犬のライフステージごとの栄養について

人には、離乳食や高齢者用の食事があり、年齢や生活環境などによって必要な栄養素の量やエネルギーが異なります。犬も同じように、それぞれのライフステージ(年齢や生活環境など)によって必要な栄養素の量やエネルギーが異なります。
大切な愛犬が、健康に長生きしてもらうためにもライフステージごとの栄養管理、食事管理はとても大切です。

犬のライフステージ

犬のライフステージは繁殖期・授乳期(母犬)、成長期(子犬)、維持期(成犬)、高齢期(老犬)の4つに大別されます。

繁殖期・授乳期(母犬)

繁殖期

まず、繁殖する犬はBCS3である必要があります。

その為、太りすぎてしまっている場合はダイエットを、痩せすぎてしまっている場合は太らせ、適切な体型にする必要があります。
太ったまま繁殖してしまうと、難産や死産などの危険性が高くなってしまい、
反対に痩せすぎたまま繁殖してしまうと、母体が栄養不足のため流産や低体重子の出産、新生児の低血糖や免疫機能の低下を引き起こし、生存率を低下させてしまう危険性が高くなってしまいます。

妊娠期


犬の妊娠期間は平均63日です。
妊娠初期から中期は胎児の体重は生まれた時の体重の30%程度なので、母犬の体重にも大きな変化はありません。
妊娠後期の第7週ごろから、胎児の体重は急速に増加していきます。
ですので、妊娠初期~中期は、妊娠前と変わらないご飯の量を与え、胎児の体重が急増する妊娠後期第7週以降は、維持期の1.5倍の量に増加します。

また、胎児が大きくなるにつれ、お腹が圧迫され、1日に2回与えるだけでは十分な栄養とエネルギーを摂ることができない場合があります。
その場合は、高エネルギーや高消化性などのドッグフードを少量ずつ数回に分けて与えてみてください。

分娩後の母犬の体重は、グラフのように著しく減少します。
妊娠前の適正体重の90%以下にならないように、妊娠前の適正体重より5~10%程度多い体重管理をしていきます。

授乳期

胎児の大きさや頭数により異なってきますが、維持期の2.5~3倍のエネルギーが必要になります。
離乳期の7~8週目にかけて維持期の1.25倍くらいまで徐々に減らしていきます。

成長期(子犬)

成長期はさらに哺乳期(生後2~3週齢)、離乳期(生後7~8週齢)、成長期(生後8週齢以降~成犬になるまで)の3つに分けられます。
いずれの時期も体の基盤を作る大切な時期です。
全ライフステージの中で最も栄養要求が高くなっています。
体重増加が正常な成長をしている目安となるため、体重測定は定期的に行いましょう。
体重増加率は「1日に2~4g/体重kg/日×成犬時予想体重kg」となります。

哺乳期

娩直後から約72時間以内に分泌される母乳を初乳といいます。
この初乳を飲むことで抗体を得て感染症から守られます。
授乳回数は、生後1週齢までは1日8~12回、それ以降は少なくとも1日3~4回与えます。

人口哺乳する場合は、チューブや哺乳瓶を使います。


母犬から母乳を飲んでいる時のような体勢で抱え、哺乳瓶を人の力で少しずつ押し出しながらあたえます。
誤飲には十分注意が必要です。
胃の容量も小さいので1回10~20mlが目安になります。
しかし、人口哺乳ばかりになってしまうと、母犬の母乳から抗体を得られず感染症にかかりやすくなってしまうので、注意が必要です。

また、生まれて間もない子犬は、体温を一定に保つ能力が低く、低体温になってしまうと哺乳能力も低くなってしまいます。
仔犬の低体温を防ぐためにも室温を約25~28℃に保つ必要があります。

離乳期

3~4週齢以降になると乳歯が生え始め、母親の食事に興味を持ち始めるようになるため、パピーフードを少しずつ食事に取り入れていきます。
母犬が食べているフードに成長期用のフードを混ぜ、ぬるま湯を加えてお粥状にしたフードを与えます。
回数は1日に5~6回を等間隔で、20~30分でお皿を下げます。
最初は舐める程度ですが、授乳量が減っていくと同時に離乳食の摂取量が増えていきます。
約6~8週齢までに水分量を徐々に減らして、固形フードが食べられるようにしていきます。
固形フードが食べられるようになったら離乳完了です。

