花粉症はアレルギーの1種で人だけでなく犬にも起こり、体にかゆみや炎症を起こすことなどがあります。犬の花粉症はスギやヒノキの他にも5〜8月のブタクサが主流ともいわれていますが、犬が花粉症になるとどのような症状が出るのか、犬の花粉症の原因と9つの対策方法についてご紹介します。
犬も花粉症になる
冬から春にかけて毎年やってくる「花粉症」のシーズンとなりました。お天気コーナーでは、日本各地のスギ花粉飛散量の予想を伝える時間も多いですよね。今や花粉症は日本人の4人に1人が発症しているといわれているほどです。
花粉症の飼い主さんは、鼻がムズムズする、鼻水やくしゃみも出る、目がかゆい、涙が止まらない、外から帰ってきたら玄関で洋服を手ではたいて家に入る、愛犬のブラッシングや清拭をこまめに行い、空気清浄機はフル稼働……。
こんな思いをしながら愛犬と毎日お散歩に行く方も多いのではないでしょうか?
花粉症はアレルギーの1つで、犬も花粉症になるといわれています。
犬の花粉症の症状は「かゆみ」や「皮膚炎」が多い
犬が花粉症になると、
- 顔や体をかゆがる
- 皮膚に湿疹が出る
- 皮膚が乾燥する
- くしゃみをする
- 呼吸の異常がみられる
- 目の周りが赤くなる
- 目ヤニが多くなる
などの症状がみられます。
人間の花粉症の場合は、代表的な症状として「くしゃみ・鼻づまり・鼻水・目のかゆみ」の4つがあげられますが、犬の花粉症の場合は「皮膚炎」の症状が主流だといわれており、また、アトピー性皮膚炎の犬は花粉症などのアレルギーを起こしやすいともいわれています。
犬が花粉症になる原因はブタクサやスギ、ヒノキなど
地域差にもよりますが、日本では毎年2月からゴールデンウィーク前後までの間に、スギやヒノキの花粉の飛散量が多くなります。犬の花粉症については、1995年に初めて確認されましたが、注目され始めたのはまだまだ最近のことです。
「花粉症」というと、冬の終わりから春にかけて飛散するスギやヒノキの花粉症が大きく取り上げられますが、花粉症は春だけではありません。
<犬がアレルギーを起こしやすい草木>
(例)スギ、ヒノキ、ブタクサ、イネなど
人間の場合、7〜8割がスギやヒノキが原因で花粉症になるといわれていますが、犬の場合も人間と同様、スギやヒノキも花粉症の原因となりますが、犬の花粉症は主にイネ科植物である「ブタクサ」などが原因となっている場合が多いと考えられており、犬に花粉症の症状がみられるのが多くなるのは、ブタクサなどの花粉が多く飛散する5〜8月頃だといわれています。
犬の花粉症はアレルギー検査でわかる
人にもイネ科やブタクサのアレルギーがあるように、愛犬が春や秋など、毎年特定の季節になると、愛犬に皮膚や呼吸器の異常が出ていたり、くしゃみをするといった場合は何らかのアレルギーを起こしている可能性があります。
このため、愛犬が花粉症となっていて、花粉によるアレルギーが起こっていることに気がつかない飼い主さんも多いそうで、単なる皮膚炎だと思っていたら、アレルギー検査によって花粉症だと分かることもあるでしょう。
血液検査(アレルギー検査)では、検査によってアレルゲンとなっている物質が何かがわかるため、原因がわかると、愛犬の症状をできるだけ悪化させないように生活をするなどのアレルギー対策ができます。
愛犬が何かのアレルギーかも?と感じたらかかりつけの獣医師に相談することが大切
今回は花粉症についてお話ししていますが、アレルギーによる体のかゆみは犬にとっても大きなストレスとなりますし、皮膚炎が起こっている場合は早い対処が必要です。
こういったことからも春の花粉の時期に限らず、愛犬にアレルギー反応と思われる症状がみられたら、かかりつけの動物病院で相談をするとよいでしょう。アレルギー検査を行った場合、食物アレルギーについても結果がわかるので、日々の食生活で注意することを知ることができます。
犬の花粉症対策 家庭でできる8つのポイント
犬の花粉症対策は、人間と同じですが、犬はマスクをすることができないため、できる範囲でケアしてあげるしかありません。犬の花粉症対策として、飼い主さんができることをご紹介します。
①花粉の飛散量が少ない時間にお散歩に行く
花粉症だからといってお散歩に行かないと、犬は運動不足やストレスを抱えてしまいます。
花粉は、雨が降った次の日や晴れて気温が高くなった風のある日に飛びやすく、気温の高くなるお昼過ぎから15時頃までが飛散のピーク時間といわれています。このため愛犬が花粉症の場合は、花粉の飛散量が少ない朝夕にお散歩に行くとよいでしょう。
