みなさん、ワンちゃんや猫ちゃんの用品をどのように購入されていますか。数年前までは、ペットショップやホームセンター、動物病院などで購入するしかありませんでしたが、現在はインターネットでも購入できる用品が増えており、選択肢が非常に増えました。特にフードに関しては、国内・海外を問わず毎年新しいフードが開発され、販売されています。
その一方で、現在であっても動物病院でしか購入できない商品もあります。
今回は、多数あるペット用品のうち、フードと予防薬について、動物病院で購入できるものと市販されているものの違いを説明していきます。
処方食(療法食)と市販のフード(一般食?)の違い
ペットフードの規格には、「総合栄養食」、「間食」、「療法食」、「その他の目的食」の4種類があります。
総合栄養食は、犬又は猫の毎日の主要な食事として与えることを想定しており、そのフードと水が十分に与えられている場合、健康が維持できる程度に栄養素が配合されているものを言います。つまり、総合栄養食だけ食べていたら他のものは必要ない、というものですね。
間食は、おやつやデンタルガムなどが該当します。
その他の目的食には、エネルギーを補完するものや、サプリメントなどが該当します。
そして療法食とは、ある特定の疾患に対処するために、治療目的でフードに含まれる栄養成分が調整されたものを言います。つまり、総合栄養食から特定の栄養成分をあえて加えたり、減らしたりしたものが療法食です。
総合栄養食や間食は市販されているものを与えて問題ございませんが、療法食は基本的に獣医師の処方のもとで与えるべきものです。
処方食(療法食)とは?
前述のとおり、療法食は特定の栄養成分をあえて加えたり減らしたりされています。例えば、尿結石ができやすい子用の療法食では、マグネシウムなどのミネラル成分が一般的な基準値よりも少なく設定されています。
また、腎臓疾患の子用の療法食では、腎臓に負担がかからないように塩分が抑えられていたり、蛋白質や脂質が減らされていたりします。
このように、栄養成分を調整することで特定の疾患を治療(予防目的のものもあります)するよう設計されたものが療法食です。
現在、以下の疾患に対して療法食が設計されています。
- 肝臓疾患
- 心臓疾患
- 尿結石
- 腎臓疾患
- 糖尿病
- アレルギー
- 肥満
- 消化器疾患
など
処方食を必要とする犬以外が食べてはダメなの?
繰り返しになりますが、療法食は特定の栄養成分をあえて加減しているため、健康な子が常用すると、栄養不足に陥る可能性があります。
そのため、しっかりとした目的をもって、それに適したフードを選択する必要があります。その点で、獣医師の指示のもとで療法食を使用するよう推奨されています。自分のワンちゃん猫ちゃんに適した療法食を使用しないと、かえって害となってしまいます。獣医師の指示のもとで使用するようにしてくださいね。
また最近では、あえて動物病院でのみ購入できるような販売戦略をとっているフードメーカーさんもあります。動物病院では、そのようなフードも選択肢にいれた上で適切なフードを指示しますので、選択肢が広がりますね。
病院で購入する予防薬と市販のものの違い
ワンちゃんや猫ちゃんに寄生するノミ・マダニやフィラリアの予防薬は、基本的に動物病院でしか購入できません。これらの予防薬は動物用医薬品の指定を受けており、薬事法により取り扱える業者が限定されているためです。そのため、予防薬が購入できるのは基本的に動物病院のみになります。
ホームセンターでノミ・マダニの予防薬を販売していることがありますが、こちらの有効成分は寄生虫の忌避剤であり、寄生虫を殺す効果はありません。また、持続性も疑問視されます。
その一方で近年、海外の動物用医薬品を個人輸入し、使用する方がいます。この方法では、薬事法に抵触することなく入手することができます。しかし、動物用医薬品は使用方法を間違えると、命を落とす副反応を引き起こすこともあります。この副反応のリスクを理解し、いざというときに対処できる方以外は個人輸入で入手する方法を採らない方がよいでしょう。
最後に
ワンちゃん猫ちゃんは自分の身体に取り込まれるものを自身で選択することができず、それを選択するのは飼い主さんです。
現在与えているものの意味をしっかりと理解したうえで与えないと、いざというときに悔やむ結果となってしまいます。
ご自身でしっかりと勉強され、理解したものであれば自信をもってお使いいただきたいと思いますが、少しでも不安がある場合、かかりつけの獣医師に必ずご相談ください。きっとよいアドバイスがもらえると思います。
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