愛犬にはいつも健康でいてほしいものですよね。日頃から飼い主さんが愛犬の健康チェックをすることで、病気の早期発見・予防ができます。犬の健康管理に役立つチェック項目をまとめました。
愛犬の健康をチェックすることの大切さ
犬は人間のように言葉で痛みや体調不良を伝えることができません。毎日何気なく行なっている「スキンシップ」や「愛犬の様子を見る」ことは、愛犬のちょっとした異変に気がつけるきっかけになります。
1日5分だけでもよいので愛犬の様子を定期的に観察する習慣をつけてみてはいかがでしょうか?普段の散歩や日常生活の上でチェック可能なものばかりです。
犬の健康状態は個体差があるので、日頃の観察で、もし少しでも不安なことを感じたらそのままにせず、必ずかかりつけの病院で診察や相談をすることをおすすめします。
食欲やお水を飲むかのチェック
食欲があるかないかは、人も犬も健康状態を確認する大切な項目です。毎日のごはんを目を輝かせて待っている犬が、ある日全く食べない、食事の用意ができても近くに寄ってこない。こんなときは、体調不良を起こしているか体に痛みがないかを確認するようにしましょう。
また、日頃はお水を飲む犬が、急に食べないだけでなくお水も全く飲まない場合は、何か体に異変が起きているサインの可能性があります。
口の中にできものができていたり、歯や歯茎にトラブルがある場合も食べ物を食べなくなることがあるので、注意してチェックしてみましょう。
うんち・おしっこのチェック
食べることと同様に犬のうんち・おしっこは健康のバロメーターです。毎日、うんちの状態、色、回数や、量、ニオイなどをチェックしましょう。どちらも健康な時から観察することが大切です。
うんちのチェックポイント
理想のうんちは 「においほどほど×薄い茶色×バナナ形」です。
気にすべきポイントは、
□ 1日何回した?
□ どんな形?
□ どんな色?
□ においは強い?弱い?
□ 未消化のものは入ってない?
うんちのやわらかさはトイレシーツにつくかつかないか程度で、粘膜がついていたり、血液が混ざっていたり、消化しきれなかった食材が出ている場合は腸の動きに問題がある可能性があります。
おしっこのチェックポイント
健康なおしっこは 「においほどほど×薄い黄色」です。
気にすべきポイントは、
□ 1日何回した?
□ 量は少ない?多い?
□ 色は濃い?薄い?
□ どんなにおい?
□ 粗そうが増えていない?
おしっこの量が少ないとニオイも強くなります。 朝一番のおしっこは濃くても大丈夫ですが、いつも回数が少なくてにおいが強い場合は水分不足の状態です。
おしっこの状態がよくない犬の場合は放っておくと結石などのトラブルにつながることもあるので、異変に気がついたら動物病院を受診するようにしましょう。
犬の体をチェックしよう
目のチェック
目の周囲の清潔を保つために、目ヤニなどの汚れを清潔なガーゼなどでふきとりながら目の様子を観察してあげましょう。
こんなときは病気の可能性があるので動物病院へ!
□ 涙やけができている
□ 目に異物が入っている
□ 充血がある、目が赤い
□ 目を掻いたり、こすったりする
□ 目ヤニの量が多い
□ 左右の瞳孔の大きさに差がある
□ 動くものを目で追いかけなくなった
□ 目にケイレンがみられる
□ 目をひどく痛がるそぶりをする
□ 目が赤く、息が荒い
□ 目が赤く、下痢をしている
耳のチェック
まずは愛犬の耳をめくってニオイのチェックをしましょう。犬にかゆがる様子がなく少しニオイがする、少しの耳アカがついている程度ならば、外耳炎の予防に専用の洗浄液または清潔なガーゼを使って犬の耳をキレイにして観察しましょう。
汚れがあるからと綿棒を使うと、耳アカをより耳の奥に押し込んでしまう可能性があることと、急に動くとケガをする危険があるので、基本は見える部分を軽く拭き取るだけでOKです。痒みを訴える動作がないかも観察しましょう。
こんなときは病気の可能性があるので動物病院へ!
