ワンちゃんがウンチをして、においを嗅ぎに行ったと思ったら「パクッ!」と食べる瞬間を目撃してしまった!お留守番から帰ってきて、ウンチをした形跡はあるけれど、そこにあるはずのウンチがない。こんな経験はありませんか?
人間と暮らしているワンちゃんの食糞は、出来ることならばやめさせる方がよいでしょう。今回は犬の食糞をどうやめさせるかについてご紹介いたします。
犬の食糞とは
食糞とは字のごとく、排泄したウンチを食べてしまうことをいいます。食糞は自分のウンチだけでなく、他のワンちゃんがしたウンチや、犬ではない他の動物のウンチも食べてしまうケースもあります。
外でウンチを食べてくる習慣のある犬は、寄生虫が含まれたウンチを食べることも考えられるので、食べさせないようにしたいものです。
犬はなぜ食糞をするの?
食糞の癖があるワンちゃんの飼い主さんは、どうして食糞をするのだろうかと悩まれるケースが多いです。しかし犬は、ウンチを食べることもある動物なのです。犬の食糞の原因は、犬の本来の生態(本能)にある場合と、他の原因によって起こる場合があります。食糞は、好奇心旺盛の子犬で多くみられます。
子犬が成長して他の刺激に興味がいくようになり、自然に食糞をしなくなる犬もいますが、成犬でも継続してみられるケースも多いです。
犬は本能でウンチを食べている
それでは、犬の本能と食糞について考えてみましょう。
野生の母犬が子どもを生んだとします。生後間もない子犬達は、まだ目も耳も機能していません。子犬達は母犬の匂いを頼りに、母犬のからだの近くや子犬達同士でくっつき合って、おっぱいを飲んで寝て過ごします。このとき母犬は、子犬達のお尻を舐めて、おしっこやウンチの排泄を促し、子犬達から出たおしっこやウンチの排泄物を食べるのです。
このように犬は食糞をする本能を持っていて、子犬に排泄をさせること、からだを清潔にすること、子犬達の排泄物を食べて臭いを消すことで、外敵から巣が襲われないように自然に子犬達を守る行動をとります。
さらに、子犬が成長すると授乳だけでなく母犬は自分の胃の内容物を吐き戻して、子犬達に離乳食を食べさせます。色んなことに興味を持ち始めた子犬達は、好奇心から何でも口に入れて噛んでみようとするのが子犬の本能です。自分のウンチでも兄弟のウンチでも目の前にあればパクッと口にしてしまう可能性があるでしょう。これが子犬の食糞のきっかけとなっていることが多いです。
また、食欲は本能です。空腹を感じているとき、飢餓状態のときも、食べるものがなければ犬は本能で食糞をする可能性があります。
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犬の本能以外で考えられる食糞の原因
本能以外でワンちゃんが食糞をする原因に、精神的な問題(ストレス)や条件が重なって習慣になる場合もあります。例えば、お留守番が多い、飼い主さんと触れ合う時間が少ない、つまらないといった退屈を感じているケースです。
愛犬とのコミュニケーション不足の生活環境では食糞が起こりやすい傾向にあります。わかりやすくいうと、犬がウンチをするタイミングにその場に誰もいないということです。このため、ウンチは飼い主さんが帰ってくるまでそこに放置され続けて食糞が起きやすくなります。
お留守番の時だけではありません。ワンちゃんがウンチを食べそうになった時に、飼い主さんがやめさせるために「キャー!」「ダメー!」「食べないでー!」と叫んだとします。犬の立場から考えると、ウンチを食べたら飼い主さんが高い声を出して近づいてきた!何だか注目を浴びたような気がする!気を引くことに成功した!という条件が重なったことで、食糞が習慣化するケースもあります。
そうかと思えば、反対にウンチをしているのを、飼い主さんが食べないように近くでじっと立ったまま見張っていることで、犬が緊張してしまい、ストレスがかかりウンチをしてすぐに食べるケース、ウンチをして怒られた、または、ウンチを食べたタイミングで激しく怒られた経験のある犬が、ウンチを隠そうとして食糞するケースもあります。
その他には、栄養や消化酵素の不足を補うためや、膵臓疾患、糖尿病などの病気を抱えている場合、寄生虫に感染している場合、ドッグフードの強いにおいがウンチからしてくるので反射的に食べてしまう、次の食事までの間隔が長い、認知症といった理由が挙げられます。
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犬の食糞をやめさせる原因ごとの解決方法
食糞したワンちゃんの口の中や、上あごにぴったり張り付いたウンチを取り出す作業は大変ですし、口からウンチの臭いも漂います。そのまま飼い主さんの顔をペロペロと舐めさせるのは不衛生ですし、野生で暮らす犬ではないので、人間と暮らすワンちゃんの食糞癖はやめさせる方がよいでしょう。