成長期

成犬になるまでの期間は犬種により異なります。
小型・中型犬は生後4か月頃、大型犬は生後5か月頃に成犬の体重の約50%に達します。
その後、緩やかに体重が増えていき、小型犬は8か月頃、大型犬は18か月~2年かけて成犬と同じくらいの体重になります。
成長期は骨や筋肉の成長過程なので、小型犬の場合、12か月齢くらいまでは成長期用フードを与えます。
大型犬の場合は、成長期に幅があるため、可能な限りその間は成長期用フードを与えます。

成長期用フードは、消化性が高く、未発達な消化器官や肝臓の働きをサポートし、十分な栄養とエネルギーを得られるように作られています。

よく、「大型犬の子犬にはカルシウムを多く与えたほうがよい」という情報を耳にしますが、これは間違いです。
大型犬用の成長期フードは、急激な成長による骨の異常や形成不全などを避けるために、
エネルギー量、タンパク質、脂肪、カルシウム、リンなどの含有量が小型犬のものに比べて低くなっています。

また、成長期のおやつはコミュニケーションツールとして与えても問題ありません。
しかし、おやつで満腹になり主食から十分な栄養が摂れなくなってしまうと正常な成長を食事でサポートすることができなくなってしまうため、与える量に注意が必要です。

維持期(成犬)

成長期用フードから維持期用のフードに切り替えていきます。
ドッグフードの切り替えは1週間から1か月かけて徐々に行います。
急な変更は、下痢などの原因になってしまうため注意が必要です。


最初は旧フード:新フードを3/4:1/4の割合で、次の期間は旧フード:新フード=1/2:1/2、さらに次の期間は旧フード:新フード=1/4:3/4の割合で混ぜて与えます。最後の期間は新しいフードに全て切り替えて完了です。

維持期は健康状態が安定していることが多いので、食事管理がおろそかになってしまうことがあります。
おやつの与えすぎなどで太らないように気を付けましょう。
おやつを与える場合はDERの90%を主食、10%をおやつにするように心がけましょう。

高齢期(老犬)

老犬といわれる年齢は、犬種によって異なりますが、約7歳~12歳ぐらいです。


見た目や内臓機能などに歳をとったなと感じる部分が一つ以上出てきたら、高齢期に入ったと考えられます。
歳をとる速度は、生活環境や食事など様々な原因によって異なります。

また、高齢になると体脂肪が増え、筋肉量は減少します。
基礎代謝や活動量も低下してくるため、DERは維持期と比較すると30~40%減少していきます。
太りやすい他に、心臓病や関節病などの病気にかかりやすくなったり、便秘や下痢をしやすくなったりする傾向がありま
す。
そのため、市販されている高齢期(シニア)用のドッグフードの多くは、高消化性、低カロリーで食物繊維が豊富、そして病気の予防に役立つと考えられる機能性成分(グルコサミンなど)が入っているものが多いという特徴があります。

しかし、すべての高齢犬が太っているわけではないことや、低カロリーなのでDERを摂取するために与える量が増えること、食物繊維が豊富なので排便の量や回数が増えることなどにも注意が必要です。
さらに高齢になると、消化・吸収能力も低下し、食事の摂取量が減ってくる場合もあります。そのような場合は、高消化性で、少量でもエネルギーが十分摂取できるようなタイプのシニア用の食事を選んであげましょう。

まとめ

家族の一員であるワンちゃんに、健康で長生きしてもらうために、食事管理はとても大切です。
その子のライフステージに合わせた食事量を与えてください。
成長期であっても、避妊・去勢手術を施した場合には、12カ月齢に達していなくても基礎代謝が徐々に変わってくるので、成長期用フードから維持期用フードへの切り替えを徐々に行い、体重変化を見ながら給与量(給与エネルギー量)も増減するようにしてあげてください。