□ 悪臭がする
□ 耳たぶが腫れている
□ 犬が耳を気にして痒がる・痛がる
□ 頭をしきりに降る
□ 耳から出血がある
□ 黒や黄色などの耳垢が多く出ている
□ 顔が麻痺し、耳を傾けている
□ 耳が聞こえていない
口のチェック
犬のデンタルケアはとても大事です。まずは毎日歯磨きをする習慣をつけるようにしましょう。難しいようであれば、指に巻いたガーゼなどで歯のよごれを拭き取る練習からはじめるとよいです。歯磨きをしながら、口の中のチェックを行ないましょう。
強い口臭がないか、歯石がついていないか、歯肉が腫れたり出血したりしていないか、折れている歯はないか、舌に異常はないかを観察してください。また、よだれが多かったり、歯茎や粘膜の色がいつもと変わりないかもチェックしましょう。
こんなときは病気の可能性があるので動物病院へ!
□ 口の中で出血している
□ 口から不快なニオイがする
□ 歯石が付着している
□ 歯茎が赤い
□ 粘膜が青白く、意識がない
□ 事故にあい、粘膜が青白い
□ 粘膜が黄色い
□ 口に食べ物を入れても飲み込めない
□ よだれが出て、ケイレンしている
□ 口から異臭がして、多飲多尿
腰回りのチェック
腰を中心に身体をやさしく触りながら、腫れ、しこり、痛みがないかチェックしてください。愛犬が体全体を触られることに慣れておくことはとても大切です。はじめは嫌がるかもしれませんが、毎日少しずつ触れるように練習しましょう。
太り気味かをチェックする際は、力を入れずにソフトに触ってみて、肋骨が数えられるくらいが理想的です。肋骨や肩甲骨がわからなければ肥満の可能性があります。この記事の終盤で、犬の適正体型の指標となるボディコンディションスコアのチェック方法をご紹介します。
こんなときは病気の可能性があるので動物病院へ!
□ 体を触ろうとすると嫌がるようになった
□ ある場所を触ると嫌がる
□ 痩せて、食欲不振
□ 痩せて、多飲多尿
□ 痩せて、嘔吐や下痢
□ 太って、元気がない
□ 太って、むくんでいる
□ 急に体重が増えた
□ 急に体重が減った
□ おなかをかばい、嘔吐が頻繁
□ しこりから出血している
□ 乳腺にしこりがあり、後ろ脚に腫れがある
皮膚のチェック
毎日の散歩から帰ってきたときなどに、ブラッシングをしながら、フケがないか、ノミなどの外部寄生虫が付着していないかなどをチェックしましょう。
このとき、もしノミやマダニを見つけても決して指でつぶしたり引きはがしたりしてはいけません。すぐに動物病院を受診して適切な処置を受けましょう。
秋や冬などの乾燥しやすい季節は、皮膚の状態もチェックしましょう。
こんなときは病気の可能性があるので動物病院へ!
□ 皮膚に赤い斑がある
□ 湿疹がある
□ 頻繁に体を掻く
□ ノミやダニが寄生している
□ ひっ掻きキズが化膿している
□ 掻いているところが脱毛
□ フケが多い
□ 常に脂でベトベトする
□ 体臭がきつい
□ 皮膚が黄色っぽい
□ 皮膚が青紫色か赤紫色
□ 白目部分や歯茎が黄色っぽい
肢のチェック
散歩中だけでなく室内で過ごす犬の歩き方をよく観察してみましょう。時間があれば優しく触ったり、前肢と後肢の曲げ伸ばしをしてみるとより異常のサインを見つけやすくなります。
こんなときは病気の可能性があるので動物病院へ!
□ 肢の曲げ伸ばしを嫌がる、痛がる
□ 歩きたがらなくなっている
□ 階段の上りを嫌がっている
□ 動作が鈍くなっている
□ 足をずっと舐めている
□ 腫れていて、歩き方がおかしい
足先・足裏のチェック
足先の爪や肉球をチェックしてみましょう。
肉球をペロペロと舐め続けるのは痒みがある証拠。
アレルギー性から来るものなのか単に乾燥しているのか、判断が難しいので獣医師に診てもらいましょう。
こんなときはケガや病気の可能性があるので動物病院へ!
