犬を保健所や保護団体から迎える流れと知っておくべきこと

飼い方

犬を家族に迎える選択肢について考えてみたことはありますか?犬を迎え入れるのはブリーダーやペットショップから子犬を購入するのではなく、保護されている犬(成犬)を迎え入れる方法もあります。
では、保護犬を家族としてお迎えするにはどうすればよいのでしょうか?今回は、実際に保健所や保護団体から保護犬を引き取るということはどんなことなのか、どこに連絡をして、どのような手順で犬を迎え入れればよいのかをみていきましょう。これから家族になるひとつの命についてよく検討してからお迎えすることを切に願います。

保健所・保護団体とは

犬を保健所や保護団体から迎える流れと知っておくべきこと

まず最初に、保健所についてみていきましょう。

保健所とは、国が設立した公共の機関です。動物に関する業務を行うことから「動物愛護センター」や「動物保護センター」などと呼ばれることもあり、この名称は各都道府県によって違いがあります。

迷子になって保護された犬、捨てられた犬、飼育放棄された犬などが保健所には持ち込まれます。この犬たちの収容期間は大変短く、その地域の規定や収容施設の規模にもよりますが、引き取る人が現れない限り多くの場合は殺処分の対象となります。

では次に保護団体についてみていきましょう。

「殺処分ゼロ」という言葉が世間に浸透してきていますが、この殺処分対象の犬たちをなくすべく、犬たちを救う活動を行なっているのが保護団体になります。
保護団体には、NPO法人として活動している団体、個人的にボランティアを募って活動している団体などが存在します。
保健所は動物の殺処分ゼロを目指してこれらの保護団体と連携し、収容された犬たちを保護団体が管理する施設へ移動させる、あるいは相互協力をして里親探しのための譲渡会などを定期的に開催したりしているところもあります。

保護団体の活動内容は、受け入れた犬たちの飼育や里親探しだけ止まらず、イベントを開催してのペット終生飼育の啓発運動なども行なっています。

保護された動物はつらい経験をした場合も

保健所に収容される犬の中には、人間から虐待を受けていた、飼育放棄をされたなど、つらい経験をしてきた犬が多くいます。
迷子で保護された犬も、さまよっていた期間に何かしらのつらい経験や怖い体験をしていることもあるでしょう。
こういった経験から、人に対して心を開かずに恐怖心や不信感から心に闇を抱えている犬が多いことも事実です。

野犬として母犬とともに保護された子犬の場合は、人と接したことがないため不信感こそ抱いていないものの、人という未知のものに対しての恐怖心は強く持っています。

譲渡会に参加する犬たちは、病気の有無や人に対して慣れているかなど、一定の基準を満たしているため過度に心配する必要はありませんが、つらい経験をしたことが犬の心の奥底に残っている場合があるため、保護犬を家族にお迎えすることを検討している場合は、心のケアや人とのコミュニケーションが大切になることを理解しておくことが大切です。

保護犬をお迎えするのに必要な条件とは

保健所や保護団体から犬をお迎えするには、さまざまな条件を満たす必要があります。厳しい条件と思われがちですが、これはつらい経験をしてきた犬たちが、終生幸せに暮らしていくためにとても大切な条件になります。
条件は各団体によって多少の違いはありますが、ほぼ共通している最低限の条件をあげていきます。

  • 成人であること(高齢の場合には保証人が必要な場合有り)
  • 終生飼育がしっかりできること
  • 日々の世話をきちんとできること
  • 同居者全員が飼育に賛成していること
  • 避妊去勢が未手術の場合には、適切な時期に手術を受けさせること
  • 動物飼育が可能な住居であること
  • 1人住まいでないこと(相談の上、可能な場合有り)
  • 先住犬がいないこと(相談の上、可能な場合有り)

