最近は猫ブームに押されているとはいえ、日本での犬の飼育数は決して低いものではありません。
大切な家族の一員として大切に飼育されている犬が多くいますが、日本以外の国ではどうなのでしょうか?
日本での人気の犬種はトイプードルなどの小型犬で、ここ数年変化はありません。では、海外ではどのような犬種が人気なのでしょう。
そこで今回は、海外のなかでも中国での犬の飼育状況や、人気の犬種などを紹介していきたいと思います。
中国では小型犬と大型犬どっちの飼育頭数が多い?
中国はとても長い歴史のある国として有名で、それに伴い犬の飼育履歴も当然歴史が古いと言えます。
元々は愛玩動物として宮廷内で小型犬が飼育され始め、その後庶民の間で狩猟へ同行するためや、野生の害虫駆除をする目的のために飼育が広まっていきました。
その風習に大きく変化がうまれたのが、第二次世界大戦終了後です。当時は野犬なども多く感染病などが蔓延していたため、衛生環境の改善と食料不足改善のために犬の捕獲が大規模に行われました。
その後、中国では犬を食べる文化が根付いていきますが、経済が発展していくと共に世界の各国と同様に犬をペットとして飼育する習慣が復活してきました。
現在の中国では、犬の飼育数は2,800万頭にものぼるとも言われ、この飼育数は世界でも3本の指に入るとされています。
小型犬と大型犬の飼育頭数の割合は、小型犬が7割・大型犬が3割とされていますが、正確な頭数は中国国家統計局でも把握しきれていないという説もあります。
中国の人が好む犬の傾向
飼育頭数の割合からも分かるように、中国では愛玩犬として飼育出来る小型犬が好まれる傾向にあります。
但し、富裕層の間では飼育頭数の少ない大型犬を好む傾向が強く、一時期は超大型犬とされる「チベタン・マスティフ」が大ブームを引き起こし、富裕層がこぞって飼育を始めました。
その結果価格が高騰をし続け、ピーク時は日本円で1頭につき数千万を下らないこともありました。
ところが、チベタン・マスティフを飼育し続けるには、高額な餌代の他、頑丈なオリ、しかるべきしつけや手入れが必要となり徐々に人気は薄れていきました。
社会的地位の高さや富裕層であることをアピールする必須のアイテムだったチベタン・マスティフは、現在では数万円の価格しかつかず、飼育放棄する人も増え社会問題にもなりました。
中流階級の人たちの間でも、入手が難しいとされる高級犬種を好む傾向が強いようです。同じ犬種でもより血統のよい物を海外から取り寄せるなど、高級犬種を飼育することが成功者の証と言う考えがいまだに根強くあるようです。
また、経済発展に伴ったペットブームは青空市場にまで浸透し、野菜や果物などと一緒に市場にはケージに入れられた犬が並んでいます。
中流階級以下の人たちは、このような市場でペットしての犬を購入し飼育しているのですが、正しい飼育方法やマナーの知識が行き届いていない面もあり、中国では狂犬病問題が深刻化しています。
市場に並ぶような犬たちは、小型犬やあまり大きくならない中型犬が多く、自動的にそのような犬が多く飼育されるようになっています。
室内飼いと屋外飼いどっちが多い?
中国では農村地帯などを除いて、犬はほとんどが室内飼いとなっています。
富裕層の場合には、犬専用の建物があることも多く空調設備の整った環境で飼育されていることも少なくありません。
犬は家族というよりも、アイテムという感覚がいまだに強いので、防犯対策の意味もあって屋外で飼育するということはほとんどありません。
愛玩犬を好む中流階級でも飼育はほぼ室内である場合が多く、番犬代わりに庭で放し飼いにしているような犬種でも、夜間は屋内やガレージ内などに作った犬専用の大型ケージの中で過ごさせることが多いです。
また、集合住宅も多いので庭で繋いで飼育するというよりも、屋内で一緒に過ごすというのが一般的な環境のようです。
中国で人気の犬種TOP10
中国での人気犬種は、他の国と比較すると変動が大きいです。
これは富裕層が好む犬種が変わることが、その順位に即反映されてしまうからです。
1位:トイ・プードル
2位:チワワ
3位:ミニチュア・ダックスフンド
4位:ポメラニアン
5位:ヨークシャー・テリア
6位:柴犬
7位:マルチーズ
8位:シー・ズー
9位:ゴールデン・レトリバー
10位:フレンチ・ブルドッグ
この順位は、いわゆるブームにのって富裕層が爆買いする犬種をあえて除いた順位になります。
やはり愛玩犬という観点から、TOP10に入っているのはほとんどが小型犬となります。
青空市場で販売されているこれらの犬種は、ブリーダーが過度に繁殖をしたものが流れてくるというのが通常ルートのため、市場で粗雑に売られているような犬種でも純血種であることが多いです。
人気の犬種とは少し性質が違いますが、これまで中国の富裕層の間で好んで飼われた犬種も紹介しておきます。
- チベタン・マスティフ
- シベリアン・ハスキー
- 秋田犬
- サモエド
- イングリッシュ・ブルドッグ
これらは全て、現在ではブームの去った犬種たちです。ブームは最長でも3年周期で変わるとされています。
超大型犬は小型犬と比較すると寿命は短いですが、大きな病気でも患っていない限り、3年で亡くなってしまうことは普通に飼育していればまずありません。
ブームの去った犬はどうなるのかというと、一時期日本でも話題になって事件を覚えているでしょうか。チベタン・マスティフの野犬が、群れをなして人を襲う事件が頻発しました。
つまりブームが去れば山や路上に遺棄してしまうのです。それ以外では食肉として売られていく場合もあるようです。
犬食文化はその国の持つ食文化ですので、そこを批判する必要はありませんが、一度飼い始めた犬は最期の時まできちんと面倒を見てあげてもらいたいと思います。もちろん中国にも、そのような飼育方法に異論と唱える人たちはいますが、なかなか浸透しきれていない面があるようです。
現在中国で新たにブームになりつつある犬種は、ロシア産のコーカシアン・シェパードです。この犬たちが今までの犬たちと同じ運命にならないように、動物愛護に対して意識を強く持ってほしいです。
まとめ
中国での犬の飼育状況や人気の犬種について紹介をしてきました。
人気犬種は小型犬ばかりで、ゴールデン・レトリバーが唯一小型犬以外でランクインしています。
中国では、犬を物のように扱う富裕層が多いようですが、その反面溺愛をし過ぎて給料のほとんどを犬の餌やトリミング代につぎ込んでしまう若い女性も増えてきているそうです。
但しそれも、犬を着飾ってSNSなどに載せる行為の為だともされ、ペット先進国のように家族と同様に感じている人は残念ながらまだまだ少ないのが現状のようです。
ここ数年で動物愛護団体などが発足されつつあるようですので、その意識が少しでも変わっていくことを望みます。
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