他の動物と比べて、犬を飼っていると必ず動物病院に連れて行く機会があります。例えどんなに病気にならない元気な犬でも、法律で定められた年1回の狂犬病ワクチン接種があるため、全く動物病院に行ったことのない猫がいたとしても、動物病院に行ったことのない犬はいないはずです。
ワクチン接種のような定例行事はもちろん、愛犬に何かあった時にお世話になるのが動物病院。しかしご飯屋さんのように気軽に色々なお店に通って比較することができないため、動物病院を選ぶのは至難の業です。
今回のコラムでは、最近まで町の動物病院で現場務めし、現在も獣医関係の企業でさまざまな臨床獣医師と仕事をしている獣医師の私が、信頼できる動物病院を選ぶための注目すべき5つのポイントを紹介したいと思います。
1. 通える
通えるところにしなさい、と言うと、「あたりまえだろ!」とツッコミが飛んできそうですが、今一度考え直して欲しいのが、その病院はどんな状況でも通えるのか、ということです。
少し離れてはいるけど車で通えば大丈夫、という距離の病院に通う場合、犬が車酔いを起こすようではそれ以降通うのは困難になります。また、家族が車を使用している時に愛犬が緊急事態に陥ってしまった場合はどうすればいいか考えていますか?
このように距離的なことだけでなく、緊急事態が起きた時でも確実に受診できるように、動物病院へのアクセスについてはしっかり考えておきましょう。
2. 質問ができる
次に動物病院を選ぶ上で重要視すべきことの一つが、信頼できる獣医師と看護師がいるかどうかです。動物病院に勤めていた時に転院してくる患者さんで「前の病院は獣医さんが怖くて聞きたいことを聞けなかった」と言う方がたくさんいました。
治療方法は患者さんの数だけ存在し、獣医師は患者さんの要求や都合に合わせて治療方法をカスタマイズする必要があります。そのため、獣医師、看護師と患者さんとのコミュニケーションは非常に重要で、怖くて患者さんの要求を満足に伝えられなかったり、知りたいことが聞けないような病院は話になりません。
しっかりと患者さんの伝えたいことを理解し、十分な説明を行なってくれる先生のいる動物病院を選択するようにしましょう。
3. 駆け込める
犬を飼っていると、突然緊急事態が起こり動物病院に助けを求めることがあるかと思います。具体的には、外傷や、誤飲、まれに胃拡張捻転症候群(胃捻転)などが急診で駆け込んでくることが多かった印象です。このような緊急事態に動物病院に駆け込もうとしても、獣医師の手が空いていない。または休診日で対応してもらえない。といった状況になってしまうと愛犬の命に関わってくる事態に発展しかねません。かかりつけの動物病院を選ぶ際には獣医師の人数だけでなく、休診日の対応についてもあらかじめ教えてくれる病院を選ぶようにしましょう。
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4. 預けられる
避妊、去勢手術をはじめ、手術を受ける際や時間のかかる治療をする際には長時間愛犬を動物病院に預けることになります。そこで、ここに愛犬を預けても安心できるかどうかを考えるとおのずと動物病院の選択も簡単になるかと思います。具体例として、獣医師や看護師の動物の扱い方や、院内スタッフ同士のコミュニケーション、飼い主への対応の丁寧さなどを観察し、信頼できるスタッフであると思える病院を選ぶようにしましょう。
5. 任せられる
愛犬の治療を決定する際には獣医師から飼い主に病気や治療法の説明を行い、説明を理解した上で飼い主が以降の治療方針を決定することになります。しかし実際は、飼い主自身の考えだけで治療方針を決めているのではなく、
“獣医師がおすすめする治療法について説明を受け、それを許諾するかを決めていることがほとんどかと思います。”
そのため、かかりつけの獣医師を選ぶ際には、『この先生のおすすめすることなら絶対に安心できる!』という程度まで信頼できる先生を選びましょう。
街の動物病院はいわゆる総合病院で、内科、外科だけでなく全ての科目の専門家であることが求められます。獣医療は日進月歩で、昨日まで正しいとされていた治療法が今日には間違いとされることさえあります。信頼できる獣医師を選ぶためには、単純に病気を治してくれることだけではなく、病気とその治療法について勉強をしていて、なおかつその知識を飼い主に伝わりやすく説明しようと努力している部分も評価するべきなのではないかと思います。
最後に
以上に私の考える動物病院選びの5つのポイントを挙げましたが、愛犬の治療において重要視すべきポイントは獣医師みなそれぞれ異なります。ですので、この記事や他のメディアで紹介されている動物病院の選び方のコツを参考にしながら、愛犬の治療方法において自分がいったい何を重要視したいのかをしっかりと考えて、独自の動物病院の選び方を作るようにしてください。
また、動物病院での獣医師や看護師とのコミュニケーションも、人付き合いと同様で、最初は信頼できたけどしばらくして信頼ができなくなった、ということも往々にしてあるかと思います。その場合には他の病院へ転院やセカンドオピニオンをしてもいいですし、問題点について直接獣医師と相談するなどの対処をとるようにしましょう。
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