この他にも、保健所が主催する講習会への参加が義務付けられていたり、飼育環境の調査を行ったりする場合もあります。

保護犬を家族にお迎えする際の流れ

犬を保健所や保護団体から迎える流れと知っておくべきこと

保護犬を家族にお迎えすることを決めたら、まずは犬を選ぶところからはじめていきます。探す方法は次の3つがあります。

  • 保健所が開催している譲渡会へ出向く
  • 保護団体に連絡をして直接見学に行く
  • 保健所や保護団体のサイトで里親情報の検索をする

お迎えしたいと思う犬が見つかった場合は保健所や保護団体へ連絡を入れ、譲渡に向けて準備をはじめましょう。

  • 飼育に関しての説明や講習会を受講する(犬が決まる前に参加できる場合もあります)
  • 申込み申請行う(必要書類の提出)
  • 保健所や団体側と面談を行う(飼育環境調査・家族構成・飼育に対しての意識確認など)
  • 犬との相性調査(保護されている施設での面会・実際の飼育場所でトライアルなど)

犬との相性調査は、団体によって方針に違いがあるので事前に確認をしましょう。施設での面会の後に引き渡しをする場合もあれば、実際に候補の犬を預けて1週間~10日程度のトライアル期間も設けている団体もあります。
お迎えする犬が決まった場合は、正式な譲渡書類や誓約書などを交わした上で家族として迎え入れることとなります。
注意点としては、施設の見学や譲渡会などでもし気にいった犬がいたとしても、当日に家に連れて帰ることができるところはまずありません。
手続きや必要書類の作成準備など手間もかかりますが、犬の幸せのために団体側もかなり慎重ですので、その点は理解して進めていくことが肝心です。

犬を迎え入れてから気を付けること

保護団体から犬を迎え入れる場合、その犬の性格や苦手としていることなどを詳細に伝えてくれるはずです。生活をしていく上で注意をしなくてはいけない事がある場合は、事前に必ず伝えてくれることでしょう。
保護犬を家族にお迎えした場合、その犬について伝えてもらった性格や事情などの内容を家族全員がよく理解しておく必要があります。

虐待や飼育放棄などによって心に傷を負った経験やトラウマを持つ犬たちは、その時のことを思い出すきっかけになるような出来事に遭遇すると、通常とは違う想像もできないような反応をする場合があります。普段はおとなしい犬が、突如攻撃的な面を見せることもあるかもしれません。

車をとても怖がったり、大きな声を出す人が苦手であったり、など犬によって苦手なことは異なりますが、犬の怖がることや性格を事前にしっかり理解して、生活環境を整えてあげることが大切です。

また、一般家庭で生活をしていくなかで、保護施設でも気が付かなかったような良くない面が見えてくる場合もあります。

もしも、愛犬の苦手なことや怖がる様子を見せる状況に気づいたら、無理強いをすることはせずに、ゆっくりとその状況に慣らしていきましょう。また、同時に信頼関係を築いていき、犬と家族の幸せに繋がるようにしてください。困ったことや不安に感じたこと、飼い方に迷いがある場合など、必要な場合は施設へ相談をして、アドバイスや解決策を皆で考えていくことが大切です。

まとめ

保護犬を迎え入れる方法について、必要な条件と引き取るまでの流れを紹介しました。
保護犬を迎え入れるのはハードルが高いともいわれます。しかし、家族にお迎えするための条件なども、再び犬が辛い思いをすることがないように考えられたものです。
なぜそこまで厳しい条件を満たさないといけないのか、そうなってしまった多くの原因は私たち人間にあります。
全ての保護犬が、新しい家族に出会って幸せになれる日が来ることを願っています。

関連記事:犬の殺処分と保護犬について 動物愛護週間に考えたいこと

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kai-k

愛玩動物管理飼養士・ドッグライフカウンセラー・動物介護などの資格を所有し、20年以上に渡る飼育経験とブリーダー経験を活かした、実体験に基づく記事作成を行っています。

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