【獣医師コラム】DOG PAD真夏の相談室 第3回「熱中症?夏バテ?」

獣医師コラム

不定期連載させていただいている獣医師TのDOG PAD相談室ですが、前回に引き続き、愛犬家の皆さんにとって夏に起こりがちなお悩みについてお話ししていきます。

過去の真夏のDOG PAD相談室
第1回はこちら、第2回はこちら

まだ6月だというのに、早くも真夏のような日差しと蒸し暑さが続いていますね。こういった暑い日に注意しなければならないことといえば熱中症や日射病などがよくあげられます。私たち人間も暑い日の体温調節には注意しなければいけませんが、犬は体と地面の距離が近く、汗をかく能力が低いため人間以上に注意をしてあげなければいけません。さらに犬も暑い日には熱中症までとはいかずとも、活力や食欲が低下するいわゆる「夏バテ」といった状態に陥ることもあります。 では愛犬の様子がおかしいな、と感じた時にどうやって熱中症と夏バテを判別したら良いのでしょうか。今回の記事では熱中症と夏バテの見分け方、予防とその対処についてそれぞれ説明していきたいと思います。

熱中症と夏バテの違い

熱中症と夏バテの違いですが、熱中症は症状が急速に出現・進行する点に対し、夏バテは症状がゆっくりと出現・進行する点にあります。 これらの点をふまえると、さっきまで元気だったのに急に調子が悪くなったのか、ここ数日で徐々に元気がなくなってきたかによって熱中症か夏バテかを判別できます。

暑い日に愛犬の不調に気づいたら、落ち着いてそれが熱中症なのか夏バテなのかを判断し、症状にあわせた応急処置を行いながら、動物病院に相談するようにしましょう。熱中症であれば最悪命の危険もあるので、急いで病院に行くようにしましょう。夏バテであれば緊急性は低いですが、長く続くと体に大きな負担がかかるので早く原因を突き止め対処しましょう。

熱中症の症状をおさらい

気温の高い日に、なんだか愛犬の調子が悪いかもと感じたら、まずは緊急性の高い熱中症の症状と合致していないかを確認するようにしてみてください。

熱中症の代表的な症状には以下のものがあります。

・呼吸が荒い(パンティングをしている) 
・フラフラとよろめいて立てない
・おやつやご飯を与えても反応しない
・自分で水を飲もうとしない
・よだれをダラダラと垂らしている

これらの症状が見られたら、熱中症の可能性が考えられます。 飼い主さんの中には、今日はそんなに暑くないから熱中症ではないはず、と考える方もいますが、 犬は人間と違って皮膚で汗をかいて体温を下げることができず、ハァーハァーと開口呼吸で主に放熱しているため、風があって人間が涼しく感じる室内などでも室温が高いだけで熱中症になることがあります。 熱中症を疑った場合にはすぐに日陰で体を冷やし、可能であれば水を飲ませて対処しながら動物病院へ連れて行く準備をしましょう。

また、熱中症は最悪命に関わると説明しましたが、以下のような症状がある場合にはさらに重篤な可能性がありますので、一刻も早く動物病院に連絡し、対処法を相談しましょう。

・嘔吐や下痢がみられる
・異常な震えがみられる
・歯茎や耳、舌が紫色になっている

 (チアノーゼ) 
・呼びかけても反応がほとんどない

熱中症は飼い主が気づかずに放置してしまうと瞬く間に悪化してしまい、命の危険だけでなく、助かっても重い後遺症が残ることもありますので、調子が悪いと感じたらすぐに対処をするようにしてください。 熱中症に対する対処法は以前の記事でも紹介されているので、ぜひこちらも読んでみてください。

夏バテの対処法について

それでは、熱中症を疑うような症状がなく、夏バテを疑う場合にはどういった対処をしたらいいのでしょうか。

まず最初に、お腹の調子が悪かったり、飲水や食事をちゃんと摂ろうとしない状態が数日つづく場合、水分量が足りておらず脱水状態になっている可能性がありますので、チェックをしてみましょう。

犬の脱水状態のチェックは、目や口周りの粘膜が乾燥していないかを確認します。目の周りの粘膜が乾燥して眼球がくぼんだり、唇や歯茎が乾燥してしわしわになっている場合には脱水状態であると可能性があります。

また、獣医師が実際に脱水状態を測定するのに用いる方法として、首の背中側の皮膚をつまんで 軽くひねり、張った皮膚が元に戻る様子を観察する方法があります。1秒以内に皮膚が元に戻れば正常ですが、皮膚に弾力がなく、元に戻るのに長く時間がかかったり戻らなかったりすると脱水状態であると判断します。脱水症状がみられる場合には熱中症をはじめ、深刻な状態になりやすいため、自宅での対処だけではなく、なるべく動物病院を利用するようにしましょう。

さて、愛犬の夏バテ対処法と予防についてですが、 重要なことは十分に水分を摂らせ、最適な気温場所で活動させるようにすることです。

まず水分補給についてですが、犬は舐めるように飲水をするため、口内の汚れや雑菌が水に入りやすくなっています。気温の高い夏は特に水の中で雑菌が増殖しやすく、飲み水の匂いや味が悪くなってしまい、水を飲まなくなることがあるためこまめに水を変えてあげるようにしましょう。

気温の管理に関しては、ただエアコンをつけるだけでなく、エアコンの冷風が犬の居る場所に もとどいているかどうか気を配るようにしたり、エアサーキュレーターや扇風機を使い部屋の温度を均一にするための工夫をして、犬にとって快適な気温になるようにしましょう。犬の過ごしやすい気温は子犬で24°C前後、成犬は20~25°C程度とされていますが、毛の密度や年齢によっても変化しやすいので、しっかり愛犬の様子を観察して快適な気温を見極めるようにしましょう。

まだまだこれから暑い季節が続きますが、しっかりと愛犬にとって快適な環境に気を配って、素敵なドッグライフを送っていきましょう。

暑さ対策グッズなどはこちらから:暑い夏に愛犬を留守番させるときの注意点と暑さ対策グッズ紹介

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獣医師T

獣医師T

獣医師。大学在学中はウイルス学の研究をしながら犬の行動学(しつけ)に関する学生団体に参加し、卒業後は動物病院での勤務を経てペット関係の企業で勤務。ワンちゃんについて勉強したことやこれから勉強することを社会に役立てられるように邁進中。

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