犬の栄養素について知ろう【ビタミン・ミネラル・水編】

人もワンちゃんもご飯をしっかり食べて、栄養を摂るのはとても大切なことです。
ただ、人と犬で必要な栄養素が違ってきます。
今回は、とても大切な役割を持つ5大栄養素の中でも、ビタミン・ミネラルとそれに加え水についてそれぞれどんなはたらきがあるのかご紹介します。

5大栄養素について

犬に必要な栄養素はタンパク質・脂肪・炭水化物・ミネラル・ビタミンの5つです。これらを5大栄養素と言います。
その中でも、エネルギー源となるタンパク質・脂肪・炭水化物を3大栄養素といいます。
栄養バランスが摂れた食事とは、エネルギー源となる三大栄養素のバランスが取れており、さらに体の調子を整える役割があるミネラルとビタミンが過不足なく摂れている食事のことを言います。
犬には犬に適した栄養バランス、人には人に適した栄養バランスがありますが、栄養素の基本的な考え方は
犬も人も同じです。
また、5大栄養素の他に「水」も生きていくうえで大切な役割を果たします。

ビタミン

どんな役割があるの?

機械で例えると、潤滑油の役割をするのがビタミンになります。
エネルギー源になったり、身体を作ったりする役割はありませんが、ごく微量を摂取することで、体内の代謝を円滑にする役割があります。
ビタミンは消化されることなく、そのまま体内へ吸収されます。

ビタミンの種類

ビタミンは大きく分けて脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの2つに分けられます。

1日に必要な量は?

必要量はビタミンによって異なります。
脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすいため過剰に注意する必要がありますが、水溶性ビタミンは尿として体外に排出されやすいため、1日に必要な量は食事から摂取する必要があります。

摂り過ぎの場合

骨障害、脂肪肝、嘔吐、腎障害、高カルシウム血症などを引き起こします。
水溶性ビタミンは多く摂りすぎても体外に排出されるため問題ありませんが、脂溶性ビタミンは摂りすぎてしまうと蓄積されていくため、嘔吐や脂肪肝、腎障害などを引き起こしてしまいます。

ビタミンA・・・骨の異常や皮膚障害などを引き起こしてしまいます。
ビタミンD・・・食欲不振や高カルシウム血症などを引き起こします。

不足した場合

食欲不振、筋肉の虚弱、発育障害、貧血、蕁麻疹、脱毛、血液凝固不全などを引き起こします。
欠乏症の症状は各ビタミンによって異なります。

ビタミンA・・・欠乏することは稀ですが、筋肉の虚弱や皮膚トラブル、夜盲症、発育障害などを引き起こすことがあります。
ビタミンD・・・こちらも欠乏することは非常に稀ですが、骨粗鬆症などの骨の障害などを引き起こすことがあります。
ビタミンE・・・骨格筋の機能障害や生殖機能の低下、免疫機能の障害などを引き起こします。
ビタミンB群・・・毛のパサつきや脱毛、皮膚炎、筋肉の虚弱、食欲不振、発育障害、脂肪肝などを引き起こします。
ビタミンK・・・血液凝固不全(血が止まるまでに時間がかかるなど)や消化管出血を引き起こしてしまうことがあります。

ミネラル

どんな役割があるの?

  • 歯や骨の構成成分になる
  • 体液バランスを調整する
  • 血液の凝固を助ける
  • 酵素やホルモンの構成成分になる
  • 筋肉の収縮
  • 神経の伝達

などがあります。

ミネラルの必要量は微量ですが、体の構成成分になったり、身体の調子を整えたりするのに重要な役割をしています。
しかし、摂りすぎてしまうと害となるものもあるため、摂取量はバランスが大切です。

ミネラルの種類

ミネラルは必要な摂取量によって2つのグループに分けられます。

【主要(多量)ミネラル】
食事から多く摂取する必要があるミネラルで、フード1kg中に100㎎以上必要なミネラルです。
全部で7種類あります。
リン、カルシウム、クロライド(塩素)、マグネシウム、カリウム、硫黄、ナトリウム

【微量ミネラル】
必要量が大幅に少なく、体内の含有量が鉄を含め鉄よりも少ないミネラルです。
全部で11種類以上あります。
鉄、亜鉛、銅、セレン、ヨウ素、クロム、フッ素、コバルト、モリブデン、ホウ素、マンガンなど

主要ミネラルで特に大切なのがカルシウムとリンです。
体内に多いミネラルの1位がカルシウム、2位がリンで、カルシウムの99%、リンの85%が歯や骨などの骨格の構成成分になっています。
しかし、両方ともとても大切なミネラルですが、多く摂れば良いというものではなくバランスがとても大切になっていきます。
理想的な摂取比率は「リン:カルシウム=1:(1~2)」と言われています。

1日に必要な量は?

