台風の季節は過ぎましたが、地震、噴火、集中豪雨、そしてこれからは雪害も発生しうる季節となってきます。今回はいつ起こるか分からない大災害への備えとして、既に皆さんが備蓄している非常用食材についてのお話です。
家族の人数や嗜好を考え3日分を目標に
大災害が起きた場合、3日は物流が停止し、特に人口集中地では物資を必要とする人が多いため、1週間ほど必要なものが行き渡らないことも考えられます。そのため、まずは家庭の食品をチェック!家族の人数や嗜好を考え3日分を目標に!
可能であれば、少しずつ買い足しながら7日分を備蓄。自宅で在宅避難をすることになっても、食料に困らないようにしていきましょう。
日用品を含めると様々なものが必要となりますが、ここでは食事を中心にしたお勧め備蓄食と保存方法(ローリングストック)についてご説明します。
一般的になっているローリングストックですが既に実践されている方は、そのまま継続してください。備蓄用食材を買ったことがない方や、聞いたことはあるけどこれを機会にやってみるか!という方は、是非参考にして頂ければと思います。
備蓄食はローリングストックしよう
備蓄食をストックして置くだけではいざ災害が発生した時に賞味期限切れで食べられない!食べ方がわからない!ということが起きます。
その様なミスを防ぐ為、「ローリングストック法」を実践しましょう!
ローリング(回転)ストック(保管)とは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。
いわば保管している備蓄食を使用(食べて)し、新たに買い足して回転させる事です。
【備蓄食の選び方】
日ごろから栄養バランスや使い勝手を考えて各家庭にあった食品を選びましょう。
- 家庭にある食品をチェック
- 栄養バランスを考え、家族の人数や好みに応じた備蓄食の内容・量を決める
- 足りないものを買い足す
- 賞味期限が切れる前に消費し、消費したものは買い足す
おすすめの備蓄食
飲料水(絶対に必要な水)
- 水 1人あたり、1日3L
主食(ごはん、そば、うどん等のエネルギー源)
- 無洗米、真空パックのご飯、アルファ化米、フリーズドライ米
- 乾麺(パスタ、素麺、そば、うどん等)、即席麺、カップ麺
- 缶詰パン、乾パン
主菜(肉や魚、大豆製品、卵などのたんぱく質を含む食事のメインになるおかず)
- 缶詰(さば、シーチキン、焼き鳥等)
- レトルト食品(丼、カレー、パスタソースなど)
- 充填豆腐
- フリーズドライソース類(丼、カレー等)
- 乾物(かつお節、桜エビ、煮干し、干し椎茸等)
副菜(野菜の煮物やサラダ、汁物等。主食、主菜で不足しがちなビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源)
- 野菜の缶詰
- 野菜ジュース
- 乾物(のり、ひじき、切干大根、わかめなど)
- インスタントみそ汁、即席スープ(粉末、フリーズドライ)
- 日持ちする野菜等
牛乳、乳製品
- ロングライフ牛乳
- 粉チーズ
- スキムミルク
菓子、嗜好品
- 缶詰(果物)
- 菓子(チョコレート、アメ、ようかん、せんべい、ビスケット)
- 氷砂糖(賞味期限が無い)
その他
- 粉末スポーツ飲料
- 各種調味料
- 梅干し
- 漬物
- ふりかけ
- ジャム、はちみつ
ペットフード
- ドライフード(小分けになっているものを選びましょう)
- 半生タイプ(水分も一緒に摂取できるのでお勧めです)
- ガム、大好きなドライ系おやつ
家族構成やワンちゃんの体重によって必要な水を確保
年齢によって必要な水分量は異なりますので、まずは大人1人あたり「1日3リットルの飲み水」を覚えましょう。1人あたり一般的なペットボトルの水(2ℓ)1.5本(3リットル)」が1日の目安です。
