毎年9月20〜26日は動物愛護週間です。小学校や街中でポスターを見かけることはありませんか?でも愛護週間って何をすればいいの?人と動物の幸せについてできることを考えてみましょう。
動物愛護について、全3回でお届けします。
動物愛護週間とは
第1回は、まず最初に、動物愛護週間がどのようなものかをみていきましょう。
動物愛護週間とは「ひろく国民の間に命あるものである動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため」に動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)によって設けられた週間をいい、期間は毎年9月20日〜26日となっています。
動物愛護週間は、もとはアメリカで発祥したものですが、日本では、国内の愛護団体活動の先駆けとなった日本人道会という団体が、1927年5月に日本で初めての動物愛護週間を定めました。
その後、動物に関わる法律が整備され、1975年に動物愛護週間実施要綱の制定が行われ、現在の動物愛護週間は、毎年9月20日〜26日に定められています。(引用参考:環境省)
そもそも動物愛護ってなんだろう?
動物愛護の考え方は、元は牛や馬を対象としていましたが、動物の範囲が拡大していくとともに、動物愛護の精神が日本に普及、定着して法制化されたものです。
動物愛護という言葉は、ペットに関わる法律の中でもよく出てくる言葉です。
愛犬と暮らしている方は、動物愛護センター/動物愛護相談センター/動物愛護管理法/動物愛護法/動物愛護団体/動物愛護週間、このようなワードは、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
ちょっとお堅いイメージがあるかと思いますが、そもそも「動物愛護」とは、私達人間と同じ命があり、私達人間の生活を豊かにしてくれる存在の動物の命を大切にして、愛することをいいます。
「そんなことは飼い主として当たり前のこと」と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、一人一人の意識が高まることで、より人間と動物が共生できる社会に近づくことができるはずです。
動物を虐待してはいけない、動物虐待は犯罪である
動物愛護法の基本原則では「動物は命あるもの」で、みだりに動物を虐待することのないようにすること、人間と動物が共に生きていける社会を目指すこと、動物の習性をよく知ったうえで適性に取り扱うことが定められています。
ときどき、テレビやインターネット上で話題になる動物虐待のニュースは、画面をみていることができないほど辛く悲しい映像が流れることがあります。
動物を飼えなくなったからと置き去りにして捨てる(遺棄)こと、虐待することは犯罪です。
動物の虐待に対する罰則が強化された
令和2年(2020年)の動物愛護法の改正・施行によって「動物の遺棄・虐待・殺傷」に対する罰則が強化されています。
一部をご紹介すると
・愛護動物を捨てることは、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・みだりに給餌、給水をやめて衰弱させるなどの虐待(著しく不衛生な環境での飼育、餌や水を与えない、不健康な状態にすること)は、100万円以下の罰金
・愛護動物をみだりに傷つけたり殺すことは、5年以下の懲役または500万円以下の罰金
このことからも、「ペットを愛し、終生飼養をすることは飼い主の責任」であることをしっかり理解した上で、ペットを家に迎え入れることが大切です。
動物愛護週間では多くのイベントが行われる
動物愛護週間では、動物への理解と関心を深めるために、政府や地方自治体、獣医師会、保護団体などを中心に日本各地でさまざまなイベントが開催されます。
各地域によっては、獣医師会による相談窓口、しつけ相談、飼い方相談、譲渡会、マイクロチップ普及活動、災害対策普及、動物慰霊祭、犬のデモンストレーション、グッズやフードのサンプルやリーフレットの配布、写真コンテスト、出店、ゲームなどのイベントが行われています。
※2020年は、新型コロナウイルスの影響で、毎年恒例のイベントを中止している自治体や団体も多いです。イベント情報は、各地域の愛護センターや各団体などの情報を参考にしてください。
9/26(土)にオンラインでの開催が予定されている動物愛護週間中央行事実行委員会では、「新型コロナウイルス感染症とペット」についての講演やシンポジウムなども予定されています。
ポスターのデザイン絵画コンクールの表彰とポスター配布
小学校や自治体の施設、関係省庁、動物に関わる施設などで、動物愛護のポスターを見かけたことはありませんか?
