公開日
2019/05/02

【獣医師監修】ワンちゃんはスポーツドリンクを飲んでいい?

これから暖かくなる季節、ワンちゃんとのお出かけ時などに人間用のスポーツドリンクを飲ませていいのか気になりませんか?基本的に水分補給には通常の水で十分ですが、食欲不振時や病気のときなどは有効な場合があります。今回は、犬にスポーツドリンクを与える際の注意点をご紹介します。

犬の水分補給は基本的に水で対応

犬も人と同様に水分不足による脱水症状を起こしますので、暑くなる時期には十分な水分補給が必要です。しかし、人と犬とでは体温上昇時の体温調節方法が大きく異なります。

結論から先に言ってしまうと、犬の熱中症の予防においてスポーツドリンクは必要ありません。水分補給には通常の水で十分であり、塩分を含むスポーツドリンクを常用することはむしろ犬に悪影響を及ぼす可能性があります。

犬と人間は失う塩分量が異なる

人間は皮膚に存在する汗腺から大量の汗をかき、その気化熱によって体温を低下させます。多い時には1時間に2リットルもの汗をかきその汗には多くの塩分(ナトリウム)を含んでいます。

そのため大量に汗をかいたり脱水症状におちいった際、塩分濃度の低いもので水分を大量に摂取すると、血液中のナトリウム濃度が低下し、水中毒を呈し命に関わります。

上記の理由で、人では脱水症状の予防にはスポーツドリンクが適しています。(※脱水時にはスポーツドリンクでも塩分が不足してしまいますので、脱水症の治療・改善目的にはさらに塩分濃度が高く設定されている経口補水液の摂取が推奨されています。)

ですが、犬の場合、体温上昇時の体温調節方法はパンティング(開口呼吸)です。パンティングをすることで主に舌など口腔~鼻腔からの放射熱と、唾液など体液の気化熱によって体温を低下させます。

汗をかくための汗腺は肉球や鼻先などの無毛部にわずかにしか存在せず、人と異なり脱水に伴う大量の塩分(ナトリウム)喪失は起こりません。

そのため、日頃の水分補給をスポーツドリンクなどに切り替えて習慣的に塩分補給をすることは、塩分摂取過剰につながり腎臓や心臓に悪影響となる可能性があります。

ただし、食欲不振で十分にごはんが食べられない時や、下痢や嘔吐など病気によって体液喪失し脱水しているような状況では、犬にとってもスポーツドリンクが有効な場合があります。

食欲不振時など薄めたスポーツドリンクなら限定的に使用可

ここまで述べたように、基本的に犬に人間用のスポーツドリンクを与える必要はありません。
ですが、 食欲不振で十分にごはんが食べられない時や、下痢や嘔吐など病気によって体液が喪失し脱水しているような状況で一時的に使用するにはよいでしょう。 その際には、あくまで一時的な水分補給として、水で薄めたスポーツドリンクを使用するべきで、毎日飲ませるのはよくありません。

スポーツドリンクという範囲は広く、例えば、一般的なものであればポカリスエットやアクエリアスなどが挙げられますが、その他にもさまざまな成分が含まれているものや炭酸を使用した商品もあるので「スポーツドリンク」なら水で薄めればどれでも大丈夫とは言い切ることはできません。

こういったことからも、心配な場合は、この後ご紹介するペットスウェットやハイドロチャージなどの犬用のスポーツドリンクや経口補水液を使用することをおすすめします。

犬に経口補水液は与えてもよい?

では、次に人間用の経口補水液についてもみていきましょう。

人間用の経口補水液といえば、OS-1やアクアソリタなどの製品がありますが、
スポーツドリンクに比べ経口補水液の方が塩分濃度を高く設定されています。
これらは、 薄めてもしくは、脱水時など「限定的に」であれば与えることも可能です。

犬用にもハイドロチャージという経口補水液がありますが、成分内容的には、犬用に比べ人用の方が塩分濃度を高く設定されています。
あくまで脱水時の一時的な水分補給に使用するのであれば、どちらも問題ありません。ただし犬に常飲させるべきではありません。

愛犬に糖尿病、心臓、腎臓などに関わる持病がある場合や犬の状態が場合は、脱水の状態を自己判断せずに、すみやかに動物病院を受診してください。

犬にスポーツドリンクを与えるときの注意点

犬の体重の60〜70%は水分でできています。暑い季節の熱中症や嘔吐、下痢、水分の摂取不足などによって引き起こされる犬の脱水は、命に関わることもあります。

脱水を未然に防ぐための対処方法として犬にスポーツドリンクを与える際には以下のことに気をつけましょう。

注意点1:与え過ぎに注意

人間用のスポーツドリンクには、糖分と塩分が多く含まれているので、与え過ぎには注意してください。

特に、糖尿病、心臓、腎臓などの持病がある犬には、安易に与えるのはよくありませんので、事前に獣医師に確認しておくことをおすすめします。

注意点2:必ず薄める

犬に人間用のスポーツドリンクを与える際には、常温のお水で必ず3倍程度に薄めて与えるようにしましょう。

注意点3:常飲させない

糖分や塩分を多く含む人間用のスポーツドリンクは、水分補給がすぐに必要な場合以外に犬が常飲するものではありません。長期にわたり与えることで犬に害を及ぼす恐れがあるので注意が必要です。