ミネラルは、欠乏症と過剰症を起こしやすいため、下限と上限の両方が決められているものが多くあります。

摂り過ぎの場合

ミネラルが過剰になると、腎機能の低下、筋肉の衰弱、食欲不振、尿石の生成、肝機能障害、嘔吐などを引き起こします。

不足した場合

ミネラルが不足すると貧血、食欲不振、元気がなくなる、脱毛、脂肪肝、発育障害、痙攣、繁殖障害などを引き起こします。

水は動物が生きていくうえで必要不可欠なものであり、最も大切です。
他の栄養素、例えば体内のタンパク質や体脂肪を体重の10%程度失ってしまっても生きていくことはできますが、水は体内の数%失うだけで脱水を生じ健康障害を起こし、10%以上を失うだけで生命維持が難しくなり、亡くなってしまいます。

どんな役割があるの?

  • 物質を溶かして体内移動(運搬、吸収、排泄など)をする溶媒の役割
  • 物質を溶かし化学反応を円滑にする(例:加水分解)
  • 体温のコントロール
  • 皮膚の弾力性の維持
  • 体液として細胞や組織を衝撃から守る役目

などがあります。

1日に必要な量は?

1日に必要な水分は、栄養素が代謝されることで生じる水分(代謝水)によって、5~10%が供給されます。
残りの水分は、飲料水やフード中の水分によって供給されます。
1日に必要な水分量は「1日当たりのエネルギー要求量(DER)」とほぼ同じです。
「1日当たりのエネルギー要求量」の求め方は応用編でご紹介します。
体重5kgの犬は約450mlが1日に必要な水分量です。

犬の場合はドッグフードなどの食事に含まれる水分量によって飲水量が変わってきます。ドライタイプのフード(水分量10%以下)に比べ、ウェットタイプのフード(水分量75%以上)を食べている子では、飲水量も少ないです。
簡単な水分必要量の目安としては、一日に食べるフードの乾物量に2.5倍した値となります。
例えば、水分量10%のドライフードを100g食べているとしたら必要な水分量は、
フードの重量×フードの水分を除いた割合×2.5
つまり、100×(100-10)/100×2.5=225mlとなります。
また、水分の必要量は、犬の状態によっても増加したり、減少したりします。

摂り過ぎの場合

普通に生活している分には過剰になることはありません。長期間脱水状態が続いた後に、自由に水を飲ませた場合に水中毒を生じる危険性があります。水分の過剰摂取により、血液中のナトリウ濃度が低下して、低ナトリウム血症を生じます。水中毒になると嘔吐や痙攣などの症状が現れます。重症になると意識が混濁し、最悪の場合は亡くなってしまいます。
また、必要水分量を超えて多量(体重当たり100ml以上)に水を飲む場合には、ホルモン系(糖尿病、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症)や腎臓系などの病気を示している場合があります。

不足した場合

過剰よりも怖いのは水分不足による脱水です。
脱水になると、消化器系や呼吸器系、泌尿器系など体のあらゆるところに障害が出てきます。
犬のみならず、人も含めたすべての動物は、体内の水分のうち10%を失うと危篤状態となり、15%を失うと命を落とすと言われています。
水分補給がしっかり行えるよう、常に清潔な水が飲めるようにしておいてあげましょう。
また、外に出かけるときは、こまめに水分補給をしてあげましょう。

まとめ

食事として体外から摂り入れた様々な物質は、消化吸収されて体内に摂り込まれ、代謝(分解・合成)されて、動物特有の物質に作り替えられ、不要なものは老廃物として排泄されます。動物が生きていくために必要な営み(新陳代謝)を行うために体外から摂り入れる食事中の成分が栄養素です。それぞれの栄養素の働きを知ることによって、犬の健康のためには、食事や栄養バランスがとても重要であることが再認識できるのではないかと思います。

次回は、犬に与えてはいけない食材についてご紹介します。