ポスターには、飼い主として胸を打たれるメッセージのある作品や心が温かくなる作品がたくさんあります。
毎年、環境省と動物愛護週間中央行事実行委員会では、動物愛護週間の普及啓発のために、動物愛護に関わるテーマにちなんだポスターのデザイン絵画の公募を行っており、どうぶつ愛護フェスティバルでの表彰式が行われます。
動物愛護管理功労者の表彰
動物愛護週間のイベントの1つとして、動物の愛護とその適正な管理の推進に功績のあった人や団体を動物愛護功労者として環境大臣からの表彰があります。
動物愛護週間をきっかけに、愛犬との暮らしを考えてみませんか?
「結局、動物愛護週間って何をするの?」と思われる方もいると思います。この答えは1つではありません。命ある動物のこと、愛犬や愛猫のことを少し考えることができたら、動物をより愛することにつながるのではないでしょうか。
例えば、
- 愛犬との暮らしを考えてみる
- ご飯やお水の量は適切か
- 愛犬が痩せていないか、太っていないか、体調管理はできているか
- 最近、犬のお留守番が多くないか
- きちんとお散歩や体のケアができているか
- お散歩のマナーはできているか
- 近所に騒音や悪臭など迷惑をかけていないか
- 愛犬が体に痛みを感じていないか
- 狂犬病予防注射や混合ワクチンは行っているか
- 災害時に犬とどう避難するかを考える
- マイクロチップ装着について調べてみる
- 愛犬の病気の予防や治療ができているか
- しつけの方法が間違っていないか(体罰や虐待を行っていないか)
- 保護犬や保護猫について考えてみる
- 犬猫の殺処分について考えてみる
こんなことを少し考えてみたり、愛犬と公園やドッグランに出かける、少し遠くにお出かけや旅行をするなど、愛犬と絆を深めることができたらよいですね♪
動物愛護と動物福祉の違い、アニマルウェルフェアとは
ここで、動物福祉という言葉も少しご紹介します。日本は動物福祉の考え方や取り組みが先進国よりも遅れているといわれることがあります。
「ん?動物愛護と動物福祉って何が違うの?」と思われる方はいませんか?
動物愛護は、動物の命を尊重して愛することですが、動物福祉は、英語ではアニマルウェルフェア(Animal Welfare)といわれる言葉で「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心理状態」と定義されており、家畜福祉ともいわれます。
「アニマルウェルフェア?なんだか全然わからない!」と思いますよね?
簡単にいえば、動物の一生においての心の幸せや豊さを表しています。家畜や犬猫に限らず、人と関わる全ての動物達にストレスや苦痛をできるだけ与えないように配慮することをいいます。
普段の愛犬との暮らしで、狭いケージにずっと閉じ込めている、お留守番が多い、お散歩に行かない、衛生状態が悪いなど、飼い主としてふさわしくない行動をしていませんか?
勘違いされやすいですが、動物福祉・アニマルウェルフェアは、愛犬に自由に好きなようにわがままをさせることではありません。飼い主として適切なしつけとお世話をし、家族として共に過ごし、人の心が豊になり犬の心も満たされる行動をしましょう。
動物愛護と共に、動物福祉・アニマルウェルフェアについても考えてみてはいかがでしょうか?
ドッグパッドと一緒に動物愛護について考えよう!
ドッグパッドでは、9月20日〜9月26日の動物愛護週間に合わせて、動物愛護について飼い主として知っておきたいことを全3回でお届けします。今回は、動物愛護週間がどのようなものなのかについてお話ししました。
次回は「動物と暮らすこと」として、マナーやペットの5つの自由についてお話しします。
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