公開日
2021/05/25
更新日
2021/06/29

犬に必要な栄養素ミネラルの役割とミネラル不足・過剰摂取の症状

犬に必要とされる栄養素にはタンパク質や脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンがあります。犬にとってミネラルはどんな役割があるのか、ミネラル不足や過剰が起こるとどんな症状が出るのか、ミネラル不足の解消に役立つ食材をご紹介します。

ミネラルは犬にとって必要な栄養素

ミネラルは、犬の体を構成している4つの元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称で、厳密には数多くの種類があり「無機質」とも呼ばれます。

ミネラルは、体の中に多く存在している主要元素(主要ミネラル)と体内にあまり存在していない微量元素(微量ミネラル)がありますが、犬に主に必要となるミネラルは、カルシウム、リン、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレンの11種類だといわれています。

ミネラルは、犬の体のあらゆる組織や体液の成分であり、体の機能や生理的な役割に影響を与えている必要な栄養素で、主な役割は、体液の浸透圧やPHバランスの調整、細胞や神経伝達、筋肉の調整機能、骨や歯の成分となるなど大切な役割があり、食べ物から摂取することができます。

また、ミネラルは犬に必要とする量はわずかではあるものの、体の機能を維持するために食べ物からバランスよく摂取する必要がある栄養素です。

犬にミネラル不足が起こるとさまざまな症状がみられる

犬の体内にミネラル不足が起こると、貧血、痙攣、脱水、元気がない、食欲がない、脱毛、精神障害や問題行動、異食症、体をなめるなどのさまざまな症状がみられることがあります。

ミネラルはたくさんの種類があるので、特定の元素にこだわらないバランスの取れた摂取を心がける必要がありますが、特にこれから成長する子犬は、骨や関節、筋肉などの発達のためにも、ミネラル不足にならないように注意しなければなりません。

ミネラルの主要元素と主な働き

ではここからは、犬の体内に多く存在する主要元素(主要ミネラル)とその成分の役割についてみていきましょう。

カルシウムCa

カルシウム(Ca)は、体の中で最も多く存在しているミネラルです。体内の99%のカルシウムは骨や歯を構成するためのもととなっていて、残りの1%が血液や筋肉、細胞膜に含まれています。

体の機能においては、筋肉の収縮や神経の伝達にカルシウムは不可欠なものです。他にも、血液の凝固(止血)やホルモン分泌にも関わっています。

また、カルシウムが不足しても、カルシウムを過剰に摂取しても骨に異常がみられる原因となることがわかっています。

カルシウムの不足で起こる問題

カルシウムが不足すると、骨に蓄えられていたカルシウムが血中に流れ、骨自体がもろくなって骨折をしやすくなることや、興奮が強くなる、呼吸が多くなる、痙攣するなど低カルシウム血症を起こすことがあります。

また、母犬が出産後に低カルシウム血症を起こして痙攣するといった症状がみられることがあるので、妊娠中の犬にカルシウムの量を多く与えすぎない、産後は授乳期の母犬に対して必要があれば適切なカルシウム量を与えるといった対応も必要です。

手作り食を与えている人は、ビタミンDやリンとのバランスを考慮しないと、犬が体調不良を起こす可能性があるので注意しましょう。

カルシウムの過剰摂取で起こる問題

カルシウムを過剰に与えると甲状腺機能の低下や骨・関節の異常などを引き起こしやすくなります。

特に、子犬の成長期にカルシウムを多く与えると、骨の異常が起こる可能性が高くなるので注意が必要です。

カルシウムが多く含まれる食材

チーズ、乳製品、煮干しなどの小魚、納豆、小松菜、ひじき、昆布など

リンP

リン(P)はカルシウムに次いで体の中に多く存在しているミネラルで、体内の80%以上のリンは、カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯を構成するもととなっています。

他にも、細胞のDNAやRNA、筋肉、細胞膜の材料となることやエネルギー代謝、体液のPH調整、神経伝達機能などにも関係しています。

ミネラルの中でも、リンはカルシウムの吸収と密接な関係があるため摂取バランスが崩れないように注意する必要があります。

リンの不足で起こる問題

リンが不足すると、骨の異常がみられる、元気がない、疲れやすい、食欲がない、発育不良、毛艶が悪くなる、異食症、低リン血症といった症状がみられることがあります。

リンの過剰摂取で起こる問題

リンを犬に過剰に与えると、カルシウムとのバランスが崩れて骨や歯がもろくなったり、腎臓に負荷をかけたり、尿石ができやすくなることがあります。

リンが多く含まれる食材

肉や魚、卵、大豆、乳製品、海苔、鰹節など

マグネシウムMg

マグネシウム(Mg)は、代謝に関わるミネラルで骨に多く存在していますが、筋肉や腎臓、血中、体液など全身にみられ、体の酵素反応、エネルギー代謝、筋肉の収縮、興奮を抑えるなど神経伝達機能の役割を持っています。

