公開日
2018/05/31
更新日
2018/06/01

【獣医師監修】涙やけについて〜症状から治療まで〜

トイプードル、マルチーズなどの小型犬によくみられる「涙やけ」。愛くるしいお目目の周りを毎日お手入れしてもなかなか改善しない・・・そんな悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。そこで今回は「涙やけ」の症状から原因、治療方法についてご紹介します。

犬の涙やけとは

トイプードル、マルチーズなどの小型犬によくみられる症状です。
産生された涙が内眼角にあふれ出ることが原因で、これを『流涙症』と言います。
内眼角周囲の被毛と皮膚が茶色に染まり、白や淡い毛色の子では目立つため、気にされる飼い主様が多くいらっしゃいます。
一般的には美容上の問題ですが、進行すると局所的な皮膚炎の原因となります。

涙がでるのはなぜ?

眼球表面は乾燥に弱いため常に潤いが必要です。そのため涙腺から絶えず涙が産生されています。
涙腺で産生された涙は眼球表面に広がったのち、上下眼瞼の内眼角側にある涙点に入り、涙小管、涙嚢、鼻涙管を通って外鼻孔に排泄されます。
また、眼瞼にあるマイボーム腺から油成分が分泌され、眼球表面に涙が長く留まれるように作用しています。

協力:当院の供血犬のバニラちゃん

流涙症になる原因

先天性疾患(生まれつきの問題)

①涙液排出路の形成異常

小涙点、鼻涙管閉塞、鼻涙管狭窄、内眼角における涙器の位置関係の問題など
⇒生まれつき、詰まっている、詰まりやすい、うまく流れず、あふれてしまう

②眼球と眼瞼の位置関係

眼瞼内反、異所性睫毛、乱生睫毛など
⇒毛が眼の中に入り、眼球を刺激することで涙が増え、あふれてしまう

後天性疾患(病気に関連)

①異物混入や炎症を伴う眼疾患

⇒刺激により大量の涙が分泌され、あふれてしまう

②外傷、炎症、腫瘍などによる涙液排出路の障害

⇒涙がうまく流れず、あふれてしまう

③マイボーム腺分泌障害による涙液油成分分泌不全

⇒涙を眼の表面に保つことが出来なくなり、あふれてしまう

うちの子は生まれつき?

飼い始めの頃はきれいな顔をしていたのに、数週間~数ヵ月(場合によっては数年)経過した後、次第に内眼角が茶色く涙やけになり、病院で診てもらうことに。
もちろん病気に関連している可能性も考えなくてはいけませんが、こういった症例では、生まれつき鼻涙管が細く、しばらく時間が経過した後に鼻涙管が詰まってしまい、涙があふれて涙やけになっているケースを多く経験します。

先生からは『この犬種にはよくあることです。寿命に関わる病気ではありませんが、生まれつきの構造的な問題なので一生お付き合いすることになります。一度麻酔をかけて鼻涙管を洗浄すると、一時的かもしれませんが開通して涙やけが良くなる可能性がありますよ。』などと言われるでしょう。

与えているフードが原因?!

インターネットで涙やけを検索すると、目にすることがあると思います。あながち嘘ではありません。涙に含まれる蛋白成分が変色や鼻涙管を詰まらせる原因になると考えられています。食餌を変えることで、涙の蛋白量や組成が変化し、涙やけが軽減される可能性があります。

『流涙症』がなぜ『涙やけ』になるのか

①涙に含まれるラクトフェリン様蛋白が鉄と結合することで起こる化学変化
②バクテリアによる変色
③紫外線による変色

この3つが主な原因と考えられています。

そのため、
① にアプローチした、ラクトフェリン様蛋白と鉄の結合を阻害する成分を含んだ目薬や塗り薬や、②にアプローチした、抗生物質の投与(抗生物質の長期投与については、現在は推奨されていません。)などが治療薬として病院で処方されます。

自宅でできるケアと治療方法について

基本的には眼の周りを清潔に保つことが一番です。内眼角にたまった眼ヤニや汚れは、優しくこまめに取りましょう。また眼周り(主に内眼角)の毛を短く保つことで管理がしやすくなります。
市販されている『涙やけクリーナー』などには眼に良くない成分が含まれているものもあります。治療薬をご希望の方は一度かかりつけ医にご相談ください。
病気に関連した涙やけの場合には原疾患に対する治療が必要ですので、心配であれば一度病院で診てもらいましょう。
眼瞼内反などは外科手術の選択肢があり、逆さ睫毛では抜け毛や点眼治療、マイボーム腺分泌障害による涙液油成分の分泌不全では眼を温めたりマッサージをしたりすることで効果がみられることがあります。