公開日
2020/09/20
更新日
2020/10/14

犬の殺処分と保護犬について 動物愛護週間に考えたいこと

日本における犬猫の殺処分数は減少しているものの、年間38,000頭以上が殺処分されているのが現実です。今回は、殺処分と保護犬を選ぶ選択肢について考えます。犬を迎える方法はペットショップやブリーダーからだけではありません。
動物愛護について全3回でお届けしてきましたが、本日は最終日、目を背けたくなることかもしれませんが、実際に起こっている殺処分の現実を知り、犬と暮らす飼い主としてできることは何なのかをご紹介したいと思います。
動物の一生に責任を持って、最期の時までペットを愛する人が増えれば犬や猫の殺処分はゼロに近づくはず。動物愛護週間(9月20〜26日)をきっかけに、ドッグパッドと一緒にお子さんやご家族と考えてみませんか?

日本の犬猫の殺処分について

日本における犬猫の殺処分は、各地方自治体の保健所や動物愛護センターなどに飼い主が持ち込んだり、所有者のわからない犬猫を保護した犬猫に対して行われています。

平成30年度の犬猫の殺処分数は38,444頭

センターにやってきた犬猫達が、飼い主のもとに返還されたり、保護犬猫として譲渡されることで、殺処分数は徐々に減ってきているといわれていますが、平成30年度の環境省のデータによると、

・犬 35,535頭の引き取りのうち、28,032頭が返還や譲渡され、殺処分された犬は7,687頭

・猫 56,404頭の引き取りのうち、25,634頭が返還や譲渡され、殺処分された猫は、30,757頭

年間で合計38,444頭の犬猫が殺処分されています(殺処分率は41.8%)。この数字には、負傷している犬猫は含まれていないので、これらを含めると年間103,983頭の犬が収容され、46,411頭の犬猫が殺処分されていることになります(殺処分率は44.6%)。

これを多いとみるか少ないとみるかですが、痛みや苦しみに対する安楽死以外に、原則として殺処分は行わず保護施設での譲渡を推進しているドイツなどの動物福祉先進国の現状と比べると、日本は殺処分の頭数が多いのは明らかなことです。

過去のデータでは、平成16年度(2004年)だと、現在の10倍の年間40万頭以上の犬猫が引き取られ、39万頭以上の殺処分が行われていました。殺処分率は何と94%以上です。

この数字からみると、15年の間にさまざまな行政の取り組みや動物愛護団体、保護団体、保護施設の充実、ボランティアの存在など多くの人たちの力、犬と暮らす飼い主のマナーアップ、意識の向上によって殺処分数は激減したといえます。

殺処分は炭酸ガスや麻酔薬によって行われている

センターに収容されて、一定期間が経っても飼い主や引き取りを希望する人が現れなかった犬猫達は、殺処分の対象となります。

これまでの殺処分の頭数が多かった例では、炭酸ガスの窒息による殺処分が一般的でしたが、動物福祉の観点から麻酔薬の使用(いわゆる安楽死)が増えてきています。

ペットを飼う覚悟と責任が殺処分問題の解決につながる

平成30年では、保健所や動物愛護センターが引き取った犬猫のうち、飼い主によって持ち込まれた割合は、犬10%、猫19%となっています。飼い主が覚悟や責任を持ってペットを家族に迎えていたら防げていた事例もあるでしょう。

環境省では「ペットを飼う覚悟と責任」についてYouTubeの動画が配信されています。

この中で、保健所や愛護センターへ持ち込まれる犬や猫を無くさない限り、問題は解決しないこと、飼い主が最後まで責任を持ってペットを飼うことの大切さの啓発を行っています。

「思ったより大きくなったから」
「引越しがあるから」
「ペットNG物件でこっそり飼っていてばれてしまったから」
「イメージと違ったから」
「お世話が面倒だから」
「いうことを聞かないから」
「トイレができないから」
「吠えて近所から苦情がきたから」
「犬が歳をとったから」

など人間の身勝手な理由で、一度家族に迎えいれた犬猫達を飼い主自ら殺処分に近づけてしまったり、保健所や愛護センターに持ち込まなくとも、犬を捨てたり遺棄することがあってはなりません。

生まれてきた犬猫達、飼い主に選ばれた犬猫達は何も悪くありません。でも実際に殺処分が行われているのが現実です。

日本での殺処分ゼロを目指すために

今後さらに殺処分数を減らし「殺処分ゼロ」を目指すためにできることをみていきましょう。

ペットの一生に責任を持ち、終生飼育すること

ペットを購入する際のショップの不十分な説明が、消費者が安易に、衝動的に犬を飼う原因ともなっているといわれています。

保健所や愛護センターに持ち込まれる犬猫の数を増やさないために、家族として迎え入れる犬猫の一生に責任を持ち、終生飼育することは飼い主の義務であることを理解を広めることが大切です。

みだりな繁殖をさせないこと

犬の場合、半年〜1年に1度メス犬の発情期がやってきます。不適切な管理による飼育や避妊手術や去勢手術を行わないことによって、多くの犬達が生まれ、多頭飼育崩壊・ブリーダー崩壊の発生の原因ともなります。

