【vol.8】ワンちゃんと楽しむ ディスクドッグコラム

楽しむ

ディスクドッグとは、人が投げたフライングディスクをワンちゃんが追いかけ、空中でキャッチすることにより得られるポイントを競うドッグスポーツです。今回は、まだまだ暑さが厳しい残暑、そして来年の夏も見据えて、暑い季節にディスクドッグを楽しむ時に気をつけたい事や装備について掘り下げてお話ししたいと思います。

ディスクドッグを季節で楽しむ(夏編)Vol.2

ディスクドッグはどんな季節でも楽しめるドッグスポーツです。

ただ、夏から初秋に掛けて競技会に参加すると、暑さ対策が必要となります。特に今年は、異常なほど降雨量が多く日照時間が少なかった長梅雨、7月末の梅雨明けと共に猛暑となった晩夏と、なかなかコンディションを整えるのが難しい夏となりました。

そんな時でもどのような装備をすれば暑さを凌ぎながら大会会場で過ごす事が出来るのか、今までにご紹介してきた装備についても少々掘り下げた使い方などをお話ししてみたいと思います。

夏から初秋にかけての待機ベースの工夫

ここでは、今までにご紹介してきた装備等について、夏場から初秋にかけては、どのような使い方をすれば良いのかをご紹介したいと思います。

場所の選び方

暑い時期に特に気をつけなくてはならないのが陽差しです。会場によっては、木々が周りにある場合など、日が昇ってからどのように木陰が動くのかまで考慮して場所を考えられればベターでしょう。

ただ、なかなか木陰を確保できる会場は少ないのが現状ですが、会場入りしたら確認してみましょう。雨の心配が無い場合で木陰が確保できるようなら、テーブルと椅子だけで過ごすのも気持ちの良いものです。

雨の心配がある場合などに気をつけたい事があります。同じフィールドでも芝生の会場などは緩やかな傾斜が水はけのために施されています。周りよりも低い場所は、激しい夕立なので水没する場合もあるので、避けた方が賢明です。

タープ

タープは大きく2つのタイプに分かれます。

ひとつは、天幕だけののオープンタイプ。その形状によって、レクタングラー、ヘキサゴン、ウイングなど、幾つかの種類がありますが、どのタイプもポールとロープワークによって様々な使い方が出来るので、とても便利なタープです。特に夏場は風が抜けやすく、快適に過ごせるアイテムの一つです。

設営の際は、陽差しがどちらの方向から来て、日中にどのような動きをするのかによって、アレンジも変えるのがベターです。ベテランになると、サイドに別のタープや遮光ネットを組み合わせることで、風通しが良く、しかも日中の陽差しを避けることが出来るようにアレンジして使う方も多く見られるようになりました。夏場のお奨めはこちらのタイプです。

風の強さや雨対策などで、ポールの高さやロープの張り方などを工夫することが求められますが、とても重宝するタイプです。

もう一つのタイプは、ポールの骨組みによって、テントのように自立するタイプです。簡単に説明すると、床がないテントのような物です。壁の役目をする幕があるので、悪天候に強いです。最近は使い勝手も良い物が多くなり、風通しに配慮したメッシュ構造を備えるものも多くなり、なかなか考えられた作りになったものだと感じています。

こちらは、陽差しの向きにはあまり神経質にならなくても対応できる形状なのですが、その分、風通しに気を遣ったアレンジが必要になってきます。前後が開いて天幕として利用できる形状が多いのですが、どこをどの程度開くか、角度を付けるか、経験値がモノを言います。ベテランチームがどのように張っているのかを見て回るのも良いヒントになりますよ。

材質においては二つのタイプとも、遮光性能、生地強度、広さなど、使う人数なども考えてチョイスすることをお奨めします。

遮光ネット・遮光シート

こちらもアレンジが出来るアイテムとして準備したい物の一つです。タープや駐車中の車にかぶせて使用します。先ほどのタープと組み合わせて使うと、グンと効果が高まるので、色々試してみたいですね。

タープ単体では、遮光性能や断熱性能を持っていても、幕(生地)自体が熱くなりタープ内に熱がこもりがちになります。これを遮光シートをかぶせることで、十分な効果が得られるようになります。

