犬の栄養素について知ろう【3大栄養素編】

人もワンちゃんもご飯をしっかり食べて、栄養を摂るのはとても大切なことです。
ただ、人と犬で必要な栄養素が違ってきます。
今回は、とても大切な役割を持つ5大栄養素の中でも、特に大事な3大栄養素についてそれぞれどんなはたらきがあるのかご紹介します。

5大栄養素について

犬に必要な栄養素はタンパク質・脂肪・炭水化物・ミネラル・ビタミンの5つです。これらを5大栄養素と言います。
その中でも、エネルギー源となるタンパク質・脂肪・炭水化物を3大栄養素といいます。
栄養バランスが摂れた食事とは、エネルギー源となる三大栄養素のバランスが取れており、さらに体の調子を整える役割があるミネラルとビタミンが過不足なく摂れている食事のことを言います。
犬には犬に適した栄養バランス、人には人に適した栄養バランスがありますが、栄養素の基本的な考え方は犬も人も同じです。
また、5大栄養素の他に「水」も生きていくうえで大切な役割を果たします。

タンパク質

どんな役割があるの?

  • 骨や筋肉、爪、皮膚、被毛などの身体を構成する成分、ホルモンや消化酵素の材料になる
  • 抗体やサイトカイン等の成分となり免疫機能に役立つ
  • 栄養素や酸素の運搬に関わったり、体液の浸透圧や血液の酸塩基平衡(pH)の調節をする

タンパク質は、約20種類のアミノ酸の組み合わせでできています。
食餌から摂取したタンパク質は、胃腸でアミノ酸やジペプチド、トリペプチドまで分解された後吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれていきます。
そして、アミノ酸は肝臓で肝細胞のタンパク質や血漿タンパク質の合成に一部が使われ、一部は分解されて、燃焼してエネルギーになるか、ブドウ糖や脂肪酸を作るのに利用されます。
肝臓経由で血液中に入ったアミノ酸は、全身の組織に運ばれ、“骨に使うタンパク質”“筋肉に使うタンパク質”など各組織のタンパク質の合成などに使われます。

アミノ酸の種類

アミノ酸は必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分けられます。

必須アミノ酸

体内で合成ができないか、合成量だけでは不足するため、必ず食餌から摂取する必要があるアミノ酸。

人は9種類(バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、ヒスチジン)。
犬は人の9種類+アルギニンです。

非必須アミノ酸

体内で合成できるアミノ酸。
人は11種類(必須アミノ酸以外のアミノ酸)、犬は10種類(必須アミノ酸以外のアミノ酸)です。

1日に必要な量は?

犬は人の約4倍のタンパク質が必要です。
また、成長期、妊娠・授乳期や皮膚などの組織を修復するために追加のタンパク質が必要となる怪我やガンなどでは1日当たりのタンパク質必要量が通常よりも多くなります。

人・・・・・体重1kg当たり1.2~2.0g
成犬・・・・体重1kgあたり4~6g
子犬・・・・体重1kgあたり9.6g

摂り過ぎの場合

肝障害・腎疾患などを引き起こします。
タンパク質が過剰になると、肝臓や腎臓への負担が増加する場合や、尿中へカルシウムの排泄量が増える可能性があります。
さらに、慢性腎臓病や肝疾患がある場合には、タンパク質代謝の生成物(アンモニアや窒素老廃物)の解毒や排泄がうまくいかなくなるため、有害物質が蓄積して体に悪影響を及ぼします。

不足した場合

成長不良、体重減少、食欲不振、貧血、毛がパサつく、筋肉が衰える、免疫力の低下、死亡などを引き起こします。
タンパク質は身体を作る材料なので、その材料が不足してしまうと、身体の様々なところに支障が出てきてしまいます。
また、子犬の時期にタンパク質不足になってしまうと免疫力が弱く、虚弱体質になりやすくなってしまいます。

脂肪

どんな役割があるの?