また、災害の直後では、給水車の到着や給水所の設置までに日数がかかります。最低でも、3日分の飲み水は確保しておきたいところです。
3日分となると、大人3人と小学生1人、ワンちゃん1匹の家族であれば2リットルのミネラルウォーターを18本用意する必要があります。((大人3人x3ℓ/1日+子供1人x2ℓ/1日+ワンちゃん1匹x500㎖/1日=11.5ℓ)x3日)
家族構成やワンちゃんの体重によって必要量は違いますので、適切な量を用意しておきましょう。
体調を崩さない食料備蓄を
食料は、エネルギー源となる炭水化物のほかにも、タンパク質、ビタミンもバランスよく取り、免疫を上げて体調を崩さないように気をつけましょう。
また、缶詰やレトルト食品には食物繊維が少ないため、便秘や口内炎を起こしてしまうことがあります。野菜ジュースや、中華丼のような野菜の入ったレトルト食品がおすすめです。
また、熱中症対策にもなるスポーツ飲料の粉末も用意しておきましょう。
日頃から種類の異なるなフードを食べさせてあげることも大切
大切な家族、ペットのご飯は何が必要なのか、わかるのは飼い主だけ。日頃から備え、慌てなくてすむようにしておきたいものですね。
災害発生時、支援物資としてペット用フードが数日後から支給されますが、普段から食べているフードが手に入る事は稀です。
限定されたフードしか食べていない子は、支給されたフードに全く口をつけなかったり、初めて食べたフードがあわずにお腹を壊してしまったり(いずれも環境変化によるストレスが一因)といった例が報告されています。その対策として、普段からいろいろなフードを食べさせてあげることが大切です。
療法食を忘れずに
発災直後は療法食が不足したとも言います。
療法食とは、疾患などために獣医師からの指導で摂取をすすめられているフードです。療法食は獣医師から処方されて動物病院でしか購入できないものもあるので、療法食の備蓄は十分注意しましょう。
調理用熱源の確保を
そして忘れてはいけないのが調理用の熱源です。東日本大震災で被災された方のお話しでは、避難生活の際に温かいものが食べたかったと語っています。
また、温かい食事は身体が温まり、緊張感や不安を和らげてくれるものです。ローリングストックで日常の食材を多めに準備しておいても、災害時はガスや電気、水道が止まり、食材を調理できないことが想定されます。
そんな時役に立つのが「カセットコンロ」です。ローリングストックでは、非常時用の保存食だけを備蓄しているわけではないので、それらの備蓄品を活かすためにもカセットコンロとガスボンベが必需品となります。
ローリングストックは、食料だけでなく、日常使いできる生活用品にも応用することができます。日常的に使用する保存食、飲料水、ウエットタオル、カセットボンベ、乾電池、使い捨てカイロなどは、常に一定量、家庭に置いておくようにすると、突然の災害にも対応しやすいでしょう。
備蓄する食料と合わせて備えたいカセットコンロとガスボンベも、日常で使いながら、常にガスボンベは一定量を確保しておきましょう。
鍋やヤカンも忘れずに!
冬の特有の災害
- 風邪(インフルエンザやコロナの蔓延)
- 火災(夏場よりも寒さ対策で火を使用する頻度が増え、乾燥しているので規模が大)
- 凍結による事故多発
- 雪害(普段から降雪の多い地域も少ない地域も危険が多々あります)
- 融雪洪水
- 凍傷、低体温症
この様に冬特有の災害(2次災害含む)は雪、寒さ、乾燥という気象条件の基に発生し被害をもたらします。先ず、大雪に慣れていない地域で大雪が降った場合、どのようなことに注意したらいいでしょうか?
