犬の基礎トレーニングシリーズ第2弾は「犬に伏せを教える」です。伏せができるようになると犬に落ち着きが出たり、飼い主さんとのコミュニケーションがしやすくなったります。今まで、伏せができずにあきらめていた飼い主さんもぜひ挑戦していただけたらと思います。
犬の伏せのしつけはなぜ必要?
犬に「伏せ」をなぜ教えるのでしょうか?伏せの姿勢は、お座りにくらべ犬をより落ち着かせる効果があります。犬が興奮をするシチュエーションが起きる前に、犬に伏せをさせておくと犬の興奮が抑えられることもあります。
他にも伏せの姿勢は犬にとって吠えにくくなるため、伏せがしっかりできるようになると無駄吠えを抑制する効果も期待できます。
また、ドッグカフェや動物病院での待ち時間などに伏せはお座りよりも愛犬をリラックスさせた状態で待たせられます。突発的な犬の動きも伏せをしているとしにくいため、犬や人が多く集まる場所でとても効果的な指示なのです。
そして、伏せの姿勢は服従を意味します。飼い主さんが犬に無理やり服従の姿勢をさせるのではなく、飼い主さんの指示で伏せをさせることは、飼い主さんと犬の信頼関係があるからできることです。「伏せ」は犬が気まぐれで伏せるのではなく飼い主さんの指示に従って「伏せ」をさせることがとても重要です。
犬と絆を作り、犬をコントロールするためにも「伏せ」はとても大切な基礎トレーニングのひとつなのです。
犬に伏せを教えるステップ
お座りにくらべ少し難易度が高い「伏せ」ですが、コツを覚え根気よく挑戦していただければ、「伏せ」ができるようになります。犬に伏せを教える2つの方法をご紹介します。
おやつで誘導をする方法
1.犬にお座りをさせ、犬の斜め前におやつを親指・人差し指・中指の3本でつまみ犬に匂いをかがせ、おやつを持っていると教えます。
2. おやつをつまんだ手を上向きにし、お座りをしている犬の鼻さきへ持っていきます。
3.おやつをつまんでいる手を座っている犬の体の中心を通るように下に下げていきます。
4.犬の姿勢が低くなってきたら、おやつをつまんでいる手を下向きにし、おやつの位置を低くして床につくくらいまで犬を誘導します。
5.4で伏せができない場合、おやつをつまんでいる手を手前に引いてみます。引いたら犬が立ち上がるなら、逆に押してみます。
6.犬がしっかりと体を床につけ、伏せの状態になったら褒めて手に持っていたおやつをあげます。
これが基本的なおやつで「伏せ」の姿勢に誘導させる方法です。
最初は「伏せ」という言葉の指示語は使いません。犬は下に下がっていく手の動きを伏せの合図と最初は理解します。これをハンドシグナルといいます。
おやつで誘導をする方法で確実に犬が「伏せ」をできるようになったら、指示語「伏せ」をつけましょう。犬の体がしっかりとふせの形になったときに「伏せ」という言葉を言います。
これを繰り返すと「伏せ」と言えば犬は伏せるようになります。
キャッチングで犬を「伏せ」させる方法
この方法は怖がりの犬や、体に触られることを嫌がる犬などに効果的な方法です。
1.犬がリラックスをしてふせているときに「伏せ」と言いご褒美をあげます。
2.1を何度も繰り返し、何でもないリラックスの姿勢が「伏せ」だということを犬に教えます。
最初犬はこの方法をすると戸惑うと思います。何だかわからないけどご褒美がもらえた、ご褒美がもらえるならまたこの姿勢になってみようと「伏せ」を何度もするようになることもあります。そうしたら、すかさず「伏せ」という指示語を出して犬を褒めます。
3.2で犬は「伏せ」の形をしたらご褒美がもらえると理解します。今度は先に「伏せ」と指示を出してみましょう。犬が伏せたら褒めてご褒美をあげてください。
このステップからは、犬が自分から伏せsる行動は褒めないようにします。飼い主さんの「伏せ」の指示で伏せることを犬に学んでもらいましょう。
こちらに詳しく「伏せ」を教える方法が書かれているのでこちらも参考にしていただけたらと思います。
伏せがどうしてもうまくいかない理由と対処法
何度も伏せの練習をしているのに伏せができないのはどうしてなのでしょうか?伏せのトレーニングがうまくいかない理由と対処法をご紹介します。
まずはお座りをマスターしましょう
犬の基礎トレーニングをはじめる順番で大切なのは、簡単なものから教えることです。
最初からやや難易度の高い「伏せ」を教えるのではなく、比較的簡単にできる「お座り」をまず犬にマスターさせましょう。飼い主さんの指示に従えばいい事があると犬が理解すれば、最初から少し難しい「伏せ」を教えるより断然学習速度は早くなります。
ぜひまだ「お座り」を愛犬がマスターしていなければ「お座り」から挑戦をしてみてください。
効果的なトレーニング方法
ドッグトレーナーが使うトレーニングのコツをご紹介します。とても簡単なことなのでぜひ挑戦をしてみてください。そのコツは「犬を飽きさせない」です。
犬に何かを教えているときに犬が急に飼い主さんの指示を聞かなくなったり、近くにあるスリッパで遊び始めたりしたことはありませんか?
