【ディスクドッグへの道vol.11】 自チームの特徴・癖を理解する(犬編)

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前回から、中級者向けとして、ディスクドッグチームのレベルアップを図るための内容に進みました。
今回は、自分の愛犬の癖・特徴を理解した上で、実戦に向けての対策を考えていきましょう。これによって、その時々のコンディションに応じた戦術をとることが可能になるので、現時点での自分たちが上位を目指す為に必要なことが明らかになるはずです。

前回から、中級者向けとして、ディスクドッグチームのレベルアップを図るための内容に進みました。
今回は、自分の愛犬の癖・特徴を理解した上で、実戦に向けての対策を考えていきましょう。これによって、その時々のコンディションに応じた戦術をとることが可能になるので、現時点での自分たちが上位を目指す為に必要なことが明らかになるはずです。

愛犬の特徴・癖を正しく理解する

ディスクドッグを始めてから、愛犬との練習を重ねていく過程で、競技に出場する機会も増えてくると思います。一定のルールに基づく競技に参加すると、愛犬の様々な特徴や癖がポイントを獲得するのに長所となるのか、短所となるのかが見えてくると思います。

ここでは、その特徴や癖を正しく理解し、ゲームの組み立て方や戦術に活かしていけるように考えてみたいと思います。

これまでにお話ししてきたディスクドッグを育てる過程での基礎を身につけていくことはたいへん重要なことで、理想のディスクドッグに近づくために続けたい内容です。

しかし、ここでお話しするのは、現時点での愛犬を最大限活躍させようということですので、どのような事に気をつけるべきか、次のように大まかにゲームを分解して考えてみましょう。

(1)スタート前の準備
(2)スタート時の待機姿勢
(3)ディスクの追いかけ方とキャッチまでの挙動
(4)キャッチ後の挙動とレトリーブ
(5)リリース

スタート前の準備

簡単にいうと、出番前のトイレ出しとテンションコントロールです。

まずは、愛犬がディスクで運動する前後に排泄をする傾向を普段から知っておくことが大切です。よく耳にするのは、適度な運動をすると催すことが多いという話しです。それでは、放っておいていざゲームに臨むと、競技時間内にコート上で催してしまうといった結果に陥る可能性が高くなるということです。(NDAのルールでは、競技時間内での排泄はその後がタイムカットされてしまいます)

とすると、事前に散歩をするなどして、排泄を済ませておくことが、そういった競技に支障の出る可能性を低くすることに繋がるわけです。

また、ゲームに臨むタイミングで、異常に興奮する子もまま見られます。そのようなタイプの愛犬の場合、ゲーム前のどのタイミングでトイレ出しをするのか、コートサイドに待機するのかといった、周りの状況を飼い主が踏まえた上で、愛犬のテンションコントロールを行なうことも大切なポイントになってきます。

スタート時の待機姿勢

簡単にいうと、「GO!」の合図を待っている間の愛犬の行動です。冷静に飼い主の動きやコマンドに集中して待てる犬はここでは問題ありません。

気をつけたいのは、興奮冷めやらず、合図を待たずにスタートを切ってしまうタイプや、グルグルと動き回って、人が投げ出すタイミングを図るのに苦労してしまうタイプには注意と対策が必要になってきます。

では、何をするのか。

簡単なのは、捕まえておくことです。ディスクを投げる利き手とは反対の手で愛犬のカラーや体の一部を拘束しておきます。投げやすい体の向きを整えてこれを実行すれば、スローイングに及ぼす影響は少なくて済みます。

私の愛犬で現エースは興奮しまくるタイプなので、恥ずかしながらスタート時にはカラーを掴んでフライング(合図の前にスローイングラインを越えてしまう反則)を防いでいます。お陰で、スタート時のファールをせずに済んでいます。

コマンドで愛犬を制御できるのであれば、それに越したことはありません。ノンストレスでスローイング体制を取れるわけですから。

ディスクの追いかけ方とキャッチまでの挙動

ここからは、ポイントが発生するキャッチに関係する行動になるので、たいへん重要な要素となります。

ディスクを追いかけ方、特にディスクを目で補足するまでの行動パターンを考えます。前回、人がディスクを投げるタイミングと高さの話をしましたが、ここの要素を考えた時の対策のことだったのですが、愛犬の追いかけ方を理解することで対処できます。

出来ることなら、投げ出したディスクを早く見つけ、見失うことなくキャッチに結びつけてくれるのがパーフェクトなのですが、良く目にするのは、テンションが高いタイプで、ディスクを水に先行して疾走してしまい、後からディスクを見つけようとクルクル回ったりしながらディスクを後から探すタイプ。

