【ディスクドッグへの道vol.9】 ディスクの投げ方(風対策編)

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前回まで、ディスクドッグの大会に参加するまでの一通りのドッグトレーニングとヒューマンスキルについてお話ししてきました。
今回からは、いよいよ一つ段階を進めて中級者向けとして、ディスクドッグチームのレベルアップを図っていきましょう。
まず、ディスクドッグの大会では、強弱はあるにしても、風が無いことはほとんど有りません。その風にどのように向き合って、味方に近づけられるかが勝敗の鍵を握ると言っても過言ではありません。そこで今回は、風に対するディスクの投げ方を考えていきましょう。ポイントは、風向きや強さによって、スローイングを調整していくことです。そのためには、どのような風の中でプレーしているかを意識し、自分のスローイングテクニックとのバランスをとるように考えていくことが大切です。

向かい風に対するディスク

ディスクドッグを始めてから、スローイングの練習を重ねて行くに従って、「そこそこ投げられるようになったかなー。」という段階になると初めに立ちはだかる壁がこの向かい風かも知れません。

微風の時には気にならなかったのに、少し強めの向かい風が吹くとディスクはどこに飛んでいくか分からなくなるし、ワンちゃんもキャッチするどころではなくなってしまう。そんな事をクリニックの時には耳にします。

そこで、少し堅苦しいかも知れませんが、ディスクの構造も含めて考えてみることにしましょう。

ここからは、図を見ながら開設していきたいと思いますが、まず、どのような方向に投げ出す事を前提としているかを確認しておきます。

このように、右利きの人が手前から奥の方向に投げ出す事を前提として話をします。

ディスクの特性と向かい風

以前にも少し触れたかも知れませんが、ディスクの構造と特性を確認しておきましょう。

ディスクは、その回転によって飛行姿勢を安定させます。それと、推進力によって進行方向へ飛行していきます。また、揚力という浮き上がろうとする力が働くので、ボールなどよりも遠くへ長い時間飛ばすことが出来るのです。

上の図を見てみましょう。

ディスクにはリムという外周の輪の部分がかまぼこ形のようになっています。(破線で囲んだ部分)スローイングの時には、ここの部分に指をかけて力を伝達しています。

この時、リムのカーブを描いている外側の方が、内側に比べると空気の動きが速くなるため、飛行機の翼のように早く動く方へと浮き上がろうとする力(揚力)が働きます。そこで進行方向へ投げた時、回転によって更にその速度を増した左側のエッジが上へ浮き上がろうとするため、右利きではディスクが右へ右へとカーブしていくのです。

これが、向かい風になると更にその速度が増すことになるため、よりディスクの傾きを大きくする(ディスクを立てる、アングルを付けるなどと表現します)ことが必要になるのです。

また、しっかりとディスクに回転を付けることも必要で、回転が不十分だと、ディスクが向かい風に負けてしまい、ディスクの姿勢を安定させられなくなります。そうなってしまうと、ディスクがふらついたり、左右どちらかに押し戻されて早く落ちてしまったりと言うことが起こるのです。

横風に対するディスク

次は、横風について対策を考えてみましょう。

右風での投げ方(傾き)

ここでは、風に対応してアングルの大きさを調整して投げることを考えてみます。

風の強さとアングルの大きさは反比例すると言っても良いでしょう。風が強いとディスクに及ぼす力も大きくなるので、アングルによって受け止める力をコントロールします。

以下に示す図は、風の影響を矢印によって強弱を表現したものです。

アングル(大)

図を見ていただくと解るように、アングルを大きくすると、多くの風の影響を受けることになります。この時、弱い風の時には、コントロールしやすく、飛距離を出すのにも有効なので、飛行方向やや右目に投げ出す事で、豪快なスローイングか可能になります。

しかし、風が強くなるに従って、投げ出した時よりもディスクがホバリングして落下に移行する頃に風の影響を強く受けて左に流されていく傾向が強く出ます。

アングル(小)