□ 足裏をよく舐めている
□ 足先の毛がよだれで赤く変色している
□ 歩き方がおかしい、足を引きずっている
□ 肉球や指の間に炎症が起きている
□ 出血がある、熱感がある
□ 足先、足裏にできものやシコリがある
日頃から肉球が傷つかないように注意してあげるのも飼い主の責任です。
肉球ケアについてはこちらを要チェック!
?犬の適正体型とは
愛犬がちょっと太ってしまったけど、ふっくらしていてぽっちゃりしていて可愛い♪なんて思っていませんか?
犬も人間と同じで、太っていると、心疾患や糖尿病、高血圧などの病気になるリスクが高まるだけではなく、重たい体を支える関節にも負担がかかります。
犬の健康のためには体重管理はとても重要です。
適正体型とは、痩せすぎず、太りすぎず、程よく筋肉や脂肪がついている体型のことをいいます。 太っていることはもちろん、痩せすぎも体に良くありません。
BCS(ボディ・コンディション・スコア)について
犬の体型を確認する方法として、BCS(ボディ・コンディション・スコア)と呼ばれるチェック方法があります。これは、犬の体型をチェックする方法で、見た目と触った感覚により「痩せすぎ・痩せ気味・理想体型・太り気味・太りすぎ」の5段階で評価します。
このスコアは体重が増えるごとに数字が大きくなり、中間の【BCS3】が理想体型となります。
【BCS1:痩せすぎ】
・脂肪がなく肋骨や腰骨がくっきりと浮き出ていて、触ると簡単に骨がわかる状態。
・上から見るとはっきりとした腰のくびれがあり、極端な砂時計のような形をしている。
【BCS2:痩せ気味】
・肋骨が少し浮き出ていて、触ると骨がわかる状態。
・上から見ると腰のくびれがあり、BCS1程ではないが砂時計のような形をしている。
【BCS3:理想体型】
・肋骨が薄い皮下脂肪に覆われていて、触ると骨がわかる状態。
・上から見ると腰のくびれが緩やかにある。
【BCS4:太り気味】
・肋骨が厚い皮下脂肪で覆われていて、何とか骨に触れるか触れないかといった状態。
・上から見るとかろうじてくびれはあるが、ウエストは引き締まっていない。
【BCS5:太りすぎ】
・肋骨がぶ厚い皮下脂肪に覆われていて、触っても骨がどこにあるか分からない状態。
・上から見ると腰のくびれはなく、寸胴のような体型になっている。
BCS(ボディ・コンディション・スコア)のチェック方法
BCSを評価するときは、以下の4つがチェックポイントとなります。
・上からの見た目
・横からの見た目
・肋骨
・腰
ただし、長毛犬の場合は見た目だけでは判断できない場合もあるので、しっかり体に触れてチェックしましょう。
チェックの手順
1.ワンちゃんの体を横から見て、ウエスト部分にどの程度くびれがあるかをチェックします。
2.ワンちゃんの体を真上から見て、腰にどの程度くびれがあるかをチェックします。
3.肋骨に触れて、どの程度浮き出ているかをチェックします。長毛犬の場合は、毛をかき分けてなるべく肌に近いところに触れてチェックしましょう。
4.ウエスト部分に触れて、どの程度くびれがあるかをチェックします。
5.腰の骨に触れて、どの程度浮き出ているかをチェックします。
BCSのチェックは、ワンちゃんの体を見て触れるだけなので、とても簡単ですので、是非やってみてください。
そもそも「健康」って?
まず人も犬も、健康な状態とはどのようなことをいうのかというと、世界保健機構(WHO)は、健康の概念を「身体的、精神的、社会的に完全によい状態であり、単に病気や病弱でないことではない」としています。これは人間だけでなく犬にも当てはまります。
年をとってもワンちゃんがストレスを感じず、安定した精神状態で、安心して暮らせる毎日を過ごすことが大切です。
最後に
愛犬の状態を観察するポイントを知っておくと、異変があった際に「あれ?」と気がつくきっかけになります。愛犬の病気の早期発見、早期治療のためにも、病院で定期検診をする習慣をつけることをお勧めします♪
病気の発見が遅くならないように、愛犬との触れ合いを楽しみながら健康管理してあげましょう!
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