犬は人間のように言葉を話すことはできませんが「ボディランゲージ」と呼ばれる仕草や行動によって、犬の言葉や感情としてコミュニケーションをとっています。犬の言葉がわかると愛犬の気持ちに近づくことができます。今回は犬のボディランゲージについてお話しします。
犬のボディランゲージを理解しよう
犬の「ボディランゲージ」という言葉は耳にしたことがありますか?犬は非言語動物であるため、人のように言葉を話すことはありません。そのかわりのコミュニケーション手段として使われるものが、この「ボディランゲージ」です。
犬は、犬同士のコミュニケーションはもちろん、飼い主さんにも同じようにボディランゲージを使ってたくさんのメッセージを伝えています。私たちにとって不可解な行動に見えるものにもきちんと意味があり、愛犬からのメッセージがそこに隠されているのです。
ボディランゲージが少しずつわかるようになると、愛犬が今どんな気持ちでいるのか、どうしたいのかが分かるようになってきます。
「おすわり」や「まて」など私たちは犬に言葉を教えますが、犬はその言葉を覚えて、言われたとおりに座ったり待ったりします。では、今度は私たちが犬の言葉を理解してみませんか?
飼い主さんと愛犬、お互いが歩み寄れば心の距離がぐっと近づき愛犬との絆も深まります。
ボディランゲージを知ることは犬の言葉が理解できるようになること、さらに愛犬との絆が深まる素晴らしいことなのです。
犬のボディランゲージにはこんな意味がある
犬のボディランゲージの中でもよく見かけるもので、そのボディランゲージの意味がわかりやすい部位のものをいくつかご紹介します。
しっぽを振るのは嬉しいから?
「しっぽの動き」のボディランゲージをいくつかご紹介します。
しっぽを上にあげて大きく振る
しっぽを振るボディランゲージでも良くみられる行動が、しっぽを上に上げて大きく振る様子です。
このボディランゲージの意味は「嬉しい」などの感情ととらえたくなりますが、実は興奮をしているときに起こるボディランゲージです。
飼い主さんが帰宅したときなどに、このようにしっぽを振るのはうれしくて興奮をしていると考えてよいでしょう。
しっぽをぶんぶん振りながら、飼い主さんの手を甘噛みしたり、飛びついたりするなら、愛犬が興奮の抑制をできていない状態と考える必要があります。
しっぽを右側に傾けて振る
しっぽを右側に傾けて振っているときは「楽しい」「嬉しい」など、リラックスしてポジティブな感情でいると考えてよいでしょう。
犬の右脳左脳の研究によって、しっぽを振っている位置が右側なのか左側なのかで感情の大きな違いがあることが報告されています。
しっぽを左側に傾けて振る
右側に傾けて振っているポジティブな気持ちとは逆で、「警戒」や「不安」などの気持ちを表す意味があります。
警戒や不安を感じているときは、興奮をしているしっぽの振り方と違い、ゆっくり動かしたり、動きがなかったりすることが多くみられます。
あくびをするのは眠いから?
私たちは眠いときや、退屈なときなどにあくびをします。では犬たちのボディランゲージのあくびはどのような意味があるのでしょうか。
眠いからあくびをする
リラックスをしている状態で犬があくびをするのは単純に眠いときや、気持ちがよいからあくびをしたと考えていいでしょう。
お散歩中のあくび
お散歩中など眠るシチュエーションでないのに犬があくびをする意味は「自分の緊張をほぐす」や「他の犬をなだめる」「ストレスを感じている」などが考えられます。
お散歩中やドッグラン、飼い主さんと遊んでいるときなどに愛犬があくびをしたら、その場所に不安を感じている場合や他の犬や飼い主さんに対して「自分は無害だからそっとしておいてくれるかな」などのサインと考えられます。
その耳の位置はどういう気持ち?
犬の耳もたくさんのボディランゲージを発信する場所です。
耳をピンと立てる
このボディランゲージは「何かに集中をしている」「気になることが起きている」このようなときにみられます。
飼い主さんがボールを投げたり、食事の支度をしたり愛犬が気になることをしているときにみられるボディランゲージです。
耳を開いてたおす
耳を開いて頭と同化するくらいにたおしているボディランゲージは「不安」「恐怖」という意味があります。
例えば雷や花火の音など、何かに恐怖を感じているときにこのボディランゲージをします。
犬の目でわかる愛犬の気持ち
「目は口ほどに物を言う」といいますが、犬の目も同様にとても表現が豊かでボディランゲージを読みやすい場所です。
リラックスをしている目の形
表情が穏やかに見え、見開いたときに比べると、少しまぶたを落としている目がリラックスをしている目の形です。
この目をしているときは、相手に友好的な気持ちでいることを示していることが多く、大好きな飼い主さんを見つめるときなどによくみられる目の形です。
見開いた目
このボディランゲージは「何かに集中をしている」「興奮をしている」ときにみられます。
白目が見えている
これは「不安」「恐怖」などを犬が感じたときに多く見せるボディランゲージです。
笑ったように目を細める
このボディランゲージは「友好的」「相手をリラックスさせたい」といった意味があります。
犬のボディランゲージを読み取るためポイント
犬のボディランゲージを読み取るときに大切なのは、ひとつのボディランゲージで犬の感情を判断しないことです。さらに、犬の体全体をよく観察することも大切なポイントです。
犬は体全体で多くのボディランゲージを一度に表します。この記事内でお伝えした「犬のボディランゲージにはこんな意味がある」でお伝えしたものを参考に、ボディランゲージの読み方の例をあげてみます。
耳を寝かせ、目がリラックスをしている目の形で、しっぽを振っている
この場合は、嬉しくて仕方がないというポジティブな気持ちを表していると考えてよいでしょう。
このときに目がリラックスをしている目の形ではなく見開いているなら、興奮しすぎている状態と考えられます。
耳をピンと立てて、目を見開いて、しっぽを左側に傾け振っている
この場合は何かに警戒をして集中をしていると考えられます。
ポジティブな状態ではないため、しっぽを振っていてもこのようなときは知らない犬ならむやみに近づかない方がよいでしょう。
愛犬がこのようなボディランゲージをしているときは、何に警戒をしているのか原因を見つけると、問題行動の改善につながる可能性があります。
このような感じで、犬が体全体で表しているボディランゲージを観察して犬の気持ちを判断する必要があります。
注意したい犬のボディランゲージ
犬がネガティブな感情のボディランゲージをみせているときは注意が必要です。
例えば「耳を倒して、目を見開いて、荒い呼吸をしている」このようなボディランゲージをみせているとき、犬にストレスや緊張、不安などを感じていることが多いため、何が原因でそのようになっているのか観察をしてあげましょう。
また、知らない犬とふれあうときに「耳を立て、目を見開き、体を前傾姿勢にしてしっぽをゆらゆらと振っている」このような場合、しっぽを振っているからといえ、その犬は友好的な状態ではないため注意が必要です。
犬の言葉を知ることで私たちの安全も確保できますし、犬にマイナスな経験をさせる必要がなくなります。そして愛犬の問題行動を未然に防いだり、改善するきっかけにもなるでしょう。多くの手掛かりをボディランゲージで犬は教えてくれているのです。
最後に
ボディランゲージは犬のことを理解するため、さらには犬とよりよい関係を築くために役立つ、愛犬からの大切なメッセージです。愛犬を観察して少しずつボディランゲージのサインを見つけてみてください。
今まで何気なく見過ごしていた愛犬のしぐさが、実は飼い主さんにSOSを求めているサインだったということもあります。犬のボディランゲージの意味を知って、犬たちの言葉に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
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