②お散歩後や日常でこまめなブラッシングを行い家に花粉を持ち込まない(体と足を拭く)
犬は全身が毛で覆われていて、靴を履かずに歩くため、体や足裏には花粉が付着しやすいです。お散歩から帰ってきたときやお出かけ後は、愛犬のブラッシングを行い、被毛に付着した花粉を落としてあげましょう。濡れタオルやウェットシートで顔や体、足裏についた汚れや花粉を拭き取ることも花粉対策となります。
飼い主さんも玄関で体をはたく、粘着ローラー(コロコロ)を使って体の花粉を取るなど、できる範囲で対策するとよいでしょう。
③草むらに犬を入れない
「草むらの中に犬を入れない」というのも花粉対策になります。お散歩や原っぱが好きな犬は草の中をズンズン進んで歩きたがるかもしれませんが、ホコリや花粉を体に付着させてしまいます。
日本に生えている雑草の多くはイネ科なので、特にイネ科のアレルギーのワンちゃんはお散歩をする場所やコースにも注意しましょう。また、草刈りや芝刈りを行った後の芝生や草むらでは、刈り取った草の上に雨が降るとカビが発生しやすいのでこちらも注意が必要です。
④犬に保護服を着用させる
お散歩時や外出時に洋服を着用させるのも花粉症対策の1つです。最近は、足先まで皮膚を保護する機能性の高い犬服も多く見かけるようになりました。アレルギー対策として体の面積を多く覆う保護服を着用させることで、体に付着する花粉の量を減らすことができます。
⑤部屋のお掃除を徹底する
花粉症対策は、室内に入ってきた花粉をお掃除するのが基本です。掃除機で吸い取ると排気で室内の花粉が舞い上がってしまうので、濡れ雑巾やウェットシートで床の拭き掃除をします。
犬への薬剤の影響が心配な場合は、犬猫が舐めてもOKの除菌スプレーやノンアルコールのウェットシートを使うと安心です。
⑥空気清浄機を設置する
人間の花粉症対策と同じですが、空気清浄機を設置することで室内の花粉やホコリ、ハウスダストなどを吸引してくれます。花粉症の飼い主さんにもおすすめです。
⑦カーテンを洗う
花粉が飛びはじめる季節は、暖かくなって窓を開ける機会も多くなります。カーテンは素材によって花粉やホコリなどがつきやすいので、定期的にカーテンを洗うことも花粉症対策になります。
花粉をキャッチして室内に花粉の侵入を防ぐというカーテンもあるので、窓を開け閉めする回数の多い窓では、花粉対策用のカーテンを設置するのもおすすめです。
⑧果物や野菜に注意する
人間の花粉症とも同じように、犬のアレルギーには交差反応と呼ばれるアレルギー反応があります。
このため、花粉症と診断された犬は、果物や野菜に対してもアレルギー反応を起こしやすい傾向にあるため、かかりつけの獣医師に愛犬の日々の食生活や食事内容について相談することをおすすめします。
花粉症になりやすい犬種は注意が必要
シーズーやウエストハイランドホワイトテリアなどのテリア系、柴犬などの比較的皮膚がデリケートとされる犬種は、花粉症になりやすいといわれています。このため、花粉の季節に皮膚症状が強くなるのかなど、よく観察してあげることが大切です。
愛犬が花粉症だと自己判断しないで動物病院を受診すること
「花粉の季節になるとウチの犬はくしゃみをするから花粉症」こんな風に飼い主さんが勝手に判断してしまうと、隠れている大きな病気を見過ごしてしまうかもしれません。
犬の花粉などのアレルギーでは、皮膚に多くの症状が出るといわれていますが、症状はその犬によって異なります。
花粉だと思っていたら、違うアレルギーを持っている可能性もあります。皮膚をかゆがるのは花粉でなく食物アレルギーやアトピー性皮膚炎かもしれません。
愛犬の体調がいつもと違うと感じたり、もしかして花粉症かも?と思ったら、まずは室内でできる花粉対策を万全にしつつ、獣医師にアレルギーについて相談しましょう。また、すでに皮膚を強くかゆがるなどの症状が出ている場合は、そのままにせず動物病院を受診しましょう。
獣医師にどんなところがいつもと違う様子なのかを伝えることで、正しい治療をはじめることができます。
どんな病気も、飼い主さんが自己判断せずに動物病院を受診することが大切です。
今回は、犬の花粉症の原因と症状、対策についてお話ししました。
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