【ディスクドッグへの道vol.5】 ディスクの投げ方(フリースタイル編)

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前回から人の技術(ディスクの投げ方)についての話を始めました。今回はディスタンスに続いて、フリースタイルに使う投げ方に触れてみたいと思います。フリースタイルに使うテクニックを身につければ、ディスクドッグを楽しむ仲間からの注目度も格段にアップすること間違いなし!
初めは少し敷居が高く感じられるかも知れませんが、始めてみると愛犬も興味を持ってくれることでしょう。ワンちゃんが投げ手に注目するようになるという効果も見込めますので、楽しみながらやってみましょう。

握り方

フリースタイルに挑戦するなら、様々な投げ方をマスターしていった方が良いでしょう。前回、ディスタンスの部でお話しした基本の「バックハンドスロー」や「サイドアーム」は応用することで様々な技に使いますので、引き続き練習していきましょう。

バックハンド

ここは、同じバックハンドでも、少しグリップに違いがあることをお話ししましょう。

ディスタンスでは、ディスクのリムに指の腹を押しつけて回転重視で投げることをお話ししました。しかし、フリースタイルの場合、自分に近い位置に“トス”を上げるためにバックハンドを使うことも多いのです。

この時、ディスタンスのような強いスピンは必要ありません。そこまで鋭くなくても、ディスクが安定する程度に回転を維持できるような投げ方をすれば良いことになります。これは、ディスクの特性として、回転していれば安定する最小限の条件を満たすためです。

一見、前回のバークレーグリップと同じようですが、裏側を見ていただきたい。指の腹はリムには押しつけず、ディスクの裏面に添えてあります。

この状態で、手のひらを上に向けて手首を左右に少しだけ“振る”意識を持ちます。腕はディスタンスのように投げる方向に振り出すのではなく、その場から手前に引くような感じでしょうか。

ひもを巻き付けたコマを回したことがある方なら、そのひもを引くような体の使い方でしょうか。そうすると、距離は出ませんが、自分の近くにフワッと高さを出すトスが上げられます。この投げ方は、様々なボルト系の技に使えるので、是非ともマスターしたい投げ方です。

このトスが上手いか下手かで、フリースタイルのキャリアが解ってしまうと言っても大袈裟ではないでしょう。

サイドアーム

ここでの握り方は、ディスタンスと違いはありません。ディスクのリムを指の腹で押し出す意識で投げましょう。

バックハンドもそうですが、このサイドアームでも、様々な位置から、変則的に投げ出したり、自分の脚の間から投げたり、背中の後ろから投げたりと、様々なバリエーションで使うことができます。基本的な投げ方だけに、しっかりと練習していきましょう。

サムグリップ

この握り方は、ヒューマンのディスク競技“ガッツ”等でよく使われる投げ方の一つです。とても強い回転が掛かり、ディスクも変化してキャッチするのが難しい部類のディスクの軌道を描きます。

ただ、フリースタイルで用いる場合、その投げ出しはソフトに投げることが多く、飛距離もあまり長く投げないことが一般的だと言えるかも知れません。

サイドアームと手のひらも向きが逆になり、慣れるまで少し違和感のあるような投げ方に感じるかも知れません。繰り返し投げてみることで、ディスクの角度も含め、ディスクがどの程度の力具合、角度でどのように飛んでいくのかを確かめながら練習していくと良いでしょう。

バタフライ

これは、今までのディスクの投げ方と根本的に違う種類の投げ方です。ディスクの特性を無視した投げ方と言っても良いでしょう。それは、ディスクの回転によって飛ぶ訳ではなく、ディスクの普通の回転軸と90度異なり、言い換えるとコイントスのような回転をさせる投げ方です。

ディスクの大きさから、コイントスのように指ではじく訳にもいかないので、親指で表門を押し出すように、他の4本の指で裏のリムを握るようにします。このようなグリップから、回転を加えるのですが、回転方向を違えることで変化に富んだ技を作り出すことができます。