交通機関の麻痺による渋滞、遅延、孤立、品不足や病院に通えないなどの影響や転倒防止対策を考えておきましょう。
交通機関に大きな影響が出るような雪が降っているときは、できるだけ不要不急の外出を控え、やむを得ず外出するときは時間に余裕をもって行動しましょう。
服装は、転倒することを想定して帽子、手袋やセーターなどクッションになりそうな素材を選びます。靴は、撥水性があり靴底の溝が深い靴を、かばんは、両手が自由になり転倒した場合も背中を保護できるリュックをお勧めします。
歩くときは、歩幅は小さく、足の裏全体でしっかり歩き、マンホールの蓋やタイルなど滑りやすいところを避けて歩きます。携帯電話は持ち歩くと転倒した際の破損や雪で濡れて故障する恐れがあるのでカバンの中に入れましょう。
降雪の予報が出たら、除雪用のスコップ、車のトランクにはタイヤ用チェーンを積んで装着方法を確認しておきます。雪で道路が渋滞することもあるので簡易トイレ、携帯電話をシガーソケットから充電できるアダプター、食料、毛布などを積んでおくことや、自宅でも停電や店じまい、品薄に備えて食料品や日用品、燃料の蓄えを十分にしておきます。
既往症のある方や処方薬を服用している人は早めに医療機関にかかりましょう。
除雪をするときは、軒下のつららや翌日晴れて気温が上がった場合は、屋根から大量の雪が落ちてくる恐れがあるので頭上にも注意してください。
冬特有の気象現象「降雪」
雪にまつわる事故
●雪崩による事故
●屋根からの転落
雪下ろし中に屋根の上で足がスリップして転落したり、屋根の上の雪が滑り落ちてきてバランスを崩して転落する事故
●屋根からの落雪
軒下で除雪中に落雪で埋まる、落雪が直撃する事故
●水路等への転落
融雪槽に投雪中、槽内に転落する事故(発見までの時間がかかり、死亡に至る例も)
●除雪機の事故
エンジンを止めずに、雪詰まりを取り除こうとして巻き込まれる事故
●除雪作業中に発症
寒い屋外での重労働によって作業中に心肺停止などで倒れる事故
●駐車中の窒息事故
大雪の中、立ち往生しエンジンをかけたまま睡眠を取ってマフラー部が雪でつまり車内に排気ガスが充満。一酸化炭素中毒による事故
冬特有の気象現象「凍結」
凍結時の運転
●降雪が1㎝以上の時は非常に滑りやすい圧雪に注意!
非常に滑りやすい圧雪(踏み固められた雪)は、ドライバーから見て白く見え、表面のみ凍ってつるつるの光沢ができ、滑りやすい状態です。圧雪は降雪が1㎝以上あり、雪が降った後早い時期(おおよそ24時間以内)に形成されます。
●前日の最高気温が0℃未満の時はアイスバーンに注意!
アイスバーンは、氷のようになった路面のことで、ドライバーから見て透明又は黒く見え、非常に滑りやすい状態です。前日の最高気温が0℃未満の場合できやすい路面凍結現象です。
●凍って見えなくてもブラックアイスバーンに注意!
ドライバーから見てただの濡れたアスファルトに見えるのですが、実は氷で覆われていて非常に滑る状態です。この路面状況は、これといって判断する方法がないので、低気温時は「路面が黒く見えたら要注意!」と覚えましょう。特に、冷え込む夜間や朝方や日陰などは要注意です。
凍結しやすい場所
●信号交差点
都市部の信号交差点のある箇所では、車が発進や停止を繰り返すことによって、圧雪や凍結路面が摩擦熱で融けて、タイヤとの間に水滴ができるため、路面が非常に滑りやすくなることがあります。
●橋梁(橋げた)
区間橋梁区間ではほかの区間と異なり夜間には橋の下からも熱が奪われるので、路面の温度が低下しやすく、ほかの路面が凍っていなくても橋の上だけは凍結していることがあります。
●トンネルなどの出入口
トンネルなどの出入口は日陰になることが多く、局所的に路面が凍結している場合があります。周囲が雪景色の場合には、トンネルの中と外での明るさが極端に異なることで状況が見えにくくなることを踏まえ、トンネル出入口付近での突然の路面変化に備え、走行には注意しましょう。
このほかにも、局部的に日陰となる区間では長期にわたり雪が残っていたり、融雪水が流れ込みやすい箇所では局所的に路面が凍結することがあります。
雪道での運転のポイント~凍結路面での運転のポイント
●坂道走行
あらかじめ適切なギヤにシフトダウンし、アクセルを一定にしましょう。急ブレーキやシフトダウンは尻振りやスピンを招きます。(下り坂はエンジンブレーキを効かせましょう)
●カーブ走行
カーブの手前で十分に減速してから進入し、カーブ中は控えめな速度を一定に保って走行しましょう。
● ブレーキング
急ブレーキをかけるとタイヤがロックしてグリップを失い止まれません。ブレーキは普段より手前からソフトにじわっと踏んで止めましょう。
※四輪駆動車だからといって過信しないようにしましょう。二輪駆動車に比べ発進や走行の安全性は有利ですが、車の重量が重いためカーブや交差点の手前では十分にスピードを落として走行しましょう。
またABS(アンチロック・ブレーキ・システム)がついていても過信しないよう、ABSを作動させずに済むように運転しましょう。
●吹雪の中での運転はライト点灯、スピードダウン、車間距離!