普段から短い距離を中心に長い距離も時折混ぜながらキャッチを確実にするトレーニングを積むことである程度は緩和できるのですが、ここでは、矯正することでなく、現状でキャッチに結びつけることを考えます。

走り出しや、走るスピードが速い場合、リリース後にアラウンド(自分の後ろを回ってから走り出す)させて、投げ出しのタイミングに時間的余裕を持たせて投げる等によって、常に犬よりも前にディスクを先攻させて標的が視界に入るようにすることが大切です。

また、視界にあるはずなのにキャッチの直前に回ってしまうタイプも存在するので、こういったタイプは更に余裕を与えない低めで早いスローイングを行なう必要があります。

これとは逆に、走り出すのがゆっくりで走力もあまり長けていないタイプの犬の場合、アラウンドはさせずにタッチ&ゴーでなるべく早くキャッチポイントに到達させる必要があります。その上で、キャッチしやすい距離に投げる必要があるので、人のスローイングコントロールに高度なスキルが必要になってきます。

キャッチ後の挙動とレトリーブ

ここで問題になるのは、集中力に乏しいタイプです。まだ経験値の浅い犬に見られがちです。まだ、ディスク以外に興味のあるものが多く、競技時の周りの雰囲気にもあまり慣れていない傾向が強いからです。

ここでの対処は、キャッチした後に回りに気を散らす余裕を与えないことが大切です。よく使うのは、キャッチ後すぐに呼び戻すこと。ポイントは愛犬の名前を呼んだり、手を叩いたり飼い主の方に注意を向けながら、スローイングエリアに呼び込みます。

更に効果を高めるには、スローイング後、投げ手もワンちゃんのキャッチングポイント近くまで走り寄り、呼び込みながら一緒に戻ってくる方法もこの段階には有効な手段の一つです。ただ、相当の体力の消耗を余儀なくされるのと、スローイングまでの時間的余裕がなくなることは覚悟しなければなりません。

リリース

ここで考えなくてはならないのが、ディスクを放すまでにどんな行動を起こすかです。ポイントを多く獲得するためには、キャッチと同じくらいの重要性がある部分だからです。

言うまでもなく、レトリーブ時に投げ手の手元にディスクを運んでリリースしてくれレトリーブとリリースについて愛犬を仕上げるのは苦手です。我慢強く教え込むことよりもるのがベストですが、相当の訓練が必要なのも確かです。

私は、ディスクドッグ競技について、偉そうに色々と語ってはいますが、レトリーブからリリースに関してトレーニングをするのが苦手です。どうも辛抱強くリリースさせる段階の我慢が足りないようです。

そこで、何を優先するのかというと、投げるためにはディスクを手に入れなければなりませんので、ディスクを放させることを重要視しています。ディスクを手元或いは近くに運んでくれば、あとは放しさえすればスローイングの動作には入れるわけです。

レトリーブ時からリリースにかけて、異常に興奮して噛んだディスクを話さないケースも見られます。こういったタイプの扱いは難しいのですが、ゲームの進行時に投げ手自身のテンションを上げすぎず、犬に興奮状態が伝わりにくくしたり、リリース時にも優しく迎え入れたりすると効果が出やすいようです。あるいは、体の一部に刺激を与えたりすることでも犬が我に返ることがありますので、試す価値はあると思います。

レトリーブがスローイングエリアに至らずにディスクを放してしまうケースでは、自分が拾ってきて投げると割り切るか、ある程度の距離まで縮めるのかは、ご自身の動きに掛かることなので、ある程度の許容範囲は決めておくようにすると良いでしょう。

最後に

今回は、愛犬の癖・特徴を自覚した上で大会での戦術と結びつけた考え方に触れてみました。犬の癖は千差万別ですし、その時時のコンディションによっても多少は変わってきます。それに投げ手自身のスキルも拘わってきます。

そのお互いのバランスを取りながらゲームに臨むことが競技会・大会でポイントを多く獲得することに繋がります。意識としては、自分と愛犬の特徴・癖を踏まえ、一つのチームをプロデュースできるかが大切になってきます。

ひとつ気をつけたいのは、その大会でディスクドッグのチーム力を高めるためのトレーニングをするのか、少しでも競技会で上位を狙うのかをハッキリとさせて臨むことが大切だと言うことです。

現状で戦うことと理想のチームを作るのでは、取り組みが全く変わるからです。それを踏まえた上で、自分たちのチームなりのゲームをすることは、この上なく楽しいことですよ。

大塚 裕

大塚 裕

1961年東京生まれ。現NDAコミッショナー。愛犬JACKEYと2001年にディスクドッグ世界大会に日本代表第1号として参戦。その後も2度日本代表となる。ディスクドッグの楽しさを広く知ってもらうことに喜びを感じている。

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