エネルギーを供給する

脂肪はタンパク質や炭水化物の約2.5倍ものエネルギー量があります。
必要に応じてエネルギーに変えられる貯蔵脂肪として蓄えることができます。

内臓の保護

弾力性があるので、内臓を保護します。

体温保持

熱伝導性が低いので、体温保持の役割をします。

脂溶性ビタミンの供給を助ける

脂溶性ビタミンであるビタミンA・D・E・Kの吸収を助けます。

必須脂肪酸を供給する

必須脂肪酸とは体内で合成ができず、必ず食餌から摂取する必要がある脂肪酸のことを言います。
これを供給する役割があります。

犬に必要な必須脂肪酸は、「α-リノレン酸(オメガ-3脂肪酸)」と「リノール酸(オメガ-6脂肪酸)」です。

この2つの必須脂肪酸は、細胞膜を構成する成分となったり、皮膚や被毛の健康を保ったりする役割や繁殖、免疫に関連します。
この他にも、食べ物の嗜好性を高めたりします。

脂肪酸の種類

脂肪酸とは脂肪を作っている成分の1つです。
様々な種類がありますが、大きく分けると「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに分類されます。

飽和脂肪酸・・・動物性脂肪に多く含まれています。
不飽和脂肪酸・・・植物性脂肪に多く含まれています。

さらに、必須脂肪酸であるオメガ-3系やオメガ-6系などに分けられます。
ドッグフードは、肉の比率が高いものが多いので、飽和脂肪酸が多くなりがちですが、不飽和脂肪酸である魚や植物性の油をバランスよく摂り入れてあげることで、バランスの良い脂質を摂取することができます。

摂り過ぎの場合

肥満、糖尿病、下痢、急性膵炎、高脂血症、動脈硬化などを引き起こします。
脂質はエネルギー量が多いので、摂りすぎてしまうと肥満や糖尿病の原因になってしまいます。
また、脂肪を消化するとき膵臓からリパーゼという脂肪分解酵素が分泌されます。
一度にたくさんの脂肪を摂りすぎてしまうと、それを消化しようとたくさんのリパーゼが分泌し、膵臓に負担がかかりすぎてしまい、急性膵炎を引き起こしてしまうことがあります。

不足した場合

傷の治りが悪くなる、毛艶が悪くなる、皮膚疾患になりやすくなる、生殖機能が低下する、細胞や血管が弱くなる、などの症状が見られます。
必須脂肪酸が不足すると生殖機能が低下したり、被毛がパサついたりし、皮膚炎やフケの原因になってしまいます。

炭水化物

どんな役割があるの?

一部は肝臓のエネルギー源として使われ、一部はグリコーゲンの形で肝臓に貯蔵、残りは、各組織でエネルギー源として使われます。
筋肉では、筋肉グリコーゲンの形で蓄えられエネルギー源として使われます。
デンプンはブドウ糖に分解された後、体内に吸収され、血糖(血液中のブドウ糖)として体内を循環し、以上のような役割を果たします。

食物繊維の種類

食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。

不溶性食物繊維(セルロース、キチンなど)の働き

1.腸の正常な働きを促進し、また、消化管内や糞便中の水分量を調節する→便秘や下痢のコントロールに役立ちます。
2.肥満予防:フードの嵩を増すことにより、満腹感が得られ過食防止に役立ちます。
3.有害物質の排出を促進します。

水溶性食物繊維(ペクチン、グアーガム、グルコマンナン、アルギン酸など)の働き

1.コレステロールの吸収を抑制します。
2.血糖値の上昇を抑制します。
3.腸内細菌による発酵を受けて短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸)を生じます。
4.腸の粘膜上皮細胞のエネルギー源となったり、有害細菌の増殖を抑え腸の健康を維持したりします。

1日に必要な量は?

必須アミノ酸(タンパク質)や必須脂肪酸(脂肪)には、最低限摂取すべき量が設定されていますが、炭水化物にはそれがありません。
必要なエネルギーの半分以上を、炭水化物から供給します。

摂り過ぎの場合

体脂肪の増加、生活習慣病のリスクが高まる、肥満などを引き起こします。
炭水化物は使わなかった分を予備のエネルギー源として取っておくために、脂肪に変換されて体脂肪として蓄えてしまいます。
そのため、太ってしまいます。

不足した場合

筋肉量の減少、免疫力の低下、痩せすぎなどを引き起こします。
糖質が不足して、必要エネルギーが賄えなくなると、身体を構成しているタンパク質や脂質の代謝に余分な負担がかかってしまい、筋肉量が減少したり、免疫力が低下したりしてしまいます。

まとめ

食事として体外から取り入れた様々な物質は、消化吸収されて体内に取り込まれ、代謝(分解・合成)されて、動物特有の物質に作り替えられ、不要なものは老廃物として排泄されます。動物が生きていくために必要な営み(新陳代謝)を行うために体外から取り入れる食事中の成分が栄養素です。それぞれの栄養素の働きを知ることによって、犬の健康のためには、食事や栄養バランスがとても重要であることが再認識できるのではないかと思います。

次回は、犬にとって必要な栄養素【ミネラル・ビタミン・水編】についてです。