相手に自分の存在を知らせるため、ライトをつけましょう。前方の車が急に止まるかもしれないので車間距離を十分に取りましょう。
●大型車の雪煙に注意!
トラックなどの大型車が巻き上げる雪煙で視界が悪くなります。すれ違う時や追い越される時はワイパーを早めに作動し、減速しましょう。
●車に雪が付いたら安全な所に止まって落とす
ヘッドライトやテールランプについた雪で、自分の車が相手から見づらくなります。また、ワイパーに付いた雪で拭きが悪くなります。道路から離れた安全な所で雪を落としましょう。
アクシデントに対応できる用具を必ず装備しておきましょう
冬道の運転は冬山の登山と同じようなもので、事前の点検・整備と、天候の急変等による様々なアクシデントにも十分対応できるような装備品を必ず装備しておきましょう。
- タイヤチェーン、ジャッキ
- ブースターケーブル
- スノーヘルパー
- スペアタイヤ(冬道用タイヤ)
- スコップ
- 除雪用ブラシ
- 防寒具、長靴
- 砂・軍手・作業衣類
- 毛布
- けん引用ロープ等
歩行時の雪道や凍結道での事故
●横断歩道の白線の上
白線部は、乾いているように見えても薄い氷膜ができて、滑りやすくなっている場合があります。
●車の出入りのある歩道(駐車場の出入口、ガソリンスタンドなど)
出入りする車のタイヤで路面上の氷が磨かれ、非常に滑りやすくなっている場合があります。
●バスやタクシーの乗り場
多くの人で踏み固められて滑りやすくなっている場合があります。乗り場の路面状態を確認しながら歩きましょう。また、歩道と車道との段差にも注意しましょう。
●坂道
坂道は、上るときよりも下るときの方が滑って転びやすく危険です。下るときは特に注意しましょう。
●ロードヒーティングの切れ目
ロードヒーティングが切れた所から雪や氷が融けておらず段差ができて、部分的に滑りやすい状態になっていることがありますので、注意しましょう。
歩行時の転倒防止策
●小さな歩幅で歩きましょう
歩幅を小さくし、そろそろと歩く「ペンギン歩き」が基本です。そうすることにより、体の揺れが小さくなり、転びにくくなります。
●靴の裏全体を路面に付けて歩きましょう
つるつる路面では、体の重心をやや前におき、できるだけ靴の裏全体を路面につける気持ちで歩きましょう。また、履物は靴底が滑りにくいものを選びましょう。(摩擦係数の高いゴム長靴等)
最後に
間もなく本格的な冬が到来します。この様な季節に阪神淡路大震災は発生しました。(1995年1月17日)避難生活には寒さへの対策が非常に重要になったそうです。
ライフラインが途絶した環境で暖をとるのは大変な苦労があったと思います。
また、東日本大震災は2011年3月と春先ではありましたが、東北地方ではまだまだ寒さが厳しい時期でもありました。
この様に、災害は季節を選んでくれません。極寒の真冬や酷暑の真夏に発生する可能性も十分にあり得ます。衣替えの様に、備えも季節ごとに行う事が必要ですね。
参考文献
農林水産省 「災害時に備えた食品ストックガイド」
内閣府 「広報誌 ぼうさい」
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