ディスクドッグとは、人が投げたフライングディスクをワンちゃんが追いかけ、空中でキャッチすることにより得られるポイントを競うドッグスポーツです。
今回は、急激に季節が進み、一気に冬へと移行しつつあるこの季節にディスクドッグを楽しむ際の服装や装備について触れてみます。
冬のディスクドッグを快適に過ごすウェアリング
ディスクドッグはどんな季節でも楽しめるドッグスポーツです。
秋めいてきたと思っていたら、一気に季節は進んで冬の寒さ到来となりました。ワンちゃんは益々動きが良くなって元気いっぱいだと思いますが、人は季節の移行に合わせてコンディションを整えていかなくてはなりません。
特に服装によって、冬のアウトドアでも快適に過ごせるようになりますので、今回は冬の服装について考えてみたいと思います。
人の服装
レイヤーの役割を考える
人の服装はインナーからアウターまでを組み合わせて楽しみますが、冬のアウトドアを楽しむには、暖かさを快適に維持するための組合せを考える必要があります。
レイヤーは重ね着というよりは、組合せ方と考えた方が良いでしょう。それぞれの役割と適した物を上げながら説明してみましょう。
インナーは、肌に汗を残さず、常にサラサラとしたドライ感を保つことが大切です。
ミドルウェアは、空気層を作り、体温を効率よく暖かさとして服装にとどめる役割を担います。
アウターは、主に風をシャットアウトする役割を担い、インナーとミドルウェアで暖めた空気を冷気から守り、更には湿気を外に放出できるものがお奨めです。
インナー
これは、下着と言うよりは肌着、肌に触れる服装と理解してください。洗い立てのコットンのT]シャツに袖を通すと、季節に拘わらず気持ちの良いものです。しかし、冬のレイヤーを考えるときには少々注意が必要になります。
それは、肌に触れていると言うことは、汗を吸収する役割があると考えてください。その汗が何時までもインナーにとどまっていると、その水分が体の熱を奪おうとします。濡れたままのシャツを着て風にさらされることを想像すると容易に感覚が分かると思います。
そこで、お奨めしたいのは、デビュー当初は夏場の爽やかな着心地をうたって登場した吸汗速乾機能を持つ肌着です。いまでは、スポーツメーカーから量販店まで様々なタイプの商品を発売しています。これは、肌から汗を素早く吸収し、外部へと発散させてくれる機能を持つ商品群です。肌触りはコットンよりもサラサラとした感じが多く、最近の物は冬用に暖かみを感じる物も登場していますので、選択肢が広がってきました。冬場は是非ともそういった機能素材のインナーを選ぶことをお奨めします。
ミドルウェア
ここは、ウェアリングでの快適性を担う大切なポジションです。インナーが吸い上げた汗をアウター側へ上手に発散させてくれると共に空気層を上手に作り出して保温することも冬場のウェアリングには必要になってきます。
従来からウールやファンネル素材のシャツは繊維の持つ湿潤熱保持機能が重宝され、登山などでも好んで使用されてきた実績があります。これは、インナーからの湿気を帯びることで、繊維にほのかな熱を持つことで、体温の保持と共に暖かな空気層を含んでくれる有り難い性質です。また、この層に一時的に湿気を蓄えることで、アウターの透湿能力を超して結露するのを防いでくれる大きなメリットがあるのです。
また、化学繊維にも中空糸など繊維そのものに空気層をもつ機能素材もありますし、フリース素材に代表されるような繊維間に多くの空気をはらんで保温する高機能素材もあります。フリースは、かつてはアウトドアブランド独占といった感があり、かなり高価な代物でしたが、近年は量販店でも取り扱うようになり、質の向上と共に安価な物も出回るようになり普及に貢献しています。ただ、静電気を発生しやすい物も出回っているので、制電処理を施した物を選んだり、金属製の物を触る前に静電気を逃がすことに注意を払った方が良いかもしれません。いずれにしても、このインナー選びは冬のアウトドアを快適にするのには侮れない存在です。
アウター
文字通りの上着なのですが、ここは外界と自分のウェアリングの境界を守る砦的な存在です。
先ずは、風を通さないものを選ぶと良いでしょう。いくらインナーとミドルで汗を発散させて空気層も作り出したとしても、風が吹き抜ければ暖かい空気は流されてしまいます。自分の体の周りに空気を着ている感覚が保温の決め手なのです。
また、高機能な物では、風を遮断し、湿気を内部から外部へ発散してくれるものもあります。防水透湿フィルムを基布に貼付けた物や、同機能を持つコーティングを施した物など、アウトドアブランドを中心にかなり前から存在はしていました。しかし、やや値段が張ることから、そこそこの機能を持った手頃なモデルを選ぶのも良いでしょう。
