公開日
2020/01/20
更新日
2020/01/23

【ドッグトレーナーのしつけ教室】「呼び戻し」の教え方はコツが必要!トレーニング法ご紹介

皆さんの愛犬は、名前を呼んだらこちらへ来てくれますか?今回のしつけ教室は「呼び戻し」です。呼び戻しを犬に教える理由や、教えるコツ、呼び戻しがうまくできない理由などをまとめました。今回はドッグトレーナが使う専門用語も解説いたしました。愛犬との絆がより深まる「呼び戻し」。ぜひ挑戦をしてみてください。

犬に呼び戻しを教える理由

皆さんの愛犬は、名前を呼んだら近くに来てくれますか?呼び戻しとは、誰かが犬を呼んだら、犬が近くに戻ってくる行動のことをいいます。犬のしつけの中でも、この呼び戻しは、コツがわかるととてもスムーズに愛犬に教えられます。

呼び戻しができるようになると、室内やドッグランなどで、愛犬がフリーの状態になっているときなどにとても役に立ちます。他にも散歩中、不意にリードやカラー、ハーネスが外れてしまったときなどにも、呼び戻しができれば愛犬の安全が守れます。

愛犬をこちらに呼びたいとき、呼んでも来ない愛犬をつかまえようとして追いかけっこをしていませんか?人間より運動能力にたけている犬との追いかけっこは、なかなか飼い主さんに勝算が上がることは少なく、途中であきらめてしまう方も多くいらっしゃいます。

愛犬が覚えるととても便利でスマートな呼び戻し。
今まであきらめていた方にも、ぜひ挑戦をしていただきたいしつけです。

犬の呼び戻しの教え方

愛犬に呼び戻しの教え方の手順をご紹介します。一歩ずつ焦らず着実にトレーニングをしてみてください。

ひとつ難しいステップに進んだときに、それを愛犬ができなかったら、その前のステップのおさらいをもう一度してみてください。できないことを続けるよりも、ひとつ前に戻り基盤を固めることも、愛犬に呼び戻しを覚えてもらうコツのひとつです。

ステップ1 プロンプトとハンドシグナル

1.まず愛犬の前にしゃがみます

2.愛犬の名前を呼んで、飼い主さんに愛犬の意識を向けます

3.プロンプト(プロンプトの詳しい説明は下記をご覧ください)を使い、愛犬をこちらに呼び込みます

4.飼い主さんは、左右に腕を伸ばし両腕を開いた状態にしたハンドシグナル(ハンドシグナルの詳しい説明は下記をご覧ください)を出します

5.愛犬が広げた手と手の間に来たら、褒め言葉を言いご褒美をあげます

ステップ1のコツは、飼い主さんはしゃがんでいること、プロンプトを使い犬の興味をひくことです。

教え方の注意点のひとつ目は、このステップでは「おいで」という言葉は使いません。

ふたつ目は、何度か愛犬を呼んでも反応をしない場合、愛犬との距離が離れすぎている可能性があります。そのようなときは、近すぎるのでは?と思うくらいでも構わないので、愛犬の近くに行き、練習をしてみましょう。

まずは、愛犬が2~3歩離れた場所からでも、飼い主さんの所に来てくれる経験を積むことが大切です。

プロンプトとは

プロンプトをひと言でいうなら「行動を誘発させるための刺激」です。呼び戻しの場合、犬が興味を示し、こちらに来たくなるような刺激のことをいいます。

例えば、愛犬が好きな音のなるおもちゃを鳴らす、飼い主さんが膝を叩いたり、手を叩いたりして音を鳴らし、犬の興味を引き、こちらに来たいと思わせることを指します。プロンプトは、犬によって興味を示すものが違います。

大きすぎる音に恐怖を感じる犬もいるので、愛犬が興味を示すもの、音の加減などを選んで挑戦をしてみてください。

ハンドシグナルとは

ハンドシグナルはとても便利で、ドッグトレーニングをスムーズに進めるシグナルです。犬は言葉を使わない代わりに、体の動きで意思や気持ちを判断します。それをうまく使ったのがハンドシグナルです。

呼び戻しでは両手を左右に大きく伸ばし、深呼吸をするようなポーズをします。

犬はそのサインを見たら、「おいで」という言葉がなくても、呼び戻しの合図だと理解します。

このように犬は言葉よりもハンドシグナルの方が理解しやすい生き物なのです。

そのため、最初に「おいで」という言葉は使わず、ハンドシグナルで犬に指示を覚えてもらうことが新しいしつけなどを犬に覚えてもらうときの教え方のコツです。

ステップ2 ハンドシグナルのみで定着

次のステップは、ステップ1で使っていた「プロンプト」をなくします。

1.まず愛犬の前にしゃがみます

2.愛犬の名前を呼んで、飼い主さんに愛犬の意識を向けます

3.手を広げ、ハンドシグナルを出します

4.犬が来たら、褒め言葉を言いご褒美をあげます

ここで分かることは、犬がハンドシグナルを理解しているかどうかです。

もし、手を広げるハンドシグナルを出しても、愛犬の頭上に「?」が浮かんでいるようなら、まだ理解できていないと判断をし、ステップ1をもう一度、練習してみてください。

ステップ2ができるようになったら、「ステップ2プラス」を練習しましょう。今まで愛犬の前にしゃがんで練習をしていましたが、今度は立った状態で練習をします。「ステップ2プラス」ができるようになったら、次のステップ3に進みましょう。

ステップ3 「おいで」という指示語をつけてみましょう

最後のステップです。最後に「おいで」という指示語をつけましょう。

ここでは「おいで」でご紹介をしますが、飼い主さんの好みの言葉「come」や「こい」などでも構いません。

ただ、呼び戻しのしつけを複数の方で練習する場合、指示語は必ず同じものを使ってください。

1.愛犬の前に立ちます

2.愛犬の名前を呼んで、飼い主さんに愛犬の意識を向けます

3. 「おいで」と言います

4. 手を広げ、ハンドシグナルを出します

5.犬が来たら、褒め言葉を言いご褒美をあげます

このステップのコツは指示語「おいで」を言ってから、ハンドシグナルをだすことです。犬の不思議な特性として、オーバーシャドウイングというものがあります。後程「オーバーシャドウイング」についてご説明をします。

これが起きないように、指示語を先に伝え、今まで練習をしてきたハンドシグナルを見せます。これがしつけで指示語を教えるときのコツとなります。

オーバーシャドウイングとは?