注意点4:常温で与える

犬に冷えたスポーツドリンクを与えると下痢を引き起こす可能性があるので、常温で与えた方がよいでしょう。

スポーツドリンクで犬の熱中症を防げることも

人間のスポーツドリンクは、一時的に与えるもので、常飲させると犬にとって害になる恐れもあります。

ですが、例えば、水を普段からあまり飲んでくれない犬に、ドッグランなど暑い日に外出する際の熱中症予防として、味が付いているスポーツドリンクなら飲んでくれるという場合には使用してみるとよいでしょう。

犬の熱中症の症状と対処方法

犬は、人間のように全身から汗をかくのではなく、主にパンティングという呼吸で体温調節を行っています。暑い季節にもしパンティングが止まらない、犬の元気がない場合は、熱中症の可能性もあります。

<犬の熱中症の初期症状>
元気がない/パンティング呼吸が止まらない/ふらつきなど

<犬の熱中症が重症化すると>
嘔吐や下痢/大量のよだれ/食欲不振/ぐったりする/痙攣/眼振/意識を失うなど

<犬の熱中症の対処方法>
犬の熱中症は重症化すると命に関わるものとなるので、犬を涼しい場所に移動させ、軽度の場合は体を冷やしお水を与える、重度の場合はすぐに動物病院に連絡をしましょう。

詳しくはこちらをご覧ください↓

犬が1日に必要な水分量

1日に犬が必要とする水分の量は「体重㎏の0.75乗×132mℓ」または「体重㎏×30+70mℓ」で計算できます。

簡単な指標としては、犬に必要な1日の水分量は、体重2kg-190ml、5kg-370ml、10kg-630ml、20kg-1060ml、30kg-1440ml程度であるといわれています。(環境省:飼い主のためのペットフード・ガイドラインより)

ですがこの水分量は、飲水量ではなくペットフードなど食物中に含まれる水分もすべて含まれています。飲水量としては40~60ml/kg程度です。

飲水量の目安も覚えておき、熱中症にならないためにも、暑い季節や暖房の入った室内では、犬がきちんとお水を飲めているかを確認しておきましょう。

手作りも可!犬用のスポーツドリンク

人間用のスポーツドリンクは、犬に与える際にお水で薄める必要がありますが、犬用のスポーツドリンクや経口補水液なら、動物の体に適した成分に調整されているので手間がかからず便利です。

また、1つだけ購入するのは割高!という方は、お家で簡単に手作りの経口補水液を作ることができます。

犬用スポーツドリンク

商品名:アース・ペット ペットスエット 500ml×24本 (ケース販売)
商品はこちら
(価格:3,237円 2019年4月11日現在)

犬用のスポーツドリンクで多く見かけるのが「ペットスエット」です。500mlのペットボトルなので、どの大きさの犬でも少量ずつ与えられるので、寝たきりの犬の水分補給にもおすすめです。

犬用経口補水液

商品名:ペティエンス ハイドロチャージ 動物用経口補水液 200ml ケース(6個セット)
商品はこちら
(価格:2,749円 2019年4月11日現在)

犬猫用の経口補水液のハイドロチャージは、浸透圧が動物用に調整されており、人間のOS-1のような役割をして犬の体の水分管理をサポートできます。

簡単!手作り犬用スポーツドリンク

犬用のスポーツドリンクを1本だけ購入するのは割高という方は、お家で手作りの犬用スポーツドリンクを作って与えることができます。

<材料>

  • 水 1L(一度煮沸して冷めたお水または、軟水のミネラルウォーター)
  • 砂糖20〜40g
  • 塩 3g

<作り方>
材料を混ぜるだけでOK!ただし、冷蔵庫で3日間の保存ができますが、使用する際に常温に戻して与えましょう。

人間の簡易経口補水液として飼い主さんも飲むことができるので、自家製の犬用スポーツドリンクの作り方は、緊急時の対処方法の1つとして是非知っておくと役立ちます。

最後に

犬は暑さに弱い動物です。日頃から水分管理をしっかり行い、炎天下や暑い時間のお散歩を控えるなど、犬が熱中症にならないためにサポートをしてあげなくてはなりません。

健康な犬の日々の水分補給は水で十分ですが、食欲不振で十分にごはんが食べられない時や、下痢や嘔吐など病気によって体液喪失し脱水しているような状況では、スポーツドリンクや犬用補水液が有効です。

また、普段から飲水量の少ない犬に、暑い日など外出時の熱中症予防として一時的に飲水量を増やすために使用するのは有効です。
状態によっては、できるだけ早く動物病院を受診するよう心掛けるようにしましょう。