兵庫県豊岡市にて家具、彫刻、絵画製作をしている美藤圭さん。
様々な彫刻、絵画、家具。なかでも犬好きの私たちの心を奪ったものは犬の彫刻です。
ブローチ、置物、その数々の表情はユーモラスであり、特徴をよく捉えられています。
今回は浅草Galerie NUAGE(ギャルリ ニュアージュ) にて開催された個展を中心に、表情豊かな犬作品をご紹介します。
美藤圭とは
びとうけい
1986年兵庫県豊岡市で産声をあげる。
18歳の時に「ものづくりで飯を食いたい」と飛騨高山にある日本唯一である家具専門学校、飛騨国際工芸学園にて家具のデザイン、制作を学ぶ。
設計事務所、家具工房、家具メーカーを経て、2015年家具と彫刻の工房「2B works」(ニービーワークス)を設立、現在に至る。日常のひとコマに違和感なく溶け込む自然な色合いの作品は日本だけでなく、海外でも評価が高い。
2B worksホームページ
Instagram@kei_bito

美藤圭の作品とは
犬だけではなく、人間の深い精神的な部分を表現した彫刻も個性的と言う言葉では足りない、味があるものから、かわいらしいものまで幅広く製作されています。いつも目に見えるところに置いておきたくなるような、ふわっと親しみが湧く作品たちです。日常でふとしたときに目に入る光景。そこに美藤氏の手の温もりと木の温かみが加わり、今にも動き出しそうな肉付きと表情に幸せを感じ個展へと出向きました。

個展でお目にかかった際のお人柄は、作品にそのまま醸し出されており、優しさと物腰の柔らかさがそのまま伝わってきます。ご本人からもにょろにょろっと雲が出てきそうな、そんな好青年というにふさわしいまっすぐな瞳が印象に残りました。
人間の奥底から、ときどきポンと良くも悪くも飛び出すこころの有様。それをにょろりふわりと雲が代弁してくれているような奥深いところもあるからこそ、犬たちの思慮深げな、細やかな表情がより一層ググッと入り込んできます。
Instagramの写真からもその優しい雰囲気が手に取るように伝わってきます。
犬の彫刻
犬だけでなく、どうぶつ展を開催するほど、色々な動物作品を制作なさっています。人と犬、並んで展示されているその配置には、犬好きでなくとも思わずにっこりしてしまう味わいのあるものばかりです。ありのままの自然な作品の中に、犬の個性はもちろん、人間の強い個性がやんわり垣間見られます。木が元来持つ温もりにお人柄が加わったからでしょうか、ほっこりとしたあたたかみがあります。目のキラキラ、ちょろりと出た舌、垂れた肉、毛質、ついつい手に乗せて撫でたくなる犬の数々。
フレンチブルドッグ、ボストンテリア、プードル、柴犬、紀州犬、ラブラドールレトリバー、ビーグル、コーギー、ブルテリア、キャバリア、シベリアンハスキーなどあらゆる犬種を製作されています。
Instagramで投稿されている、自然と調和した犬の作品にもまた魅了されます。合間の投稿のポストカードの色調のあたたかさもコレクションしたくなる心惹かれる数々です。
現在の工房「2B works」も鉛筆の2Bでデッサンすることから付けられたそうです。


美藤さんにとっての犬
犬を彫刻するようになったきっかけ。美藤さんの飼っていた柴犬の彫刻を見て、「私の犬も彫ってほしい」とたくさんの写真とともに注文を下さった方がいたそうです。
その作品を見た方や、Instagramなどからじわじわとオーダーが入るようになり、今でも切れ目なくオーダーが入るようになったとのことです。
「皆さん犬というより家族として見ていらっしゃるので、送られてくる写真は甘えるようなカメラ目線だったり、安心して寝ていたり、飼い主さんとの関係や人柄(犬柄?) も感じられたりします。性格などもお聞きするんですが、直接会ってないのに雰囲気が伝わる気がします」と美藤さん。
あえて、犬で好きなパーツはどこですか、と質問をしてみました。
その答えは
「特に好きなパーツはないんですが、何となく肩を揉むのが好きです。昔飼っていた柴犬は肩甲骨から首にかけてマッサージしてやるのが好きだったので何となく他の犬もやってしまう時があります。
…今は猫を飼っているんですが、マッサージすると肩がグニャグニャしててビックリしました」
とても穏やかな、作品の温かさはここにあるのだなぁと大きく頷いてしまうその答え。
思わずぐっときてしまった美藤さんのことば。そのままここに載せます。
「基本的には人間の精神的な部分を作品にしていますが、犬という動物はおそらく人間の色んなことを汲み取って生きている気がします。」
「犬を彫ることが多いのは単純にたくさん注文をいただくから、というのが一番の理由です。人間に近い部分で、もしくはもっと深い部分で(言葉を発さないだけに)人間に寄り添って、共感してくれる存在として犬をモチーフに作品を制作したりします」
犬を愛す者にとってはこの上ないことばでした。
オーダーも?
結婚式の引き出物として、愛犬の彫刻などのオーダーも受けてくださるとのこと。もちろん美藤さんのスケジュール等にもよりますが、展示会で受注や作品販売もしている時もあるので、愛犬の彫刻をお考えの方は一度ホームページから連絡してみるのもいいかもしれません。愛犬の写真や雰囲気から、飼い主さんが抱きしめているところ、くつろいでいるところ、大きさなど細やかなオーダーも聞いてくださいます。ここにも穏やかな優しいお人柄がよく現れています。ブローチや置物、これっ!と心惹かれるものがあればお問い合わせもOK。美藤さんご本人から丁寧なメールが返ってきます。
まとめ
枠にとらわれず、あらゆる視点で作品創りに挑む美藤圭さん。夢をひとつずつ実現していくその生き様の過程に犬という存在があることを知り、とても嬉しく思いました。私たちが目指す犬との共生社会。犬という生き物は、私たちのこころに寄り添ってきてくれる掛け値ない存在だということ。このように犬に関わる輝く方々もいるのだということ、これからも発信していきたいと思います。
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