アングルを小さくして風の影響をやや抑え気味にした時を表しています。風の強弱に極端な影響を受けないので、投げ分けるのが苦手な方や、ゲームの進行に気が回らないときなどに使うと大きなミスを防げると言えます。

フラット

風力が強いときに使いたいアングルです。ディスクに対する風の影響が一番少ないので、強い風でも左に押し流される力を軽減することができます。

ディスクの回転とのバランスがとても大事な投げ方になります。

左風での投げ方(傾き)

ハイザー

ディスクの軌道が左にカーブするようになるので、風にディスクの軌道をぶつけていく感じになります。微弱な風の時には、特に意識することが無くても安定して飛んでくれます。強風の時には、ディスクの高い位置のエッジを押しつけるような力が働くので、ディスクがいわゆる叩かれる感じに低い軌道になることがあります。

アンハイザー

ディスクに風をはらませて飛行させる感じになります。やや強めの風の時に風をはらませることで、風に叩かれること無くユルユルと飛行します。投げ出しをやや左目に狙いを定めることで、落下点(キャッチするポイント)をコントロールすると良いでしょう。

フラット

右風同様に、横方向の影響をなるべく少なくしたい時に使用します。ハイザーとフラットでは、風の方向と強弱を考え、自分のスローイングとのバランスを見ながら選択すると良いでしょう。

追い風に対するディスク

初心者の頃には気づきにくいのが、追い風に対する工夫の大切さが挙げられます追い風では、気持ち良く投げることが出来、ディスクも比較的距離も出て、軌道も風の影響を受けにくいので、とても自分が上手くなったように感じます。

しかし、ひとたび風速が速まるとディスクの軌道が上がらずにスピードだけ増してワンちゃんが追いつけず落下してしまうことで、ポイントになかなかつながらないというジレンマに陥ることになるのです。どうして、そうなってしまうかを考え、対策を取りましょう。

ここでは、図解をするのに投げる方向の設定を下の画像のように右方向から左方向へ投げることにします。

ヘッドアップ

ディスクの進行方向の先端を少し上げ気味に投げる方法です。風が弱いときには、普通に投げる状態でホバリングもしやすくなるのですが、風が強くなるとディスクの高い位置を抑えられるようになるため、ディスクの先端を押さえ込まれる力が働き、ディスクが早く低く飛んでいくことが多いです。こうなると、よほど走力のあるワンちゃんでもキャッチが難しくなります。

フラット

横風でも効果的に投げられることを感じた方も居ると思います。追い風においても、風の影響を少なく、リスクを減らせるのがフラットな状態で投げる方法です。

ディスクを推し進める力を抑え気味に出来るので、回転を良くかけることに集中して投げると良いでしょう。

ヘッドダウン

ディスクの進行方向先端を下げる方法で技術的には難しい投げ方です。投げ出し野市を高めにして投げ出すときの手首の使い方が鍵になります。横風のアンハイザーを投げるテクニックに共通するものがあります。

風をはらんで飛んでいくので、初速を抑え気味にして、コントロールできれば、風に叩かれること無くディスクが飛んでいきます。ただし、角度を間違うと、風の向きに左右されやすいので、リスキーな所もあります。

最後に

今回は、ディスクの投げ方(アングルの付け方)についてお話ししました。図解だけでは、解りにくい部分もあるかも知れません。実際には、縦方向の風、横方向の風が複合的に作用するので、様々な要素を組み合わせていくことがとても重要になります。

国内のトップレベルのチームは、様々な気象条件の中で安定した成績を残した結果、年間ランキングの上位に名を馳せているのです。

今回、読んでいただいたことを練習や大会で実践して、上位チームと互角に戦える力を身につけていきましょう。

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大塚 裕

大塚 裕

1961年東京生まれ。現NDAコミッショナー。愛犬JACKEYと2001年にディスクドッグ世界大会に日本代表第1号として参戦。その後も2度日本代表となる。ディスクドッグの楽しさを広く知ってもらうことに喜びを感じている。

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