マグネシウムは「カルシウム」と「リン」とのバランスがマグネシウムの吸収に影響を与えるので、この3種類をバランスよく摂取する必要があります。

マグネシウムの不足で起こる問題

マグネシウムが不足すると、筋肉の収縮機能の異常、運動機能の低下、食欲不振、不整脈、麻痺、痙攣を起こすといった症状がみられることがあります。

マグネシウムの過剰摂取で起こる問題

マグネシウムを犬に過剰に与えると、神経障害、皮膚の異常、下痢、嘔吐、尿結石ができやすくなる、痙攣を起こすといった症状がみられることがあります。

マグネシウムが多く含まれる食材

ひじき、昆布、海苔、大豆、乳製品など

カリウムK

カリウム(K)は、体内の過剰な塩分の排出、筋肉の収縮や血圧の調整、神経伝達機能、ナトリウムとともに細胞内の浸透圧やPHを整えるといった役割があるミネラルです。

カリウムの不足で起こる問題

カリウムが不足すると、血圧の上昇、食欲がない、元気がない、筋力低下、麻痺といった症状がみられることがあります。

カリウムの過剰摂取で起こる問題

カリウムを犬に過剰に与えると、心臓や副腎機能の異常がみられることがあります。

カリウムが多く含まれる食材

バナナ、昆布、玄米、鰹節など

ナトリウムNa

ナトリウム(Na)は、塩(塩化ナトリウム)の主成分となるミネラルで、カリウムとともに体液のPH調整や、消化液の分泌、神経伝達刺激などの役割を持っています。

ナトリウムの不足で起こる問題

ナトリウムが不足すると、嘔吐や下痢、水分を摂取しなくなる様子がみられることがあります。

ナトリウムの過剰摂取で起こる問題

ナトリウムを犬に過剰に与えると、高血圧を起こしやすくなります。

通常ドッグフードにも塩分が含まれているので、さらに与える必要はありません。人間の味付けで調理されたものなどを犬に与えると塩分が多く含まれてしまうので、与えるのはNGです。

ナトリウムが多く含まれる食材

食塩(塩化ナトリウム)、味噌など

ミネラルの微量元素と主な働き

ではここからは、犬の体内に少量存在する微量元素(微量ミネラル)とその成分の役割についてみていきましょう。

鉄Fe

鉄(Fe)は、赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビンの成分として欠かせないミネラルです。酸素を体内に運ぶ大切な役割があります。

鉄の不足で起こる問題

鉄が不足すると犬も貧血を起こします。他にも疲れやすい、元気がない、食欲がない、発育不全といった症状がみられることがあります。

鉄の過剰摂取で起こる問題、

鉄を犬に過剰に与えるとリンの吸収障害や嘔吐が起こる可能性があります。

鉄が多く含まれる食材

レバー、魚、納豆、ひじきなど

亜鉛Zn

亜鉛(Zn)は、体内の酵素を活性化させる役割があり、タンパク質の生成や糖の代謝、ホルモンの分泌、免疫機能、傷の回復を促すなど、細胞の生成や体を機能させるために大切なミネラルです。

亜鉛の不足で起こる問題

亜鉛が不足すると、食欲がなくなる、皮膚病、脱毛、傷の治りが悪いなどの症状がみられることがあります。

亜鉛の過剰摂取で起こる問題

亜鉛を犬に過剰に与えると、嘔吐、下痢、貧血といった症状がみられることがあります。

通常、犬が食事により亜鉛を過剰摂取することはほぼありません。ですが、飼い主さんが亜鉛を含む人間用のサプリメントを飲んでいる場合、いたずらをした際に誤飲を起こす可能性があるので、サプリメントの管理には注意が必要です。

