犬との暮らしは、人の心に豊さを与えてくれる素敵なもの。でも、可愛いだけでなく、犬の一生に責任を持つ覚悟も必要です。犬と暮らすことってどんなこと?動物愛護週間をきっかけに考えてみませんか?
前回は、動物愛護週間についてお話ししました。第2回は「愛犬との暮らし」について考えてみたいと思います。
愛犬との暮らし、人も犬も幸せですか?
犬に限らず動物との暮らしは、人にとってたくさんの経験と幸せな時間、感受性など心の豊かさを大きくしてくれるものです。
ただし、動物を好きな人もいれば、嫌いな人もいます。アレルギーや病気などの理由から触りたくても触れ合うことができない人もいます。すべての人が犬好きではありません。たった1人の飼い主の自分勝手な行動が、他の人や犬へ迷惑をかけることもあります。
飼い主としての心構えをしっかり理解して、その犬の一生に責任を持つ覚悟の上で犬を家族に迎え入れましょう。
しつけをせずに犬が言うことを聞かない、犬のお世話やケアができていないといった環境が悪循環を呼んで、犬を大声で怒鳴る、叩くなどの虐待をしている、病気になっても放置されている、ご飯やお水をもらえない、飼えなくなったから犬を捨てる、動物愛護センターに持ち込むなどといった事例もあります。
家族の一員として共に暮らす動物達は、伴侶動物やコンパニオンアニマルとも呼ばれます。犬を飼うルールとマナーを守り、人も犬もお互いが幸せである暮らしを目指しましょう!
犬の飼い主として知っておくべき心構え
犬と暮らすには、飼い主として知っておくべき心構えがあります。
環境省のwebページでは、犬の飼い主として考えるべきことのパンフレットが掲載されているので、一度チェックしてみることをおすすめします。
愛犬の一生に責任を持つこと
犬を家族に迎えようか迷った時、その犬の一生に責任を持てない人は、犬と暮らす生活を諦めることも、人と犬の幸せのためです。
・犬の平均寿命はおおよそ13〜15年、小さかった子犬がその命を全うするまで、ごはんをあげる、お散歩に行く、トイレを清潔にするなど毎日のお世話をしてあげることはできますか?
・犬と暮らせる環境は整っていますか?
・犬の犬種や大きさなどが家族のライフスタイルにあっていますか?
・家族全員が犬を家族に迎えることに賛成していますか?
・食費や医療費など費用がかかることを知っていますか?
・愛犬が若くして重い病気になっても、シニア犬になって介護が必要になってもお世話できますか?
・もし、飼い主さんやご家族が亡くなられたり、愛犬と暮らすことができなくなってしまったら、愛犬を託せる先は考えていますか?
途中で犬がいらなくなったというのは許されません。愛犬の一生に責任を持つことは、最も大切な飼い主としての心構えです。
マナーを守り、誰かに迷惑をかけないこと
犬と暮らす中で起こったことの全ての責任は飼い主にあります。愛犬が人や他の犬を攻撃して怪我を負わせてしまうこと、ご近所との犬に関わるトラブルが発生することなど、飼い主が責任を持って対処しなければなりません。
例えば、
・ドッグラン以外の公共の場ではノーリードにしない
犬を自由にさせたいから、ちょっとだけなら、自分だけならという身勝手な行動によって、ノーリードになった犬が逃走したり、びっくりして交通事故に遭ったり、興奮した犬が人や犬に攻撃してしまったり、あるいは、愛犬が連れ去られてしまうこと、ケガをしてしまうことも考えられます。
・ウンチは持ち帰り、おしっこには水をかける
愛犬の排泄物の処理は、飼い主の責任です。できるだけ家で排泄を済ませて散歩に出かけ、ウンチをしたら必ず持ち帰りましょう。道路でおしっこをしたら水をかけて、他の犬のマーキングの場所にならないようにニオイを薄くするのもマナーの1つです。
・犬の吠えが騒音トラブルにならないように早期に対処する
吠え癖のある犬はご近所とのトラブルになりやすいので、そのままにせずしつけを行い、必要であれば訓練士などに相談してできるだけ早く対処をしましょう。
誰かに迷惑をかけないためにも、基本的なルールやマナーをしっかり守ることが大切です。
動物には5つの自由がある
前回、動物の一生においての心の幸せや豊さを表し、人と関わる全ての動物達にできるだけストレスや苦痛を与えないように配慮する「動物福祉」「アニマルウェルフェア(Animal Welfare)」についてご紹介しました。
ではここからは、人間と暮らす動物が心身ともに健康で幸せであるために必要なことをご紹介します。
動物の基本的ニーズ
例えば、人間と暮らす動物達は「お腹が空いたなぁ」と思っても、自分で食事を探すことはできず、飼い主から餌をもらうことになります。つまり、自らの意思で行動的・社会的、心理的、環境的、生理的ニーズ(要求)を満たすことはできません。
飼い主は、動物達がこれらのニーズを満たして、できる限り快適に生活ができるようにしなければなりません。
5つの自由 〜5 Freedoms〜
動物の基本的ニーズが満たされて、快適に安全に暮らすための指標に「5つの自由」があります。この5つの自由は、1960年代に家畜福祉(動物福祉)の向上のためにイギリスで定められたもので、国際的に認められている動物を適切に扱うための考え方です。
①飢え、渇きからの自由 〜Freedom from Hunger and Thirst〜
常に新鮮な水が自由に飲めますか?食事の栄養や量は適切ですか?
②不快からの自由 〜Freedom from Discomfort〜
清潔で安全な環境は整っていますか?
③痛み、負傷、病気からの自由 〜Freedom from Pain, Injury or Disease〜
予防と健康管理を行い、ケガや病気の場合には適切な治療を受けさせていますか?
④恐怖、抑圧からの自由 〜Freedom from Fear and Distress〜
動物を強く叱ったり、恐怖や抑圧を与えていませんか?
精神的な苦痛や不安の兆候を示さないように対応できていますか?
⑤本来の行動がとれる自由 〜Freedom from behave normally〜
不衛生な狭いケージに閉じ込めていませんか?
動物の本能や習性に合った、動物本来の行動がとれる空間を作っていますか?
愛犬との楽しい暮らしのために
犬との暮らしは大変なことも多いです。日々の食事、排泄、お散歩、お掃除、体のケアなどたくさんすることはありますが、その分、かけがえのない幸せな時間とたくさんの思い出を作ることができます。
犬を家族に迎えたら、狂犬病予防注射・畜犬登録を行い、鑑札と狂犬病予防注射済票の交付を受けましょう。また、愛犬を病気から守るためにも混合ワクチンの接種やフィラリア、ノミ・ダニ予防をしっかり行いましょう。
さらに、定期的に健康診断を行うなど愛犬の健康状態に気をつけ、異変を感じたら獣医師に相談しましょう。病気を早期発見できるきっかけとなります。
人と暮らしやすい犬になることを目指して適切なしつけを行い、愛犬との楽しい暮らしのために、毎日の生活を楽しみましょう!
そして、愛犬が寿命を全うする最期まで愛することが、殺処分のない社会、人と動物のより良い社会につながっていくはずです。
ドッグパッドと一緒に動物愛護について考えよう!
ドッグパッドでは、9月20日〜9月26日の動物愛護週間に合わせて、動物愛護について飼い主として知っておきたいことを全3回でお届けします。2回目は「犬と暮らすこと」「マナー」「5つの自由」とついてご紹介しました。
次回の最終回では「犬の殺処分」と「保護犬を迎える方法」についてお話しします。
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