この「オーバーシャドウイング」を知っておくと、これからのしつけにも役立つのでお伝えしたいと思います。

犬は同時にふたつ以上のことを理解し処理できません。中にはできる個体もいますが、苦手だといわれています。

今回のしつけの「呼び戻し」ステップ3を例にあげると、ハンドシグナルはもうステップ2プラスまでの練習で覚えています。そして新しい指示語をステップ3で追加しています。そのようなとき、ハンドシグナルと指示語を同時に使うと、犬は慣れた方だけで判断をし、理解できていないものを隠蔽してしまいます。

この現象を「オーバーシャドウイング」といいます。

これが起きると、指示語を理解する速度がとても遅くなってしまうため、今回の「呼び戻し」のしつけでは、理解していない指示語を先に愛犬に伝え、その後に理解をしているハンドシグナルを使っています。

そうすることにより「指示語=ハンドシグナル」と犬は覚えていきます。これが犬にオーバーシャドウイングを起こさせないトレーニングのコツなのです。

犬の呼び戻しがうまくいかない理由は?

なんど練習をしても、うまくいかない。では、何が原因なのでしょうか。トレーニングをしていて、よく見かける「呼び戻し」がうまくいかない理由をまとめてみました。

犬が呼び戻しを無視するのはなぜ?

「○○ちゃんおいで」「・・・(犬が来ない)」このようなことはよくあることです。ではなぜこのようなことが起きるのでしょうか。いくつか考えられるケースをあげてみました。

ケース1 叱るときに呼び戻している

最初のケースは「叱るときに呼び戻している」です。

例えば、犬がスリッパをくわえて歩いていたとします。そこで犬を呼び、スリッパを取り上げて叱ります。このケースの場合、呼ばれて飼い主さんの所へ行くと、叱られると犬は学習します。

ケース2 遊びの終わりを告げる呼び戻し

次のケースは「遊びの終わりを告げる呼び戻し」です。

ドッグランなどで、犬を呼び戻し、犬が戻ってきたら自宅に帰る支度をするなどがこれにあたります。他にも飼い主さんが外出をするときに、犬を呼んでサークルなどに入れることも、これにあたります。

ケース3 呼び戻されても褒められない

最後のケースは、愛犬が飼い主さんに呼ばれ、飼い主さんの近くへ来ているのに、褒めてもらえない。もしくはいいことが起きない(ご褒美をもらえないなどがこれにあたります)です。

それが繰り返されると、犬は呼ばれても何もいいことが起きないのならば、行ってもしかたないと学習をします。

さて、3つのケースをあげてみましたが、どれか該当するものはありましたでしょうか。この3つに共通しているのは、「呼ばれてもいいことがおきない」ということです。

これを犬が学習し、定着してしまうと呼んでも犬が無視するケースが増えてしまいます。

ですが、先ほどお伝えした、呼び戻しのコツや、トレーニング方法を再度していただくことで、「呼ばれたら飼い主さんに褒められる、いいことがある」という経験を愛犬にたくさんしてもらい、呼び戻しができるようになるケースもたくさんあります。

犬の呼び戻しのコツは褒め言葉!

呼び戻しのしつけのコツは、「呼ばれたらいいことがある」ことが大切だとお伝えしてきました。

ですが、毎回ご褒美を犬に与えていたら、犬は太ります。

そして私たちのポケットにいつも、犬のおやつが入っているとはかぎりません。

そのようなとき、褒め言葉を犬が理解していると「褒め言葉=いいこと、正しいことをしている」と解釈してもらえるため、褒め言葉を犬に覚えてもらうことは、犬と生活をするうえで、とても大切になります。

褒め言葉の教え方はとても簡単です。しつけを練習しているときに「よし」や「good」などの褒め言葉の後に、愛犬の大好きなおやつをあげましょう。

「褒め言葉=いいことがある」と犬は学習し、正しい行動をしたと解釈をします。これが褒め言葉の原理です。犬が褒め言葉を理解していると、おやつなどのご褒美がなくても、その行動で間違えていないと、犬に伝えられます。

ただ、毎回褒め言葉だけですと、「褒めてもらえるけれど何もいいことがない」ということを学習し、褒め言葉の効力が薄れてきます。

そのため、ときどき褒め言葉を言った後に、おやつを与えたり、一緒に遊んであげたり、犬が喜ぶところをなぜてあげたりしましょう。そうすると自然に褒め言葉は定着していきます。

最後に

「呼び戻し」ができるようになると、愛犬の安全を守れ、愛犬とのコミュニケーションが多く取れるようになり、ドッグライフがより豊かなものとなります。

愛犬が呼ばれてこちらへ向かってくる姿は、とてもかわいいらしく、皆さんにもぜひ体験していただきたいと思います。 「犬のしつけ、第4弾~呼び戻し」ぜひ挑戦をしてみてください。