犬の食糞を解決する方法のポイント
食糞をやめさせる方法はいくつかアプローチ方法があります。共通していえることは、できるだけウンチを素早く片付けることが重要です。
ウンチを放置することで、ワンちゃんがウンチの臭いを嗅ぎにいく時間と食べる時間を与えずやめさせることができます。怒った声を出しながらウンチを片付けることで、ワンちゃんが構ってもらっていると思わないように、決して怒らないでください。飼い主さんが怒ることで萎縮し、今度はいない間にウンチをして食べて隠そうとするかもしれません。
知らないふりしながら、ワンちゃんがウンチをしているのをさりげなくチェックしておくことも大切なポイントです。怒ることと同じく、排泄中に飼い主さんにじっと見られていることが犬のストレスになって、いない間にウンチをして食べるようになる可能性もあるので気をつけましょう。飼い主さんは、ワンちゃんの様子をさりげなく見ていて、ウンチをし終わったらスーッとお掃除するとよいでしょう。
どうしてもウンチをしてすぐ吸い寄せられるようにウンチに近づいてしまう場合は、ウンチをした後におもちゃや、ボールをトイレと反対方向にコロコロと転がして気持ちを紛らわせているうちに片付けるということを繰り返すと、いつの間にか食糞をしなくなることもあります。
どうしても治らない場合、食糞の習慣性が、栄養不足や寄生虫感染、その他の病気を抱えていることが理由の「食糞行動」として現れているケースも考えられるので、やめさせようとしてもなかなか治らないときは、獣医師に相談することで解決へのアプローチが見つかる場合もあります。
ドッグフードのにおいが強くて食べてしまう、食事がきちんと消化されていないのでウンチを食べてしまうといったケースでは、食事量と食事内容の見直しも方法の1つです。
例えば、ドッグフードの量が多すぎて、きちんと吸収できずにウンチになっている、穀物が多くウンチが多い、ドッグフードの質が悪く香料がたくさん添加されているという場合に食糞が起こりやすくなります。食事のケアとしては、消化酵素やサプリメントを与えて苦味のあるウンチに味を変えることで、いつもの味でなくなるので、ワンちゃんが興味を持たなくなる場合もあります。
お留守番中の犬の食糞対策
どうしても愛犬にお留守番をさせなければならないのは仕方のないことです。ウンチをした形跡があるけれどウンチがない、口が臭うといった場合にできる対策方法をご紹介します。
環境や食事を変えて、飼い主さんの忍耐も必要
飼い主さんが帰って来るまで、暇でつまらなくて食糞をしているワンちゃんには、硬く噛むことのできるおもちゃや、おやつを入れて遊べるおもちゃがおすすめです。
排泄したウンチを目の前にただ見ているよりも、魅力的なおもちゃや、ふやかしたフードやおやつをゴムのおもちゃに詰めて凍らせた特製のおもちゃを作って、ケージやサークルの中に入れておくことで、ウンチよりおもちゃへの興味を強くさせて食糞をやめさせます。
飼い主さんが家に戻った際には、ウンチが部屋やサークル内に散らかっていても、怒らず、大きな声を出さずに無言で片付けることで、犬が注目を浴びている、飼い主さんが食糞を喜んでいると勘違いさせないようにします。
その他にもアプローチはたくさんあります。トイレの配置を変えてウンチをさせる場所自体を変えてみる、お散歩で排泄させるようにするなど、生活環境を変えてみることも1つの方法です。
お留守番の時では、ワンちゃんがいつ排泄するかわからないので、食事のアプローチも効果的なケースがあります。ウンチを苦くさせるため、匂いを変えるためにパイナップルやズッキーニをすり下ろして与えると効果があるという報告もあります。ドッグフードの匂いから食糞してしまう場合では、ドッグフードを変える、消化酵素やヨーグルトを与える、サプリメントを与える方法でウンチに変化を与えて試してみるのもよいでしょう。
また食べた!と飼い主さんがイライラしてしまう気持ちを抑えて、徹底して食糞対策を行うことでワンちゃんを混乱させずにやめさせることができます。
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まとめ
ワンちゃんの食糞は人間からすると見ていて不快に思ってしまいますが、犬が食糞をする行動は異常ではありません。ただ、他の犬や動物のウンチを食べることで、寄生虫を食べたり、病気に感染したりすることもあります。
食糞からどんな感染を起こしている可能性があるのかわからない状態の愛犬のウンチを人間が片付けることも、食糞をした犬が人間の口の周りを舐めることも衛生的に良くありません。人間と暮らすにはワンちゃんの食糞は必要のないことですので、できるだけ早くやめさせるようにしましょう。
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