亜鉛が多く含まれる食材

レバー、肉類、うなぎ、大豆製品、ごまなど

銅Cu

銅(Cu)は、肝臓や脾臓に蓄えられている鉄をヘモグロビンに吸収する役割をするなど、血液や骨の発達に関わる働きを持つ欠かせないミネラルです。

他にもコラーゲンを含むタンパク質の生成をサポートする酵素として、皮膚や骨の健康を支える役割があります。

銅の不足で起こる問題

銅が不足すると鉄欠乏と同じ症状の疲れやすさや貧血、骨の異常といった症状を起こすことがあります。

銅の過剰摂取で起こる問題

通常、犬が通常の食事から銅の過剰を起こすことは考えにくいのですが、肝臓に蓄積された銅によって中毒を起こすこともあります。

銅が多く含まれる食材

レバー、しじみ、ごまなど

マンガンMn

マンガンは、糖質や脂質、タンパク質を生成する補助、骨の形成、性ホルモンの分泌に必要となるミネラルです。

マンガンの不足で起こる問題

マンガンが不足すると、骨がもろくなったり性成熟が遅いなどの発育不全を起こしたり、性周期の乱れや流産などを起こす可能性があります。

マンガンの過剰摂取で起こる問題

通常、犬が通常の食事からマンガンの過剰を起こすことは考えにくいのですが、マンガンを犬に過剰に与えると神経障害や鉄欠乏を起こしやすくなるといわれています。

マンガンが多く含まれる食材

卵、大豆、しじみ、玄米など

ヨウ素I(ヨード)

ヨウ素(I)は、甲状腺ホルモンの合成に必要となるミネラルで、ヨードとも呼ばれ、エネルギーや代謝を促進し、脳の働きを助ける役割を持ちます。

ヨウ素の不足で起こる問題

犬の体にヨウ素が不足すると、甲状腺肥大や欠乏症として甲状腺腫、甲状腺機能低下、骨の異常、脱毛、活力がない、発育不良といった症状がみられることがあります。

ヨウ素の過剰摂取で起こる問題

ヨウ素を犬に過剰に与えた場合も、甲状腺腫がみられるという報告もあります。

ヨウ素が多く含まれる食材

魚、ひじき、海苔など

セレンSe

セレン(Se)は、ビタミンEなどとともに抗酸化作用によって細胞の酸化を防ぐ役割のあるミネラルです。

セレンの不足で起こる問題

セレンが不足すると、脱毛や老化、繁殖力の低下がみられることがあります。

セレンの過剰摂取で起こる問題

セレンを犬に過剰に与えると、爪が割れやすくなる、脱毛、嘔吐、下痢などの症状がみられることがあります。

セレンが多く含まれる食材

魚、肉、レバー、卵、海藻など

犬の体に必要なことは「ミネラルをバランスよく摂取する」こと

ミネラルにはたくさんの種類がありますが、犬の体の機能に必要不可欠な栄養素です。犬の体にとって一番重要なことは、ミネラルやビタミンなどを栄養バランスよく摂取することです。

手作り食や持病のある犬はミネラル不足も気にかけよう

高品質なプレミアムペットフードでは、総合的に栄養バランスの取れた製品が開発されているので、犬が何らかの病気や体の機能に異常を抱えていなければ、フードが原因でミネラル不足に陥る危険はないと考えられています。

しかし、飼い主さんが愛犬の手作り食を実践されている場合に、同じメニューや同じ食材を使ったものに偏ってしまうと、ミネラルやビタミンをはじめ、栄養不足を起こしやすくなります。

使用する食材に含まれている栄養素をチェックしたり、栄養が豊富に含まれる食材や旬の野菜を取り入れたりして、メニューを変えるなどの工夫をするとよいでしょう。

ただし、ミネラルに限ったことではありませんが、「ミネラルが犬の体によいと聞いたから」「ミネラルが不足しないように」「ミネラル不足を解消するために」と多く与えすぎることは、結果的にミネラルの過剰摂取となって、愛犬の体調不良につながる可能性があるので注意しましょう。

犬に与えるミネラルウォーターにも注意!

ミネラルといえば、ミネラルウォーターをイメージされる方も多いかもしれませんが、ミネラルウォーターには、カルシウムやマグネシウムなどミネラル成分を多く含んだものが販売されています。

カルシウムやマグネシウムなどミネラルを多く含むミネラルウォーターは、犬が尿結石を起こす原因となる可能性があるので、結石になりやすい犬や腎臓疾患のある犬は与えない方がよいといわれています。

どうしても愛犬にミネラルウォーターを与えたい場合は、硬水よりも軟水の水を、犬が飲んでも問題ないとされている製品を選ぶとよいでしょう。

犬の気になる症状を見つけたら動物病院を受診すること

犬のミネラル不足が起こると、疲れやすくなる、元気がなくなる、皮膚の異常が出る、麻痺が出るといった症状が出ることがあります。

こういった愛犬の変化は、他の病気が原因で症状が表れる可能性もあります。

しかし、早期に受診して血液検査を行うことで貧血など血液の成分の異常などを発見できるので、気になる症状に気がついたらできるだけ早く動物病院を受診することをおすすめします。

愛犬がミネラル不足やミネラル過多にならないように、バランスの取れた食生活を心がけましょう!

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今回は、ミネラルの役割と犬のミネラル不足・過剰摂取についてご紹介しました。

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