公開日
2018/07/16

ひげを切るとどうなる?犬にとってのひげの役割とは

愛犬のひげは切っていますか?生えたままの状態ですか?トリミングサロンで犬のひげをきれいにカットしてもらっている飼い主さんと、ひげをカットせずそのまま生やしている飼い主さんと、お手入れの方法はさまざまです。犬のひげを切るとどんな問題があるのか、犬にとってのひげの役割についてご紹介していきます。

ひげに役割はあるの?

犬や猫の顔に自然に生えている「ひげ」は他の被毛に比べて固くて太く、長い毛が生えています。この「ひげ」にはどんな役割があるかご存知ですか?犬と猫それぞれの機能や特徴、役割の違いがあるのかを比較していきましょう。

猫の場合

猫のひげは、猫の身体機能に非常に重要な役割をしています。猫は自分のひげを使って、空間認知、情報収集、平衡感覚の調整を行っています。このため身体機能とひげの機能を使って高いところへ飛び移ることができますし、反対に高いところから飛び降りても、転がり落ちることなく、バランスを崩すことなく地面にきちんと着地することができるのです。猫のひげは、口周り、鼻の上、あごの下、両ほほ、両目の上に生えていますが、これらは飾り毛ではありません。大切な感覚機能一つである触毛として、猫の行動に大切な役割があります。

狭い屋外のブロック塀の隙間や室内の棚の隙間を、猫がスムーズに通り抜けることができるのは、ひげのおかげです。センサーやアンテナの役割を持つひげを使って、自分が狭い隙間を通ることができるかどうかを瞬時に判断しているからです。ひげの根元には神経が集中して走っており、ひげの触手が対象物に触れたときに、ここは無理しても通ることができない、危険であると判断することで空間認知能力を発揮します。

猫は犬のように群れを作って生活する動物ではありません。本来は自分の縄張りがあり、単独行動を行います。単独で獲物を捕まえるためには、五感をフルに使って獲物を見つけ、ひげのセンサーで空間の認知と獲物との距離感を把握し、瞬発力や運動能力を使って獲物を捕えます。空気の流れや、現場の状況を把握するのに役立つひげがあるからこそ、猫は暗闇でも狩りを行うことができるのです。

センサーやアンテナのような役割を持つ猫のひげは、空気の流れの他に、天気を察知する能力もあり、昔からの言い伝えで「猫が顔を洗うと雨が降る」といわれています。これは、雨が降る前に湿気が高くなることで、猫のひげに張りがなくなることから、獲物を捕まえやすくするためにひげを整える。または湿度によって張りがなくなり、ひげの根元がムズムズするため、気になって顔を擦っている。センサーやアンテナの感度を上げるために、ひげをピンと張らせるため。など、猫のひげと天気の関係については諸説あります。

猫のひげは勝手に抜け代わるので切る必要はありません。犬はひげを切る飼い主さんが多くいますが、同じように猫のひげを切ることは絶対にやめましょう。猫はひげがないと平衡感覚を保つことや空間認知を行うことが難しくなり、夜間での行動に支障が出る、元気がなくなり狭いところに閉じこもって出てこなくなる可能性もあります。

犬の場合

次は犬の場合です。犬の場合はトリミングサロンに行くと足回りの毛と一緒にひげを切ることが多いです。この理由は、見た目や見栄えをよくするためで、ドッグショーでは犬種のスタンダードとして、口周りやひげをきれいに整えられている犬を見ることがあるでしょう。しかし、犬種のスタンダードを参考にして、ひげはカットしなければならないということでは決してありません。犬の見た目をよくする目的以外で「ひげ」は切る必要は全くありません。

犬は動物です。動物は生き抜くためにからだに多くの機能を備えています。犬のひげは、猫のような特殊なセンサー機能は持ちませんが、固く太いひげは口周り、あごの下、両ほほ、目の上に感覚器官として存在しています。ひげの根元には神経が集中して、犬の行動に役立つ場合があります。

例えば、猟犬は草むらや野山をかき分けて走り、ハンターのサポートをしますが、猟犬は草むらや野山で目をケガしやすいです。このため、犬のひげが草や小枝に触れたときに、瞬間的に犬が目を閉じることで、眼球を保護するための役割も持っています。猫同様に、犬も暗い中で移動するための情報収集に役立つこともあるでしょう。猫ほどの感覚器官ではありませんが、犬の持っている能力を最大限に引き出すことを目的とするのであれば、猟犬や競技会に出場している犬、犬の本能を使って活動する犬は、役割を活かすためにひげは切らないことをおすすめします。

さまざまな狩猟のサポートとして作られた犬達は、古くから猟犬として、本能と特性を最大限に発揮することで人間と猟を行ってきました。犬らしさを重視する場合は、自然に生やしたままでひげを切らない飼い主さんも多いです。現代では猟犬としての役割の必要性がなくなり、家庭犬、愛玩犬として人間に寄り添う存在となった犬のひげは必要ないという意見もあり「ひげを切る」「ひげを切らない」については賛否両論があります。

実際にひげを切っても大丈夫?

犬のひげは切っても大丈夫ですが、見た目以外の理由で切る必要もありません。犬のひげは太く、毛根付近には血管も神経も通っているので、抜くと痛みを感じ、出血やケガとなるので絶対にやめましょう。愛犬が繊細な犬で、一度ひげを切ったときに、犬の生活や行動に気になる変化が起きたときは、次から切らないほうがよいでしょう。

猟犬や競技犬、作業犬の他にも、高齢の犬や眼科疾患を抱える犬は、ひげを切らないことをおすすめします。高齢になった犬は、運動機能だけでなく、からだの機能も徐々に衰えて、足の運びや関節の動きが悪くなり、目が見えにくくなって、耳が遠くなり、自分の周りの状況が把握しにくくなってきます。この状況で、感覚器官を最大限に使えるのは、嗅覚やひげ、足裏の感覚機能になるでしょう。他のからだの機能が衰えても、大切な感覚器官のひげがあることで、犬の日常生活に役立つ可能性があります。

まとめ

犬のひげの役割は猫ほど重要ではありません。しかし、必ずひげを切る必要もありません。切っても切らなくてもよいというのが結論ですが、犬らしさを重視する場合や高齢犬、猟犬、競技犬、作業犬、視力が悪い犬、失明している犬は、切らないほうがよいと言えるでしょう。賛否両論ある犬のひげカットですが、飼い主さんの考え方次第で切っても切らなくてもよいのです。