私は、かつてTHE NORTHFACEブランドの南極探検隊レプリカのダウンジャケットとパンツを意気揚々と着用しましたが、真冬のキャンプでもオーバークオリティで暑い思いをしてしまいました。やはり、極地と国内のキャンプ場では比較にならない証明で、使い勝手の良いレベルの物を上手に選択することが大事ということですね。
そうそう、ダウンジャケットで思い出しましたが、ダウンジャケットなどのウェア自体に空気層をもつアウターの場合、その多くは、体熱をその空気層に取り込むことで暖かくするものが殆どです。ということは、ミドルウェアの厚着はその使い方に適していないことになります。せっかくの体熱を伝わりにくくしてしまうウェアリングとしては失敗例となるわけです。ダウンジャケットを着るのであれば、インナーとミドルは薄着の方がかえって暖かいものなんですよ。
足元
ここが侮れないところなのに気が回りにくいところかも知れません。上着類のウェアリングと全く同様の考え方を反映してください。
靴下は、出来れば吸汗速乾素材のもので、出来るだけ湿気を保持しないようにする。靴は冬場は保温性のあるものも良いと思いますが、防水透湿の高機能靴がベターです。湿気を靴内部に停滞させないことを考えましょう。
その他
首元や耳周りを暖められるネックウォーマーやイヤーマフラー等の小物も重宝します。あとはニットキャップかな。頭を保温すると、意外と軽装でも活動しやすくなります。定番の手袋もその使用目的でものすごく多くの機能と種類があります。
色々と使ってみてください、きっと小物の大切さを感じてもらえると思います。
これらの事を踏まえて、上手に組み合わせるのが冬のアウトドアを快適に過ごす鍵なのです。試してみてくださいね。
因みに私はディスクドッグの競技の出番が近いときは競技ウェアの上に保温性の高いアウターを着用し、それ1枚を脱げば直ぐに臨戦態勢を取れる物が好みです。逆に待機時間が長いときなどは、ミドルにフリースなど保温性があっても動きやすい物を付け、アウターは薄手の風だけ遮断できる物を好んで使っています。
皆さんもシーンに合わせてご自身が使いやすいレイヤーを探してみてくださいね。
愛犬のウェアリング
寒さを感じるのは人だけではありません。冒頭で犬は益々元気になり…と言いましたが、寒さを感じないわけではありません。実際、ワンちゃんが庭で走り回らず、部屋のソファで丸くなって寝ているなんてことは皆さん良く目にするのではないでしょうか。
特に冬場にディスクドッグを楽しむ時は、ワンちゃんのコンデュションを保つ程度の配慮はした方が良いと思います。ダブルコートの犬種はまだ良いかもしれませんが、シングルコートの犬種は寒さにはかなり弱いと聞きます。実際に大会会場ではシングルコートのワンちゃん、代表格はウィペットですが、保温用のウェアを着用させてゲームに臨んでいるチームもかなり多く目にします。
最近では、人と同じような保温機能を持つ繊維を使った物や、リラクゼーション機能を持った高機能素材の物など、かなり種類も豊富になってきているようです。こちらも、愛犬に必要と思われる機能を良く考えてチョイスすると良いでしょう。
ウェアリングとは少し違いますが、大会での待機場所であるケージ内の敷物にも同様の配慮をした方が良いでしょう。特に天候が優れないときは、敷物がビショビショのまま長時間使い続けると滞在するワンちゃんの体が冷やされてしまいます。出来れば予備の敷物を数枚用意して、交換してあげることがベターでしょう。
冬のアウトドアを快適に過ごすグッズ類
テント・タープ
以前にも紹介したテントやタープですが重要なグッズになります。やはり、雨風をしっかりと遮断できる物をチョイスしましょう。インナーにメッシュがあるものは、視界を確保しながらも、有る程度の防風も期待できるので、お奨めできます。
また、状況に応じて空気の流れを作れるような前後が開くものが便利です。
暖房器具
公園などは火気を使えないところが多いので注意が必要ですが、使用できる環境なら対流式のタープ全体を暖めることが出来る灯油ストーブがダントツに便利です。
火気がダメな場所では、少々大がかりになりますが、発電機と電気ヒーター。このタイプでも使用できる場所かどうかはしっかりと確認しましょう。
保温ポット
温かい飲み物を作るのにお湯をたっぷりと用意しましょう。何にでも使えるので、有ると無いのでは大違いです。
最後に
今回は、ディスクドッグの本格シーズンでもある冬場のアウトドアを快適に過ごすためのウェアリング・」レイヤーに触れ、出来るだけ快適に楽しんでいただく事を促しました。
長く競技に携わってくると、その装備の差で競技のパフォーマンスに違いが出たなんて事も何度も経験しました。
この冬は、インフルエンザの流行も今年は早いと言われています。皆さんが冬場の寒さを上手に凌いで愛犬と一緒にディスクドッグを元気に楽しんでいただけたら嬉しく思います。
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