しっかり断熱するものと、ある程度風通しの良いメッシュタイプなど、数種類の物を準備できるのが理想的ですね。

扇風機

これは上級編。重装備になるので、グループでシェアする方も多いようです。

風通しが良いアレンジを施した上で、強制的にタープ内の空気を動かすことができます。種類は様々で、コンパクトでケージ内でも使える物や家庭用の物を利用する方も居ます。ベテランチームは工業用のパワーのある物を利用する方が多いようです。

電源はタイプによって様々ですが、ポータブルタイプでは乾電池やDCアダプターを使いタイプ、家庭用電源100V、車載バッテリー用の12Vあるいは24Vタイプなどがあり、車にサブバッテリーを積んで対応したり、ポータブル発電機を使用したりします。とても快適になりますが、荷物も確実に増えるのは覚悟しましょう。

水(場)の確保(1 BOTTLE for WAN活動を含みます)

夏場は特に大切なのが、水の確保です。飲み水は勿論、運動後のクールダウンは、とても効果があります。冷水ではなく、常温の水で愛犬のお腹を濡らし、気化熱で体内の熱の放出を助けます。冷水を避けるのは、急激に冷やすことは血管を収縮させ、血流を悪くして結果的に体内の熱の放出効率を落としてしまう恐れがあるからです。

殆どの会場で水場が確保されているはずですが、コート近くには水場がない会場もあります。

実は、夏場の熱中症を防ぐために何か出来ないだろうかと考え始めたのが、前回のコラムで簡単にお話しした“1 BOTTLE for WAN”活動を始めるきっかけになりました。有り難いことに、詳しく知りたいというお声を多くいただきましたので、次の項で再びお話しさせていただきましょう。

「1 Bottle for WAN」~for LIFE,for EARTH~

大会エントリーに慣れているチームであれば、ご自分の愛犬の為の水の確保は万全にされているのが常だと思います。

それでも、愛犬をウォームアップしている時や散歩時に意図せずに調子を崩すことがまれに起こったりします。そんな時に、とっさに使える水を確保できないだろうか?そんな想いがここ数年で募っていました。

ベテランチームは殆どが大きめのPETボトルなどに水を常備している。それを1本、皆のものとしてタープ前に常設してもらって、“USE FREE”として誰でもシェアして利用できるようにすれば、とっさに水が必要な時も対応できる。

NDAの大会に参加されている皆さんなら、きっと快諾してくれるに違いない!と勝手に解釈し、2019-2020シーズン開幕に合わせて、皆さんに協力を呼びかけて始めたのがこの活動です。

ワンちゃんの命と地球(環境)を守る!

お互いのチームの取り組みを分かっているなら尚更ですが、ライバルで有り、同じスポーツを愛する仲間の命を助けることが出来る。こんな素晴らしいことが実現できたら最高ではないでしょうか。

そして、もうひとつ。ワンちゃん達の糞尿行為にも利用できる水。糞の後始末後や尿を水で充分に希釈することでフィールドへの影響を最小限にとどめることは、会場の環境を守ることにつながる。

それに、PETボトルを再利用することは、近年国際的にも問題視されているプラスチックゴミの削減にも通じると考えたのです。

広がる「1 Bottle for WAN」の輪

自画自賛ですが、何て素晴らしい活動になるのだろう、と考えながらワクワクしてきたものです。それを皆さんに協力してもらうために、その目印になるものを作成し、始めて見たところ、やはりNDA参加の皆さんは快く実践してくださいました。

これから本格参戦するチームも増えてくるので、この活動もまだまだ周知することに努めていかなくてはなりませんが、ディスクドッグ競技に参加される皆さんから始まって、競技を見に来てくれる一般の愛犬家を含めてどんどんと広がりを見せてくれることを願っています。

そして何時の日か、皆でお互いの愛犬の命を守る活動が当たり前になってくれたら、これほど嬉しいことはありません。

この活動を始めるにあたって、目印を急遽自作することにしたので、なかなかチープな簡易プレートからスタートしました。でも、心はこもっているんですよ(笑)。

間もなく、きちんとデザインされたステッカー等を作成する予定にしています。それをNDAのディスクドッグ競技会に参加してくださる皆様にご協力いただいて、1本の空きPETボトルに水を一杯にしてご用意いただき、この活動の目印として付けていただく事を予定しています。