このほか、オーバーハンドスロー、インサイドアーム、スキップスローなど、様々な投げ方が有りますので、人が使っていない珍しいスローを習得するのも楽しいですね。

技への応用

これまで紹介した握り方・投げ方で、実際にフリースタイルにはどんな技に使えるのかをいくつか紹介しましょう。

レッグボルト

これは、バックハンドを利用した”トス“を使います。

写真で見ると、左からワンちゃんが走ってきます。この時、自分の左足を上げ、太股を踏み台にしてジャンプさせます。そのジャンプのタイミングよりも少し早く、ディスクを地面と水平に投げ上げるのです。

すると、ワンちゃんはディスクとの距離を測り、太股を蹴り出す力を加減してキャッチに至るのです。

バックボルト

これもバックハンドトスを応用した技です。

これは、写真右からワンちゃんは走ってきます。自分の背中を踏み台にして空中に飛び出させる訳ですが、この時、右利きの私は、右腕を体の下から左側にまわし、左上に投げ出しています。体のブラインド(見えない位置)からディスクが現れるので、ボルト系の中でもタイミングが重要な少々難しい部類になります。

これが、逆に左から走ってきたのを、右利きの私が右上に投げるとすると、投げ出すディスクがワンちゃんから見えるので、タイミングが取りやすいバックボルトになるのです。

上のバックボルトの写真は、実はやや失敗例です。綺麗なバックボルトはこれ。

ボルト系の技で気をつけなければならないこと、それは距離感と高さです。初めの2枚は、トスを上げたところ、キャッチ直後の写真です。
2枚目を見ていただくと、キャッチした時に、後ろ足が縮こまっているのが見て取れるでしょう。
それに比べて、3枚目はキャッチした時にワンちゃんの体が大きく伸びて、空中に綺麗な姿勢で飛び出しているのが解ります。

ワンちゃんは人の体を踏み台にして飛び出します。この時、後ろ足が体を蹴る時の頭よりも遠い位置にトスが上がっていないと、ワンちゃんはとても窮屈な姿勢でキャッチを試みなければなりません。

これは、ワンちゃんの空中姿勢が不自然になるので、技が綺麗に見えないだけでなく、安全性も下がってしまうことに繋がります。フリースタイルは、握り方や、投げ方をマスターするのと共に、こういった空間を掌握する感覚も大切になるので、出来れば練習を動画で記録すると良いでしょう。

JACKEY

これは、私のオリジナルではありませんが、私が日本代表として世界大会に行って披露した時の愛犬の名前を付けた技です。

握りはサイドアームを使っています。片手で逆立ちをしつつ、股の間からサイドアームで大きく空に向けて投げ出すアップサイドダウンという投げ方を応用しています。
ワンちゃんはその空に向かって投げ出されてアップサイドダウン特有の弧を描くようにディスクがひっくり返った向きに落ちてくるディスクをキャッチする、とても難度が高い技です。この世界大会では幸い成功しましたが、自分の成功率はとても低かったです。

フリースタイルは、文字通りフリーに各チームが個性的な技を駆使してその華麗なコンビネーションを競います。

色々な着リップ、投げ方を遊び感覚で試していく中で、新しい技を思いついたりするので、ワンちゃんとのオリジナル技を発見できるかも知れないですね。

最後に

今回は、ディスクの投げ方(フリースタイル編)についてお話ししました。
私がフリースタイルを現役でプレーしていたのは2010年くらいだったと思いますので、現状ではもっともっと高度な技を繰り出す素晴らしいチームがたくさん居ます。

それでも、基本的な部分は相通じるモノですので、ディスクの握り方・投げ方を色々と試しながら、楽しみながら習得していって欲しいと思います。

フリースタイルはディスクタンス以上に複雑な要素が絡み合う種目ですので、出来ることなら熟練したコーチや指導者の居るクリニック等で良い手本を見ながら練習に励んだ方が身になると思います。
まずは、一歩踏み出す意味で、今回ご紹介した投げ方を試して遊んでみてください。

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大塚 裕

大塚 裕

1961年東京生まれ。現NDAコミッショナー。愛犬JACKEYと2001年にディスクドッグ世界大会に日本代表第1号として参戦。その後も2度日本代表となる。ディスクドッグの楽しさを広く知ってもらうことに喜びを感じている。

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