また、きちんと管理された優良ブリーダーでない繁殖屋や子犬の工場と呼ばれるパピーミルなどの悪徳ブリーダーによる、劣悪な環境でのみだりな繁殖をさせないことも、殺処分ゼロのための課題となります。

また、繁殖をする予定のない場合は、避妊手術・去勢手術を行うことで、想定外の妊娠や保健所や愛護センターに引き取られる可能性のある子犬・子猫を減らすことができます。

所有者をはっきりさせること

保健所やセンターにやってきた犬猫に、マイクロチップが装着されていたり、鑑札番号、連絡先がわかることで、迷子になった犬猫が飼い主と再会することができます。

販売業者に対してマイクロチップの装着と所有者情報の登録が義務付けられ、所有者をはっきりさせることで、安易に犬猫を捨てる飼い主が減ることが予想されています。このことも犬を捨てる人への抑止力につながります。

迷子の犬や収容動物を探すネットワーク

愛犬を迷子にしないことが大切ですが、万が一迷子になったとき、インターネットを使って各自治体や愛護センターなどへの連絡先を調べることができます。

環境省では日本各地で収容されている動物の情報をまとめた「収容動物検索情報サイト」を設置しているので、参考にしてみてください。

環境省:収容動物検索情報サイト

犬猫の流通について考える

いつも同じくらいの月齢の子犬や子猫がたくさんショーケースに並んでいるペットショップやブリーダーがあるとします。犬の場合、雌犬の発情期は半年〜1年に1度とすると、一体どれくらいの数の繁殖犬が存在しているのか、どれくらいの繁殖(子犬や子猫の大量生産)が行われているのか考えてみたことはありますか?

前回お話した、動物の基本的ニーズや5つの自由に基づいて、繁殖犬猫や子犬・子猫達が健康的に飼育されているのかなど、悪質な業者に対する対応が日本の殺処分ゼロへの大きな課題となっています。

2020年9月現在、「環境省」や党を超えた衆院議員の有志によって結成された「殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」「ペット業界」などによる繁殖業者や販売業者に対する従業員中の飼育数やケージのサイズ、飼育面積、繁殖の年齢制限などの「数値規制」について、議論が行われています。

里親として保護犬を迎える選択肢を考える 

今までペットショップやブリーダーから犬を購入するのが当たり前だったかもしれませんが、保護犬の里親として犬を迎える選択肢があることも当たり前になることが、日本で殺処分される犬猫を減らすためにできる取り組みであるといわれています。

保護犬を迎える5つの方法

保護犬を迎える方法は、主に5つあります。

  1. 保健所や愛護センターの譲渡会
  2. 保護団体の譲渡会
  3. 保護施設(シェルター)からの譲渡
  4. インターネットを活用した里親募集情報や保護犬の情報検索
  5. 知人からの譲渡

保護犬迎えるには愛護センターや愛護団体の設定した条件を満たすこと

保護犬を迎える際には、飼い主になるために設定された条件を満たす必要がありますが、譲渡後に犬が再び捨てられることがないように、あえて厳しい条件を設定している団体もあります。

事前に保護犬と暮らすための講習会に参加したり、書類審査や面談、家庭訪問が行われたあと、トライアル期間(お試し期間)を設けて犬と一緒に過ごし、犬を譲渡に関する最終審査に通ることで、里親になることができる流れが多いです。

団体によっては、安定した活動を継続するために、これまでにかかった医療や飼育費を譲渡金や寄付金として請求する場合もあるので、事前にきちんと確認しておきましょう。

心に傷を負っている保護犬もいる

保護犬は、これまでに家族の愛情を受けたことがない、虐待をされていた、野犬として保護された、病気を患っている可能性がある、トラウマを抱えている、パニックを起こす・逃げるなど想定外のことが起こる可能性があるなど、注意するべきこともあります。

筆者も保護犬と過ごした経験がありますが、保護した時はあばら骨が見えるほどガリガリに痩せており、フィラリア症にかかっていて体はダニだらけ、雷や花火の音、手に何か持っている人に対してガタガタと震え出し極度に怖がる、ケージに入って出てこない、トイレを我慢してしまう、草むらを見つけると突然引っ張るなどの様子がみられました。

この状態では、人と暮らすためのしつけをはじめるどころではなく、人に慣れるまでの時間、人との信頼関係を築く時間に半年以上もかかった経験があります。

保護犬の里親になる際には、その犬の状態を受け入れる覚悟も必要です。

幸せに暮らす保護犬が増えることで殺処分が減る

保護犬は基本的なしつけができていている犬もいれば、人に接する経験がなく育った犬もいます。

どの犬も同じ命。保健所や愛護センターにやってくる犬を減らすこと、迷子の場合は少しでも早く飼い主さんと再会できること、譲渡によって家族の中で幸せに暮らす保護犬が増えること、保護犬を選ぶ人が増えることが、殺処分を減らすことと動物福祉の向上につながるはずです。

ドッグパッドと一緒に動物愛護について考えよう!

ドッグパッドでは、9月20日〜9月26日の動物愛護週間に合わせて、動物愛護について飼い主として知っておきたいことを全3回でお届けしました。

是非ご家族で動物愛護について考えてみてください!

参考:環境省 Webページ「動物の愛護と適切な管理」人と動物の共生をめざして