NDAの9月の大会では、この活動を普及するための企画も盛り込んでいく予定にしています。どうぞ、ご期待ください。

中級者クラスで楽しむには

前回は初級者クラスについてお話ししたので、引き続き中級クラスを取り上げたいと思います。

ディスクドッグ競技会に参加し始めて、そろそろ持ち味を発揮し始めてディスクドッグが競技として面白く感じ始める頃合いのチームを取り上げてみましょう。こちらも幾つかのタイプにグループ分けして、それぞれの方がどのようにしたらより楽しめるかも独断で付け加えてみます。

仲間で盛り上がっちゃおう型

こちらは、初級クラスでもお話ししました。犬友達と同時期にデビューする仲良しグループに多いです。仲間同士で楽しみながら上達していくので、ディスクドッグのスキルが高まるのと平行して、自分たちのグループは勿論、他チームとの交流も上手になってくるので、大会時もとてもリラックスして臨めるようになっているはずです。

競技に対しても、意欲が増してくるので、そろそろ順位も気になり出す頃でしょう。

ゲームの組み立て方にも興味が湧いてくる頃かも知れません。やはり、同じクラスの上位チームや、更に上位クラスがどのようにゲームの組み立て方をしているかなど、仲間とワイワイ楽しみながら研究するのも良いですね。

たくさんの方と競技について話しをすると、自分が気づかない切り口で捉えている方も居たりするので、参考になる話しが聞ける物です。今のペースを大切にして、楽しみながら続けて欲しいと思います。

理論積み上げ型

このタイプは、ディスクドッグについて研究熱心で、様々な情報を貪欲に読んだり、調べたりするのが得意です。初級者の用意周到な方が実践に伴って力を付けていくタイプに通じるでしょう。正しい知識に加えて練習にも熱心な方が多く、クラスアップも目論む方が多くなる傾向があります。

悩み事ついては、上手くなったからこそ、自分たちがとのようなチーム作りをしていけば更に良いチームとなっていけるのかを迷い出すのもこういった時期なので、自分たちのチームカラーを俯瞰して分析してみるのも良い頃でしょう。

しかし、色々な正しい知識とスキルを身につけてきているので、マイナスに考えることはみじんもありません。愛犬と取り組むにあたって、何かテーマを持って試していくという姿勢で良いと思います。色々試してみてフィットするスタイルが見つけられれば、上位クラスへのステップも考えて良い頃だと思います。

上級クラスにも負けねぇ!型

ここは、人がディスクを投げるのもそこそこ上手で、ワンちゃんのキャッチセンスも素晴らしいケースです。初級クラスでは、天才型と称していました。

大会での参加経験もそこそここなして、実戦経験が加わったことで、更に自信を付けたかも知れませんね。もともとディスクドッグの才能に溢れるタイプに多いですから、上達ももの凄い速さで見られるタイプです。新星のごとく現れて、決勝進出もこの頃には達成できているかも知れません。

チーム力が上がっていくのは、人と犬の総合力ですから、ノっているときには現在のゲームの戦い方で突き進んで良いと思います。

何か課題が見つかったとき、特に欠点を直すときにだけ注意して欲しいことがあります。それは、欠点を直したいが為に、長所を伸ばすことをないがしろにしてしまうこと、これは避けて欲しいところです。ストイックは良いですが、ネガティブにはならないようにしましょう。

最後に

今回は、前回に引き続き夏場を乗り切るためのヒントを並べてみたつもりです。

気をつけなくてはならないことは幾つかありますが、その分、愛犬と共にタフなシーズンの経験値が高まっていくことでしょう。愛犬の健康を気遣いながら、事故無く楽しいドッグスポーツライフを満喫していただきたいですね。

大塚 裕

大塚 裕

1961年東京生まれ。現NDAコミッショナー。愛犬JACKEYと2001年にディスクドッグ世界大会に日本代表第1号として参戦。その後も2度日本代表となる。ディスクドッグの楽しさを広く知ってもらうことに喜びを感じている。

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