれ、ラブラドール・レトリバーなどの大型犬に多くみられる病気です。胃捻転は対処が遅れると死に至ります。
症状
食後1〜5時間ほどで、急に犬の腹部に拡張が起こり、ゲップや吐き気が起きても嘔吐できず、大量のよだれを垂らし落ち着きなくウロウロとし始めます。処置を行うことができず時間が経過すると元気がなくなり、血圧低下、頻脈、呼吸が荒くなる、ショック状態を起こすなどの症状が認められます。
原因
食事を早食いし、食後運動をすると胃捻転胃拡張症候群になりやすいといわれています。胃が捻転することで、胃で作られたガスが排出出来なくなることで、腹部の拡張が進行してお腹が膨れます。さらに胃の拡張が血管を圧迫することで心臓への血流が少なくなりショック症状が起こります
治療方法
胃捻転の治療方法は、腹部が膨れる原因である胃の中に溜まったガスを取り除きます。胃の中にカテーテルチューブを通してガスを出すか、からだに直接針を刺して外しガスを逃がすか、胃の手術によって胃にかかった圧力を解放させます。
まとめ
ラブラドール・レトリバーのかかりやすい病気は、外耳炎から悪性リンパ腫までたくさんあります。胃捻転はラブラドール・レトリバーと暮らす中で注意すべき病気で、胃捻転は飼い主さんが食後犬に運動をさせないことを徹底することで、胃捻転になる確率を低くすることができます。愛犬の犬種に特有の病気を確認しておくことで、万が一愛犬が病気になったときにも役に立ちます。
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