長時間トレーニングを続けて犬の集中力が切れてしまうとこのようなことが起きます。
トレーニングを終わらせる目安は、飼い主さんが「もう少しトレーニングをしたいな」という所までです。犬の状態で判断するなら「飼い主さんを犬が見ていて、集中をしている状態」です。
犬にまだ集中力が残っているのにもったいない気もしますがトレーニングに対してのモチベーションを下げないため、トレーニングをやめるタイミングはとても大切です。
トレーニングは犬が飽きる前にやめて、犬も飼い主さんも次のトレーニングの時間を楽しみ待てるようにすることが大切です。
なぜ犬が伏せをしないのか?理由を観察する
犬がどうしても伏せをしてくれない場合もあります。そのようなときは無理やり犬の背中を押したりして強制的に伏せをさせるのではなく、なぜ愛犬は伏せをしないのか観察をしてみましょう。
例としていくつかあげてみます。
- 犬が伏せをしたくない(または、しにくい)場所で指示をだしていないか
- 犬が集中できる状態か(同居犬が近くにいる、犬のおもちゃが散乱しているなど)
- 無理やり伏せをさせるトレーニングをしたことがある
- 足などに痛みがあり伏せができない
他にも理由はいろいろありますが、まずは犬がなぜ伏せをしないのかその理由を観察してみましょう。その原因を取り払えれば愛犬は伏せができるようになる可能性が高くなります。
おやつがないと犬は指示を聞かなくなる?
モチベーショントレーニングはご褒美におやつを使います。
「おやつがないと犬は指示を聞かなくなるのでは?」というご質問を飼い主さんからいただくことがあります。お散歩中や外出時など、ご褒美のおやつがなくても愛犬が指示を聞けるようにならないとトレーニングの成功とはいえません。
ご褒美のおやつを効果的に使いじょうずに減らす方法をお伝えします。
最初は犬が指示を覚えるまでご褒美のおやつは毎回与えます。
そして指示が8割くらいできるようになったら、ご褒美を褒め言葉だけにして、おやつを2回に1回、3回に1回などと減らしていきます。ここでの注意点は急にご褒美のおやつを減らさないことです。
そしておやつをあげる回数を減らしていき褒め言葉だけにします。ただ、毎回褒め言葉だけにしてしまうと犬が「何ももらえないなら、やらない」と指示を聞かなくなることもあります。ですので、ときどきご褒美のおやつをあげてください。そうすると犬はいつかご褒美のおやつがもらえると思い、褒め言葉だけでも指示を聞くようになります。
またおやつに興味がない愛犬や食事制限をしている愛犬は、ご褒美にボール遊びやぬいぐるみ遊びをしてもご褒美になります。ただテンションを上げすぎてしまうとトレーニングではなく遊びになってしまうので、遊びをご褒美にするならメリハリをつけることがポイントです。
最後に
犬の基礎トレーニングシリーズ第2弾「犬に伏せを教える」はいかがでしたでしょうか?
犬にしつけをすることは犬の自由を奪うことではなく、人間と生活をするルールを覚えてもらう大切なものです。
悲しいことですが犬の問題行動が原因で愛犬を手放す方もいます。
基礎トレーニングをしっかりとして愛犬のことをよく知り、そして犬の問題行動を未然に防ぎ、愛犬との楽しいドッグライフが過ごせることを願っております。一度家族に迎えた愛犬は家族の一員です。ぜひあきらめずに楽しみながら挑戦をしてみてください。
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